才能が野比のび太な転生者   作:色々残念

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なんか思いついたので更新します



カドモスの泉水

ディアンケヒト・ファミリアから依頼された冒険者依頼。

 

依頼を達成するには要求量のカドモスの泉水を集めなければいけないが、1箇所の泉で回収できる量には限りがある。

 

冒険者依頼で要求された泉水の量は多く、そう簡単に集まる量ではない。

 

そこで団長はカドモスの泉水を採取する少数精鋭の班を2つに分けて、2箇所の泉をそれぞれの班で回るつもりのようだ。

 

第1班のメンバーは、アイズさんにリヴェリアさん、そしてアマゾネスの姉妹であるティオナさんとティオネさん。

 

第2班は団長と古参のガレスさんにベートさんと、サポーターの私という人員になっていた。

 

それから2つの班は51階層に移動し、第1班と第2班で分かれてカドモスの泉水を採取しに向かう。

 

道中で襲いかかってくるモンスターは49階層に出現するフォモールよりも強力なモンスターばかりだが、第1級冒険者3人が集まっている第2班の面々に敵うようなモンスターは、今のところは居ないらしい。

 

団長の槍に頭部を貫かれていく二足歩行な犀型モンスターのブラックライノス。

 

ガレスさんの大斧に両断されるのは、大蜘蛛のモンスターであるデフォルミス・スパイダーの身体。

 

そんな51階層から出現するモンスター達を蹴り殺していくベートさん。

 

強化種が生まれることのないように、倒されたモンスター達の魔石はサポーターの私が手早く回収しておく。

 

ちなみにドロップアイテムの方は、貴重なもの以外は捨て置いても構わないと団長から指示を出されたので、あまり回収はしていない。

 

カドモスの泉が存在する広間に向かう途中で、モンスターと幾度も遭遇することになったが、第1級冒険者の3人に容易く倒されていった深層のモンスター達。

 

スキルで怪我の治療も可能な私は、治療師として精神力を温存するように団長に言われていたので、無詠唱魔法「ガンスミス」で3人を援護をすることもなく、サポーターに徹していた。

 

深層のモンスター達の魔石で、用意していた1つ目の鞄が一杯になった頃、ようやくカドモスの泉が存在する広間に辿り着いた第2班。

 

広間には林に届かない密度ではあるが、疎らに木々が生え渡っており、私のスキル「樹木の友」の効果が発動するには充分な場所である。

 

広間の最奥にあるカドモスの泉から泉水を回収する為には、番人であるカドモスを倒さなければいけない。

 

第2班の全員が慎重に広間の奥へと移動すると、涌き出る泉水を飲んでいる大きな竜を発見。

 

あれがカドモスで間違いない筈だが、何故か体の色が銀色であり、団長から伝え聞いたカドモスの体色とは明らかに色が違っていて、どうやらあのカドモスは亜種である可能性が高いようだ。

 

「色違いのカドモスか、親指が強烈に痛いね」

 

かなり痛むらしい親指をもう片方の手で擦っていた団長は、色違いのカドモスに脅威を感じているらしい。

 

「危険だと理解していても冒険者依頼を達成するには、退く訳にはいかんのう」

 

大斧を構えて臨戦態勢となっていたガレスさんが、鋭い眼差しを銀色のカドモスへと向ける。

 

「どうせブッ倒すんだ。色が銀色だろうが関係ねぇよ!」

 

ベートさんが大きな声でそう言ったところで、泉水を飲んでいたカドモスが此方に気付いて、襲いかかってきた。

 

始まった銀色のカドモスとの戦闘。

 

脚部に装着しているメタルブーツに短剣型の魔剣から炎を吸わせたベートさんは、炎を纏うメタルブーツによる蹴りを、銀色のカドモスに連続で叩き込む。

 

「くたばりやがれぇぇぇぇぇ!」と叫びながら燃え上がる強烈な蹴りを叩き込んでいくベートさんを中心にして、左右から攻めかかる団長とガレスさん。

 

ベートさんの炎を纏う蹴りや、団長の槍とガレスさんの大斧による攻撃を受けても傷1つ無いカドモスの身体。

 

どうやら銀色のカドモスは通常のカドモスよりも身体の強度が格段に高いらしい。

 

「むう、厄介な身体をしておるカドモスじゃのう。わしらが傷1つ付けられんとはな」

 

カドモスからの攻撃を避けて、大斧を振るいながら言うガレスさん。

 

銀色のカドモスに直撃するガレスさんの大斧の一撃は、やはり傷1つ付けられていなかった。

 

「これだけ攻撃しても無傷なのは流石に予想していなかったかな。あのカドモスの身体は想像以上に強度が高いみたいだ。僕達3人だけじゃあ、倒せないかもしれないね」

 

攻撃が銀色のカドモスに通用していなくても動揺していない団長。

 

カドモスの突撃を回避し、槍を巧みに扱って刺突を繰り出す団長の槍は、銀色のカドモスに刺さることはない。

 

「なら、どうすんだ。高火力の魔法が使えるババアと合流すんのかフィン」

 

銀色のカドモスへと攻撃を続けながら、団長にどうするかを聞くベートさん。

 

冷静さを保ったまま苛烈に攻撃を続けているベートさんの蹴撃は、銀色のカドモスにダメージを与えられていないようだ。

 

3人の第1級冒険者達が連携して攻撃していても、身体に傷1つ付けられない銀色のカドモス。

 

異常な身体強度を持つ銀色のカドモスは、並みのLv4の冒険者では全く相手にならないモンスターであるのは間違いない。

 

「きみの出番だよモビタ。今回は非常時だから、あのスキルを使っても構わない」

 

私が並みのLv4ではないことを知っている団長は、団長達の邪魔にならないように銀色のカドモスからの攻撃を避けることだけに専念していた私を、戦闘に参加させるつもりのようである。

 

確かに私のスキル「夢幻の剣士」の効果の1つで、不可能を可能とする効果を使えば、銀色のカドモスを剣で斬ることも不可能ではない筈だ。

 

それに「白銀の剣」と「樹木の友」に「小人との友情」の3つのスキルで、全ステイタスに高い補正がかかる効果が重ねがけされている今の私なら、Lv4のままでもLv5並みのステイタスになっているだろう。

 

更に泉水が涌き出る場所が近くにあることで、スキル「恐竜との絆」によって水場での移動速度に超高補正がかかる効果も発動している。

 

そんな様々なスキルの補正により、銀色のカドモスの攻撃を容易く避けることができていた私なら足手まといになることはない。

 

しかし「避けるのが上手いだけのサポーターが本当に役に立つのかよ」と私の実力に懐疑的なベートさん。

 

ベートさんとは大規模遠征が始まるまで関わったことが殆どなく、ほぼ初対面のようなものであるから、私のことはあまり信頼していないのかもしれないな。

 

まあ、それは仕方のないことだから、信じて頼ってもらえるように頑張ってみるとしよう。

 

私は「アダマスの剣」を片手に銀色のカドモスへと突撃し、ダンジョンの地を蹴って加速した勢いを乗せた斬撃を叩き込む。

 

尋常ではない強度を持つ銀色の鱗を斬り裂くことが不可能であるなら、その不可能を可能とするのが「夢幻の剣士」のスキルだ。

 

警戒もなく無防備に私の剣を受けた銀色のカドモスに深々と刻まれた裂傷。

 

傷を付け、血を流させることができるなら殺すことも不可能ではない。

 

魔石を素手で直接抜き取るには銀色のカドモスは身体が大き過ぎるので、剣で斬った方が安全だろう。

 

とりあえず銀色のカドモスに私の攻撃が通じることが確認できたところで、一応聞いておこうと思った私は、カドモスの魔石は必要ですか、と団長に聞いてみる。

 

「カドモスの魔石は必要ないよ。僕達の目的は泉水だからね」

 

身体を傷付けられた痛みに暴れ回る銀色のカドモスの無差別な攻撃を回避していた団長からはそんな答えが返ってきた。

 

「話しておる余裕があるなら、モビタにはさっさとカドモスを倒してもらいたいところじゃな。カドモスの攻撃が激しくなってきておるからのう」

 

激しさを増した銀色のカドモスの攻撃を団長と同じく避けていたガレスさんは、さっさとカドモスを倒せるなら倒してほしいらしい。

 

「チッ、さっさと終わらせられんなら、最初からちんたら避けてねぇで速く倒しやがれ!」

 

とても機嫌が悪そうに舌打ちして、そう言ったベートさんは後方に跳躍し、銀色のカドモスの踏みつけを回避していた。

 

魔石を残す必要がないなら、銀色のカドモスは魔石を破壊して倒しても問題ないな。

 

「アダマスの剣」に「心の友は音響兵器」のスキル効果で破壊音波を付与した私は、今の私が出せる最高速度で銀色のカドモスへと接近し懐に入り込む。

 

胸部を狙い、放った突きは銀色のカドモスの鱗と表皮に筋肉を貫いて魔石まで到達。

 

破壊音波を纏う「アダマスの剣」による突きが魔石に直撃した瞬間、砕け散る銀色のカドモスの魔石。

 

ダンジョンの地面に倒れ込んで灰となる銀色のカドモスの身体。

 

残ったものは、ドロップアイテムである銀色のカドモスの皮膜だけであった。

 

かなりレアなドロップアイテムのカドモスの皮膜は、放置せずにしっかりと鞄にしまっておく。

 

その後、忘れずに目的のカドモスの泉から泉水を採取。

 

用意していた鞄にカドモスの泉水を汲んだ瓶を入れて、50階層へと戻った私達第2班。

 

第1班は大丈夫だったんだろうかと考えていたら、何故か私だけが呼び出されることになる。

 

何の用で呼び出されたのかと思えば、帰ってきた第1班の中で怪我をしていた人が居たようだ。

 

詳しい話を聞くと、カドモスの攻撃をまともに喰らって身体が大変なことになってしまったティオナさんをリヴェリアさんが魔法で治療したようだが、完治させることは出来なかったらしい。

 

今はロキ・ファミリアの治療師が総動員でティオナさんを治療しているようであり、私にも治療師として手伝ってほしいみたいだった。

 

ティオナさんがどんな状態か様子を見に行ってみると、グシャグシャになっていた身体はまともになったように見えたが、身体の内部がまだ破壊されているような感じだな。

 

流石に負傷で流れ出た血液までは回復できないが、スキル「雪解けの癒し」でティオナさんの体内を治療しておき、あとはしっかりと食事を食べて失われた血液を補うしかないですよ、とだけ伝えておく。

 

「治療してくれてありがとーモビタ!しっかりご飯食べるね!」と笑顔で感謝してきたティオナさんは、治療が終わって身体が完治し、ちょっとは元気になったのかもしれない。

 

第1班と第2班が回収したカドモスの泉水を合わせれば、要求された量には届いていたので、無事に持ち帰ることができれば冒険者依頼は達成となるだろう。

 

到達階層の更新も、今回は52階層まで進めば問題はないようで、カドモスの泉水を採取しに行った時のように、少数精鋭で階層更新を行うそうだ。

 

階層更新には私も参加するんですか、と団長に聞いてみると「そうだね、モビタが居ると助かるから一緒に来てくれるかな」と笑顔で言ってきた団長。

 

特に断るつもりもないので到達階層の更新には私も参加することになるな。

 

私なりに頑張らせてもらうが、ティオナさんみたいに怪我をする人が出ないように出来る限り気を付けるとしよう。

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