野菜などが売られているオラリオの市場で、普段見かけない野菜を発見したので試しに幾つか購入。
安く売られていたが見た目は春菊であり、洗って生で食べてみたら味も香りも春菊だったので、これは春菊で間違いない。
オラリオでは春菊をサラダなどにして食べるようだが、久しぶりに天ぷらが食べたくなり、春菊を天ぷらにして食べることを決めた私は、追加で他の野菜も購入しておく。
大量の野菜と食用油に小麦粉や卵を買ってロキ・ファミリアのホームに帰った私は、調理場の一角の使用を許可されてから、野菜の天ぷらを作っていった。
野菜を切り、用意した衣をつけて、熱した食用油で揚げる。
次々に揚げていくと、大量の野菜の天ぷらが完成。
様々な野菜の天ぷらを私が食堂で食べていると近付いてきたロキ様。
「モビタは何食べとるんや?」とロキ様に聞かれたので、天ぷらという極東の郷土料理ですよ、と答えておき、食べてみますかロキ様、と聞いてみた。
「天ぷらっちゅうのは、うちも食べたことないから、どんな味か気になるところやな」
そう言ったロキ様が、私の隣の席に座る。
とりあえず無難にさつまいもの天ぷらをロキ様に提供してみると「おっ、表面はサクッとして中はホクホクで、甘くて美味いやないか」と美味しそうに食べていたので、天ぷらの揚げ具合に問題は無さそうだ。
他にも獅子唐やカボチャ等を天ぷらにしたものをロキ様と一緒に食べてみたが、どれも美味しかったな。
衣がサクッと揚がっていて、中身の野菜の味も良い天ぷらは、塩や醤油に手を加えただし醤油をつけて食べると、またひと味違って良い。
沢山天ぷらを食べて満足した私の隣で「天ぷらが美味かったのはええけど、あかん、食い過ぎて夕飯入らへんわ」とお腹を押さえていたロキ様。
すいません、量を加減すれば良かったですね、と謝る私に「うちが食い過ぎただけやからモビタは気にせんといてな」とロキ様は笑っていた。
その後、調理場に使った皿を持っていって、丁寧に洗って返したが、調理場に居る料理担当の人に天ぷらについて質問されることになる。
料理担当の人は、どうやら極東の郷土料理である天ぷらに興味があるらしい。
天ぷらについて私が知っている限りのことは話しておき、野菜以外にも茸や魚介類に肉などを使った天ぷらがあることも教えておくと「今度作ってみたいから手伝ってくれ」とも言われたな。
なんてことがあった日の翌日、団長に呼び出されて向かった団長の自室。
「ダンジョン内での地図作成技術も身につけておいて損はないから、モビタは地図作成が得意なラクタから基本的な測量術を学んできてくれるかな」
そんなことを言っていた団長は私に地図作成も学ばせるつもりだった。
団長によれば、兎人の獣人であるラクタさんは確かな測量技術を持っているようで、地図作成を得意としているみたいだ。
それから団長に紹介される形でラクタさんと顔を会わせることになり、基本的な測量術を最初に教わることになる。
「き、基本的に地図作成は、10歩から20歩換算で記していきます。あ、後は、どれだけ進んだかという感覚も大事になりますので、覚えておいてください」
ラクタさんは地図作成や測量技術を他者に教えるのは初めてのようで、若干どもっているラクタさんが緊張しているのは間違いない。
それでも解りやすく説明してくれているラクタさんは、良い先生だったと私は思う。
ラクタさんから教わったことをダンジョンで実践してみて、上層から中層までの地図を作成し、ラクタさんに見てもらうと「か、かなり正確に地図が描けてますよ」と言ってもらえた。
ラクタさんの教え方が良かったので、それなりに測量技術が身に付いたみたいですよ、と私が言うと「そ、そうですか、良かったです」と笑っていたラクタさん。
兎人のラクタさんに地図作成と測量術を教わってから、団長の紹介でロキ・ファミリアの様々な獣人の方々と交流することになり、様々な技術を教わることになる。
多忙な日々を過ごしていたある日、私が中庭で休憩しているとロキ様が現れた。
「いつも頑張っとるモビタに、うちの手作りお菓子をプレゼントや」
そう言いながら近付いてきて、ラッピングされた袋を笑顔で私に渡そうとしてきたロキ様。
私が袋を受け取ろうと手を伸ばした時、ロキ様が踏み出した1歩が中庭の雑草を踏んだ。
すると踏んだ雑草が想像以上に滑りやすかったらしく、足を滑らせて横に半回転したロキ様が勢い良く地面に倒れそうになったので、倒れないように抱き止めた。
雑草を踏んだロキ様が滑って半回転し始めたその時に、持っていた袋をロキ様が強く握り過ぎたことで、確かに何かが砕けるような音が鳴っていたな。
袋の中身は大丈夫だろうかと思って、抱き止めているロキ様から受け取った袋を開けてみると、砕けたクッキーが入っている。
私の腕の中で、袋の中身を覗きこんでいたロキ様は「あかんわこれ、台無しやないか」と落ち込んでいて、とても悲しそうだった。
ロキ様を悲しませるつもりは私には無い。
不幸な出来事で、クッキーが砕けていても味には問題ないだろう。
という訳で袋からクッキーを取り出して、三日月のような形になっているクッキーを食べると、美味しいですよ、と笑顔で言っておいた。
私が嘘を言っていないことがわかったロキ様は「モビタは、ほんまにええ子やな」と言うと嬉しそうな顔で笑ってくれる。
様々な形になっていたクッキーを残さず食べておき、クッキーを作ってくれてありがとうございます、と感謝の言葉を伝えた私に「モビタが喜んでくれたなら、うちも嬉しいわ」と言ったロキ様。
そんな穏やかな時間を過ごした日から数日後、ある程度学んだことが形になってきたところで、定期的なステイタス更新の日がやってきた。
ロキ様の自室に向かい、ステイタスを更新してもらう為に上半身の服を脱ぐ。
背中に触れたロキ様の指が動き、更新されていくステイタス。
Lv3
力:S999
耐久:S999
器用:S999
敏捷:S999
魔力:S999
射撃:D
耐異常:G
《魔法》
【ガンスミス】
【ストリングビーム】
《スキル》
【風に愛されし者】
【樹木の友】
【竜の温泉】
【雪解けの癒し】
【誕生せしは日出ずる国】
【山の心】
【小人との友情】
【白銀の剣】
【牧場物語】
【恐竜との絆】
【超越存在と繋ぐ手】
【犬人との出会い】
【再会の約束】
【斉天大聖】
【心の友は音響兵器】
【獣の惑星】
・獣人達の惑星を守りし者
・任意発動で熊の獣人に変身することが可能
・顔を隠している間は正体がバレない変装が可能になる
・三日月の形をしたものを身につけている時、発展アビリティ幸運の一時発現
全ての基本アビリティがオールSとなり極まっただけではなく、新しいスキルも発現していたようだ。
発現した新たなスキルは「獣の惑星」と書いて「クティノス・プラネテス」と読むスキルであるらしい。
「獣の惑星」は間違いなくアニマルプラネット関係のスキルだと思うが、このスキルが発現した切っ掛けは様々な獣人と関わったことと、三日月の形をしたものと春菊を食べたことだろう。
アニマルプラネットの物語は、ある夜に、のび太がピンクのモヤをくぐり抜けて見知らぬ森に迷い込むことから始まっていく。
見知らぬ森では人間のような身体を持つ動物たちが人間の言葉で話していて、ホタルブクロのような花を持っていた。
翌日になり、のび太はそのことを夢かと思っていたが、動物たちが持っていたホタルブクロのような花が部屋の前に落ちていたのを知ると、昨夜のことは本当にあったことなのかもしれないと思ったようだ。
夜になり寝ぼけたのび太は、再び部屋の前に現れたピンクのモヤの中に入り込んだことに気付く。
あの世界は夢ではなく、のび太の後を追ってきたドラえもんと共にピンクのモヤの向こう側にある世界を探検することになった。
そこでのび太達は、チッポという犬の獣人の少年に出会う。
再び獣人達が住む惑星に遊びに来ることを約束したのび太とドラえもん。
再びピンクのモヤを見つけたのび太とドラえもんはしずかちゃんも誘って再び獣人の住まう惑星に遊びに行く。
その後、ついてきていたスネ夫とジャイアンも加わって獣人達の惑星から地球に戻った全員。
非常用にドラえもんが渡したひみつ道具を使って、チッポが救援を求めていることに気付いたことで、獣人達の惑星に引き返したのび太達。
美しかった獣人達の惑星は、兵器によって自然が破壊されていた。
惑星中の獣人達が姿を消していて、捜索の末にチッポと再会したのび太達は、獣人達が隠れる森の隠れ家で、この惑星を攻めてきた相手のことを知ることになる。
ニムゲと呼ばれる存在が、この惑星を手に入れる為に攻め込んできたことを知ったのび太達。
獣人達と共にニムゲと戦うことを決めたのび太達は、ドラえもんのひみつ道具を使ってニムゲ達と戦っていく。
最終的にのび太達は連邦警察に助けられる形になり、ニムゲは連邦警察に捕まることになった。
アニマルプラネットは、そんな話だった筈だ。
大長編や劇場版のアニマルプラネットで登場する「ツキの月」というひみつ道具は、ゴツゴーシュンギクという名前の薬草を原料にした三日月型の薬であり、飲めば3時間だけ信じられない幸運が訪れるという薬だ。
その薬を飲んだのび太は凄まじい幸運となり、アニマルプラネットに登場する敵役であるニムゲに、別の惑星まで連れ去られた獣人の女の子であるロミを助ける為、埋まっていた宇宙船の場所を簡単に突き止める幸運を発揮。
更にはその宇宙船でニムゲの住まう星に向かい、防護服を着ていたニムゲが勝手に転んで気絶したので、ニムゲから服を奪って変装することにも成功した。
しかも幸運はそれだけではなく、変装がバレるかと思った時は、のび太よりも先にニムゲに変装していた連邦警察の捜査官が大立ち回りを始めて、捕まっていたロミと一緒に逃げる隙ができる。
そんな凄まじい幸運を呼び込む、ひみつ道具である「ツキの月」はアニマルプラネットのみに登場したひみつ道具だった筈だ。
「獣の惑星」のスキルの効果に、三日月の形をしたものを身につけている時、発展アビリティ幸運が一時的に発現するのは「ツキの月」が影響しているような気がするな。
任意発動で熊の獣人に変身できる効果は、アニマルプラネットでのび太がひみつ道具の「動物ごっこ帽子」で熊の帽子を被っていたことが関係しているだろう。
被ることでその動物の能力を少し手にすることが可能な「動物ごっこ帽子」というひみつ道具。
「獣の惑星」のスキルは、のび太がアニマルプラネットで使ったひみつ道具が関係しているスキルであるようだ。
今回のスキルはこんな感じか、と私が思っていると「発展アビリティ幸運は間違いなくレアな発展アビリティやな、こんな発展アビリティがあるのはうちも初めて知ったわ」と言い出したロキ様。
探索系で最大手のロキ・ファミリアの主神であるロキ様でも知らない発展アビリティ幸運は、かなりレアな発展アビリティであるらしい。
「他の神に知られたら面倒なことになるのは確実やから、黙っといた方がええと思うわ」
ロキ様のその言葉が正しいと考えた私は、そうですね、黙っておきます、と正直に言っておいた。
「ほな、気持ちを切り替えて、ランクアップの時間やな」
そう言ってきたロキ様に再び背中を向けた私は、発展アビリティは何がありますか、と聞いてみる。
「発展アビリティは、連射、魔導、速射の3つみたいやで。うちとしては連射か速射が気になるところやけど、決めるのはモビタやから好きなのを選んでええよ」
そんなロキ様の答えが返ってきたが、どうやら発展アビリティは3つの中から選べるみたいだ。
連射と速射は、どちらも気になるがどちらかだけしか選べない。
悩みに悩んで連射を選んだ私は、ランクアップの際の発展アビリティは連射にしてもらうことにした。
Lv4
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
射撃:D
耐異常:G
連射:I
やる気に満ち溢れたロキ様によって、手早く行われたLv4へのランクアップ。
これで今回のステイタス更新は終わったと判断して、立ち去ろうとした私を呼び止めるロキ様。
何の用だろうかと思っていたら「ちょっと熊の獣人に変身したモビタが見たいんやけど」と言ってきたロキ様は、期待に満ちた目をしていた。
獣人へ変身してみると、どんな感じになるかは気になっていたのでロキ様の前で変身してみたが「かわええ、かわええよモビタ」とテンション高めなロキ様に抱きつかれることになり、まだ慣れない獣人の感覚に戸惑うことにもなる。
獣人に変身すると様々な感覚が鋭くなることに慣れるまで、しばらく時間がかかるかもしれない。
まあ、気長に頑張っていくとしよう。