とりあえず今はダンまち原作が始まるまで1年と11ヶ月前くらいです
到達階層を更新する為にロキ・ファミリアが大規模な遠征を行う時が来た。
「気を付けて行ってくるんやで!」
ロキ様の言葉に背中を押されて、黄昏の館を出発したロキ・ファミリア。
大人数でダンジョンを進むロキ・ファミリアの本格的な遠征には、様々な物資が必要になる。
ダンジョンでは貴重な飲料水に食料、テントに使う布や骨組みに寝具、人数分の魔石灯、予備の武器や消耗品の矢と投げナイフ等に加えて、各種ポーションの数々。
私が軽く思いつくだけでもこれだけの数があり、他にも遠征で必要になりそうな物資は沢山あるな。
更にそれだけではなくダンジョン内で入手した魔石やドロップアイテムまで持ち帰るとなると、大量の物資を運搬することになるのは間違いない。
その為ロキ・ファミリアでは、モンスターと戦闘を行う面々と、物資を運搬するサポーターとなる面々で、役割分担が決まっているようだ。
団長の指示に従い、サポーターとなる団員達は手分けして大量にある物資の運搬を行っていくが、手慣れた様子の団員達は淀みなく動いていた。
私は戦闘要員として前面に出て、ダンジョンのモンスターと戦うことになったが、Lv4になっている今では上層や中層のモンスターを相手に怪我することはない。
上層と中層に下層のモンスターの魔石は回収せずに破壊して構わないと団長から指示されていた私は、目の前に現れたモンスター全てを魔石ごと斬り裂いていく。
上層から中層までは一気に進み、18階層で小休憩をした後、中層から下層まで進むロキ・ファミリアの団員達。
中層で現れた大量のモンスターを私が他の面々と一緒に倒していると、希少種のモンスターであるユニコーンが私に突撃してきた。
角を突き出して突進してきたユニコーンの攻撃を避け、剣でユニコーンの魔石を斬り裂いて倒すと、灰となるユニコーンの身体。
魔石を破壊された身体は灰になったが、ドロップアイテムとして残っていたユニコーンの角。
貴重な素材であるユニコーンの角は、あらゆる毒を無毒化する効果を持っている。
遠征に持ってきている解毒剤にも限りがあるので、緊急時に使えるユニコーンの角が手に入ったことは悪いことではない。
運良くユニコーンの角が手に入ったことを団長にも伝えておくと、遠征が終わるまで私が保管していても良いそうだ。
ユニコーンの角は治療師でもある私が持っている方が良いと団長は判断したのかもしれないな。
そんなこともあったが中層を越えて到着した下層。
隊列を組んだ状態で、物資を運搬する面々をモンスターから守りながら先へと進む。
下層の階層を降りていき、合間に小休憩を挟みながら更に下の階層へとひたすら移動していくと、遂に辿り着いた深層。
大規模な遠征でなければ深層まで行くことはないロキ・ファミリアで、初めて深層に足を踏み入れた私は、さっそく深層のモンスターと戦うことになる。
初戦の相手はスカル・シープという羊型でありながらスケルトン系のモンスターで、体長は140cmほどの大きさだ。
スカル・シープの後頭部から伸びる長い皮が骨の身体を覆っており、足のたわみや前進の予備動作を隠していたが、慌てることはない。
薄闇に紛れて噛みつこうと接近してきた1体のスカル・シープの頭部を剣で真っ二つにした。
続けて私に迫り来る2体目と3体目のモンスターはリザードマン・エリートと呼ばれる青い鱗を持つリザードマン。
天然武器で白濁色をした岩斧2振りを持つリザードマン・エリートは、リザードマンの上位種で、ギルドが脅威度をLv3からLv4に定めている白兵戦に特化したモンスターである。
しかしそれでも団長やアイズさんに比べれば大した相手ではなく、私は岩斧ごと2体のリザードマン・エリートを「アダマスの剣」で斬り裂いた。
「白銀の剣」のスキル効果で剣による攻撃時に威力と斬れ味を増大させ、そして「夢幻の剣士」のスキル効果で斬撃の範囲を拡大し、1度の斬撃で2体のモンスターを斬り裂く。
リザードマン・エリートの青い鎧のような鱗すらも容易く斬ることが可能な私なら、深層でも足手まといになることは無さそうだ。
俊敏に現れた4体目と5体目のモンスターは、石刃の天然武器を持つルー・ガルーという中型級の獣頭人体な狼型モンスターで、狼人からは蛇蝎のごとく嫌われているらしい。
壁を蹴り、頭上から白濁色の石刃を振り下ろしてくる4体目のモンスターと、地を這うような低姿勢の状態から石刃を振り上げてくる5体目。
上下から挟み込むように攻撃を行ってくる2体のルー・ガルーを相手に、私は右手に持つ剣で頭上から迫り来る石刃の刃を斬り飛ばす。
返す刃で、下から振り上げられる石刃を持ったルー・ガルーの両腕を斬り落とし、腕の断面から血が噴き出るよりも速く、両腕を無くしたルー・ガルーの首を切断。
刃を失った石刃の柄を放り捨てた残る1体のルー・ガルーは、その爪牙で果敢に攻撃を行おうとしてきたが、此方に攻撃をさせるつもりはない。
瞬時に間合いを詰めて袈裟斬りを叩き込むと、肩から胴体まで斜めに両断されたルー・ガルーの身体は、もう動くことはなかった。
私以外の戦闘要員な団員達も深層のモンスターを危うげなく倒している。
それからも私達は深層で現れるモンスターを倒していき、モンスターの死体から魔石を回収して先へと進んだ。
深層から現れるモンスターの中でも、スパルトイとペルーダが厄介であるようで、特に猛毒の針を飛ばしてくるペルーダには注意しておいた方が良い。
専用の解毒薬や高位の解毒魔法が無ければ治療出来ず、耐異常の発展アビリティを持っていても危険な毒を持つ相手。
そんなペルーダを発見したら、ロキ・ファミリアの団員に被害者が出る前に手早く倒しておきたいところだな。
一応ペルーダが飛ばす針への対策として、大盾を持った団員達が壁となることで、毒針を盾で防ぐことは可能だろう。
しかし身軽に動く必要がある戦闘要員達は、そうもいかない。
その為、私を含めた戦闘要員達は盾を装備していないが、盾の代わりに全員私が作った魔道具を装備している。
戦闘要員全員が持つ魔道具は、以前私がロキ様に渡した前面にだけバリアーを張れる魔道具を量産したもので、魔道具の使い方は全員に、しっかりと覚えてもらった。
バリアーを張っている最中は定期的に動力源として下層や深層の魔石を補給する必要があるが、かなり頑丈なバリアーを瞬時に張ることが可能な魔道具なら、ペルーダの毒針も防ぐことができる筈だ。
私がそう考えていたところで、ダンジョンの壁面から大量に生み出された色違いのペルーダ達。
通常種とは確実に色が違っている紫色をした毒々しいペルーダの集団は、明らかな亜種であり、間違いなく通常のペルーダよりも強力で危険な存在だ。
此方に身体を向けた紫のペルーダ達が、力を溜めるように背に生えた無数の針を震動させた瞬間、危険を察知した私を含む戦闘要員達が腰に装備した魔道具を起動。
魔道具を装備している戦闘要員達の前面に張られたバリアーに、紫のペルーダ達から連続で撃ち出された毒針が弾かれていく。
魔道具を起動して自分達の前面にバリアーを張った戦闘要員達は問題無く毒針を防げたが、大盾を構えて壁となった団員達は、凄まじい勢いで放たれ続ける毒針の弾幕に必死に耐えることになっていた。
団員達が構えている大盾の表面に勢い良く突き刺さる毒針。
遂に大盾を構えていた1人の団員が体勢を崩してしまい、肩に紫のペルーダの毒針が突き刺さってしまう。
急いで他の団員が毒針を引き抜いてペルーダの毒に効果がある専用の解毒剤を飲ませたが、完全には効いておらず、苦しんでいる団員。
通常のペルーダよりも強力な毒を、紫のペルーダは持っているようだ。
私は他の戦闘要員の面々に一旦戦闘を任せて、背後に下がると、紫のペルーダの毒針を受けた団員の肩に、ユニコーンの角を突き刺す。
ユニコーンの角で解毒剤を作っている間に死んでしまいそうな団員を助けるには、少々荒っぽいがこれしかない。
「封印の剣」のスキルで毒だけを分離させることもできたかもしれないが、ユニコーンの角を使った方が確実に助けられる筈だ。
解毒効果を持つユニコーンの角は、黒く染まった毒素を吸い出し、煤のような黒い粒子が角に集まると、毒が浄化される。
毒素を完全に消滅させたユニコーンの角が、輝白の色に戻ったところで、団員の肩に突き刺していたユニコーンの角を引き抜いた。
手荒な毒の治療も終わり、団員の肩にある傷は治療師達に任せた私は、戦線に戻っていく。
戦闘要員達によって紫のペルーダは何体か倒されたが、倒す必要がある敵は、まだ残っているみたいだ。
戦闘要員の他の面々に気を取られている紫のペルーダ達には、かなりの隙がある。
無詠唱魔法「ガンスミス」で対物狙撃銃を作り出した私は、残った紫のペルーダ3体の頭部を連続で撃ち抜いた。
倒した紫のペルーダ達から引き抜いた魔石を、団長の許可を取ってから魔道具に補給した戦闘要員全員。
私が作った魔道具が有用だと思ったのか、更なる魔道具の量産を団長から頼まれることになったが、魔道具の作成は遠征が終わってからになるだろう。
深層を更に進み、到着したのは1本の草木もない荒れ果てた大地。
現れたモンスターの大集団を相手に、大盾を構えた前衛の役割をこなす者達が密集陣形で、モンスター達の突撃を押し留める。
その間に後衛が、矢や魔法でモンスターに攻撃を行ったが、押し寄せるモンスターの数は全く減ることがない。
前衛の穴を埋める遊撃として、モンスターと戦う面々の1人に含まれていた私は、対物狙撃銃でモンスターの魔石を正確に撃ち抜いたり、剣でモンスターを斬り裂いたりしながら戦線を維持する為に奔走していた。
常に動き続けなければいけないので休む暇がなく忙しいが、他にも似たような状態になっているアマゾネスの姉妹やベートさんにアイズさんがいるから、私だけが忙しい訳では無さそうだ。
大規模な遠征は、きっと毎回これだけ大変なのだろう。
そんなことを考えている内に、副団長のリヴェリアさんの詠唱が終わり、大規模な魔法で一掃されたモンスター達。
戦いも終わり、安全階層の50階層にまで到着したロキ・ファミリアの面々。
今日は50階層で全員が休息を取り、明日は限られた人員だけで51階層のカドモスの泉水を汲みにいくらしい。
ちなみに私もサポーターとして人員に組み込まれているようで、明日は団長達と一緒に行動することになるようだ。
「もしかしたらモビタにも一緒に戦ってもらうことになるかもね」
なんてことを団長が言っていたが、本当にそうなりそうな気もするな。