手入れが終わった「アダマスの剣」と「白木」をゴブニュ・ファミリアで受け取って装備を万全に整えた私は、新たに発現した「銃の名手」のスキルの効果を確かめる為にダンジョンに向かってみた。
ダンジョンの上層で試すと他の冒険者達の邪魔になりそうだと判断し、階層を降りていくと到着した中層。
中層で現れたミノタウロス達を相手に使うのは剣や刀ではなく、勿論銃だ。
私が無詠唱魔法「ガンスミス」を用いることで作り出すことが可能となる魔法銃は、様々な銃を作成することができる。
流石にひみつ道具の銃は作成出来ないが、銃であるなら大概の物は作成が可能だった。
使い慣れた銃であるリボルバーを「ガンスミス」で作ると決めると、精神力を消費して瞬時に形成された魔法銃。
「ガンスミス」で作り出す魔法銃の形成速度を上昇させる効果もある「銃の名手」スキルにより、魔法銃が形となる速度が凄まじく上昇していたようだ。
魔法銃を作ると決めた時には既に手の中に握られていた拳銃を装備した瞬間、全ステイタスに高い補正がかかるだけではなく、発展アビリティ銃士も一時的に発現する効果が発動していく。
そして銃の弾丸が届く範囲の空間を把握する効果も発動し、リボルバーの弾丸が届く場所までの範囲を完全に把握することができた。
天然武器の斧を持って迫り来る3体のミノタウロス達にある弱点に、リボルバーの銃口を向けると同時に連続で発砲。
使い慣れたリボルバーによる早撃ちで撃ち抜くのは、3体のミノタウロスという3つの標的。
魔石が存在しないジャガーノートは例外として、ダンジョン内で現れる大概のモンスターの胸部に存在する魔石という弱点。
ミノタウロス達の胸部にある魔石を貫いたリボルバーの弾丸により、ミノタウロス達の身体は灰と化す。
どうやら銃士の発展アビリティには、銃の扱いを更に巧みにする効果があるみたいだ。
実際に銃を使って試してみたが、いつもより銃を自在に扱えるようになっていることが理解できる。
リボルバーによる早撃ちも更にスムーズになり、以前よりも銃撃の速度が上がっていた。
今の私なら、飛ぶ速度が段違いな色違いのイグアスも容易く撃ち抜くことが可能だろう。
現れるモンスター達の魔石を撃ち抜いて倒し、安全階層の18階層すらも越えて中層の階層を降りていくと、ホワイト・リーフが採取できるホワイト・ツリーを発見。
アミッドがホワイト・リーフを欲しがっていたことを思い出した私は、ホワイト・ツリーから採取できそうなホワイト・リーフを全て持って帰ることに決める。
白大樹とも言われるホワイト・ツリーから採取できるホワイト・リーフは、白樹の葉とも呼ばれ、薬師達に重宝されているらしい。
様々な種類の薬草は、そのまま食べても即効性の体力回復や解毒効果があり、ホワイト・リーフも回復薬等の素材として使われているようだ。
今は何処も品不足であるホワイト・リーフは、それなりに高く売れそうな気がするな。
採取した大量のホワイト・リーフで埋まったバックパックには、これ以上物は入りそうにない。
「銃の名手」のスキル効果を確かめることはできたので、そろそろダンジョンから出るとしよう。
魔法銃のリボルバーを用いて全てのモンスターを倒しながら、疾走して上の階層へと戻っていくとダンジョンの上層に到着。
ダンジョンを出ようと考えて素早く移動し、出会ったモンスターの魔石を撃ち抜いて瞬殺しながら上に進んだ。
上層から出てダンジョンを後にした私は、持ち帰ったホワイト・リーフをアミッドに買い取ってもらう為に、ディアンケヒト・ファミリアにまで向かう。
到着したディアンケヒト・ファミリアで、アミッドに大量のホワイト・リーフを見せてみると「こんなに沢山」と驚いていたな。
それからしばらく値段交渉が始まったが、最終的には結構良い値でホワイト・リーフを買い取ってくれたアミッド。
殆どのホワイト・リーフは買い取ってもらったが、それでも6枚だけ残ったホワイト・リーフ。
他の医療系ファミリアや商業系ファミリアに売っても良かったが、なんとなく売る気にならなくて持って帰ってきてしまった6枚の薬草。
そのまま食べても回復効果がある薬草のホワイト・リーフは、どんな味がするのかと思って1枚食べてみたが、ほのかな甘味と爽やかなハーブに似た香りがした。
ホワイト・リーフそのままの味も悪くないが更に何かを加えると、もっと美味しいかもしれない。
このホワイト・リーフはスムージーよりもジュースの方が合いそうな味だ。
そう考えた私は、新たにジューサーのような魔道具を作成し、魔道具を用いて野菜や果物とホワイト・リーフから汁を絞り出す。
幾つか試した組み合わせの中で、最も良かった数種類の果物と野菜にホワイト・リーフを絶妙なバランスで組み合わせた特製ジュースがついに完成。
とても美味しい特製ジュースが完成したのでロキ様にも飲んでもらいたいと思っていたところで、食堂にやって来たロキ様。
特製ジュースがありますが、飲みますか、とロキ様に聞いてみると「モビタが作ってくれたんなら飲むに決まっとるやろ」と答えが返ってきた。
コップに注いだ特製ジュースを手渡すと、一口飲んだロキ様は「なんやこれ!滅茶苦茶美味いやないか!」と物凄く驚いていたな。
普段は糸目のように細い目をしているロキ様が目を大きく開きながら驚きを露にしている姿を見て、ロキ・ファミリアの団員達も特製ジュースの味に興味を持ったようだ。
特製ジュースがどんな味か気になった団員達が集まってきたので、団員達にコップ1杯だけ提供してみると「こんなに美味いジュースを飲んだのは初めてだ」と喜んでいた全員。
次にダンジョンに行った時にホワイト・リーフが手に入るようなことがあれば、また特製ジュースを作成してみるのも悪くないだろう。
ミキサーのような魔道具だけではなく、ジューサーのような魔道具も増えたことで、食堂で提供される飲料が充実してきた。
スムージー以外にもジュースを作成する団員達も増えて、様々な飲料を飲むロキ・ファミリアの面々。
役立っているなら新たに魔道具を作成してみて良かったのかもしれない。
そんなことがあった日から数日後、定期的なステイタス更新の日が来た。
ロキ様の部屋に向かうと「待っとったでモビタ」と笑顔のロキ様が出迎えてくれて「ほな、服脱ごうな」と言いながら私の上着を脱がしてくる。
服を脱がされて上半身だけ裸になった私の背後から抱きついてきたロキ様。
「今日の更新はモビタが最後やから、時間は沢山あるんやで」
そう言ったロキ様は、私の背中に頬擦りを始めて「逞しくなったやないか」と嬉しそうな声で言う。
「モビタに触れとると物凄く落ち着くんや。ステイタスの更新は、もうちょっと後でもええやろ」
背中に頬擦りするだけではなく、今度は真正面から抱きついてきたロキ様を私も抱きしめておき、満足するまで付き合いますよ、とロキ様の耳元で囁いた。
啄むように何度もキスをしてくるロキ様を受け入れて、唇を幾度も触れ合わせる。
情熱的に深く長いキスが続き、ようやく離れた互いの顔。
私の頬を包み込むように両手で触れたロキ様が「今は、うちだけを見て」と言って微笑んだ。
貴女を愛しています、と伝える私に「うちもモビタを愛しとるよ」と言ったロキ様。
「モビタにこんなに愛されとるうちは幸せや」
とてもとても嬉しそうに笑ってくれたロキ様に、貴女が幸せなら私も幸せです、と伝えておく。
ロキ様の部屋で2人だけの時間を過ごしていると、暗くなってきた部屋。
日が沈んで窓から見える空も暗くなり、すっかり夜になってしまったようだ。
魔石灯で明るくなった部屋の中「モビタに夢中になっとったからステイタス更新するの忘れとったわ。ほんまにごめんなモビタ」と謝ってくるロキ様に、気にしてないから大丈夫ですよ、と言っておいた。
「ほな、ステイタスを更新しよか」
ロックが解除されてから背中に垂らされたロキ様の神血。
それによって、書き換えられて更新されていくステイタス。
タイプライターのような魔道具を使い慣れたロキ様は、あっという間に紙に私のステイタスを写してくれた。
「これが今のモビタのステイタスやな」
Lv5
力:B768
耐久:B746
器用:S917
敏捷:B775
魔力:S924
射撃:C
耐異常:F
連射:F
疾走:G
《魔法》
【ガンスミス】
【ストリングビーム】
《スキル》
【風に愛されし者】
【樹木の友】
【竜の温泉】
【雪解けの癒し】
【誕生せしは日出ずる国】
【山の心】
【小人との友情】
【白銀の剣】
【牧場物語】
【恐竜との絆】
【超越存在と繋ぐ手】
【犬人との出会い】
【再会の約束】
【斉天大聖】
【心の友は音響兵器】
【獣の惑星】
【海底散歩】
【神樹の実】
【夢幻の剣士】
【封印の剣】
【月光の狼】
【死が別つまで】
【名刀電光】
【名のある探偵】
【寄生浄化】
【反射外套】
【月の兎】
【銃の名手】
【飲料変化】
・飲料に変化させるもの
・どんな植物でも、植物であるなら美味しいジュースに変化させることが可能
・ジュースに変化させた植物の種類によって、ジュースの味は変わる
新たに発現したスキルは「飲料変化」と書いて「ジュースメーカー」と読むスキルであり、これは間違いなくノビジュースが元になったスキルだろう。
ひみつ道具のイキアタリバッタリサイキンメーカーで、葉っぱを美味しいジュースに変化させる細菌を作り出したのび太。
好評だったジュースをノビジュースと名付けて、売り出そうと考えていたのび太だったが、そううまくはいかず、作り出した細菌がとんでもない事態になる話だったような気がする。
ホワイト・リーフという葉っぱを使って美味しいジュースを作成したことで、今回の「飲料変化」のスキルが発現したのかもしれない。
「どんな植物でも美味しいジュースに変化させることが可能って、ヤバいスキルのような気がするんやけど」
一応夜なので、叫ぶことなく小さな声で言ったロキ様。
「変化させるのが可能な距離は、どないなっとんねん。そこが知りたいところやわ」
私の新たなスキルに頭を悩ませていたロキ様は、植物をジュースに変化させることが可能な効果の範囲が知りたいようだ。
まあ、今は夜なので、新たなスキルの効果を確かめるのは明日にした方がいいだろう。