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オラリオの神々が集まる神の宴が行われることになったが、今回の主催者はアポロン様であるようだ。
アポロン様が主催する今回の神の宴は、お気に入りの眷族を1名連れてきても構わないようで、ロキ様は私を連れていくつもりらしい。
事前にロキ様が私に用意していた礼服を着用し、ドレスを着込んだロキ様と一緒に馬車へと乗り込んだ私は、神の宴が行われる場所まで馬車で移動。
目的地に到着し、停車した馬車から先に私が降りて、ロキ様が馬車を降りる際に手を貸しておき、しっかりと行ったエスコート。
繋いだ手を離すことなく歩き、宮殿のように巨大で豪華な会場施設を進んだ私とロキ様。
玄関ホールも絢爛豪華で、金銀の光が太い柱や燭台に散らばっており、眩しいくらいの輝きを放っていた。
壁際に鎮座している彫像には雪花石膏が使われており、1体ずつ飾られていた男神と女神の彫像。
豪奢な大階段を上がった先にある2階の大広間でパーティが行われており、高い天井にはシャンデリア型の魔石灯が取り付けられて、沢山ある長卓の上には随分と贅沢な料理が大量に並んでいる。
ロキ・ファミリアが探索系で最大手と言えるファミリアだとしても、毎日豪華な食事をしている訳ではない。
寧ろダンジョン探索の為に余計な出費を抑えるように、宴会を行う時以外は普通の食事をすることが多いのがロキ・ファミリアだ。
普段はあまり食べないような贅沢な料理が幾つも並んでいるパーティ会場を見ると、主催者のアポロン様が今回の宴に力を入れていることが理解できた。
「諸君、今日はよく足を運んでくれた!」
パーティ会場をロキ様と歩いていると主催者であるアポロン様が大広間の奥から姿を現し、高らかな声を響き渡らせる。
「今回はわたしの一存で趣向を変えてみたが、気に入ってもらえただろうか?日々可愛がっている者達を着飾り、こうして我々の宴に連れ出すのもまた一興だろう!」
盛装をしている宴の主催者であるアポロン様は、大広間によく通る声で喋り、続けた口上。
賓客を見渡していたアポロン様の視線は、神の宴に訪れていたベルくんを射抜いており、一瞬だけ熱の籠った視線をベルくんに向けていた。
アポロン様はベルくんを狙っているのではないかと私が思っていると、今度は私のことを見て、まるで矢で胸を射抜かれたかのように、胸を押さえてよろめいたアポロン様。
「今宵は新しき出会いに恵まれる日になる、そんな予感すらしていたが、やはり春は出会いの季節だ!」
なんてことを言い出したアポロン様は熱い視線を今度は私に送ってきており、そんなアポロン様の視線に気付いたロキ様が私の前に出て、細目を見開いてアポロン様を睨んだ。
ロキ様の鋭い眼光に慌てて顔を逸らしたアポロン様は、誤魔化すように主催者としての挨拶を続け、締め括るように「ぜひ楽しんでいってくれ!」と言ったアポロン様に神々から上がった歓声。
今回の神の宴に参加した沢山の参加者達が、洒落たグラスを掲げて行った乾杯が終わると、一気に騒がしくなった大広間。
「アポロンのクソボケがぁ、モビタに熱い視線を送りよって、八つ裂きにしたろか」
かなり物騒なことを言い始めたロキ様をなんとか宥めて落ち着かせようとしていると、オッタルを背後に控えさせたフレイヤ様が近付いてきた。
「なんや色ボケ、今のうちはすこぶる機嫌が悪いで」
初っぱなから喧嘩腰でフレイヤ様に話しかけたロキ様は、まだ機嫌が悪い。
「アポロンを潰すなら手伝うわよ」
そう言ってきたフレイヤ様は口元だけは笑っていても目が完全に笑っておらず、本気でアポロン様を潰そうと考えているようだ。
ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアが手を組んだのなら、アポロン・ファミリアをいとも容易く潰せるだろう。
私とベルくんに熱い視線を送っていただけで、ファミリアごと潰されてしまうのは流石にアポロン様が可哀想だと思った私は、殺気立つ2柱の女神を落ち着かせる為に頑張った。
オッタルは背後に控えているだけで全く役に立たなかったので、なんとか私だけでロキ様とフレイヤ様を説得していくと、主神のアポロン様ごとアポロン・ファミリアが潰されるような事態は避けられたみたいだ。
アポロン様が2柱の女神をこれ以上刺激するようなことをしなければ大丈夫だと思うが、何となく嫌な予感がするな。
それからはフレイヤ様がベルくんにちょっかいをかけたり、ロキ様と私が軽くダンスを踊ったりして穏やかに時間が過ぎていき、私の嫌な予感は気のせいだったんだろうかと思っていると、再び現れた主催者のアポロン様。
ベルくんの主神であるヘスティア様に言いがかり染みた言葉を投げかけていき、ヘスティア・ファミリアに戦争遊戯を申し込んだアポロン様は、明らかにベルくんのことを狙っている。
しかしアポロン様は、ベルくんのことをとても大切にしているテリアという存在が、アポロン・ファミリア程度では相手にならない強者であることを知らないらしい。
もしもテリアの逆鱗に触れるようなことをアポロン・ファミリアがすれば、とんでもないことになるんじゃないかと思った私は、結局アポロン・ファミリアは潰される運命だったんだろうかと考えた。
不用意に藪をつついたら出てくるのは蛇なんてものではなくドラゴンで、どう考えても勝ち目がないアポロン・ファミリアが潰されてしまうのは確実だろう。
アポロン様からの戦争遊戯の誘いを断ったヘスティア様は、ベルくんを連れてパーティ会場を出ていくが、アポロン様にベルくんを諦めるつもりは無さそうだ。
これはもう駄目かもしれないな、と思った私に再び熱視線を向けてきたアポロン様は「モビタくん、きみを一目見た時、まるでわたしは胸を矢で射抜かれたかのような気がしたよ」と語り始める。
私の隣のロキ様の怒気が凄まじく高まっていくことを感じた私は、何故見えている地雷を踏みに行くんだろうかこの神様は、と呆れた顔でアポロン様を見た。
「この気持ち、正しく愛だ!しかしきみはロキの眷族、許される愛ではないだろう。だが、それでもこの気持ちを受け止めてほしい!」
私に向かって言葉を発することを止めないアポロン様。
「今夜だけでも、わたしに夢を見させてくれないだろうか?」
大勢の神々やその眷族達が居る中で、隣にロキ様という伴侶が居る私に夜のお誘いを言い放つアポロン様の度胸だけは、凄いと思えたのは確かだ。
お断りします、とアポロン様に断りの言葉を伝えた私は続けて、私は最愛の伴侶であるロキ様を裏切るようなことはしませんので、と告げておく。
帰りましょうか、私の最愛の女神様、と言った私に機嫌を直したロキ様は「せやね、クソボケの相手なんかするだけ時間の無駄やしな」と言うと私の手を握り「ほな、うちらは帰るで」と歩き出した。
パーティ会場を出て、馬車に乗り込んだ私とロキ様はロキ・ファミリアのホームへと戻ると、ロキ様の部屋へと連れ込まれることになった私に口付けをしたロキ様。
「もう夜やからおやすみの時間やし、また明日やなモビタ」
ええ、おやすみなさいロキ様、と伝えた私は自室へと戻り、礼服から普段着へと着替えて歯を磨いてからベッドに横になる。
その後、ヘスティア・ファミリアのホームである廃教会がアポロン・ファミリアに襲撃されて、廃教会の一部が破壊されたようだが、アポロン・ファミリアの団員達ほぼ全員がテリアによりディアンケヒト・ファミリア送りになったみたいだ。
テリアにとって廃教会は大切な場所であると聞いていたが、そんな大切な場所を破壊し、ベルくんまで狙ったアポロン・ファミリアにテリアは容赦しなかったのだろう。
アポロン・ファミリアの団長以外は全員が重傷で、もし戦争遊戯をするとしても、団員達の負傷は簡単に治るものではない為、団長同士の一騎討ち以外の戦いが行われることは無さそうだった。
Lv3のアポロン・ファミリア団長だけが、治療すれば戦える程度の軽傷で残されたのは、一騎討ちでベルくんに倒させて経験値にさせる為かもしれないな。
アポロン・ファミリアがあんな状態でも、ヘスティア・ファミリアとアポロン・ファミリアで戦争遊戯が行われることに決まり、団長同士の一騎討ちとなった戦争遊戯の種目。
一騎討ちを行う場所を決める為に、日々頭を悩ませる神々。
戦争遊戯が行われるまでの間、ティオナとアイズさんはベルくんの鍛練を手伝っているようで、毎日市壁の上で鍛練を続けているベルくん。
私はテリアから依頼されて廃教会の修復と、治療師としてベルくんの治療を行い、戦争遊戯が始まるまでの時を過ごす。
廃教会が綺麗な教会になるまで修復した頃、ようやく戦争遊戯を行う場所が決まり、行われた団長同士の一騎討ちは、Lv2のベルくんがLv3のヒュアキントスを倒して、ヘスティア・ファミリアの勝利が決まった。
敗北したアポロン・ファミリアは団員達を改宗可能な状態にしてから解散させられ、主神のアポロン様は財産を全てヘスティア・ファミリアに没収されることになり、都市外に追放されたアポロン様。
ちなみに一騎討ちで格上のLv3を倒したベルくんは冒険者としてその実力を示し、最速でLv3へとランクアップしたようである。
そんなベルくんに対抗心を剥き出しにしていたロキ・ファミリア団員のレフィーヤさんは、魔力がSになるまでLv4にランクアップすることを保留にしているそうだ。
それでも現在はLv3のままなレフィーヤさんは、ベルくんにレベルが追い付かれたことが面白くないらしい。
まあ、対抗心がある相手にレベルが追い付かれてしまったら面白くないのは当然だろうな。