今回は4000文字くらいになりました
スキル【魔界大冒険】の効果の1つで、無詠唱魔法【ガンスミス】で形成した魔法銃から放った弾丸を巨大化させられるようになったが、弾丸が巨大過ぎて使い道に困りそうだと考えた私は、大きさを調節することができないか試してみることにした。
何回か空に向けて弾丸を放ち、巨大化する大きさを変えられるか試してみた結果、バベル並みに巨大になっていた弾丸を2階建ての家程度の大きさに抑えることに成功。
しかし、2階建ての家の大きさよりも小さくなることはないので、やはりダンジョン内では使わない方が良さそうだな。
弾丸の巨大化が砲弾程度の大きさに抑えられたならダンジョンでも使えたかもしれないが、それは不可能なようだ。
使うとするならダンジョン外で戦う時にしか使えないが、竜の谷の竜や黒竜相手になら使っても問題ないだろう。
いずれ訪れる黒竜との戦いに備えて、準備をしておく必要がありそうだと判断した私は、かつて黒竜に挑んだヘラ・ファミリアに所属していたテリアに、黒竜についての情報を聞いてみることにする。
海の覇王との戦いで病状が悪化し、黒竜との戦いには参加できていなかったテリアは実際に黒竜と対面した訳ではないらしいが、それでもゼウスとヘラのファミリアが敗北した状況について語ってくれた。
ゼウスとヘラのファミリアの団員達が放った全ての攻撃が黒竜には通じず、反撃を受けて逃げ惑うことしかできていなかったゼウスとヘラの団員達は、癒えない傷を負いながらも敗走するしかなかったとのことだ。
過去の英雄アルバートは命と引き換えだとしても黒竜の片眼を奪い、追い返すことに成功している。
ゼウスとヘラのファミリアの攻撃は黒竜には通じなかった。
大英雄アルバートが強かったことは間違いないが、ベヒーモスとリヴァイアサンを倒しているゼウスとヘラのファミリアが弱すぎた訳ではないとするなら、黒竜には何かしら特殊な能力がありそうだ。
アルバートと、ゼウスとヘラのファミリアに違いがあるとすれば、それは精霊と契約しているかどうかということになるな。
今も黒竜を封じ続けているのは、風の大精霊による風印。
精霊の力なら黒竜には効果があるということは、もしかすると黒竜には精霊の力以外は通じないのかもしれない。
そう考えると精霊と契約していなかったゼウスとヘラのファミリアの攻撃が黒竜には通じず、精霊と契約していたアルバートが黒竜の片眼を奪えたことにも繋がるような気がした。
現在ロキ・ファミリアには大勢の精霊が居て、力を貸すことを約束してくれている為、もし私の予想が正しかったとしても黒竜への攻撃は通じるようになる筈だ。
そんなことを考えながらスキル【取寄鞄】を用いた私は、60階層で怪人の封印に使った剣だけを取り寄せて、ゴブニュ・ファミリアに剣の手入れを頼みに行く。
私が持ってきた剣を見たゴブニュ様は「激戦を潜り抜けてきたようだな」と言ってきたが、私のスキルによる不壊属性の付与で剣の消耗が抑えられていたとしても、鍜冶神でもあるゴブニュ様なら僅かな違いを見極めることができるらしい。
「研ぎ直しをさせておく、数日後にまた来い」
それだけ言ったゴブニュ様は口数が多い神ではないが、ゴブニュ様の眷族であるゴブニュ・ファミリアの鍜冶師達の腕は堅実で、確かなものだ。
ゴブニュ・ファミリアの工房から出て、ロキ・ファミリアのホームへと戻った私は中庭で刀を振るっていたが、そんな私に近付いてきて「久しぶりに模擬戦しませんか?」と頼んできたアイズさん。
Lv7になったアイズさんはダンジョンに潜ってみたりもしたそうだが、1人でも行ける階層で出現する怪物達程度では物足りなかったみたいで、Lv8になった私と模擬戦をしてみたいと思ったようである。
模擬戦を行うことを了承し、互いに得物を構えた私とアイズさんは、刀と細剣を打ち合わせていった。
硬質な金属音が連続で鳴り響き、斬撃を斬撃で防ぐ剣撃の応酬が続いていく。
Lv7となり更に強くなったアイズさんは、タケミカヅチ様に学んだ技術で剣の技量が向上しており、以前よりも剣士としての腕前が上がっているようだ。
模擬戦しながら会話してみると、どうやら武神であるタケミカヅチ様から様々なことを学んでいたアイズさんは、剣を振るう心構えも学んだそうで、以前よりもいい顔をしている。
アイズさんのその変化は、きっと悪いことではないと思った私は、タケミカヅチ様に内心で感謝を捧げ、またタケミカヅチ様にお礼としてヴァリスを渡しに行こう、と考えた。
絶え間なく刀と細剣が振るわれ、衝突する刃と刃が音を鳴らし、暴風が吹き荒れる中庭。
激しく幾度も打ち合わせた刀と細剣を互いに鞘に納めた私とアイズさんは、居合の構えとなり、柄に手を添えたまま間合いを詰めていく。
刀と細剣が届く間合いに入ったと互いに判断したとき、鞘から刀身を走らせた私とアイズさんが行った居合。
当然のように私の方が早く、素早く鞘から抜き放った刀身の刃をアイズさんの首元の近くで寸止めした私に「まだ届かない」と言って半ばまで抜かれていた細剣を鞘に納め直し、悔しそうな顔をしていたアイズさん。
こうして今回の模擬戦も終わり、アイズさんの用は済んだと思っていたんだが、まだ私に用があったようで「一緒にじゃがまるくんを食べに行きませんか?」とアイズさんが誘ってくる。
ロキ様が一緒でも構わないならいいですよ、と言った私に「ロキが一緒でも大丈夫です」と答えたアイズさんを連れてロキ様の部屋にまで行き、合流したロキ様を加えて全員で向かった屋台。
じゃがまるくんを購入し、一緒に食べている最中、小豆クリーム味のじゃがまるくんを食べていたアイズさんの背後に、万歳をして喜んでいる幼女なアイズさんが見えたような気がした。
数日後、ゴブニュ・ファミリアに預けていた剣を取りに行き、ゴブニュ様から渡された剣を受け取った私は、研ぎ直してもらった剣を見て感謝を伝えてから、ゴブニュ・ファミリアの工房を出る。
それからタケミカヅチ様のファミリアのホームに行ってみたが、オラリオの孤児達に武術を教えているタケミカヅチ様の姿があった。
タケミカヅチ様に、これはほんの気持ちということで、と言いながら500万ヴァリスを渡した私に「いや、多くないか!?」と驚いていたタケミカヅチ様。
アイズさんも度々お世話になっているようですから、とタケミカヅチ様にはヴァリスを受け取ってもらい、素早くタケミカヅチ様のファミリアのホームから立ち去っておく。
そんな穏やかな日々も過ぎ去り、いずれ訪れる決戦に備える為、ちょっと特殊なアイズさん以外のロキ・ファミリアの主力が精霊と契約することになり、それぞれ相性がいい精霊と契約を結んだ全員。
私は複数の精霊と契約することが可能だったようで、様々な精霊と契約を結ぶことになる。
かつて精霊と契約した英雄達は、神の恩恵が無い時代でも怪物達と戦えるようになり、抗う力を得た。
神の恩恵を授かった者達が精霊との契約を行えば、更なる力を得ることができるのは当然のことかもしれない。
それから、食事でステイタスの熟練度を上げる効果がある私のスキルも順番に貸し出しておき、ロキ・ファミリアの主力全員の全ステイタスをSの999でカンストさせたりもしたな。
それから【牧場物語】などのステイタスの熟練度を上昇させるスキルは私に返却してもらい、私のステイタスもSの999まで上昇させておいた。
新たに得た力や上昇したステイタスに身体を慣らす為、それぞれがそれぞれの方法で訓練を行い、問題がなくなったところで、まだメレンに停泊していた学区から、慌てた様子の学区の教師がオラリオにやって来る。
「風印が破れかけている!黒竜の目覚めが近い!レオン達は竜の谷でドラゴン達を食い止めてくれている!オラリオからも人員を出してくれ!」
黒竜との戦いが予想されるとして、ロキ・ファミリアと精霊達に、異端児達を率いるフェルズやヘスティア・ファミリアからテリアも駆り出されることになったが、フレイヤ・ファミリアは未だに治療院から出られていない為、不参加となった。
いつの間にかLv9になっていたテリアは、穢れた炎を巡る戦いとやらでランクアップしていたらしい。
非常事態である今回は使用を許可されていた私のスキル【何処扉】を用いて用意した扉を開き、一気に竜の谷へと移動した全員。
竜の谷から溢れ出ようとしている竜達を食い止めていた学区の教師陣達に手を貸して、打ち倒していった竜の谷の竜達。
空を飛び現れる大量の竜を相手に、2階建ての家程度の大きさに巨大化させた弾丸を撃ち込んでいき、手早く仕留めて撃ち落とした私は、2丁の拳銃を連射して竜の数を減らす。
地上は仲間と異端児達に任せておき、空を飛ぶ竜を優先して撃ち落としていった私は、200体以上の竜を倒したところでマジックポーションを飲んで精神力を補給しておいた。
とりあえず世界中に竜の谷の竜が散らばるようなことは避けられたようだが、これからが本番だ。
この場に居る全員が団長の【適応灯】で様々な環境に適応する光線を浴びている為、24時間はその効果が切れることはない。
私のスキル【黄金甲虫】で、ロキ・ファミリアだけではなく学区の教師陣やフェルズに異端児達とテリアの生命力を強化しておき、戦力を更に高めておく。
風の大精霊の風、巨大な竜巻による風印により、黒竜は封じられていたが、その風印にも限界が来ていた。
響き渡る竜の咆哮。
弱まっていた竜巻が完全に消え去り、姿を現したのは隻眼の黒竜。
三大冒険者依頼の最後の1つであり、ベヒーモスやリヴァイアサン以上の怪物。
ここで黒竜を倒せなければ世界が滅んでもおかしくはない。
それなら、この場で黒竜を倒すしかないな。
剣を右手に拳銃を左手に、身に付けていた防具を【豪華怪盗】で怪盗服に変化させ、スキル【白銀の剣】【銃の名手】【豪華怪盗】の3つの全ステイタス高補正を発動し、拳銃を構えた私は引き金に指を添えた。
ダンジョンではないなら問題なく使える弾丸の巨大化を盛大に使わせてもらうとしよう。