今回は短めです
ゴブニュ・ファミリアに「アダマスの剣」と「白木」を預けて、本職の鍛冶職人達に念入りに手入れをしてもらっておくことにした。
手入れが終わるまで、しばらく愛用の剣と刀を使えないが、剣と刀が無い今の私でも中層までならダンジョンに行っても問題はない。
そういえばこの前新たに発現したスキル「月の兎」の効果で空気を砲弾として打ち出せるようになったが、空気の砲弾にどの程度の威力があるのかを、1度確かめてみた方が良さそうだ。
威力を加減できるようなら対人にも使えるが、空気の砲弾の威力が高すぎた場合、人間相手には使えないだろう。
とりあえずダンジョンでモンスター相手に試してみることにするが、ダンジョンに行くなら、ついでに「反射外套」の効果も確かめてみるのも良いかもしれない。
という訳で「月の兎」と「反射外套」の2つのスキルを実際に使ってみる為にダンジョンに向かった私は、まずは上層のモンスターでスキルの効果を確認してみた。
発見したコボルトやゴブリンの頭部に、スキル「月の兎」を用いて空気を砲弾として発射すると、コボルトやゴブリンの頭部が弾け飛んで肉片や脳漿が飛び散ることになる。
どうやら普通に放った空気の砲弾は、上層のモンスター相手には過剰な威力だったようだ。
上層とはいえモンスターの頭部が弾け飛ぶ威力がある空気の砲弾。
神の恩恵を授かっていない普通の人間相手に空気の砲弾を発射すれば、似たような結果になるのは間違いない。
頭部が無惨なことになったコボルトやゴブリンの死体にある魔石を砕いて破壊して身体を灰にしておき、上層で強化種が生まれないように気を付けながら今度は「反射外套」のスキルを試してみた。
装備している「ゴライアスマント」に、スキル「反射外套」で不壊属性と反射の効果を付与して、突撃してきたコボルトを跳ね返す。
まるでひみつ道具のヒラリマントを使われたかのように、突撃の勢いをそのままに跳ね返されたコボルトが吹き飛んだ。
吹き飛んでいったコボルトが空中で身動きが出来ない内に、無詠唱魔法「ガンスミス」で作り出したリボルバーを早撃ちし、胸部の魔石を破壊しておくとコボルトの身体が灰となる。
上層でのスキルの確認は終わったので、今度は中層でスキルの効果を使って確かめてみることにした。
ヘルハウンドの火炎攻撃や、ミノタウロスの天然武器による攻撃をマントで跳ね返して、空気の砲弾を使って中層のモンスターを倒していく。
中層のモンスターでも問題なく一撃で倒せる空気の砲弾は、現在の速度よりも更に早く撃ち出したり、砲弾の大きさを変化させることも可能であるらしい。
試しにミノタウロスの身体ほどの大きさにした空気の砲弾を、かなりの速度で撃ち出すと、巨大な空気の砲弾によって一瞬で潰されたミノタウロスの身体。
空気の砲弾で全身が潰されたミノタウロスは、胸部の魔石も当然潰れていたようで、完全に潰れたミノタウロスの身体は灰と化す。
モンスターをスキルと魔法で倒して魔石を破壊しながら更に階層を進み、安全階層の18階層を越えて24階層にまで向かった。
24階層まで来た目的は、Lv4に匹敵する潜在能力を持つグリーンドラゴンを空気の砲弾だけで倒せるかを試す為だ。
宝財の番人であるグリーンドラゴンは、宝石樹の近くに居座っていることが多い。
マッピングしながら24階層を探索していくと、ようやく発見した宝石樹。
その近くには宝石樹を守るかのように、グリーンドラゴンの姿がある。
今回の目的であるグリーンドラゴンに、容赦なく空気の砲弾を叩き込んでみると、流石にミノタウロスよりかは頑丈なようで、1発の砲弾では倒せたりしないみたいだ。
それでも連続で空気の砲弾を撃ち込んでいくと、グリーンドラゴンは確実にダメージを受けていく。
最高速度で連続発射し、頭部だけを集中して攻撃した空気の砲弾により、頭部が潰れたグリーンドラゴンは倒れて動かなくなった。
空気の砲弾は、Lv4までなら殺せる程度の威力はあるようだが、Lv4より上の相手に通用するかは分からない。
私が更にランクアップするか、もしくはステイタスに高補正がかかるスキルを用いれば、空気の砲弾の威力は間違いなく今よりも上がるだろう。
今現在の威力でも、不可視である空気の砲弾は、牽制には使えそうだ。
要は使い方次第ということになるが、空気の砲弾をもっと使いこなせるようになれば、様々な戦闘に役立つな。
今回は日帰りにするつもりなのでダンジョンに長居することはないが、空気の砲弾の扱いに慣れる為に、何度かダンジョンに潜ってみるのも悪くはない。
そんなことを考えながら24階層を後にした私は、18階層にまで階層を上がったが、ダンジョン産の果実を18階層の森の中で探している最中に、偶然にも闇派閥達を発見。
長いローブを身に纏った闇派閥の数人が周囲を警戒しながら18階層を移動している姿を見かけて、思わず気配を消して闇派閥を追ってみた。
闇派閥達が周囲を警戒しながら移動していった先には明らかに人工物で頑丈そうな金属製の扉があり、闇派閥の1人が見覚えのある球体を掲げると金属製の扉が開く。
以前私が3つほど手に入れて団長に渡したオーブのような球体は、あの金属製の扉を開く為の鍵だったようだ。
扉の先が闇派閥達の拠点である可能性は高いが、単独で潜入するのは危険な気がするので、今は情報を持ち帰るだけにしておくとしよう。
そう決めて踵を返し帰ろうとした私に向かって何かが投げつけられる音がした。
迷うことなく瞬時に横に転がって回避行動を取った私の直ぐ近くを通り過ぎたのは、禍々しい長槍。
「避けやがったか」
私に槍を投げつけた相手は前が開けた闇派閥のローブを着用した男で、此方に投げた槍以外にも槍を持っているが、着崩した服装の中でフードを被り顔を隠している。
「ダセぇ服だぜ、たくよぉー、万が一の為の変装とはいえ、やってられねえなぁ」
ゲラゲラと自分の格好に笑いながら長槍の柄を肩に置いた男は、右手の人差し指を突き出して此方に向けた。
「【迷い込め、果てなき悪夢】」
一瞬で唱え終わる男の呪文は、超短文詠唱であるみたいだ。
そして詠唱が終わると同時に発散された不気味な魔力は、明らかに通常の魔法ではない。
「【フォベートール・ダイダロス】」
放出された紅の波動を視認した瞬間、素早く横に飛び退いて回避した私の隣を通り過ぎた紅い波動。
男は私が回避することを読んでいたようで、地を蹴って此方へと間合いを詰めながら長槍で突きを繰り出す。
私はスキルで不壊属性と反射を付与してあるマントで、男が放つ長槍の突きを受けた。
マントで刺突を跳ね返されるという通常では有り得ない事態に驚いたのか、体勢が崩れた男。
その隙を逃さず、無詠唱魔法「ガンスミス」で作り出した2丁の大口径リボルバーを用いて連続で弾丸を撃ち出すと、全弾が男の頭部に命中。
戦っている場所が森の中であることで、スキル「樹木の友」によってステイタスに高い補正がかかっている今の私は、魔法の威力も強化されている。
今は殺してしまわないように弾丸がゴム弾のような質にしてあるとしても、威力の高い大口径のリボルバーの弾丸12発が頭部に当たった男は、脳が揺れたのかフラついていた。
容赦なく追撃として、大口径の回転式拳銃から弾丸を撃ち放ち、更に合計で24発を頭部に叩き込むと、完全に失神した男は倒れて動かない。
失神して倒れている男のフードを外して顔を確認してみると、男の正体はイケロス・ファミリア団長で、Lv5のディックス・ペルディクスで間違いなさそうだ。
つまりイケロス・ファミリアは闇派閥に協力しているファミリアということになるな。
私は無詠唱魔法「ストリングビーム」で手から出した長い紐光線を、ディックスの全身に巻き付けて口も塞いでおき、ミノムシのようになったディックスを肩に担いでダンジョンを出ることに決めた。
ついでにディックスが使っていた長槍2本も持っていくとしよう。
その後は、拘束したままのディックスを担いだ状態でロキ・ファミリアのホームに向かい、ホームの門番に団長を呼んでもらったが、門番も団長も驚いていたのは間違いない。
団長に事情を説明し、同行してもらって次に向かう先は、ガネーシャ・ファミリアのホーム。
そこでガネーシャ・ファミリアの面々と、神であるガネーシャ様にもディックスを拘束している理由を説明しておく。
私が嘘を言っていないと理解してくれたガネーシャ様が、ガネーシャ・ファミリアの面々に指示を出して、捕らえたディックスを閉じ込めておく牢屋を用意してくれた。
とりあえず牢屋にディックスを閉じ込めておき、超短文詠唱で呪詛らしきものをディックスが使うこともガネーシャ・ファミリアの面々に教えたので、そう簡単に呪詛の餌食になることはない筈だ。
それからロキ・ファミリアのホームに戻った私は、18階層で入手した闇派閥についての情報を団長に伝えて、以前手に入れたオーブのような球体の使い道についても説明する。
ついでに持ち帰ったディックスの長槍2本も団長に渡しておいたが、どう見ても通常の武器とは違う長槍を見ていた団長は「これは「呪道具」かもしれないね」と言っていた。
呪道具とは何でしょうか、と聞いた私に「通常の手段では癒せない呪詛を宿した武器のことを「呪道具」と言うのさ」と答えてくれた団長。
「闇派閥が「呪道具」で武装しているなら厄介だ。この「呪道具」が、どんな効果であるか知る必要があるね」
そう言った団長は続けて「アミッドにも協力してもらって対抗手段を手に入れよう」と言うと「呪道具」らしき長槍2本を持って、ディアンケヒト・ファミリアのホームに向かうつもりらしい。
それから団長と私はアミッドに協力してもらって、長槍にどんな効果があるのか確かめたが、2本の長槍には「不治の呪い」が宿っていたようである。
数日後、オラリオ最高の治療師であるアミッドは「呪道具」の呪詛を解呪する薬を作成することにも成功したようで、念の為に解呪薬を大量に作っておくつもりみたいだ。
なんてことがあったが定期的なステイタス更新の日が来たので、ロキ様の部屋まで向かった私は、ノックしてから部屋に入り、ステイタスを更新してもらうことにした。
「これが今のモビタのステイタスやで」
Lv5
力:C647
耐久:C624
器用:B781
敏捷:C619
魔力:B795
射撃:C
耐異常:F
連射:F
疾走:H
《魔法》
【ガンスミス】
【ストリングビーム】
《スキル》
【風に愛されし者】
【樹木の友】
【竜の温泉】
【雪解けの癒し】
【誕生せしは日出ずる国】
【山の心】
【小人との友情】
【白銀の剣】
【牧場物語】
【恐竜との絆】
【超越存在と繋ぐ手】
【犬人との出会い】
【再会の約束】
【斉天大聖】
【心の友は音響兵器】
【獣の惑星】
【海底散歩】
【神樹の実】
【夢幻の剣士】
【封印の剣】
【月光の狼】
【死が別つまで】
【名刀電光】
【名のある探偵】
【寄生浄化】
【反射外套】
【月の兎】
【銃の名手】
・銃を装備時、発展アビリティ銃士の一時発現
・拳銃を装備時、全ステイタスに高補正
・銃を装備時、任意発動で反応速度を上昇させることが可能
・銃を装備時、弾丸の届く範囲の空間を把握することが可能
・無詠唱魔法【ガンスミス】による魔法銃の形成速度超上昇
発現していた新しいスキルは「銃の名手」と書いて「ガンファイター」と読むようだ。
「銃の名手」は拳銃で無法者であるディックスを倒したことで発現したスキルであるのは間違いないな。
ドラえもんには、ガンファイターのび太という話があったが、タイムマシンで過去の時代に行ったのび太が、西部劇のような無法者相手に拳銃で戦う話だったと思う。
のび太の射撃の才能は、確かなものということだな。
「今回のスキルは、前のスキルに比べれば普通やな」
そう言って頷いていたロキ様は、頭を抱えていたりはしない。
まあ、ロキ様が困っていないのは良いことだろう。