才能が野比のび太な転生者   作:色々残念

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思い付いたので更新します
今回は5000文字くらいになりました


魔界大冒険

私が貸し出しているスキル【適応灯】を用いた団長は、様々な環境に適応することが可能となる光線をロキ・ファミリアの面々と他派閥の団員達に浴びせていった。

 

高温や低温、水圧や真空などにも適応することが可能となり、60階層へと向かう準備が万全となった派閥連合。

 

60階層を目指し、私を含めた限られたロキ・ファミリアの面々と、厳選された他派閥の団員達だけで安全階層の50階層から下に降りていき、ダンジョンを進んでいく。

 

52階層からは竜の壺と呼ばれる危険地帯となり、58階層の砲竜が上の階層へと行ってくる階層無視の砲撃を回避しながら、移動を行わなければいけない。

 

現れる怪物達を倒し、階層無視の火炎砲撃により床を突き破り昇る爆炎の柱を避けながら先へと進んだ派閥連合は、駆け足で止まらず移動して58階層へと到着し、砲竜を含めた58階層の怪物達を倒す。

 

58階層で怪物達が一掃され、再びダンジョンから怪物が生まれるまでは、幾らか時間があった。

 

その時間を有効活用し、鍜冶師である椿さんに軽く武器の手入れをしてもらいながら、各々がポーションを飲んだり、座り込んで身体を休めたりしていたロキ・ファミリア。

 

僅かな休息の時間も終わり、58階層から下に降りていくと到着した59階層。

 

不自然な程に怪物と出会わなかった59階層では特に何事もなく60階層へと向かうことができてしまった。

 

「ここからが「魔界」の入り口だ。一瞬でも気を抜けば死ぬ。その前提を共有して進もう」

 

ロキ・ファミリア団長、勇者のその言葉に気を引き締めて進んだ先にあったのは蒼白い肉の空間。

 

60階層の魔界に足を踏み入れた派閥連合は、怪物の軍勢を目撃する。

 

怪物がダンジョンから一気に生まれる怪物達の宴などが比べ物にならないほどに、60階層にひしめく怪物達。

 

宝玉の胎児を埋め込まれ、人から怪物へと姿を変えられたものも十数体居り、精霊の分身が植え付けられた怪物も数え切れないほど大量に存在していた。

 

押し寄せる怪物の軍勢に対し、スキル【再会の約束】を用いたガレスさんが先頭に立つ。

 

「喰らえぇぇい!」

 

得物である大戦斧を見上げるほどの大きさにまで巨大化させ、超高補正がかかった力を用いてガレスさんは大戦斧を横凪ぎに振るい、怪物達を撥ね飛ばしたことが開戦の合図となったようだ。

 

「【忍び寄る戦火、免れぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む】」

 

接近する怪物達へと【火精炎焼】で炎を放ち、焼き払いながら魔法の詠唱を続けるリヴェリアさん。

 

「Lv7になっていなかったら苦戦したかな?」

 

そう言って【電撃石槍】で槍から雷撃を放ち、牽制しながら槍を操るフィンさんは、怪物達の弱点となる場所を的確に槍で貫いていた。

 

「【テンペスト】!」

 

【風に愛されし者】で風と共に戦う時にステイタスに高い補正がかかるようになっているアイズさんが、風の付与魔法【エアリアル】で風を纏い、嵐のような風を纏う愛剣で怪物達を両断。

 

「いっくよぉぉぉ!」

 

【不思議風使】を用いて生み出した風に乗り、不壊属性を宿す大剣を上段から振り下ろし、怪物を強引に叩き斬るティオナ。

 

「団長との絆があたしの力になる!」

 

恍惚とした表情のまま【小人との友情】のスキルで、小人族と共に戦う時に全ステイタスに高補正がかかった状態のティオネさんが不壊属性の斧槍を振るい、怪物達を斬り裂いていった。

 

「がるぁぁぁぁ!」

 

獣の如き声を上げ、スキル【月光の狼】で身体に月光を宿し、獣化した狼人のベートさんは不壊属性の双剣と、メタルブーツを用いた蹴りを繰り出し、怪物を倒していく。

 

「手前に合わせろ!」

 

「猫人使いが荒いわね!」

 

Lv5の椿さんとアキさんが連携し、怪物達を攻撃していく2人。

 

「治療士のアミッドを死守するっすよ!」

 

スキル【完璧猫型】で猫人と共に戦う時に全ステイタスに高い補正がかかる効果によって動きが良くなっているラウルさんの指示に従い、サポーターとして着いてきた面々はアミッドさんを守るように囲う。

 

私はスキル【黄金甲虫】でロキ・ファミリアの強化を行い、それ以外の面々の生命力も高めてから【猟豹加速】で地を駆け、超高速に加速。

 

加速状態で擦れ違い様に怪物達を右手に持つ剣で横一文字に斬り裂いて倒し 、左手に無詠唱魔法【ガンスミス】で出したリボルバーを持ち、スキル【心の友は音響兵器】で破壊音波を纏わせた弾丸を早撃ちで繰り出す。

 

放たれた破壊音波を纏う弾丸は宝玉の胎児で怪物となった者達へと叩き込まれ、内部から破壊音波で破壊されて倒される怪物達。

 

絶え間なく押し寄せる怪物の軍勢を相手に、戦いを続けていると現れたのは格が違う数体の怪物。

 

それは空を飛ぶ巨大なムカデのように見えるが、実際はドラゴンの1種であるそうで、ヴェノムスカイ・センチピード・ドラゴンという名前であるらしい。

 

本来は67階層から登場する怪物であるヴェノムスカイ・センチピード・ドラゴンはLv7に匹敵する力を持つ竜で、それが更に精霊の分身を植え付けられて強化されたものが複数体現れている。

 

推定Lv8以上の竜達が加わったことで更に苛烈となる戦い、災害のような怪物の猛攻を迎え撃ち、怪物達を打ち倒していく冒険者達。

 

他の面々の負担を軽減する為に前に出た私は、ヴェノムスカイ・センチピード・ドラゴンを、頭部から生えた精霊の分身ごと両断し、魔石も忘れずに破壊しておく。

 

立ち止まることなく動き、次の怪物を倒す私を目掛けて床が蠢き、蒼い肉がせり上がってきたが、スキル【飲料変化】で植物らしき蒼肉はジュースへと変えておいた。

 

蒼い液体が流れていき、より強まったのは、私を見る粘ついた視線。

 

視線の主は、恐らく穢れた精霊で間違いないだろう。

 

アリアと呼んで執着していたアイズさんではなく、私を狙ったのは、穢れた精霊の心境に何かしらの変化があったのかもしれない。

 

魔法が飛び交い、斬撃が舞う戦場と化した魔界で、怪物の軍勢に抗いながら、冒険者達は戦い続ける。

 

百を越える怪物の軍勢を退けて、辿り着いたのは穢れた精霊と、その切り札が待つ広間。

 

「アレはっ!?」

 

「バロール!?」

 

「しかも色違いか」

 

色違いのバロールの存在に、驚きの声を上げたロキ・ファミリアの三首領。

 

漆黒のバロールの頭部から生えた精霊の分身が、あのバロールが穢れた精霊の支配下にあることを現しており、精霊の分身で強化された漆黒のバロールは、間違いなくLv9並みの強さを持っているだろう。

 

怪物の中の怪物とも言える漆黒のバロールが動き出し、単眼から拡散する光線を放射する最中、誰よりも先に前に出た私はスキル【反射外套】を用いて、身に付けたマントを翻し、反射が付与されたマントで光線を跳ね返した。

 

一撃でも直撃すれば、Lv5でも死亡する光線の攻撃をアミッドさんやラウルさん達に当てる訳にはいかないと、防御に徹した私に「それでいい。モビタはラウル達を守ってくれ」と言ってくれた団長。

 

「攻撃には僕達が行く」

 

槍を構え、力強く言い放った団長は「攻めるぞ」と団員達に命じる。

 

攻勢に移るロキ・ファミリアの団員達は、止まることはない。

 

動き続けてバロールの光線を避け、振るわれるバロールの豪腕を回避し、攻撃を叩き込んでいくロキ・ファミリア。

 

連戦に次ぐ連戦で、体力と精神力を消費していようと、階層主であるバロールへと立ち向かうロキ・ファミリアの団員達。

 

「【真なる契りを此処に】【捨てられし真名、刻まれし光。右腕は裂け、傷口は哭き、五の一が開く】」

 

戦いの最中、魔法の詠唱を開始した団長は動きを止めずに歌い続ける。

 

「【語れ賢者よ、神工輝斧の担手よ。騙れ偽者よ、汝は赤を名乗る者。報いし猟犬は既に数多の槍とともに】」

 

槍を片手に駆ける団長の詠唱は止まらない。

 

「【轟く馬蹄、終わらぬ蹄跡。騎士達の歌は今もなお高らかに響く。すなわち誓約、小人が誇り。すなわち狼煙、小人は守護者】【一族よ、集え。この御旗のもとに。同胞よ、続け。聖烈の光は今も先前に】」

 

団長の力強い詠唱は続き、その勇姿に奮い立つロキ・ファミリアの団員達は、バロールへと攻撃を叩き込んでいった。

 

「【我が名は一走、蹄鉄とともに駆ける者。大いなる勇気のもと、今一度。もう一度。聖約をこの手に】」

 

降り注ぐ光線と土魔法による隕石の豪雨を切り抜けて、続く詠唱。

 

「【もし許されるならば】【今ここに、女神の一槍を】」

 

魔力を秘め、瞳の色を真紅に変えた団長の詠唱は終わりへと近付く。

 

「【双眼に赤勇を宿す「真勇の一槍」をもって、ここでの終末は退けられる】」

 

ついに完了した団長の詠唱により、解き放たれる時を待つ魔法。

 

「【ティル・ナ・ノーグ】!!」

 

放たれるそれは投槍魔法であり、単眼の怪物へと繰り出される勇者の渾身の一撃であった。

 

自身の能力数値を全て威力に換算する勇者の切り札。

 

迫る黄金の巨槍へと、光線を放つバロールだが、それでも止まることはない投槍魔法は突き進んだ。

 

直撃、貫通、巨槍に貫かれたバロールの胸部が大穴を開ける。

 

破壊された魔石、灰と化す漆黒のバロールの身体。

 

穢れた精霊の切り札は、ロキ・ファミリアの勇者の切り札によって打ち倒された。

 

スキル【取寄鞄】により取り寄せた勇者の槍を、勇者の2つ名を持つ団長に返却し、穢れた精霊の様子を伺ってみたが、不気味な笑みは崩れていない。

 

「助ケテェ、レヴィスゥ」

 

穢れた精霊のその言葉に応じるように、不意に現れたエルフの怪人。

 

詠唱を始めたそのエルフの怪人を見た瞬間に、駆け出した私は、白銀の剣をエルフの怪人へと突き刺していた。

 

私のその姿を見て、笑みを深めた穢れた精霊。

 

だが、その笑みも長くは続かない。

 

「ドウシテ?」

 

不思議そうな声を出した穢れた精霊は、何も起こらないことに戸惑っている。

 

私がエルフの怪人に剣を突き刺したのは、怪人を殺す為ではなく、スキル【封印の剣】で剣を突き刺した相手を封印する為だ。

 

恐らく穢れた精霊は怪人の死後に発動する呪詛のようなものを狙っていた。

 

それで此方を乱している間に、アイズさんか私を取り込むつもりだったのだろう。

 

しかし【封印の剣】で封印されたエルフの怪人は、死している訳ではない為、呪詛が発動することはない。

 

「アアアアアッ!」

 

思い通りにいかなくなり、癇癪を起こしたかのように、やたら滅多に魔法を放ちながら暴れ始めた穢れた精霊。

 

刀を構えた私は、スキル【封印の剣】の剣による分離を可能とする効果と【夢幻の剣士】の不可能を可能とする効果を用いて、穢れた精霊を斬り裂き、取り込まれた精霊達を解放していく。

 

沢山の精霊達が解放されて、残るは穢れた精霊1体となった最中、無詠唱魔法【ガンスミス】で形成したリボルバーの銃口を穢れた精霊へと向け、引き金を弾く瞬間。

 

「貴女の望みは、何ひとつ叶いませんよ」

 

穢れた精霊へと最後に、そう伝えた。

 

取り込んだ精霊を奪われて、力を失った穢れた精霊へと放たれた弾丸。

 

全てを撃ち貫く魔弾によって倒された穢れた精霊。

 

主を失ったことで崩れ始めた魔界から【何処扉】を用いて、精霊達も一緒に連れて50階層まで退避した私達。

 

その後、再び【何処扉】が大活躍してダンジョンから無事に地上へと戻った派閥連合。

 

地上では都市競技祭典が終了しており、決着はうやむやな形で終わったそうで、ギルドと学区は未だにギクシャクとしていたが、少しは歩み寄ることができたらしい。

 

遠征が無事に終わり、派閥連合がそれぞれのファミリアに戻ることになって、私達もロキ・ファミリアのホームへと帰っていく。

 

「おっかえりぃぃぃぃ!」

 

ロキ・ファミリアの面々の帰りを待ち望んでいたロキ様が飛び付いてきたので、受け止めて抱きしめた私は、約束通り無事に帰ってきましたよ、とロキ様に伝えた。

 

ロキ・ファミリアが精霊達を連れて帰ってきたことに驚いていたロキ様だったが「まあ、モビタやしな」と納得していたロキ様。

 

今回の遠征でティオナやティオネさんにベートさんとアイズさんが、ランクアップ可能となって、Lv7が更に増えたらしい。

 

私もLv8にランクアップ可能になっていたが、ステイタスがSまで極まってからランクアップすると決めているので今回は保留となる。

 

遠征が終わったロキ・ファミリアのホームでは精霊達に対してエルフ達が畏まっていたり、何故か精霊達に好かれていた私に「モビタはうちのやのに」とロキ様が焼きもちをやいたりして、過ごした忙しい日々。

 

忙しくても穏やかな日常が、とても大切なものだと思えた私は、それを守っていきたいと考えた。

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