今回は3800文字くらいになりました
人工迷宮クノッソス、現在は闇派閥の本拠地となっているその場所へと侵攻し、闇派閥を完全に根絶することを目的として戦力を集めていたロキ・ファミリア。
そんなロキ・ファミリアのホームである黄昏の館へとやって来たディオニュソスとフィルヴィスさん。
闇派閥根絶の手伝いをしたい、と言い出したディオニュソスはディオニュソス・ファミリアの面々もクノッソス侵攻に連れていってほしいとロキ様に頼んできた。
「ディオニュソスとフィルヴィスだけなら同行を許しとくけど、他のディオニュソス・ファミリアは足手まといやから連れてくつもりはないで」
そう言ったロキ様にディオニュソス・ファミリアも連れていくようにと食い下がるディオニュソスへと「お断りや、足手まといはお呼びやないで」と言い放ったロキ様。
頑ななロキ様にディオニュソスは、ディオニュソス・ファミリアの全員を同行させることは諦めたようである。
スキル【千里眼池】でディオニュソス達の動きを監視していた私とロキ様は、ディオニュソスが渡した神酒を飲んで酔っていたペニア様を拘束してクノッソスに運んでいた仮面の怪人の姿も確認済みだ。
クノッソスでペニア様を天界に送還し、フィルヴィス以外はペニア様の眷族になっているディオニュソス・ファミリアの恩恵を消して、ディオニュソス自身が死んだと思わせるつもりだったんだろうが、全てを知っている私とロキ様は茶番に付き合うつもりはない。
集まった戦力でクノッソスへの侵攻が行われ、魔窟と化したクノッソスを進んでいったロキ・ファミリアの面々。
現れた闇派閥の団員達が自爆を行う前に、スキル【着替写真機】で全裸にしておき、仕込んでいた自爆の装置や持っていた武器ごと闇派閥の衣服を消滅させておく。
食人花が現れればスキル【飲料変化】でジュースへと変化させておき、相手の戦力を無力化しながら先へと急いだ私は、宝玉の胎児を埋め込まれて怪物と化した闇派閥達を斬り裂きながらクノッソスを進んでいった。
別動隊のヘルメス・ファミリアとロキ・ファミリアの混合部隊が、クノッソスを崩壊させる仕組みを発動させようとしていた存在を打ち倒したようで、闇派閥の根絶はあと少しと迫っている。
ディオニュソスが単独行動を始めたとロキ様から連絡が届いた私は【何処扉】を用いて移動。
今回の作戦ではウラノス様に許可を得ている為、スキル【何処扉】を何度使っても問題はない。
隠し部屋でペニア様を殺害しようとしていたディオニュソスの腕と持っていた短剣を、私は無詠唱魔法【ガンスミス】で作り出したリボルバーで撃ち抜いた。
「キサマっ!神の腕をっ!」と言いながら神威を放つディオニュソスへと平然と近付いた私は無詠唱魔法【ストリングビーム】で出した紐光線でディオニュソスを縛り上げておく。
ペニア様を安全な場所まで【何処扉】で送り届けた後にロキ様と合流したが、闇派閥の神であるタナトスがディオニュソスを捕まえている私を見て目を丸くしていた。
「やあ、久しぶりだねモビタ。ちなみにそれはどういう状況?」
闇派閥の神にしては気さくな様子で話しかけてきたタナトスに、ペニア様を殺そうとしていたので、捕まえておきました、と答えた私に「そうなんだ。クノッソスで神の送還を行うことが目的だったのかな」と言うタナトスは拘束されたりはしていない。
「それにしても、良い様だねエニュオ。下界の子を侮り過ぎたね」とディオニュソスを楽しげに嘲笑うタナトスは、ディオニュソスがエニュオだと気付いていたようだ。
「オレもこの後、天界に送還されるとは思うけど、エニュオの無様な姿を見れたのはいい土産話になりそうだ」
そう言っていたタナトスは「下界の子にしてやられたとか、ねえどんな気持ち、ねえどんな気持ち」と言いながら笑顔でディオニュソスの周囲をぐるぐると回っている。
タナトスに煽られて憤死しそうな顔になっていたディオニュソスは口にまで紐光線が巻かれている為、喋ることも舌を噛むことも出来ない。
何も出来ない状態でただタナトスに煽られまくっているディオニュソスの顔は、怒りで真っ赤に染まっていたな。
「見とるぶんには面白いからええけど、そろそろ本題に入ろうやないか」
仕切り直すようなロキ様のその言葉で、ディオニュソスを煽ることを止めたタナトスは「いいよ、何が聞きたいのかなロキ」と落ち着いた様子で言った。
それから神タナトスが知る情報を全て聞き出したロキ様は「もっと詳しい情報を握っとるのはこいつか」とディオニュソスを見る。
「モビタ、こいつの口だけ自由にしてくれんか」
ロキ様の言葉に従い、ディオニュソスの口に巻かれた紐光線を操って口を自由にしてみたが「キサマらに教えることは何も無い!天界でキサマらの無様な姿を眺めてやる!」と言ったディオニュソスは舌を噛み切って天界に送還されるつもりのようだ。
そんなディオニュソスを【月の兎】で、こっそりと人間にした私はディオニュソスの自殺を止めることはない。
自分で舌を噛み切って自殺をしたディオニュソスは人間となっていた為、天界に神として送還されることはなく、神の力が出ることも無かった。
普通に死体が残ったディオニュソスは、人間となった魂だけが、天界に送られることになった筈だな。
「モビタ、もしかして、スキル使ったんか?」
ディオニュソスという神の送還が起こらなかったことから察したロキ様は、そんなことを聞いてくる。
使いましたよ、ディオニュソスは人間になって死にました、死んで魂だけになりましたし、もう神には戻れないんじゃないですかね、とまで言った私の言葉を横で聞いていたタナトスが爆笑し始めた。
「ハハハハッ、神ですらもなくなって無駄死にするとか、下界の子を侮ってたエニュオの末路としては相応しいんじゃないかな」
大笑いしながらそう言うタナトスは神が1柱消え去っても全く気にしていないようだ。
「それで、オレもモビタに人間に変えられて、人の魂として天界に還るのかい?」
自身の神としての死を恐れていないタナトスは、冷静に聞いてくる。
「ディオニュソスのアホみたいに勝手にクノッソスで自殺しようとでもせえへん限り、クノッソスの外で神として天界に送還されるだけで済むやろ」
ロキ様のその返答に同意した私は、特に理由がないのに神タナトスを人に変えたりはしませんよ、と伝えておいた。
「そうか、それなら天界に戻ったら、しっかりと仕事しとかないとね。約束もあるから」
神タナトスは眷族達とした約束をしっかりと守るつもりでもあるみたいだ。
【何処扉】でロキ様と拘束した神タナトスをクノッソスの外に送った後、分身を解除して1つとなった怪人のフィルヴィスさんがディオニュソスの死体を見て、狂乱した様子で私に襲いかかってきたが、明らかにフィルヴィスさんは正気を失っている。
Lv7上位とも言える身体能力を持つ怪人フィルヴィスさんであろうが、私に敵うことはなく、魔石を破壊されて倒れ込んだフィルヴィスさんは動かない。
布をフィルヴィスさんに被せて、スキル【時風呂敷】を用いた私はエルフの怪人であったフィルヴィスさんを、ただのエルフであった頃まで巻き戻す。
「何故、わたしを生かした。ディオニュソス様を失ったわたしには、もう生きている意味なんてないのに」
ただのエルフへと戻ったフィルヴィスさんは、そんなことを言っており、落ち込んだ様子を見せていたが、今のフィルヴィスさんは精神的に追い込まれているようだ。
レフィーヤさんは、貴女に生きていてほしいと思う筈ですよ、生きていてほしいと思ってくれる相手が居る間は、まだ生きていてもいいんじゃないですか、と私はフィルヴィスさんに伝えておく。
「レフィーヤ」
レフィーヤさんのことを思い出していたフィルヴィスさんは、静かに涙を流していた。
その後、フィルヴィスさんを連れてレフィーヤさんと合流。
レフィーヤさんと触れ合って精神的に落ち着いてきたフィルヴィスさんをレフィーヤさんに任せておき、クノッソスの大掃除を私も手伝っていく。
闇派閥達を完全に根絶し、クノッソス内に存在した穢れた精霊関連の怪物も残さず倒したロキ・ファミリアと他のファミリアは、全員が疲れきっていた。
穢れた精霊の本体が60階層に残ってはいるが、クノッソスに居た敵性存在を完全に排除することには成功し、ひとまずオラリオの危機は去ったと言えるだろう。
地上で神タナトスが天界に送還され、現在存在していた闇派閥の根絶が完全に終了し、今回の侵攻作戦に参加していた面々は、一時の安息を得た。
今回の侵攻作戦で穢れた精霊の分身や、宝玉の胎児で怪物と化した闇派閥を大量に倒したロキ・ファミリアの面々は、ランクアップした者達が多数で、フィンさんとリヴェリアさんにガレスさんもLv7にランクアップしたらしい。
安息の日々の最中、ロキ様、デートしませんか、と最愛の女神様をデートに誘ってみた私に「行くに決まっとるやろ!」と食い気味に了承したロキ様。
それからオラリオでロキ様とデートをしてみたが、ロキ様がとても嬉しそうにしていたことは確かだ。
じゃが丸くんの屋台にヘスティア様をロキ様がからかいに行ったりして、伴侶自慢をして勝ち誇っていたロキ様が居たり、屋台の食べものを食べさせあったりもしてみたが、笑顔で楽しんでいたロキ様が見れて良かったと思えた。
ロキ様が喜んでくれたのなら、今回のデートは成功だと言えるだろう。