ソードアート・オンライン~赤腕の槍使い~   作:G.S

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第十話:ユニークスキルとエクストラスキル

 昨日アスナからご馳走をいただいた俺は74層迷宮区の前にいた。以前の俺はソロで迷宮区に入って行くことも頻繁にあったが50層以降はそんなことも無くなった。理由としてはソロでは非効率的であると考えたからだ。アイテムの消費も多いし出費が増えるだけだ。だいたい壁プレイヤーがソロで迷宮区に潜っていても進めるところなんてたかが知れてる。しかしキリトはいまだにソロで迷宮区を潜っているらしい。…最近俺の中ではあいつは人外認定を受けている。ちなみにもう1人の人外認定は《血盟騎士団》団長ヒースクリフだ。どんなに周りが疲労困憊の状態でもあいつだけはピンピンしている。HPが黄色になったことが一度も無いなんて噂があるほどだ。残念なことに人外ではない俺は一緒にパーティーを組めそうな奴を待っているのだ。

どうやら前から人が来たようだ。人数は2人だからパーティーに入れてもらえるだろう。…あれ?アスナとキリトじゃね?

 

「タツヤ!こんなところで何してるんだ?」

 

「見れば分かるだろ。一緒に行ける奴探してんだよ」

 

「こんにちはタツヤさん」

 

「ああ、どうも。昨日は世話になったな」

 

俺がそう言うとまるで信じられない物を見たかのように目を丸くするアスナ。あんたの中では俺はどんだけ礼儀知らずな人間なんだよ!流石に世話になったら礼ぐらいはするぞ俺は!

 

「ならまだ組むパーティー決まってないんだろ?俺たちと組まないか?」

 

「ならお言葉に甘え…!わ、悪いなキリト。そういえば俺用事あったのを忘れてたよ」

 

なんで俺が断ったかって?後ろのアスナが怖いからだよ!フロアボス戦に挑む時よりも怖い顔してるんだけど!どんだけキリトと一緒にいたいんだよあんたは!

 

「?そうなのか?用事あるなら仕方ないな…アスナ行こうぜ」

 

「うん!行こうキリト君!」

 

そう言って仲良く2人で迷宮区に入っていく。…マジ怖かった。あれはトラウマになるレベルだよ…少ししたら宿に帰ろ。今の迷宮区には入りたくない…しばらくすると…

 

 

「おいおい!こんなところで何やってるんだタツヤ!」

 

 声をかけてきたのは気さくなおっさんクラインだった。後ろにはギルド《風林火山》のメンバーを連れている。みんな揃って赤色の武者甲冑だがそれが妙に似合っている。

 

「もしかしてまたパーティー募集しているのか?なら俺たちとパーティー組もうぜ!」

 

「あ…いや…えっと…」

 

「?どうしたんだ?」

 

い、言えね…この先には鬼のアスナがいるから入らない方がいいなんて言えね…

 

「き、今日は日が悪いから入らない方がいいぞ…」

 

「?何だよ日が悪いって?あ!お前なんか俺たちに隠し事してるだろ?」

 

「え、えっと…」

 

「どうなんだ?」

 

「…分かった。話すよ」

 

クラインの真剣な眼差しに負けた俺はクラインたちにキリトとアスナが一緒に入っていったことを伝えた。

 

「あんにゃろ~キリト!羨ましいことしやがって!俺なんか女性プレイヤーと組んだことすら無いのに!こうなったら…お前ら行くぞ!キリトの奴だけにいい思いをさせるな!」

 

「「「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」

 

「いや…マジでやめといた方がいいって…」

 

なぜか嫉妬に燃えるクライン一同に連れてかれて俺は結局迷宮区に入ることになった。…出会ったらアスナに何って言われるか…

 

 

「キシャーー!!」

 

 《リザードマンロード》の曲刀スキルを盾で防ぎそのままランス単発重攻撃《グランド・ブリッツ》を発動する。するとリザードマンロードはポリゴン片になり消滅した。やはりこの防具と武器は良い物だ…これであと10年は戦える!…10年も戦ったら俺は29歳のおっさんになっているがな…

 

「やっぱりお前筋良いよな。どうだ?ソロなんかやめちまって俺らのギルドに入らないか?」

 

「お誘いは嬉しいが今は遠慮しておくよ。まあそのうちギルドに入ろうとは考えているからもしかしたら入るかもな」

 

実際ソロはもうキツイからな。ここらが限界かもしれない。

 

「マジか!ちなみに候補としては俺らは何番ぐらいよ?」

 

「…2番目ぐらいかな」

 

「ほぉ~。ちなみに1番はどこよ?やっぱり《血盟騎士団》か?」

 

「そんなわけないだろ。あそこにいる連中がどんだけ俺のこと嫌っているか分かるだろ?入ろうとしても満場一致で不採用だよ」

 

「そうか?じゃあどこなんだよ?」

 

まぁ…こいつらには言っても大丈夫だろう。他言しないだろうし…

 

「…《青竜連合》だよ。あそこの団長から勧誘されてんだよ。周りの奴もそこまで俺に嫌悪感抱いてないらしいし。…それにあそこの団長には恩もあるしな…」

 

そう言うと顎を擦りながら考えているような素振りを見せるクライン

 

「お前なんで《青竜連合》とは仲良く出来るのに《血盟騎士団》とは仲良く出来ねえのかな?」

 

「…別に《血盟騎士団》のメンバーが嫌いなわけじゃねえよ。俺たち攻略組トップギルドなんだからお前ら言うこと聞けよ!みたいなあの空気が苦手なんだよ」

 

攻略の指揮をとっていたのはアスナだったから…俺がアスナのことが苦手だったのはそこら辺が原因であろう。今思うとあいつも大分無理してたんだなと思うが…

 

「あれは!…おうキリト!なーに羨ましいことやってるんだ?」

 

話ながら歩いていると前方に休憩中のキリトとアスナを発見したクラインがキリトに詰め寄る。その目には嫉妬の炎が宿っていた。

 

「こんにちはクラインさん」

 

「こ、こ、こ、こ、こんにちはであります!アスナさん!本日はお日柄も良く…」

 

しかしアスナの満面の笑みにノックアウトのクライン。もはやキリトのことは眼中に無いようだ。つか迷宮区の中でお日柄とか関係ないだろう…

 

「あれ?用事は終わったのか?」

 

「…あぁ終わったよ」

 

こいつはこいつで的外れな質問してくるし…鈍感な奴め! この様子ではアスナの努力はあまり効き目が無かったようだ。…ここまでくるとアスナが可哀想に思える…

 

「!アスナ!プレイヤー反応だ!」

 

キリトの声に反応すると目の前には疲労困憊といった状態で歩いている集団が見えた。…あれは《軍》のプレイヤーか?なんでこんな最前線に?

 

 

「私はコーバッツ中佐だ。君たちはここから先を攻略しているのかね?」

 

 軍の連中のリーダーはコーバッツと名乗った。声の感じからして30歳代前後の男性だろう。なんか堅物って感じだな。

 

「ああ」

 

「ならマップデータを提供してもらおう」

 

その言葉に周りの奴が驚く。人が足で稼いだマップデータを無料で寄越せと言っているのだ。驚くのも無理はない。

 

「おいてめえら!マッピングする苦労が分かってんのか?」

 

怒鳴り声を上げたのはクラインであった。至極当たり前の反応だったが…

 

「我々は全プレイヤーの解放のために戦っている!協力するのは諸君らの義務である」

 

なんだこいつら?人に喧嘩売ってんのか?俺たちが協力するのが当たり前みたいな言い方しやがって…そういうのがムカつくんだよ。

 

「あんたらさ「いいよ2人共」…はぁ~」

 

俺の言葉を妨げたのはキリトだった。お前気前良すぎだろ。

 

「どうせ町に戻ったら公表するつもりだったしな。マップ情報で儲ける気は無い」

 

そう言ってキリトはコーバッツにマップ情報を渡した。コーバッツは形だけの礼を言って連中を連れて奥へと進んだ。

 

 

「なあ。あいつら追わないか?」

 

言葉を発したのはキリトだった。あの疲れきった連中がボスに挑もうとすると考えたのだろう。

 

「私は構わないわ」

 

「俺たちも別にいいぜ。あいつらムカつく野郎だけどやっぱ心配だもんな」

 

このお人好し連中が…

 

「…勝手にしな。そもそも俺はクラインのパーティーにいるんだ。俺に拒否権なんて無いよ」

 

あいつらはムカつくが嫌いでは無いからな…あの時のコーバッツの言葉には嘘は無かった。おそらく本気でプレイヤーの解放を思っているのだろう。些かやり方は強引であるが…

 

「…おまえやっぱり素直じゃねえよな」

 

うるせえ!余計なお世話だ!クラインにそう言って俺たちは彼らを追いかけたのだ。

 

 

「うああああああああ」

 

このまま何も無ければよかったのだがそうはいかなかったようだ。どうやらあの連中はボス戦に挑んだらしい。野太い悲鳴が向こうから聞こえる…

 

「…ッチ!キリト、アスナ、クライン先に行け!早くしねえとヤベエぞ!」

 

敏捷力にステータスをほとんど振っていない俺では走っても間に合わないだろう。俺は敏捷力特化のアスナにバランス良くステータスを振っているキリトとクラインを先に行かせることにした。間に合えよ…!

 

 

「ギャオオォォォォォ!!!」

 

 俺の目の前には山羊の頭に蛇の尻尾、手に斬馬刀のような大剣を持ち分厚い筋肉に覆われたボスがいた。名前は《グリーム・アイズ》か…最初はバフォメットみたいだと思ったが俺の知っているバフォメットはあんなに筋肉マッチョじゃない!そんな文句は心に留めておき周りを見る…HPは危険域だがどうやら軍の連中は無事のようだ。

 

「おい!早く逃げろよ!」

 

「だ、駄目だ!まだ味方があそこに…」

 

どうやら逃げ遅れた連中がいるようだ。キリトたちは攻撃することでボスの憎悪値をこっちに向けようとするが未だにボスの攻撃は軍の奴らに向いている。逃げ遅れた奴らは恐怖で床に座り込んでいるようだ。

 

「あいつらは何とかするからさっさと転移結晶で逃げろ!」

 

ここにいられても邪魔なんだよ。こいつらはレベル的には問題無いかもしれないがボスの攻撃に怖じ気づいてしまっている。正直戦力にはならない。

 

「ここは結晶無効化エリアだ!転移結晶は使えない。それに…」

 

…それに?

 

「それに私は軍の中佐だ!部下を置いて行くことなど出来ない!」

 

彼の目からはここから絶対に退かないという強い意志が見られた。きっと何を言っても退かないだろう。全く…頑固な奴め…

 

「俺が敵の攻撃を引き付ける。そしたら部下を連れて行け。後は勝手にしな。それと後であいつらに謝っとけよ。あんたらがこんなヘマやらかさなきゃもっと安全に挑めたんだからな」

 

「…分かった。協力感謝する」

 

さてと、こいつはスキル値がまだ十分じゃないから実戦にはまだ早いのだが…仕方ない。

 

「あと俺から離れとけ。あのボス俺のところに走って来るだろうからな…おい!キリト!アスナ!クライン!少しの間ボスの足を止めてくれ!」

 

そう言って俺はスキル欄を操作した。

 

キリトside

 

「………クッ!」

 

 俺たちは現在74層ボスの《グリーム・アイズ》の攻撃をずっと防いでいた。俺たちが防がないとボスの攻撃は軍の奴らを襲うだろう。タツヤは足止めしてくれと言ったが正直キツイ…!相手の攻撃を防ぎ続けてもこちらが疲弊するばかりだ。

「よし!もう大丈夫だ!あいつを仰け反らせたらボスの正面から離れろ!」

 

その言葉が聞こえると俺はボスの大剣を剣でパリングしてボスを仰け反らせてボスの正面から離れる。

すると俺の目にはライトエフェクトを纏った何かが高速でボスの頭に突き刺さりボスが吹き飛ぶ姿が映ったのだ…

 

 

 さて…憎悪値を稼ぐためには攻撃を与えなくてはいけないが生半可な攻撃ではこっちにボスの注意を引くことは出来ない。相手に大ダメージを与える…それが一番手っ取り早い方法だ。その点ではこのスキルはかなり優秀であろう。

エクストラスキル《槍投げ》…俺が発動したのは槍投げ上位攻撃《デコンポーズ・ブラスター》現在使える中で最大威力のソードスキルである。槍投げスキルの利点は高い攻撃力と遠距離から攻撃が出来ること、そして頭部等の敏捷力が高くないと届かない位置に容易く攻撃が出来ることである。もちろんデメリットはあるが…1つは当たった槍はもの凄い速さで耐久力を失い消滅すること。そしてもう1つは…

 

「ギャオオオォォォォォォ!!」

 

「おいタツヤ!何突っ立っているんだよ!早く盾装備しねえとマズイぞ!」

 

スキルのモーションや硬直が長いことである。お陰で今ボスが全速力でこっちに向かっているのに突っ立っているという可笑しな光景になってる。距離は離れているので大丈夫であろうが…

 

「ギャオオオオォォォォォォォ!!!」

 

スキル発動から10秒経過…やっぱりボスの立て直しが速いか?

吹っ飛んだから大分時間は稼げると思ったんだけどな…

 

「ギャオオオオオオォォォォォォォォ!!!!」

 

スキル発動から12秒経過…もの凄い形相でボスがこっちに向かっている…ちょっとマズイかな?思ったより足速いんだな~なんて冷静に考えている俺がいる。

 

「ギャオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!」

 

ボスが後3秒位でこっちに来るであろう距離にいる。マズイ!本当にマズイって!早く!Hurry!Hurry!Hurry!Hurry!!!

…よし!硬直が解けた!俺はメニューを操作して《スカーレットアイギス》と《ロイヤルエリシオン》を装備した。ホッとすると目の前にはボスの大剣が!慌てて盾で防ぐ。…ッチ!重たい!

あいつらこんなのを防いでいたのか?やっぱりスゲエな…

でも後はあいつらが攻撃して俺が防ぐそれで終わりだと思っていたのだが…

 

「なんで壁プレイヤーがこんなに少ねえんだよ!!」

 

普通のボス戦ならこれの2,3倍の壁プレイヤーがいるのだがここにいる壁プレイヤーは俺と風林火山の3,4人だけだ…正直少な過ぎる!

 

「…クソ!」

 

ボスの怒濤の攻撃で仰け反った俺はボスに胴体を晒す、そしてボスの大剣はライトエフェクトを纏っていた。防具はあるが大ダメージを受けるのは間違いない!

 

「「「おおおおおおおおォォォォォォォォ!!!」」」

 

しかしボスの攻撃は当たらなかった。目の前の重装備を身に纏った3人のプレイヤーが盾で防いだのだ。…そいつらは軍の連中であった。

 

「呆れたぜ…勝手にしろとは言ったがまさか戦闘に参加するなんてな」

 

「我々もあいつには借りがある。それにここまで来て逃げるなど出来ない。我々は《アインクラッド解放軍》の軍人なのだ!」

 

戦力にはならないと思ったが案外そんなことは無かったようだ。彼らの目には覇気が宿りその姿は頼もしい戦士であった。

 

「壁役は我々が引き受ける。全員行くぞ!!」

 

その声と共にボスに向かっていく屈強な軍人達…頼もしい限りだ。さて…そろそろ引導を渡してやるぜ!

 

 

「なんだこのボス!急に硬くなりやがって…!」

 

 このまま無事に終わると誰もが思ったがそうはならなかったよ

うだ。最後のHPが赤色になると急にボスが雄叫びを上げてステータスを上昇させたのだ。あと一歩で倒せるのに…!

槍投げスキルを使えば倒せると思われるが生憎さっき槍を使い果たしてしまった。

 

「アスナ!クライン!タツヤ!10秒持ち堪えてくれ!」

 

…?キリトの奴何をするつもりだ?まあ持ち堪えてやるがな。

俺はボスの振り下ろしをランスを振り上げ弾く。すると…

 

「スイッチ!」

 

気合いの入った声でキリトが前に出た。その手には何故か二本の剣が握られていた。さらに驚くべきことに二本の剣はそれぞれライトエフェクトを纏っていたのだ。通常この世界では二本の剣を持っても意味は無い。持っていてもソードスキルを使うことが出来ないからである。しかし目の前のキリトの剣は二本ともライトエフェクトを纏っている。つまりこれは…

 

『…俺と同じエクストラスキルか…』

 

キリトの怒濤の連続攻撃によってボスのHPが減少していく。しかしボスの方も負けじと大剣による攻撃でキリトのHPを急激に減らしていく。助けに入りたいがあまりにも激しい戦いに入り込む余地が無い。そしてお互い一撃で勝負が決まるところまでHPが減った。

 

「おおおおおおおお!!!」

 

「ギャオオオオオオォォォォォォォォ!!!」

 

ボスの剣とキリトの剣が同時に出される。しかしキリトはボスの剣を紙一重で避けて無防備な胴体に突き立てる。するとボスはポリゴン片になり消滅した。

 

雌雄を決したのはキリトであった。

 

 

 




キリトの出番を増やすためにグリームさんには頑張って貰いました!ちなみにエクストラスキル《槍投げ》は勝手に作者が考えました。ちなみにエクストラスキルです!ユニークではありません!

74層ボス戦を終えたタツヤは翌日キリトとアスナに血盟騎士団本部へと連れて行かれるのであった…
次回「聖騎士と決闘観戦」にレディーゴーーー!!!

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