私が倒した青いミノタウロスが残したドロップアイテムである青い角。
一応は私が回収して、ロキ・ファミリアの先輩団員達に渡しておいたミノタウロスの青い角がどうなったかというと、どうやら先輩団員達がヴァリスを出しあって、角の加工をゴブニュ・ファミリアに頼んでいたようだ。
しばらくしてゴブニュ・ファミリアによって完成した青い短刀は、青いミノタウロスから先輩団員達を助けた私へのお礼という形で、私に渡されることになる。
「ブルータウロス」と名付けられた短刀は、かなり出来が良い短刀であった。
上層のモンスターをいとも容易く斬り裂く青い刃は、恐らくは中層でも充分に通用するだろう。
「ガンスミス」で形成した魔法の銃を片手に、空いているもう片方の手に「ブルータウロス」を持ちながら戦うというスタイルで戦うようになると、力のステイタスもそれなりに上昇するようになったのは悪いことではない。
ひたすらダンジョンに行き、力のステイタスを伸ばす為に戦う日々を過ごす。
モビタ・モビ
Lv1
力:C657
耐久:B781
器用:S932
敏捷:C696
魔力:S994
ランクアップが可能になってから更に2ヶ月の時が経過し、ようやく力のステイタスが満足できる数値にまで到達したが、器用と魔力がSまで伸びていた。
最近ではステイタスが伸び悩んでいたので、流石にこれ以上はステイタスが伸びないと判断した私は、保留していたランクアップを行わせてもらうようにロキ様に頼んだ。
「ええでー」と軽いノリで引き受けてくれたロキ様に感謝して背中を見せると、手早く行われた私のランクアップ。
「おおっ、新しい魔法も発現しとるで」
Lv2にランクアップしたことで追加されたのは発展アビリティの射撃だけではなかったようで、興奮していたロキ様が言うには、新たな魔法が発現していたらしい。
Lv2
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
射撃:I
《魔法》
【ガンスミス】
・無詠唱魔法
・精神力を消費して魔法銃を作り出し、自在に消すことが可能
・作り出す魔法銃の大きさと形状に数は、自由に決めることができる
・魔法銃が大きいほど精神力の消費量も増えるが威力は高まっていく
・精神力を弾丸に変えて撃ち出す魔法銃の弾丸は、強度や質を変化させることも可能
【ストリングビーム】
・無詠唱魔法
・紐のような光線を手から放つ
・光線は手から放たれた後も操作可能
・魔法が解除されるまで光線は消滅しない
Lv2にランクアップした私のステイタスは、こんな感じだったようで、新たな魔法は「ストリングビーム」という名前のようだ。
ランクアップした身体をロキ・ファミリアのホームで軽く慣らした後、新たな魔法である「ストリングビーム」をダンジョンで使ってみたが、精神力の消費は「ガンスミス」ほど多くはない。
そして自在に操作可能な紐のような光線は、モンスターの足や身体に巻き付けて行動を阻害したりすることができた。
というかこの「ストリングビーム」は、どうみても「あやとりビーム」にしか見えないな。
「あやとりビーム」は確かウルトラマンみたいなヒーローに変身したのび太が使っていた技で、あやとりの紐のような光線を怪獣に絡み付かせて動きを止めていたことを私は確かに記憶している。
やっぱり私には野比のび太関連の才能があるみたいだ。
ちなみに上層のモンスター程度なら、発動した「ストリングビーム」を首に巻き付けて、首を絞めることが可能であり、絞殺することも不可能ではなかった。
様々な検証をしてみて、新たに発現した魔法である「ストリングビーム」が使えない魔法ではないと理解できたので、これからも有効活用させてもらうとしよう。
ダンジョン内のモンスターを相手に「ストリングビーム」を使用して動きを止めたところで、右手に持った「ブルータウロス」で斬り裂いて倒していく。
そんなことを繰り返していると逃げ去っていく冒険者のパーティと、すれ違うことになった。
明らかにボロボロになっていた冒険者のパーティにはLv2も混じっていたのは間違いない。
Lv2の冒険者がボロボロになるような相手がこの先に居るということになるな。
冒険者という同業者同士の喧嘩なら問題ないが、もしもモンスターが原因だった場合、上層が危険な場所に変わってしまうだろう。
一応は、確認しておく必要がありそうだ。
歩みを進めて向かった先には、色違いのキラーアントの群れが存在していた。
それは銀色の、まるで金属で作られているかのようなキラーアント。
銀色のキラーアント達の周囲には、へし折れた剣や槍が放置されている。
どうやら並みの武器での攻撃は、銀色のキラーアントには通用しないようだ。
それでもランクアップした私なら問題はない。
「ストリングビーム」で銀色のキラーアント達の動きを止めてから、手早く「ガンスミス」で作り出すのは大型の銃。
瞬時に形成された対物狙撃銃を構えて、銀色のキラーアント達の頭部を連続で狙い撃つと、放たれた対物狙撃銃の銃弾が、容易く銀色のキラーアント達の頭部を穿ち、絶命させていく。
倒した銀色のキラーアント達から「ブルータウロス」で魔石を抜き取ると、ドロップアイテムとして銀色の甲殻が幾つか残っていた。
上層で手に入れたドロップアイテムにしては強度が高く、良い防具の素材になりそうである。
それからダンジョンを出てゴブニュ・ファミリアにまで行き、持っていった銀色のキラーアントの甲殻の加工を頼んだ。
他にも幾つかある銀色のキラーアントの甲殻を、珍しい素材としてゴブニュ・ファミリアに全て買い取ってもらうと、作ってもらう防具の代金を上回る額となっていたな。
その場で、ゴブニュ・ファミリアに防具の代金となるヴァリスを支払っておき、ロキ・ファミリアのホームに戻ると、自室で「ストリングビーム」を今以上に扱えるようにする為に、発動した「ストリングビーム」を使って、あやとりをやってみたりもした。
前世の自分では絶対にできなかった難関なあやとりの技が簡単にできたあたり、どうやらあやとりの才能も私にはあるらしい。
発動している最中は常に精神力を消費する「ストリングビーム」で行うあやとりは、ステイタスの器用と魔力を上昇させる鍛練にもなっていた。
ダンジョンに行く以外は、マインドダウンになるギリギリまで「ストリングビーム」で、ひたすらあやとりを行う日々が続いたが、手先が更に器用になったのは間違いない。
ある日私の自室に唐突にやって来たロキ様が、私の「ストリングビーム」によるあやとりを見て「凄いやないか!」と驚きながらも興味津々だったロキ様。
自分もやってみたいと思ったのか「うちにも教えてーな」とせがんできたロキ様に、あやとりに使う毛糸を用意して渡し、簡単なあやとり教室を始めてみた。
とりあえずロキ様には、難しくないあやとりの技を少しずつ教えていき、それができるようになってきたところで応用編を教えてみる。
手先は不器用ではないロキ様は、応用編も直ぐに覚えていたが、流石に私の踊るチョウというあやとり技を真似することはできなかったようだ。
「モビタは手先器用過ぎるやろ」
羽ばたくチョウを表現する踊るチョウというあやとり技は、前世の私であれば絶対にできない技なのは確かだった。
今生は特定の分野に関する才能が突出しているような気がするな。
今の私には銃による早撃ちや射撃の才能があり、何処でも直ぐに眠れる才能もあって、あやとりにも才能がある。
新たな自分の才能が今生で全く役立っていない訳ではないので、才能があるということは、きっと悪いことではない筈だ。
モンスターが存在している物騒な今生を生き抜く為の武器となる才能は、大切に磨いていくとしよう。
しばらくロキ様と一緒にあやとりをして過ごした時間は、とても穏やかで暖かな時間であり、こんな日があっても悪くはないと思えた。
「また今度、一緒にあやとりしような。うちとの約束や」
そう言って笑顔で去っていったロキ様が、ロキ・ファミリアの眷族達を大切に思っているのは確かだ。
また今度、ロキ様とあやとりをする為にも、ダンジョンから無事に帰ってくる必要があるだろう。