それではどうぞ
ユイの正体とこの世界を司る《カーディナル》について知ったあの日から数日が経とうとした
攻略組のあるパーティーが75層のフロアボスの扉を発見、その次の日には結晶無効化エリアを想定して万全の態勢での偵察が行われたが…
「まさか全滅するとはな…」
偵察に入った部隊が危険になったらすぐさまボスフロアの外で待機している部隊が救援に入る手はずだった…ただの結晶無効化エリアならそれで済むはずだったのだが、偵察部隊が入ったら扉が閉まったというのだ。
押しても引いても、《鍵開け》スキルを用いても扉はビクともせず、開いた時にはプレイヤーは一人もいなかったという事だ。黒鉄宮の名前にラインが引かれていたので脱出出来たわけではない…彼らはこの世界からも現実からも退場したということだ。
これまでの戦いではプレイヤーの安全のための偵察が重要であった。偵察での情報から対策を建てて最小限の犠牲で攻略を進めて来たのだ…俺だって情報無しでの戦いは74層が初めてだったしな…
それが急に出たとこ勝負なんかにされて…
それに今回はそれだけではない。75層のボスという点も問題だ。25層に50層…クオーターポイントと呼ばれる層のボスはこれまでのボスとは一線を越える強さであった。今回もこれまでのボスとは比べようの無い程の強さを持ったボスが現れるだろう。
圧倒的な力を持ったボス、情報無し、脱出不可能…俺たちの心を折るには十分なほどのトリプル攻撃だ…それでも…
「やらなきゃいけないんだよな…」
ここで止まってしまったら俺たちが現実に帰れるのは大幅に遅れてしまうだろう。さらに今回のボス戦で全滅したらもはや攻略は諦めることになることになるかもしれない。どっかの誰かさんは攻略組は全プレイヤーの期待を背負っていると言っていたが改めてそれを実感している…正直そんな責任は重たいがな…
そして、これ以上攻略を遅らせて士気が低下することを懸念した血盟騎士団団長《ヒースクリフ》は早急に討伐隊を結成しボス戦に挑むことを提案し他の有力ギルドもそれに賛同した。ボス戦は明日…それまでにやれることはやらないとな…
そして俺は現在《プトレマイオス》にて防具を整備して貰っていた。バルトスは今は工房に籠もっているので、ここには俺とパステルしかいない。
「ボス戦明日なんだっけ?」
「そうだけど…急にどうしたんだ?」
コイツとはそれほど長い付き合いでは無いが、なんとなく今日はいつもと違うと感じた。一体どうしたのだろうか?
「そのボス戦って入ったらボスを倒すまで出られないだよね?」
「ああ、そうだよ」
俺がそう言うと口を閉ざしてしまった。しかし、しばらくすると顔を俯かせたまま口を開いた。
「タツヤはさ…怖くないの?正直な話死んじゃう可能性の方が高いんだよ…」
なるほど…俺のことを心配してくれているのか…別にお前が気にすることでも無いのにな。
すると彼女はさらに口を開いた…その内容は俺が初めて聞く彼女自身の話であった。
「私、ここに来る前は中層をソロで活動してたんだ。このゲームが始まった時はそりゃ怖いと思ったけど無理しなければ危険な目に遭わなかったし、このまま誰かが100層までクリアーしてくれればいいやって思ったの…」
それは多くの中層プレイヤーが考えているであろう事だった…もちろん攻略組になるべく必死に頑張っている奴もいるがそれは比較的少数の人間であろう。
「ある日にあるパーティーに誘われて私ついていったんだ。普通に狩りしてコル分けて…それで終わりだと思ったんだ…」
そこまで言うとパステルの表情がより一層曇った。
「帰る最中になったら突然私も含めてパーティーの一人以外が全員倒れたの、私たち麻痺状態になっていて…そしたらゾロゾロとカーソルがオレンジの人が出て来て…」
グリーンのプレイヤーがフィールドに餌を誘き出して、オレンジの連中が直接手を出す…それはかつてキリトと共に関わったオレンジギルドの連中と同じ手口であった。…キリトの奴がオレンジの常套手段って言ってたからあいつらがやったとは限らないが…
「目の前でパーティー組んだ人が一人…また一人って消えちゃって…その時に初めて私死ぬかもしれないって思って…そしたらすごく怖くなって…」
「おい、無理すんなよ…」
その時のことを思い出して泣き出しそうな顔になってしまった。無理して話す必要は無いと思い俺がそう言ったが大丈夫と力無く言って話を続けた。
「ついに私の番になって…ワーワー泣き叫んでも向こうは手を止めるどころかひどく歪んだ満面の笑みで私を刺し続けたんだ…HPが赤色になった時には私は声も出なくなってこのままこいつらの手にかかって死んじゃうんだと思った…でも…」
「そこでおっさんが助けに来てくれたんだな」
うんと言って彼女は口を閉ざしてしてしまった。
まさかそんな事があったとはな…俺がパステルと出会ったのは今から半年ほど前の事であった。
俺が数日振りにこの店に来たときに店の中に店主のバルトスと彼女がいたのだが、彼女は俺の顔を見るなり酷く怯えながら悲鳴を上げたのだ。いきなりそんな事をされた経験の無い俺は困惑してその場で狼狽えていたのが、バルトスに連れられて店から出たのであった。その時に少しの間彼女をそっとして欲しいと言われたのだが…確かにそんな事があったすぐ後なら知らない奴には恐怖を抱いてしまうだろう。
「親方は、怖くてフィールドに出たくなかった私に『ならここで仕事を手伝わないか?』って言ってくれたんだ。見ず知らずの私にそんな事を言ってくれたことがとても嬉しくて…ここで暮らしていてようやく私は立ち直ったんだ。…でも、やっぱり死ぬのは怖い…もう一度聞くけどタツヤは怖くないの?」
「…もちろん怖いさ」
俺の言葉に彼女は驚いたようだ…俺のことを死ぬのが怖くない向こう見ずな奴だと思っていたのか?…この世界はそんな奴が生き残れるような優しいものじゃないことぐらい分かると思うけどな。確かに死ぬのは怖い…でも…
「でも、俺には現実でやりたいことがある。これ以上この世界に長居はしたくない」
現実に帰ったらあいつに謝って、両親の墓参り行って、祖父ちゃんと祖母ちゃんに心配かけてゴメンって謝って…帰ったら忙しそうだな。こんなことを思えるようになった俺はこの世界に来る前よりは少しはまともな人間になれたのであろう。…その点だけで言えば俺はあの茅場にお礼を言いたいと思う…まあ絶対に言わないが…
「久しぶりに見たらいい事言うじゃねえか。何かあったのか?」
俺がそう言うと奥の方から声が聞こえた。声の主はバルトスであった。
「ああ、まあ色々とな…」
「そんな事を考えられるなら安心だ。パステルもそんな心配しなくてもいいぞ。俺たちが作った最高の防具があいつを守ってくれるんだからな」
「…そうだよね親方。タツヤ!帰って来た何か奢ってよ!」
「…普通逆じゃねえのか?」
至極当然の俺の疑問は店主の笑い声に打ち消されてしまった。
「ハハハハハ!!そいつを心配させた罰だと思いな!残念ながらここにお前の味方はいないぞ」
「理不尽な…分かったよ。その代わり馬鹿みたいに高いところは無しだぞ」
俺の言葉を聞いて拳を高く揚げてよっしゃーっと叫ぶパステル。…まあ心配させたのは事実だしな、ある程度の物なら奢ってもいいだろう。
「それより整備はもう終わったんだよな。随分早かったな」
「まあな。急ピッチで終わらしてやったから今日はとっとと休みな」
明日の事をおっさんなりに気を使ってくれたんだな。確かに今日十分な休息を取ることは明日の戦いに向けての大事な準備の一つであろう。ここから出たらすぐに宿で寝るか…
「それじゃあ「コルはいらねえよ」…何でだよ」
「コルは明日の戦いが終わってから頂くぜ。もし払わなかったら地獄の底まで取りに行くからな」
これはおっさんの願掛けのようなものだろう。どことなく雑貨屋店主《サクラ》を思い出す。あの人の場合は現実世界での支払いになっているが…全く俺はどんだけの奴らに心配をかければ気が済むんだろうな?その心配をかけられている事が…不謹慎な話ではあるが少し嬉しかった。
「精々地獄に行かないように生き残るさ。じゃあな」
俺はそう言って店から出て宿に直行した、その日の夜は驚くほどぐっすりと眠れたのであった。
そんなことがあった次の日、俺は75層《コリニア》の転移門広場にいた。ここにいる連中が今回のボス戦に挑む連中だ。時間はまだあるのでもう少しは増えると思うが…
「やあタツヤ!久しぶりだな!」
爽やかな声が後ろから聞こえたので振り返るとそこには予想通り爽やかな笑顔の青髪の騎士ディアベルがいた。周りには青竜連合が誇る精鋭もいる。
「73層のボス戦以来だからそこまで久しぶりでは無いがな…」
「気持ちの問題だよ」
そう言って笑った彼であったが、その笑みはどこかぎこちなかった。
「あんまり無理しないほうがいいぞ」
「やっぱり気づかれたか…」
そう言って力無く笑った。まあこんな時に部下の前で弱音を吐いたって指揮を下げるだけだからな。嫌でも普段通りに振る舞わないといけなかったのだろう。
「今回の偵察隊には俺のところからも5人が行ったんだ。でも俺は彼らを死にに行かせてしまった…そう思うと自信が無くなって…ダメだよな弱音ばかり吐いて…」
そう言って苦しい表情してしまう。かなり自分を追い詰つめているようだ…
「弱音ぐらいいんじゃないか?俺はあんたのギルドに所属している訳じゃねえしな」
俺がそう言うとディアベルは驚いた顔をした。
「それにあそこにいる連中はあんただからこれまで付いて来たんだよ。どっかの誰かみたいに常に冷静沈着なんてらしくないことはしない方がいい」
ディアベルの表情から察するにどうやら図星だったようだ。どっかの誰かとは勿論ヒースクリフの事である。
同じ攻略組の巨大ギルドとして意識しているのであろう。確かに常に冷静な方が頼もしく感じるのかもしれない、だがギルドのリーダーに求められるのがそれだけだとは思わない。風林火山のクラインがいい例だ。冷静沈着とは遠くかけ離れた人間だがあの慕われ具合から彼が立派なリーダーであることは疑いようが無い。
青竜連合の奴らだってあんたの人柄に付いていっているのだから。
「…ありがとう。少しは気が楽になったよ。所でギルドの話だけどさ…」
「ああ、こいつが終わったら入る事を検討するよ」
「本当か!みんな!タツヤがギルドに入るってさ!」
ディアベルの声で青竜連合の奴らが一斉にこっちに来る
「ようやく決めやがったかコイツ!」
「久しぶりの新団員だ!今日は飲むぜ!」
「よろしくな!目付き悪いの」
お祭りのように騒ぎだした青竜連合の精鋭達。なんで俺なんかをこんな歓迎ムードで迎えてくれるのか…つか最後の奴!目付き悪いって言うな!
正直雰囲気を和らげるための出汁に使われた気分ではあるがこの程度の事で雰囲気が良くなるならそれでもいいか…
「となると俺たち壁隊に入ることになるだろう。その時にはよろしく」
俺にそう言ったのは柔道部のような体格に短い黒髪をツンツンに立てた男性…青竜連合が誇る最強の盾シュミットさんであった。ヒースクリフ?あいつは例外だよ。
「こちらこそ。精々足引っ張らないように頑張りますよ」
「ああ、こっちもビシバシ鍛えるから頑張ってくれ」
そう言っていい笑顔をするシュミットさん。青竜連合式壁プレイヤー訓練がどんなものかは分からないが、あの笑顔を見る限り楽しいものでは無いようだ。この世界に筋肉痛なんて無くてよかった…俺は心底そう感じたのであった。
しばらくすると転移門から今回の討伐戦に参加するプレイヤーが次々と現れた。その中にはクライン率いる風林火山のメンバーやエギル、それにキリトとアスナがいた。
『あいつらも災難だな。折角の休みだったのに…』
休暇の最中であったのにこんな事のせいで呼び出されるなんてな…俺個人の考えならもう少し夫婦水入らずしてもいいと思うのだが、正直あいつら無しでは勝てないであろう。《黒の剣士》と《閃光》はそれほどの力を持っているのだ。そしてもう一人…
「皆、今日は集まってくれて感謝する。それでは行こうか」
聖騎士ヒースクリフ…コイツの強さは規格外だ。コイツ無しでは壁が崩壊する可能性が高い。久しぶりの出陣だ…聖騎士殿には頑張って貰おう。
「コリドー・オープン」
その言葉と共に回廊結晶が起動する。俺たちはその中に入って行ったのであった。
回廊結晶がセットしてあったボス部屋の前に辿り着いたが、正直薄気味悪いな…まあこの先何が起こるのか分からないっていう不安のせいだと思うが…
「それでは諸君、解放の日のために!」
「「「「おおおおおおおおお!!!!」」」」
ヒースクリフの言葉に周りから大きな声が起こる。本当にあのおっさんはぶれないな…いつも堂々としていて…
俺には真似出来そうに無い。周りの連中はいつ戦闘が始まってもいいように武器を構える。
「戦闘開始!」
その言葉に続いて全員がボスフロアに入り扉が閉まる。ついにボスとご対面だと思っていたのだが…
『おかしい…ボスがいない』
ボスは一向に現れなくて出てくる気配さえ無い。周りは気味が悪い程静かで逆にそれが俺の恐怖を煽っている…昔のホラー映画の演出のようだ。
「上よ!」
アスナの声に従い天井を見上げると骸骨の頭部に骨だけの百足のような胴体、そして両方の手に鎌を持ったモンスターがいた。…名前は《スカル・リーパー》か…本当にホラー映画のような登場をしやがって。
「固まるな!距離を取れ!」
《スカル・リーパー》はそのまま俺たちが固まっている場所に急降下している。ヒースクリフの声にほとんどの奴は反応して各々散開したが逃げ遅れた奴が二名…おそらくあいつの姿にビビッてしまったのだろう。
「こっちだ!走れ!」
キリトの言葉に二人はようやく走るが間に合わないだろう。おそらくボスの攻撃が直撃する…しかしどっから見てもあの鎌による攻撃は下手をしたら一発で死ぬレベルの攻撃力を秘めているだろう。開始早々にやらせるかよ!
てめえの奇襲なんて返り討ちにしてやる!早速俺は本日一本目の槍を消費する。
《槍投げ》単発攻撃《ラッピド・ファイア》…その名の通りソードスキル立ち上げのための動作が最短である技だ。…硬直時間はそれなりに長いが…そして俺が投げた槍は直線を描き…
「カァァァァァァァァ!!」
なんと運の良いことに奴の赤い目に直撃した。そこが奴のクリティカルポイント…まあ目が弱点じゃない奴なんていないと思うが…だったらしく、態勢を崩した奴は床と衝突した。
「!全員ボスを囲め!」
流石ヒースクリフ…咄嗟に起きた出来事を冷静に分析してすぐに指示を出した。その指示に従って、未だに硬直している俺以外の連中が全員ボスを囲んで攻撃を開始した。しかし、ボスもあの巨体からは考えられない程の速さで態勢を直し、俺目掛けて突っ込んで来た。
「!ッち…!」
ボスの鎌による攻撃を防ぐ、しかし俺は今更ながらある事実に気づいた。
「コイツは鎌が二つあるんだった…」
ボスの鎌が次から次へと俺を襲い反撃をする隙すら与えてくれない。盾越しでもダメージは俺に蓄積してHPは既に黄色を迎えている。
「ふん!」
しかしその猛攻は俺とボスの間に入ったヒースクリフによって防がれた。あの攻撃を弾くなんてどんな化け物だよ…まあお陰で助かったのだが…俺はポーションを取り出して飲む。すると俺のHPはゆっくりと上昇していきついには最大値まで達する。さて…戦いは始まったばかりだ。俺はボスに向かって走った。
突然のアクシデントで先制攻撃に成功した俺たちであったが時間が経つにつれて旗色が悪くなってきた。
パリーン
また一人ボスの鎌の犠牲になってしまった。
このボスは防御力もさることながら最大の問題点はその攻撃力の高さであった。特にあの鎌による攻撃…あれこそが先ほど攻略組のトッププレイヤーをたった一撃で葬ったものである。しかも奴はそれを二つも持っている。それに側面から攻撃しても見た目に合わずちょこまかと動く上に側面の足にも攻撃判定があるので攻撃を当てづらい。正直俺たちは攻めあぐねてた。せめて鎌が一本ならここまで攻めづらくなることはないはずだ。それに俺には奴の腕を一本消せれる技がある。しかし…そいつは相手に当てるのが困難な技だ。
「せめてあいつに近づけたら…!」
しかし、鎌の猛攻を凌いで正面から懐に入るのはたかが壁プレイヤーの俺には不可能だ。
今も正面に立っているが防ぐだけで精一杯だ。そんな時に千載一遇のチャンスが来た。
「行きたまえ。タツヤ君」
難なく二つの鎌をヒースクリフは盾で受け止めて俺に声をかけた。奴の懐はがら空きで隙だらけ…こいつを使うなら今しかない!俺は槍を取り出した。これで槍は全部切れた…でもこいつを決めれば俺たちは有利になる。絶対に外さねえ…!
全速力で走って右足を前に左足を後ろに…所定のモーションを行うとライトエフェクトを纏った槍が相手の腕の付け根に刺さる。だがまだ終わりじゃない…ライトエフェクトを纏ったままの槍をそのまま射出する。
《槍投げスキル》最上位技の一つ《アージェント・フィアー》…この技の特徴は《槍投げスキル》で最短の射程距離を持つことと
高速回転する槍が対象の耐久値を削る事である。
思った通りライトエフェクトを纏って回転する槍がボスを削り硬いものをドリルで削る音がする。そして…
パリーン
ボスの腕は床に落ちて消滅する。これで奴の脅威は半減した。
「全員ボスの腕が再生する前に叩くぞ!」
ヒースクリフの言葉を聞いてここにいる全員がボスへと苛烈に攻めていった。
「うおおおおおおお!!」
「はあああああああ!!」
キリトの《二刀流》のソードスキルとアスナの細剣最上位技の一つ《フラッシング・ペネトレイター》がボスに突き刺さりボスが仰け反る。
「おりゃーーーー!!」
「うらあああああ!!」
そしてクラインの《刀スキル》による連続攻撃とエギルの地面を揺らすような斧の一撃が叩き込まれる。
「はあああああああ!」
「うおおおおおおお!!」
ディアベルの《片手剣》最上位技の一つ《ベルセルク・カリヴァー》と青竜連合の攻撃プレイヤーによる様々なソードスキルについにボスは態勢を大きく崩した。
「全員突撃!」
そんなチャンスを逃すわけなくヒースクリフの号令で壁プレイヤーも含めて全員がボスに突撃する。
「カアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
しかしボスは態勢が崩れても片方の鎌を振り上げて俺たちに下ろそうとする。俺は頭上にある巨大な鎌に気付いたが前にいる血盟騎士団の二人は気付いて無いようだ。
「お前ら上だ!」
しかし、俺の言葉は間に合わず鎌は降り下ろされる 。
俺が駆け付けた時には片方剣を持った一人は既にポリゴン片になり。もう一人の槍を持った奴も回復が間に合わない手遅れな状態であった。
「なん…で…」
それが奴の最後の言葉であった。その言葉を言い終わると同時に彼は先ほどの奴と同じようにポリゴン片になり消滅した。その場には彼の得物の槍だけがポツンと残っていた。
やっぱり目の前で誰かが死ぬことは慣れそうに無いな。コイツの顔と最後の言葉は忘れそうに無さそうだ…
パリーン
これまでとは違うそんな大きな音がした。音が起きた方に向くとその場にはボスは既にいなく青色の光の粒だけが残っていた。
こうして少なく無い犠牲を出して75層ボス戦は終わったのであった。
「アージェントフィアー!!」これは簡単に説明するとドリル+パイルバンカーみたいな感じですね。ゼロ距離でないと発動出来ない結構シビアな判定です。なぜ槍投げなのにこんな技があるのか…ゼロ距離射撃って男のロマンやん(笑)
ちなみに技名はとある騎士王デジモンから取りました。作者は意外に好きなのですが、あまり人気が無いようで…それでは次回予告です。
多大な犠牲を出した75層ボス戦、しかし戦いはまだ終わっていなかった。そしてついに茅場の正体が判明する。次回「最後の決戦と世界の終わり」にレディーゴーーー!!!