才能が野比のび太な転生者   作:色々残念

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今月はこれで最後の更新になります
また忙しくなってきたので次回の更新は9月からになりそうです
感想の返信も9月からになると思いますので、よろしくお願いします


マリア孤児院の少年と、初めての下層

ある日、オラリオを探索していると川の中で溺れそうになっている犬人の少年を発見。

 

私は迷わず川に飛び込んで犬人の少年を助け、素早く川から外に出ると犬人の少年が無事か確認する。

 

とりあえず受け答えはしっかりとしているので、身体がずぶ濡れになっている以外は問題なさそうだ。

 

私も身体がずぶ濡れになっていたが、冒険者である私なら大丈夫だろう。

 

それでも犬人の少年は風邪をひいてしまうかもしれないと思った私は、犬人の少年に家の場所を聞いてみた。

 

どうやら犬人の少年はオラリオにある迷宮街の真北に位置するマリア孤児院で暮らしているらしい。

 

マリア孤児院に犬人の少年を送り届けると、孤児院を経営しているマリアさんに少年を助けたことを感謝されて「せめて身体を拭いていってください」と布を渡される。

 

渡された布で濡れた身体を拭いていると、服を着替えた犬人の少年が「兄ちゃんは冒険者なの?」と聞いてきたので、そうですよ、と答えた。

 

「僕も将来は冒険者になりたいんだ。兄ちゃんみたいに身体を鍛えておいた方が良いのかな」

 

そんなことを言ってきた犬人の少年に、身体が小さい時から鍛え過ぎると身長があまり伸びなくなるかもしれませんよ、と教えておく。

 

「そうなの?」と驚いた顔で聞いてくる犬人の少年に、そうみたいですよ、と答えると「じゃあどうすれば良いのかな」と困っていたな。

 

それなら身体の動かし方や技を鍛えれば良いと思いますよ、と私が言うと「そんなの教えてくれる人が居ないよ」と肩を落として落ち込んでいた犬人の少年。

 

今日犬人の少年と出会ったことに縁があると思った私は、私で良ければ教えましょうか、と犬人の少年に提案してみた。

 

「兄ちゃんが僕に教えてくれるの?」

 

嬉しさを滲ませた声で聞いてきた犬人の少年に、ええ、私で良ければ教えますよ、と答えておく。

 

「兄ちゃんが教えてくれるなら教えてほしいな」

 

そう言った犬人の少年は、とても嬉しそうな顔をしていたな。

 

犬人の少年に身体の動かし方や技を教えると約束したことを保護者であるマリアさんにもしっかりと話しておき、許可を貰えるように頼んだ。

 

「怪我をさせたり危険過ぎることをしないなら大丈夫です」とマリアさんに許可は貰えたので、そこら辺を気を付けて教えていくとしよう。

 

翌日の朝、マリア孤児院に向かう前に手土産として野菜と菓子を購入した私は、孤児院を経営するマリアさんに野菜と菓子に加えて、寄付としてある程度のヴァリスを渡しておいた。

 

野菜と菓子に高額ヴァリスで物凄く驚いていたマリアさんを落ち着かせた後、孤児院の手伝いをした私は、犬人の少年に身体の動かし方と技を教えていく。

 

師匠であるレノアさんと魔道具作成をする日以外で、空いている日は孤児院に向かい、犬人の少年に教えられることを教える日々。

 

そんな日々を続けていたが、たまには息抜きも必要だと考えて購入した木材を加工していき、けん玉を作ってみた。

 

犬人の少年に遊び方を教えてみると、けん玉に夢中になっていたので、喜んでもらえたとは思う。

 

それからしばらくして先輩団員達にダンジョン探索に誘われるようになった私は、ダンジョン探索に向かうことを決めた。

 

今回の目的は下層の探索であるようだ。

 

魔女の隠れ家のレノアさんや、マリア孤児院の犬人の少年にもダンジョン探索に向かうことを告げておくと、2人とも私が無事に帰って来ることを願ってくれていたな。

 

それでも犬人の少年は「僕達、また会えるよねモビタ兄ちゃん」と泣きそうになっていたので、きっとまた会えますよ、だから待っていてください、と伝えておいた。

 

ダンジョンの下層に向かう前にウンディーネ・クロスを買っていた私は、ゴブニュ・ファミリアにインナーに加工してもらったそれを受け取りに行く。

 

水精霊の護布とも呼ばれるウンディーネ・クロスを装備すれば、水の抵抗や水圧を低減することが可能になるので、買っておいて損はない。

 

水中に居る時に発展アビリティ潜水が一時的に発現し、更に水場での移動速度に超高補正がかかるスキルがある私なら、水のある場所でも有利に戦えるだろう。

 

定期的なステイタス更新の日が準備期間中にやってきたので、一応更新しておくことにした。

 

ロキ様の自室で行われたステイタスの更新。

 

Lv3

 力:B766

耐久:S999

器用:A873

敏捷:B781

魔力:S924

 

 射撃:E

耐異常:H

 

《魔法》

 

【ガンスミス】

 

【ストリングビーム】

 

《スキル》

 

【風に愛されし者】

 

【樹木の友】

 

【竜の温泉】

 

【雪解けの癒し】

 

【誕生せしは日出ずる国】

 

【山の心】

 

【小人との友情】

 

【白銀の剣】

 

【牧場物語】

 

【恐竜との絆】

 

【超越存在と繋ぐ手】

 

【犬人との出会い】

 

【再会の約束】

・交わした再会の約束

・装備している武器を巨大化させることが可能

・巨大化させた武器の大きさを元に戻すことも可能

・一定の重量を超える装備を身につけた際、力と敏捷に超高補正

 

「再会の約束」と書いて「エパネノスィ・イポスヘスィ」と読む新たなスキルが発現した切っ掛けは、マリア孤児院の犬人の少年だろう。

 

今回のスキルは、ワンニャン時空伝が関係しているような気がするな。

 

ワンニャン時空伝は、川で溺れていた犬をのび太が助けたことから始まる物語だ。

 

助けた犬にイチと名付けたのび太は、ひみつ道具を使って母に隠れてイチを飼い始めた。

 

イチ以外にも捨て犬や捨て猫を発見したのび太だったが、流石に全ての面倒を見ることは出来ずに困り果てる。

 

そこで、タイムマシンを使って3億年前の地球に捨て犬や捨て猫達を連れてきたのび太とドラえもんはイチ達をひみつ道具で進化させ、食料を作り出す装置の使い方をイチに覚えさせた。

 

のび太が教えた、けん玉の遊び方も覚えたイチ。

 

イチと再会の約束をしたのび太は現代に一旦戻ったが、その際にイチを進化させた秘密道具を忘れてしまう。

 

イチは、その道具の使い方も覚えていて、更に進化した犬猫達は高度な文明を作り上げるまでになる。

 

再びイチの様子を見にタイムマシンに乗ったのび太達は、ねじれゾーンという年齢を変えてしまう不思議なゾーンを通った影響で、タイムマシンの部品を無くしてしまった。

 

3億年前から1000年過ぎた地球に辿り着いたのび太達は、高度な文明を築いている進化した犬猫の国でタイムマシンの部品を探すことになる。

 

そこで様々な出会いがあり、ワンニャン時空伝の敵であるネコジャラという人間への憎悪を抱く猫人は、イチが開発したタイムマシンを用いて自身の祖先の願いである人間への復讐を行うことを計画していたようだ。

 

隕石が迫る地球から脱出する為に作られた宇宙船のエネルギーを奪ってまで、タイムマシンを使おうとするネコジャラを止める為に奮闘するのび太達。

 

最終的には、のび太とイチによる巨大化したけん玉による攻撃で、倒されたネコジャラ。

 

進化した犬猫達は宇宙船に乗り、無事に地球を脱出することに成功。

 

ワンニャン時空伝は、そんな感じの話だったような気がするな。

 

溺れかけていた犬人の少年を助けたことと、犬人の少年とけん玉で遊んだことに加えて、再会の約束をしたことが今回のスキル発現の切っ掛けとなったのは間違いない。

 

「再会の約束で武器の巨大化って、どういうことやねーん!」

 

そう言いながら頭を抱えていたロキ様は物凄く困惑していたな。

 

まあ、ワンニャン時空伝を知らないロキ様では困惑しても仕方がないだろう。

 

何も知らなかったら私も困惑していたのは確実だ。

 

続けて「どないなっとんねーん!」と叫んでいたロキ様は、間違いなく困惑して戸惑っていた。

 

なんてこともあったがしばらくして落ち着いたロキ様から「下層行くんやったら気を付けて行くんやで」と言われたので、私が下層に行く準備をしていることはロキ様も知っていたらしい。

 

そんなステイタスの更新も終わり、先輩団員達から下層の情報もしっかりと教えてもらった後、武器や防具に各種アイテムと携帯保存食を用意した私は、準備が万端になったことを先輩団員達に伝える。

 

「よし、じゃあ行くかモビタ」

 

先輩団員達も準備は既に終えていたようで、団長からも下層へ行く許可をもらっていたようだ。

 

その後、先輩団員達と一緒にダンジョンに向かった私は、怪我をすることもなく順調に階層を降りて行き、あっという間に18階層にまで到着。

 

18階層では少し休憩することになり、樹木に実る迷宮の果実を幾つか採取して軽食にしてみた。

 

雲菓子が好みな人もいれば、赤漿果が好きな人もいて、それぞれ好みが分かれていたな。

 

小休憩を終わらせて19階層に移動した先輩団員達と私は、モンスターを倒しながら更に先へと進む。

 

中層最深部である24階層まで立ち止まらずに進んできたが、道中で上級殺しの異名を持つデッドリー・ホーネットが大量に現れた。

 

尋常ではない数のデッドリー・ホーネットで埋め尽くされた通路。

 

漆黒の巨大蜂といった姿をしたデッドリー・ホーネットの硬殻は、上層のキラーアントを上回る強度を持つ。

 

それでもLv3の先輩団員達や私なら問題なく倒せる相手ではあるが、流石に数が多い。

 

手早くデッドリー・ホーネットを倒しながら進んだ先に見えたのは、ブラッディー・ハイヴという稀少種のモンスターの姿。

 

松毬型で全長7メートルはあり、黒紫に染まった外見のブラッディー・ハイヴは、移動手段を持たない罠型のモンスターだ。

 

蜂の巣ともいえるブラッディー・ハイヴはデッドリー・ホーネットと共生しており、ダンジョンと繋がっているブラッディー・ハイヴはデッドリー・ホーネットを素早く産み出してくる。

 

その為、ブラッディー・ハイヴが存在している地帯では、デッドリー・ホーネットが産み出される速度が段違いになるらしい。

 

次々と産み出されていくデッドリー・ホーネットを魔石ごと「アダマスの剣」で両断し、無詠唱魔法「ガンスミス」で作り出したリボルバーで撃ち抜いて倒していった私の背後で先輩団員達の詠唱が終わった。

 

私が魔法の射線から退くと魔法が使える先輩団員達による様々な属性の魔法砲撃が放たれ、ブラッディー・ハイヴが完全に破壊されていく。

 

魔法砲撃でブラッディー・ハイヴの内部に居たデッドリー・ホーネットも纏めて倒されたようで、これ以上デッドリー・ホーネットが増えることはない。

 

ダンジョン内でも時間は知っておいた方が良いと先輩団員達からアドバイスを受けていた私は、購入したばかりの懐中時計を開いて時間を確認する。

 

現在の時刻は午後5時を過ぎたくらいの時間で、外では夕暮れが見える時間の筈だ。

 

そろそろ休息を取った方が良さそうな時間ではあるので、手頃な広間に移動して休息を取ることを先輩団員達に提案してみた。

 

「んじゃ、急いで移動しようぜ」と了承してくれた先輩団員達と一緒に早足で移動した先で、到着した広間。

 

小道沿いの樹洞にある行き止まりの広間を野営地とすることを決めた先輩団員達と私は、広間に居たモンスターを倒すとダンジョンの迷宮壁や床を大きく傷付けていく。

 

ダンジョンは地形の修復を優先させる為、壁面や床を大きく傷付けられたその地帯ではモンスターが産まれ落ちることはない。

 

安全階層ではないダンジョン内で大きな休息を取る際に、真っ先にやらなければいけないことである。

 

後は、休息する際に広間の入り口に見張り番が居れば、他の地帯から現れたモンスターにも対処が可能だ。

 

とりあえず1番元気な私が就寝時の最初の見張り番に決まったのは、当然のことかもしれないな。

 

そんなこともあったが今はテントを用意して夕食を作る時間になる。

 

見張りは先輩団員の1人に任せて、それ以外の全員で様々な作業をしていった。

 

広間の広さはちょっとした大部屋ほどで、壁には白い小花や葉に加えて稀に食用も可能なハーブが生い茂っているみたいだ。

 

天井には木の根が半球状に広がっていて、表面には碧の光を放つアカリゴケが群生し、広間内は時刻が夜でも明るい。

 

テントの設営と夕食作りが終わったところで、夕食の時間となる前に、壁や天井に生えるアカリゴケを削って部屋全体の明るさを落としておく。

 

これは体内時間を地上と合わせる為でもあるが、1番の理由はモンスター対策であるらしい。

 

種族にもよるがモンスターは普段のダンジョンとは違う光景を異常だと見なして警戒するそうだ。

 

アカリゴケを削られて光量の低いこの場所を警戒して、モンスターはあまり近付いてこなくなるだろう。

 

削いだアカリゴケは集めて瓶に詰めておき、それを広間の中心に置いておけば、夜の野営地を照らす角灯となる。

 

そんな一作業を終えて、ようやく夕食が始まった。

 

肉果実に食用可能な木の実とハーブを加えて煮込んだスープにパンが今回の夕食だ。

 

そこに私が作って持ってきていた携帯保存食を提供してみると意外と評判は良かったな。

 

私が作った携帯保存食は、鶏肉と食用可能な茸を刻んで少し濃い目に味付けして炒めたものを炊いた米で包み込んで玉にして、そのまま油で揚げて長持ちするようにしたものである。

 

この保存食は、器に入れてお湯を注げばそのまま食べられるのが良かったようだ。

 

「これ美味いぜ、モビタ」と先輩団員達には喜んでもらえたので、作っておいて良かったのかもしれない。

 

流石にひみつ道具のコンクフードは作れないが、これくらいの保存食なら問題なく作れた。

 

ダンジョンに向かう時に食料を用意する時間があれば、またこの保存食を作っておくとしよう。

 

賑やかな食事も終わり、夕食を食べ終えた先輩団員達がテントで休む広間。

 

出入り口を監視していた先輩団員の1人に、交代しますよ、と私が見張りの交代を申し出ると「ありがとな、見張りは任せたぜモビタ」と言ってテントに向かっていく先輩団員。

 

見張り役を交代した私は、広間の出入り口を監視しながら時を過ごす。

 

ある程度の時間が過ぎたところで、眠りから目覚めて起きてきた先輩団員の1人が見張り役の交代を提案してきた。

 

私としてはまだ大丈夫だったが「いいから先輩に任せて寝とけ寝とけ、明日は下層に行くんだからちゃんと寝といた方が良いぞ」と明日の為に眠ることを促してくる先輩団員。

 

その言葉が正しいと判断した私は先輩団員に従うことにして、用意されたテントで眠ることを決める。

 

どんな場所でもしっかりと眠れる私はダンジョン内でも問題なく眠れたので、充分な睡眠を取ることができたようだ。

 

目覚めてから懐中時計で時間を確認してみると、早朝の時間帯となっていて、テントの中にはまだ眠っている先輩団員も居た。

 

とりあえず現在の見張り役の先輩団員と見張りを交代した私は、先輩団員全員が起きてくるまで見張り役を続けていき、早朝から朝になるまで出入り口を監視していく。

 

見張り役は交代で行っていたので全員が睡眠を取れたようで、寝不足の人は誰もいないみたいだ。

 

これならダンジョン探索に影響が出ることもないだろう。

 

全員でテントを片付けた後、広間を出て移動した先輩団員達と私は、24階層と下部階層を繋ぐ連絡路の出入り口に到着。

 

24階層最奥の大広間にある結晶で覆われた洞窟こそが、中層と下層を繋ぐ場所であるのは間違いない。

 

隊列の中間である中衛で携帯用の魔石灯を持った私は、水晶洞窟にある斜路を下っていく。

 

慎重に隊列を崩さずに下へと進んでいくと水の音が聞こえるようになった。

 

ついに到着した下層。

 

そこには大量の水が流れ落ちる巨大な滝がある。

 

巨蒼の滝とも呼ばれるグレート・フォールは、目算でも幅は約400メートルはあり、高さは優にその倍はありそうだ。

 

滝を流れ落ちていく水は光の関係でエメラルドブルーに見えて美しく、素晴らしい絶景ではあるが、ダンジョンの中であるということは忘れてはいけない。

 

先輩団員達に先導されて進んでいく道の途中、現れた下層のモンスター達。

 

ブルークラブという金属蟹のモンスターを相手に「アダマスの剣」を振るう。

 

真正面から袈裟斬りにすると、ブルークラブの鋼殻に覆われた身体が斜めに両断されていく。

 

上層や中層のモンスターよりも強度が高いブルークラブの鋼殻だろうと容易く斬り裂くことが可能な「アダマスの剣」は業物だ。

 

そして私のスキル「白銀の剣」の効果で攻撃時に斬れ味と威力が増大されることも影響して、ブルークラブを簡単に倒すことが可能になる。

 

ブルークラブを倒した瞬間、続けて水場から現れたアクア・サーペントの頭部を瞬時に「ガンスミス」で作り出した大口径リボルバーで撃ち抜いて倒した。

 

下層の初戦は問題なく終わったが、まだまだこれからが本番になるだろう。

 

気を引き締めて下層の探索を行っていくとするか。

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