今回は2500文字程度なので短い話になりますね
デートに行きませんか、とロキ様に聞いてみると「うちがモビタからのお誘いを断るわけないやろ」と笑顔で了承してくれたロキ様。
「久しぶりのデートや」
嬉しそうなロキ様を連れて、ホームから近い北のメインストリートを歩く。
北の大通りは商店街として活気付いており、大通りの真ん中を通っていく馬車も多い。
服飾関係で有名な北のメインストリートには、様々な種族に合わせた服飾店が多数存在しているようだ。
極東の衣類も幾つか扱っている場所もあるようで、そこで見つけた綺麗な着物をロキ様にプレゼントしてみた。
「直ぐに着てみたいんやけど」と言ったロキ様に店員さんが着物の着付けのやり方を教えていたが、ロキ様と一緒に私も着付けのやり方を教わることになり、私がロキ様に着物を着せることになる。
ロキ様の赤髪と同じく赤い色をした着物には鮮やかな華が咲き誇っており、値段もそれなりにしたが、良いものであるのは間違いない。
「今日の神の宴にはこれで行くわ。その時は、着付けの手伝いは任せたでモビタ」
私がプレゼントした着物を気に入ったロキ様は、神の宴にも着物を着ていくつもりみたいだ。
着物を着たロキ様と手を繋いで、北のメインストリートを歩いていると、ほつれた服を持ったヘスティア様を見かけたが、ヘスティア様も此方を見て気付いたらしく「モビタくんじゃないか、デート中かい?」と近付いてくる。
「うちは無視かドチビ」
「ええっ、よく見るとその顔と声はロキじゃないか!乙女のような顔してたから別神かと思ったよ!」
「乙女、ま、まあええわ。それはそうと、なんやそのほつれた服は、まさかその服で神の宴に出るつもりやないやろな」
「うっ、いいじゃないか別に」
「そんなんやからバイト神やら、貧乏神やら言われるんやで。もうちょっとええ服着てかんと眷族まで馬鹿にされることになってもおかしくないのはわかっとるやろ」
「零細ファミリアにそんなお金があると思うのかい?それにあの子が稼いだお金は、あの子の為に使ってほしいんだよボクは」
「はぁー、しゃーないのう。今は気分ええから、うちがドチビの服買うたるわ」
「どういう風の吹き回しだい?きみがボクに優しくするなんて、明日は空から槍でも降るんじゃないかな」
「誰に対して使う訳でもない無駄な胸肉を身に付けとる処女神には、素敵な伴侶が居るうちが余裕を持って優しくしたろうかと思っただけや」
どうやらロキ様とヘスティア様は知り合いでも仲が良い訳ではないようだが、心底憎み合っている訳ではないらしい。
強引なロキ様に押し切られる形で服飾店に入ることになったヘスティア様のドレスを選ぶことになり、様々なドレスを試着したヘスティア様。
最終的には肌の露出は少な目で上品なものに決まったヘスティア様のドレス。
「これで神の宴で恥かくこともないやろ。感謝せえよドチビ」
「うう、色々と複雑だけど、ありがとうと言っておくよロキ」
ドレスが入った袋を抱えて去っていったヘスティア様を見送り、デートを再開すると、今度はアイズさん達と出会うことになった。
「ロキが凄い綺麗な服着てる!」
そう言いながら近付いてくるティオナは、ロキ様が着ている着物に興味津々だ。
「ああ、極東の着物ってやつね」
ロキ様の着物姿を見て、極東の着物だと気付いたティオネさん。
「確かに綺麗です。こんな服もあるんですね」
頷きながらロキ様の着物を見ているレフィーヤさんは、着物を初めて見たかのような反応をしていた。
「うん、きれいだね」
言葉少な目に、着物を見た感想を言うアイズさんも、鮮やかな着物を綺麗だと思ったようである。
「この着物ええやろ、モビタが選んでうちに買ってくれたんやで」
ロキ・ファミリアの女性陣に自慢するかのように、そんなことを言い出したロキ様。
「いーなー、あたしも欲しいかも、綺麗だし」
「どうせ、いつもの服がいいとか言い出すでしょあんたは」
羨ましそうなティオナを嗜めるティオネさん。
「何処で買ったの?」
着物を何処で買ったのかが気になったのか聞いてきたアイズさんに、購入した場所を私が教えていると「アイズさんが行くならわたしも行きます」とレフィーヤさんが言い出す。
着物を見に行くアイズさん達とも別れてデートを続け、カフェで紅茶とケーキを頼んでロキ様と一緒に食べていると「はい、あーん」と言いながらフォークで切り分けたケーキをロキ様が差し出してきた。
私が口を開けると口内に入ってきた一口大のケーキ。
お返しに私もフォークで切り分けたケーキをロキ様に差し出してみると、口を開いたロキ様。
はい、あーん、とロキ様にケーキを食べさせて、互いケーキを食べさせ合っていると、私達のマネをするかのようにケーキを食べさせ合い始めたカップルらしき男女。
ケーキも食べ終えたのでカフェを出て、オラリオの街中を歩いていく。
戻ってきたロキ・ファミリアのホームで、ロキ様をお姫様抱っこしてロキ様の部屋まで運んだ。
「ほんまに今日は楽しかったわ。久しぶりにモビタとデートできて、うちも大満足やで」
嬉しそうにしていたロキ様の唇に口付けて、また、デートしましょう、と言っておくと「約束や」と頷いていたロキ様。
神の宴が行われる時間が迫り、ロキ様に着物を着せていった私は、用意されていた箱馬車までロキ様を連れていく。
それから馬車の御者席に座り、馬車を操って神の宴が行われるガネーシャ・ファミリアのホームへと向かった。
御者の役割をこなした私は、馬車から降り立つロキ様に手を貸して、ガネーシャ・ファミリアのホームの入り口までロキ様をエスコートする。
「ほな、モビタからプレゼントされた着物を見せびらかしに行ってくるわ。直ぐに帰ってくるから待っとって?」
わかりました、待っていますね、と言った私にロキ様は、にんまりと笑い返した。
しばらくして、戻ってきたロキ様は「この着物、女神達には大好評やったで」と楽しげに笑っていて、満足気な顔をしていたな。
ロキ・ファミリアのホームにまで馬車で戻り、ロキ様の部屋までロキ様を連れていくと「今度フィリア祭があるんやけど、一緒に行かへんか?」と聞いてきたロキ様。
ロキ様からの誘いは断りませんよ、一緒に行きましょう、と答えた私にロキ様は「またモビタとデートやな」と嬉しそうに笑っていた。