才能が野比のび太な転生者   作:色々残念

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なんとか思いついたので更新します
今月のこの作品の更新は、これで最後になりそうです
また来月よろしくお願いします


月には兎がいてもいい

新たに発現した「反射外套」のスキルがあれば、装備した外套やマントに反射を付与することができる。

 

しかし反射を付与してヒラリマントのように様々なものを跳ね返す効果を発動させるには、外套かマントのどちらかを用意しなければいけない。

 

「反射外套」のスキルの効果で装備した外套とマントに不壊属性も付与することが可能なので、強度の低い素材で作られた外套やマントでも破けることはないだろう。

 

それでもある程度の強度はあった方が良いと思った私は、ゴライアスの硬皮を求めてダンジョンに行き、17階層で嘆きの大壁からゴライアスが生まれる時を待った。

 

1度倒されてから2週間の産出間隔を要して、何度でも出現するゴライアス。

 

前回ゴライアスが倒されてから、ちょうど後少しで2週間が経過する筈だ。

 

しばらく時間が経過すると嘆きの大壁の壁面に亀裂が走り、17階層の階層主のゴライアスが壁面から出現する。

 

腰の鞘に納まっていた「アダマスの剣」を引き抜いて片手に持った状態で、嘆きの大壁から生まれ落ちたゴライアスに向かって疾走して瞬時に接近。

 

「アダマスの剣」でゴライアスの両足を斬り飛ばすと、両足という支えを失ったゴライアスに紐のような光線である「ストリングビーム」を巻きつけて引き、ゴライアスの体勢を崩して地面に引き倒す。

 

ダンジョンの地面にうつ伏せに倒れたゴライアスの頭部に近付いた私は、手早く「アダマスの剣」でゴライアスの頭部を頭頂部から下顎まで両断して、ゴライアスを倒した。

 

頭部が真っ二つになった状態で、地面にうつ伏せで倒れているゴライアスの死体をひっくり返して仰向けにすると、ゴライアスの胸部から魔石を「アダマスの剣」で抉り出していく。

 

魔石を身体から引き抜かれたことで身体が灰と化したゴライアスの死体が残したのは、ドロップアイテムであるゴライアスの硬皮だけとなったようだ。

 

ちょうど欲しかったゴライアスの硬皮が手に入ったので、素早く上の階層に移動してダンジョンを出た私は巨大な階層主の魔石を換金した後、ゴブニュ・ファミリアに向かう。

 

到着したゴブニュ・ファミリアで、職人達にゴライアスの硬皮でマントの作成を頼んでみると、2日もあればマントは作成できるらしい。

 

レザーアーマーである「アーマーゴライアス」とは違って、加工にそこまで手間がかからないマントなら、短い時間で作成できるみたいだ。

 

2日後にマントを取りに来ることをゴブニュ・ファミリアの職人達に約束し、ゴブニュ・ファミリアのホームを出ると、オラリオを少し散歩してみる。

 

冒険者だけではなく、様々な人々が住んでいるオラリオの街並みを歩いていると、じゃが芋の良い匂いがした。

 

匂いに釣られて立ち寄ってみたじゃが丸くんの屋台で、大量のじゃが丸くんを購入しているアイズさんを発見。

 

30個以上のじゃが丸くんを購入していたアイズさんは、幸せそうにじゃが丸くんを食べていき、あっという間に消えていった30個以上のじゃが丸くん達。

 

あんなにじゃが丸くんを食べていて夕食が入るんだろうか、とは心配になったが、買い食いしたい気持ちはわかるので、アイズさんに注意したりはしない。

 

「此処のじゃが丸くんは美味しいですよ」

 

私に気付いて、そう言ってきたアイズさんの背後に、満足気な顔をする幼女のアイズさんが見えたような気がした。

 

何も買わない単なる冷やかしにならないように、とりあえず私もじゃが丸くんを1つ購入して食べてみたが、出来立てで温かいじゃが丸くんは結構美味しかったな。

 

屋台によってじゃが丸くんの味が違っているのか詳しい話をアイズさんに聞いてみると、どうやらアイズさんはオラリオの様々な場所で売られているじゃが丸くんの屋台巡りをたまにしているようである。

 

そしてその屋台で売っているじゃが丸くんを1個買って食べてみて、味を確認してから大量に購入するかどうかをアイズさんは決めているようだ。

 

つまりアイズさんが大量に購入すると決めた屋台は、美味しいじゃが丸くんを売っている屋台ということになるだろう。

 

オラリオで美味しいじゃが丸くんが食べたかったら、アイズさんに聞いてみるのが良いのかもしれない。

 

その後、アイズさんと一緒にロキ・ファミリアのホームに帰る途中で「もし明日の予定が空いているなら、久しぶりに模擬戦しませんか?」と私に聞いてきたアイズさん。

 

模擬戦なら良いですよ、と答えた私に喜んでいる様子だったアイズさんの背後に、小躍りしている幼女なアイズさんが見えたような気がしたが、それは見なかったことにしておく。

 

なんてことがあった日の翌日、約束した通りに中庭で行われるアイズさんと私の模擬戦。

 

アイズさんの振るうサーベル状の細剣は、不壊属性が備わっている特殊武装であり「デスペレート」という名前があるらしい。

 

そんな特殊武装に対して此方の持つ武器は、白いグリーンドラゴンのドロップアイテムだった頑丈な骨で作られた刀で、名前は「白木」だ。

 

スキル「夢幻の剣士」の効果の1つで、装備している剣に不壊属性を付与することが可能な私は、刀である「白木」にも不壊属性を付与してある。

 

共に不壊属性を宿す刀剣を持つアイズさんと私は、壊れることのない武器だとしても力任せに扱うことはない。

 

最初は軽く刀剣を打ち合わせる程度の模擬戦だったが、アイズさんの「デスペレート」と私の「白木」が奏でる金属音が徐々に激しさを増していく。

 

果敢に攻めてくるアイズさんの剣撃を、構えた「白木」で全て容易く受け止めていった私は、アイズさんが満足するまで模擬戦に付き合うことを決めた。

 

私とアイズさんは同じLv5であるが、スキルで全ステイタスに高補正と超高補正がかかっている私は、白銀の剣士に到達した剣の技量を武神タケミカヅチ様との鍛練によって更に高めている。

 

ステイタスも剣の技量もアイズさんを全て上回っている今の私なら、アイズさんの剣を弾き飛ばして、この模擬戦を直ぐに終わらせることは容易い。

 

直ぐに模擬戦を終わらせていないのは、私に余裕があるからでもあるが、強くなりたいと考えているアイズさんの手助けをしたいと私が思ったからだろう。

 

全力で「デスペレート」を真正面から振り下ろすアイズさんの一撃を、横に構えた「白木」で受け止めた後に「デスペレート」を弾き上げ、後方に跳躍して距離を取った。

 

そろそろ此方も攻撃してみるとしよう。

 

鞘に「白木」の刀身を納めて瞬時に居合の構えになった私は、避けるか、防ぐか、どちらも出来なければ寸止めしておきますよ、と事前にアイズさんに伝えておく。

 

居合の構えをしている私に突っ込んできたアイズさんが繰り出す「デスペレート」による斬撃。

 

横一文字に振るわれた一閃を、居合の構えのまま身を屈めて避けた私の頭上を通り過ぎた「デスペレート」の剣身。

 

身を屈めて地に片膝をついた状態で、腰の鞘に納まった「白木」の柄を掴んだ右手で鯉口を切り、鞘から刀身を走らせると加速していく白刃が閃いた。

 

斜め下から迫る「白木」の刀身の速度に反応できていないアイズさん。

 

伝えた通りに「白木」を寸止めしておくと、アイズさんの脇腹近くで止まった「白木」の刃に、アイズさんは驚いて飛び退いていたな。

 

「今の技は何ですか?」と聞いてきたアイズさんに、今の技は武神タケミカヅチ様から学んだ居合という技ですね、と答えておく。

 

「わたしも居合を覚えてみたいです」

 

そんなことを言い出したアイズさんに私が居合を教えることになり、中断となった模擬戦。

 

居合の感覚を覚えてもらう為に、一旦「白木」をアイズさんに貸して居合について教えていくと、少しずつ形になってきたアイズさんの居合の技。

 

それでもまだ居合を完全に身につけることはできていないアイズさんを連れて、タケミカヅチ・ファミリアのホームに向かった私は、武神タケミカヅチ様にアイズさんの指導を頼んでみることにした。

 

「剣姫が居合に興味を持つとはな。モビタには世話になってるから、居合の指導程度なら構わんぞ」

 

アイズさんへの指導を快く引き受けてくれたタケミカヅチ様に感謝した私は、一応前払いでタケミカヅチ様に報酬を支払っておくことにする。

 

とりあえず200万ヴァリスをタケミカヅチ様に渡しておき、足りなければ、また言ってください、と伝えると「いや多過ぎるくらいだぞ!」と戸惑っていたタケミカヅチ様。

 

なんてこともあったが「デスペレート」でも居合ができるようにタケミカヅチ様から学んでいったアイズさん。

 

タケミカヅチ様の優れた指導が10日も続けば、アイズさんも居合を身につけることができそうだ。

 

アイズさんへの居合の指導は、タケミカヅチ様に任せておけば問題ないだろう。

 

それから私だけロキ・ファミリアのホームに戻ると、私にマッピングを教えてくれたラクタさんが困っているようだったので、ラクタさんが困っている理由を聞いてみることにした。

 

「マ、マッピングに使うペンを無くしてしまったんです。へ、部屋を探しても見つからなくて、もしかしたら何処かで落としたのかもしれません」

 

兎人であるラクタさんは兎耳をへにゃりと曲げながら、困っている理由を教えてくれる。

 

それなら一緒に探しますよ、と言う私に「い、良いんですか?」と聞いてきたラクタさん。

 

以前マッピングを教わったりして、お世話になりましたから、物探しくらい手伝いますよ、と私が答えると「あ、ありがとうございます」とラクタさんは言った。

 

ラクタさんと一緒にペンを探していると、ロキ・ファミリアのホームで様々な落とし物を発見。

 

どれが誰の落とし物か直ぐにわかるように鹿撃ち帽を被った私は、鹿撃ち帽を被ったことで冴え渡る頭脳で、落とし物の持ち主を判明させて、正確に本来の持ち主に渡していく。

 

冴え渡った頭脳で最終的にはラクタさんのペンも発見することができたが、ペンは壊れてしまっていた。

 

壊れていたペンに物凄く落ち込んでいたラクタさんに、ペンが魔道具になっても構わないなら修復できますよ、と伝えると「し、修復をお願いします」と頭を下げてきたラクタさん。

 

壊れていたペンは、ラクタさんには思い入れがあるペンだったようなので、修復してもペンの形は変えない方が良さそうだ。

 

手早くペンを魔道具にしながら壊れた形を修復していき、壊れる前の状態と同じ形に戻した私は、ラクタさんに魔道具となったペンを渡す。

 

少量の精神力をインクに変える機能がついた魔道具になりましたが、ペンの修復は終わりましたよ、と言った私に「ほ、本当にありがとうございます」とラクタさんは感謝していた。

 

その日の夜、何となく眠れなくて移動した中庭で、座ったまま空の月を見ていると、ロキ様が現れて「綺麗な月やねぇ」と言うと私の膝の上に座ってくる。

 

ロキ様と一緒に空の月を見ながら、膝の上に座るロキ様を抱きしめて、そういえば月には兎がいるという話があったような気がします、と言った私に「どんな話なんや?」と聞いてきたロキ様。

 

腹を空かした老人を見つけて助けようとした兎は、猿みたいに木の実を取れず、狐みたいに獲物を捕まえることもできない。

 

困った兎は焚き火の中に自ら飛び込んで、自身を老人に食べてもらおうとした、という話があったんですが、と私が答えると「それだけやと兎が可哀想な話やね」とロキ様は言う。

 

この話には続きがありまして、兎の献身に感動した老人は実は神様であり、兎を空の月まで連れていって月の神殿に葬ったと言われていますね、と言った私に「それで月には兎がいるって話になるんやな」とロキ様は納得してくれたようだ。

 

ロキ様とそんな会話をした次の日、定期的なステイタス更新の日が来たが、私はステイタス更新を後回しにして、ゴブニュ・ファミリアにゴライアスの硬皮で作られたマントを取りにいくことを優先する。

 

駆け足で到着したゴブニュ・ファミリアのホームで、私は職人達からゴライアスの硬皮を加工して作成されたマントの完成品である「ゴライアスマント」を受け取った。

 

「ゴライアスマント」を装備すれば、スキル「反射外套」の効果を発動することができるが、スキルの効果を確認するのはステイタスを更新してからの方が良いかもしれない。

 

たった2日で「ゴライアスマント」を作ってくれたゴブニュ・ファミリアの職人にマントの代金をしっかりと支払った私は、ロキ・ファミリアのホームに戻っていく。

 

主神であるロキ様の部屋に向かうと「待っとったでモビタ」と笑顔で私を出迎えてくれたロキ様。

 

背中を晒した私の背に触れたロキ様によって、行われたステイタスの更新。

 

タイプライターのような魔道具にも完全に慣れていたロキ様は、更新された私のステイタスを素早く紙に写して、私に渡してくれた。

 

「それが今のモビタのステイタスやね」

 

Lv5

 力:E439

耐久:E410

器用:D521

敏捷:E405

魔力:D517

 

 射撃:D

耐異常:F

 連射:G

 疾走:H

 

《魔法》

 

【ガンスミス】

 

【ストリングビーム】

 

《スキル》

 

【風に愛されし者】

 

【樹木の友】

 

【竜の温泉】

 

【雪解けの癒し】

 

【誕生せしは日出ずる国】

 

【山の心】

 

【小人との友情】

 

【白銀の剣】

 

【牧場物語】

 

【恐竜との絆】

 

【超越存在と繋ぐ手】

 

【犬人との出会い】

 

【再会の約束】

 

【斉天大聖】

 

【心の友は音響兵器】

 

【獣の惑星】

 

【海底散歩】

 

【神樹の実】

 

【夢幻の剣士】

 

【封印の剣】

 

【月光の狼】

 

【死が別つまで】

 

【名刀電光】

 

【名のある探偵】

 

【寄生浄化】

 

【反射外套】

 

【月の兎】

・月面の兎

・兎人と共に戦う時、全ステイタスに高補正

・空気を砲弾として撃ち出すことが可能になる

・様々な植物を元気にすることが可能

・人間以外の種族を人間に変えることが可能となるが、人間に変えられた相手が元に戻ることを望まない限り、効果は永続

 

新たに発現した「月の兎」と書いて「セレネ・クネイ」と読むスキルは、間違いなく月面探査記が関係しているスキルだろう。

 

困っていた兎人のラクタさんを助けたことと、月を見て月の兎について話をしたことが切っ掛けとなって、月面探査記のスキルが発現したのかもしれない。

 

月面探査記に登場するキャラクターで、月に住むエスパルという兎人に似た兎耳のような耳を生やした種族は、人工的に作られた生命体であり、エーテルと呼ばれる特殊な超能力を持っていた。

 

エスパルはエーテルで岩を破壊したり、植物を元気にすることが可能だったが、月面探査記に登場する敵に狙われていたエーテルという力。

 

最終的にはエスパル達のエーテルを狙う敵の親玉と戦うことになるのび太達。

 

のび太はモゾという名前の宇宙亀を空気砲で弾丸として撃ち出して、宇宙一硬いモゾの甲羅で敵の親玉である人工知能ディアボロの本体を破壊して倒すことに成功する。

 

そしてエスパル達はドラえもんのひみつ道具で人間となり、のび太達と別れることになった。

 

かなり省略したが月面探査記は、そんな話だった筈だ。

 

幾つかある効果から見ても「月の兎」のスキルは、月面探査記が元になったスキルなのは確実だな。

 

そんなことを私が考えていると「人間以外の種族を人間に変えることが可能って、またヤバいスキルやないか!」と言ったロキ様は頭を抱えていた。

 

まあ、確かに人間以外の種族を人間に変えることが可能な効果が知られたら、かなり問題がありそうだと私も思う。

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