先輩団員達とダンジョンの中層に行って、中層のモンスターと戦いながらダンジョンを探索していると、定期的なステイタス更新の際に、ステイタスはそれなりに上昇していた。
中層の大樹の迷宮である19階層にまで到達し、ホワイト・ツリーを幾つも発見して大量のホワイト・リーフを採取して帰ってきてから、今日もロキ様にステイタスを更新してもらうと私には新たなスキルが発現していたようだ。
Lv2
力:E456
耐久:G247
器用:C614
敏捷:F385
魔力:C692
射撃:H
《魔法》
【ガンスミス】
【ストリングビーム】
《スキル》
【風に愛されし者】
【樹木の友】
・樹木の精霊の加護
・樹木が友となる
・耐久に補正
・樹木が存在している場所で戦う時、全ステイタスに高補正
・樹木を素材とした物を装備している時、発展アビリティ精癒の一時発現
「樹木の友」と書いて「ドリュアスフィロス」と読むスキルの効果は、こんな感じらしい。
「樹木の友」と聞いてのび太関連で思い浮かぶのは、キー坊のことだった。
のび太が裏山で見つけた苗木にドラえもんがひみつ道具の植物自動化液をかけて、知能を持ちながら動けるようになった樹木がキー坊だ。
原案の短編とは違って、映画版であるのび太と緑の巨人伝ではメインキャラクターになったキー坊は靴も履いていて、人に近い形をしていたな。
そんなキー坊を弟のように可愛がっていたのび太は、キー坊を本当の家族みたいに思っていたのだろう。
緑の巨人伝では、人類を絶滅させる計画を企む緑の星の植物型宇宙人によってキー坊が拐われ、計画の切り札である緑の巨人の生け贄にされそうになったキー坊。
なんとかのび太達はキー坊を救い出すが、落ちていたジョーロを見て、一緒に遊んでいた女の子が死んだと誤解したキー坊の怒りと悲しみにより、緑の巨人が覚醒。
ドラえもん達や、計画を主導していた植物型宇宙人達も暴走する緑の巨人によって緑に呑み込まれてしまい、残されたのはのび太と緑の星の女王だけとなる。
緑の巨人に取り込まれて枯れていたキー坊を助ける為に必死なのび太を女王も手伝い、キー坊を助けることに成功したのび太と女王。
その後、緑の巨人の暴走は止まり、植物型宇宙人の長老によって緑の星と地球は救われ、緑の星に残ることにしたキー坊に別れを告げてのび太達は地球に戻った。
ちょっと省略してはいるが、緑の巨人伝は、こんな感じの話だった筈だ。
台風のフー子で「風に愛されし者」のスキルが発現し、キー坊で「樹木の友」が発現した私は、やっぱりのび太関連の力を手にしていくらしい。
私のスキルを見て「2連続でレアスキルやないか」と頭を抱えていたロキ様には悪いが、のび太関連だとまだまだスキルが発現しそうな気がする。
ちなみに「樹木の友」のスキルで樹木を素材とした物を身につけている時、一時的に発現する発展アビリティの精癒もレアなアビリティであるそうだ。
精癒の効果は精神力の回復であり、時間をかければ精神力が徐々に回復していく。
それは「ガンスミス」や「ストリングビーム」の魔法で精神力を消費する私にとっては、とても嬉しい効果だ。
という訳で、樹木を素材としたネックレスを常に身につけて「樹木の友」のスキルで精癒を一時的に発現させてみたが、精癒の効果を確かに実感することになった。
有用なスキルも発現したので、もっとダンジョンに向かいたい気持ちはあるが、明らかに危険なので1人で中層に行くことはない。
中層に行く時は常に先輩団員達と必ずパーティを組んで、ダンジョンに向かっている。
おかげで中層でも大きな怪我をすることなくダンジョン探索ができていた。
そんな日々を過ごしていると、しっかりと身体を休める為にダンジョン探索の合間に挟まっている休暇の日が来たようだ。
今日は何をしようかと考えながらも「ストリングビーム」を使ったあやとりを行い、器用と魔力を伸ばすことも忘れない。
のび太が編み出したあやとり技で、紐で幾つもの星を作り出す銀河という技を真似て再現していると、2人部屋の扉がノックされる。
誰かと思って扉を開けてみると、そこに居たのはアイズさんだった。
部屋を教えた覚えはないので、何でアイズさんが知っているのかを聞いてみると「何となく貴方の居場所が、わかるんです」という答えが返ってきて、更に困惑することになったな。
「風に愛されし者」のスキルが発現し、風の精霊の加護まで宿している私が近くに居た時、風の魔法を使うアイズさんには私の居場所が何となくわかるみたいだ。
これは、アイズさんに捕捉されたら逃げられないということなのかもしれない。
まあ、特にやましいことをしている訳ではないので、今のところは問題ないだろう。
私の居場所がわかった理由は理解したので、殆ど私1人しかいない2人部屋にまでやってきたアイズさんの用件を聞いてみることにした。
「最近発売されたばかりの新しい味が気になるので、一緒に新しい味のじゃが丸くんを買いに行きませんか」
私にそう言ったアイズさんに構いませんよと返事を返し、一緒に新しい味のじゃが丸くんを屋台に買いに行くと、新味バター醤油味と共通語で書かれていた屋台の看板。
極東で流通している醤油と、バターにじゃが丸くんを組み合わせた味は、私をちょっと懐かしい気持ちにさせる。
バター醤油味の食べものを、今生で食べられるとは思っていなかったので、驚きもあったが嬉しさもあった。
日本人だった過去を思い出して懐かしい気持ちに浸りながらバター醤油味のじゃが丸くんを食べていた私の隣で、バター醤油味のじゃが丸くんを大量に食べていたアイズさん。
どうやらアイズさんにとって、じゃが丸くんは別腹であるようだ。
あっという間に消え失せた大量のじゃが丸くんは全て、アイズさんの身体に収まっていた。
僅かに微笑んで満足した様子のアイズさんの背後に、笑顔で満足気に小躍りしている幼い幼女のアイズさんが見えたのは、気のせいだろう。
それからロキ・ファミリアのホームにアイズさんと一緒に戻ると、別れ際にアイズさんが「今度一緒にダンジョンに潜りませんか」と聞いてきた。
特に断る理由もないと判断した私は、予定が合えば一緒にダンジョンに行きましょうとアイズさんに答えておく。
アイズさんは表情があまり変わっていなかったが、嬉しそうにしていたのは間違いない。
そんなアイズさんの背後に幼女のアイズさんがやっぱり見えて、テンション高めにガッツポーズをしていた幼女のアイズさん。
とりあえずそれは見なかったことにしておいた。
それから数日後、先輩団員達には予定があったので、単独でダンジョン上層の探索を行おうと考えていた私にアイズさんが近付いてくる。
「約束通り、一緒にダンジョンに行きましょう」
やる気に満ちたアイズさんから誘われたので了承し、一緒にダンジョンに向かうことにした私は、Lv4の冒険者であるアイズさんと共にダンジョンの中層へと移動していった。
現れた中層のモンスターを剣で容易く斬り裂いていくアイズさんは、流石はLv4の冒険者だと言える強さを見せていて、中層のモンスターなら風の魔法を使うまでもないらしい。
アイズさんに斬られて倒されたモンスターの胸部から魔石を抜き取っておくと、魔石を抜き取られたモンスターの身体は灰と化す。
火炎放射攻撃をするヘルハウンド達には私が「ガンスミス」で作り出したリボルバーで頭部を撃ち抜いて対処しておき、倒したヘルハウンド達の魔石を「ブルータウロス」で抜き取って先に進んだ。
すっかり魔石抜き取り係になっている私が持つ青い短刀である「ブルータウロス」が武器として使われることはなかった。
ダンジョンの18階層も越えて更に下の階層に向かうと、19層から24階層の層域は大樹の迷宮となっている。
アイズさんが居るから問題なく進めるが、本来なら2人で向かうような場所ではない。
中層は、ある程度のパーティを必要とする場所だ。
それでも明らかに私の身体の動きが良くなっているのは、間違いなく「樹木の友」のスキルによるものだろう。
周囲に樹木がある時、私の全ステイタスには高い補正がかかる。
大樹の迷宮は、私にとっては悪い場所ではないようだ。