ソードアート・オンライン~赤腕の槍使い~   作:G.S

2 / 37
ようやく二話目が完成しました。感想を書いてくださったりお気に入り登録をしてくださった方ありがとうございます。これからも暖かい目で見てください。
それではどうぞ!!


鋼鉄の浮遊城・・・《彼の変化》
第二話:出会いとデスゲーム


 次の日になると俺はナーヴギアについて自分で調べていた。

分かったことはナーヴギアの開発者が茅場晶彦という天才科学者であること、ナーヴギアに同封して販売されるVRMMOソードアートオンライン、そしてそれを購入するためには少なくとも2,3日は並ばなくてはいけないであろうということであった。そんな夜中に高校生がゲーム屋に並んでいたら警察に補導されるかもしれないが…

 

「まあ、きっと大丈夫だろう」

 

俺は顔立ちなどから常に実年齢より上に見られてきた。18 ,19に見られるだけならまだいいが、下手をすれば居酒屋の店員に「席空いてるから飲みに来てよ!」っと言われる始末…一体何歳に見えたのか教えて欲しいものだ…しかし、これでナーヴギアを購入するための目処は立った。後は大切に貯めてきた貯金で大きな買い物をするだけだ。学校には「熱があるので3日位休みます。」っとでも言っておけばいいだろう。

 

 

 

 そしてソードアートオンライン発売の3日前の夜、俺は近所にあるゲーム屋に並んでいた。

 

「思ったよりも人が多いな」

 

てっきり2,3番目位には並べるものだと考えていたが俺が来る前には既に5,6メートルの列が出来ていた。多くは社会人のようで仕事はどうしたんだと思ったがおそらく貴重な有給を使ったんだろうと勝手に結論づけた。これからもこの列は長くなるであろうがこの位置なら確実に購入することが出来るだろう。

 

 

 

 3日間にわたり並んだおかげでソードアートオンライン及びナーヴギアを購入出来た。ナーヴギアを初めての見たときはヘルメットみたいだとどうでもいい感想を持ったものだ。そして今日はソードアートオンラインの正式サービスが始まる日である。俺は家に帰るとシャワーを浴びて、スウェットに着替えた。そうしてナーヴギアを被ったまま布団に仰向けになった。

 

「リンク・スタート」

 

その言葉で俺の仮想世界に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初に現れたのは自分の分身であるアバターの設定であった。名前や性別、顔や体格、髪の色をここで決めるのである。顔や体格はランダムにして、性別は男、髪の色は赤色にした。後は名前を決めるだけなのだが…

 

「名前どうするかな…」

 

ゲームで本名を使う人はまずいない、自分の名前などがネットで晒される危険性があるからだ。よって別の名前にする方がいいのだが結局思いつかなかった俺は

 

「竜也なんて名前の奴は沢山いるから大丈夫だよな…」

 

本名を使うことにした。名前のところにTatuyaと記入してOKを押すと目の前の景色が変わっていった。

 

 

 

 気がつくと草原に立っていた。俺は視線を右腕に向けて動かしてみる。右腕を動かすにはかなり意識しないといけないが義手のような違和感を感じることは無かった。内心ホットした。収穫が無かったら3日間も並んだことが無駄になるところであった。お金の方は返品すればいいだけなので特に気にしていない。

 

「そこの君!」

 

考えごとをしていた俺はおそらく数分その場で突っ立っていたのであろう。後ろから声をかけられたようなので振り返ってみるとそこには髪の色が青色でいかにも騎士のような見た目をしたアバターがいた。

 

「俺ですか?」

 

そうすると青い彼は頷いた。

 

「そこで立ち止まっているからもしかしたら何処に行って何をすればいいのか分からなくて迷っているんじゃないかと思って声かけたんだ!俺がレクチャーしようか?」

 

どうやら俺が初心者で何をすればいいのか分からないから突っ立っていたと勘違いしたらしい。そしてレクチャーするという言葉から判断するに

 

「βテスターですか?」

 

「ああ、そうだよ」

 

βテスター、このソードアートオンラインのβ版という先行版をプレイすることが出来た人のことである。大勢の応募した人から抽選で1000人しか選ばれなかったので当選した人はかなりの幸運の持ち主だろう。まあ、宝くじに当選した人ほどではないと思うが…

 

「それでどうかな?」

 

俺がここに来た理由は右腕を正常に動かすためのリハビリであり戦闘を行うためではない、このまま右腕のリハビリをしようと考えていたし、あまり人に関わりたくないのでここはやんわりと断ろう。

 

「お言葉は嬉しいですけど「よし、じゃあ早速一番安くて性能のいい武器屋に行こうか!」おい!人の話を聞けよ!」

 

どうやら彼は久しぶりにこの世界に来て舞い上がっていて俺の話を聞いていないようだ。そのまま手を引っ張って町の裏道にあったひっそりと佇む武器屋に連れていかれた。

 

「こんな場所にあるんですね」

 

「まあ、普通は見つけられないよな。この場所が見つかった時にはもう4層の途中だったし、その頃にはここの武器よりも性能のいい武器をみんな持っていたから利用したことはないんだ。でもこの1層にあるクエスト以外で手に入る武器の中ではこれが一番だ」

 

「こんな場所にそんな武器屋を置くなんて…開発者は相当性格が悪い奴ですね」

 

「そうかもな。でも俺はそういうところもMMOの醍醐味だって思うぜ!さあ早く武器を買おう!」

 

ここまで来てしまったので仕方なくこのレクチャーを受けようと考えた俺は店の中に入った。店の中は片手剣や細剣、斧などが置いてあった。そのなかで俺はある武器に目がいった。

 

「槍か…」

 

おそらくは両手槍というものに分類されるものであった。リーチも長すぎず短すぎずちょうどいい感じだ。こういう槍を見ると昔じいさんの道場で稽古をつけて貰ったことを思い出す。右腕がああなってしまってからは結局辞めてしまったが…

 

「そっちはもう決まったかな?」

 

彼はもう武器を購入して店から出ていた。背中には片手剣がついていた。

 

「もうすぐ終わるよ」

 

あまりいい思い出はないが昔馴染んだものである武器を購入し店の外に出る。

 

「よし!次は防具を買ってフィールドに出ようか!」

 

その後、防具屋で俺は敏捷性重視のコートを彼はブレストアーマーと盾を購入した。そうして今はフィールドに出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いて!モーションを意識すれば後はシステムが当ててくれるから!」

 

「そのモーションが全然上手くいかないんだよ…」

 

現在猪と戦闘中なのだが俺は大苦戦を強いられていた。この猪名前は《フレイジーボア》というが攻撃は直線しかしないので回避も攻撃も容易いMobなのだが問題は俺にあった。ソードスキルというこの世界で必要不可欠なものにはモーションが大事なのだが俺は右腕に意識を持っていきすぎているのでモーションの方に意識がいかないようなのだ。さっきからやっているがソードスキルは2,3回ほどしか発動しなかった。

 

「モーションを意識、モーションを意識して…」

 

手に持った槍にソードスキル特有のライトエフェクトがかかった、どうやら今回は成功したらしい。槍が《フレイジーボア》の正面に突き刺さり《フレイジーボア》はポリゴン片となって消滅した。

 

「おめでとう!順調とは言えないけど少しは慣れたかな?」

 

青い彼はニコニコとしながら聞いてくる。

 

「まあ、多少は慣れましたけど、もっと分かりやすく教えてくれませんか。さすがに動きを溜めて相手に向かってズバーンじゃ分かりづらすぎだ…」

 

ゴメン、ゴメンと言って彼は苦笑いをした。どうやら人に教えるのは苦手なようだ。それならレクチャーなんてしなくてもいいのではと思うが、おそらくはお人好しなのだろう。

 

「それじゃ、次はアイツだな」

 

そして再び《フレイジーボア》に槍を向けて走る。モーションを意識してみたがライトエフェクトはかかっていない。今回は失敗のようだ。そのまま《フレイジーボア》の突進をかわせずに当たることを覚悟すると突然目の前に盾を持った人が入ってきた。彼は盾で突進を防ぐと片手剣のソードスキルを発動した。瞬間《フレイジーボア》はポリゴン片になって消滅した。

 

「さすがにそのHPで敵に挑むのは無鉄砲だろう…」

 

青い彼は呆れたように言った。

 

「そういえばHPって何処にあるんですか?」

 

俺は疑問を言うと、彼は驚いたような顔をして答えた。

 

「視界の左上、そこの名前の横にバーが出てるだろ?もしかして今まで気がつかなかったのか?」

 

視界の左上にはTatuyaという名前の横にバーが出ていた。

 

「バー赤いですね」

 

「それは危険域だよ。普通ならそうなる前にポーションとかで回復するよ。ハイ、ポーション」

 

彼から貰ったポーションを飲むとHPのバーが徐々に伸びていき色も赤色から黄色、そして緑色になった。

 

「ありがとうございます。でも別に助ける必要なんか無かったんじゃないですか?どうせ死んだってペナルティを受けて復活出来るんでしょう?」

 

そう言うと彼は笑いながら答えた。

 

「そうだけど、やっぱり目の前で仲間に死んでほしくないだろ?だから俺は自分の仲間ぐらいは必死に守りたいんだ!」

 

まあ、仲間を庇ってやられても復活出来るしな!っと言って彼はこの話を終わらした。

暫しの沈黙の流れていった。

 

「そういえば!」

 

っと急に大きな声を出した彼に俺は驚き顔を向けた。

 

「俺、君の名前知らないや。教えてくれないか?」

 

「タツヤだ」

 

「そうか!俺の名前はディアベル!遅くなったがよろしくなタツヤ!」

 

そう言ってディアベルは爽やかに笑った。釣られて久しぶりに俺も少し笑いながら答えた。

 

「ああ、よろし…ってなんだこれ!?」

 

突然俺たちの体は光だし急に消えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がついたらまるで瞬間移動のように広い場所にいた。確か町の広場だったか…周りを見ると他にも多くのプレイヤーが集まっているようで大きい広場なのにまるで満員電車のように人で混みあっており空は真っ赤に染まり恐ろしい雰囲気を醸し出していた。そして突然、赤いローブを着た巨人が現れた。

 

「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ」

 

 

 

 赤い巨人は茅場晶彦と名乗り、彼の言葉はプレイヤー達に恐怖を与えた。ログアウト不可能、ゲームでの死が現実の死となるデスゲーム、現在300名近くのプレイヤーが亡くなったこと、外からの救助は期待出来ないこと、そして脱出するには100層までたどり着きそこにいるボスを倒さなくてはいけないこと…つまり俺たちはこの世界に閉じ込められており現実に戻るには戦わなくてはいけないのだ。しかし俺の問題はそれだけでは無かった、それは茅場からの贈り物手鏡が原因であった。

 

「右腕が義手になってやがる…」

 

この手鏡というアイテム、アバターの姿を現実の自分に変えれるアイテムだったのだ。よって今の俺は黒い眼に短すぎず長すぎない黒の髪の毛に黒い右腕という現実の俺と同じになっている。幸いなことに義手には現実のような違和感を感じない。

 

「…以上でソードアートオンラインのチュートリアルを終了する。諸君らの健闘に期待する。」

 

茅場の宣言が終わると周りから悲鳴や怒声が起きた。

俺は面倒な事に巻き込まれたと思ったが同時にあることに気がついた。

 

「つまり俺はあの時命を助けて貰ったのか」

 

おそらくあそこでディアベルが守ってくれなければ俺のHPは0になり、現実世界の俺は脳を焼かれていただろう。

 

「デッカイ借りができちまったな」

 

命を救ってもらったのだ並大抵のことで返せる借りではない。きっと彼はこの世界の攻略に乗り出しただろう。それがβテスターとしての使命感か彼本来の人の良さから来るものなのかは分からないが。

俺が攻略に乗り出すために一番優先すべきことはまず常にソードスキルを出せるようにするだろう。このままでは当分戦力にはなり得ない。当面の目標を決めた俺は未だ大きな悲鳴が聞こえる広場から出ていった。

 

デスゲーム初日の出来事であった。

 

 

 

 




ディアベルさんの性格には作者の想像が大いに入っています。でも悪い人ではないと考えています。

期待が高まる第1層攻略会議、そしてついに初めてのフロアボス戦を挑む。
次回「攻略会議と獣の王」にレディーゴーーー!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。