ソードアート・オンライン~赤腕の槍使い~   作:G.S

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次回予告とタイトルが違う?ナ、ナンノコトカサッパリダナ…
ごめんなさい!冗談です!当初予定していたところまで書くと長くなりそうだったので勝手ながら短くしてしまいました。申し訳ございませんm(__)m
ちなみに感想募集しています。
それではどうぞ。


第二十二話:無謀な戦と提案

 一人で全員を相手にするのは不可能だ。…狙うはシグルドの首一つ!俺はシグルド目掛けて突っ込んだ…

 

「奴を近づかせるな!距離を取りつつ戦え!」

 

シグルドの号令でサラマンダー達は後ろに下がりながら魔法で攻撃してくる。目の前に迫る大小様々な火の玉を旋回する事で躱す。

 

『全く近づけない…!』

 

内心舌打ちをするがこんな事は分かりきっていた事だ。

たった一人でこんな状況を変える可能性があるとしたら…

 

『これしか無いな…』

 

俺は右手に持った《魔槍ブリューナク》を見る。こいつのエクストラ効果…それならこの状況をひっくり返す事も可能かもしれない。しかし…

 

『リスクが高すぎる…!』

 

以前このエクストラ効果を見てキリトに俺では扱い切れないと言ったことがあるがその通りだ…こいつの効果は始めたばかりの初心者が使えるようなものではない。最悪の場合…俺だけが被害を被るだけだ。

絶体絶命…だな。ここまで絶望的だと笑えてくるぜ…。勿論、俺は負け戦が好きなわけではない、負けると分かっている戦いなんて正直退屈窮まり無い。だが…

 

『見捨てるよりはマシ…だな』

 

リーファを見捨てて逃げるよりは大分マシだと思ったのだ。この選択に後悔は無い、ただ…俺の力不足でリーファが死んでしまう事が悔しかった。キリトなら…ここにいるのがもしあいつならもっと上手くやれただろうか?唐突にそんな疑問が浮かんだ。まあ、たらればの話をしても意味が無いか…。俺が今やることはただ一つ…あのシグルドの野郎にこの槍を届かせる事だけだ…!俺は再びシグルド目掛けて突っ込んだ…

 

 

 

 俺の突撃を邪魔するため再び襲いかかる火の玉を今度は旋回せずに突っ込みながら避ける…勿論全てかわせる訳では無く数発が掠り体に不快感が走る。しかし…

 

『ようやく近づけた…!』

 

ようやく奴らとの距離を詰める事が出来た…!このまま俺はシグルド目掛けて突きをお見舞いしてやろうとして…

 

「させん!」

 

「ッチ!」

 

横からランスを持ったサラマンダーに邪魔をされる。まあ…予想はしていたがシグルドに攻撃を当てるのは困難なようだ。さらに俺がシグルドの前にいるということは周りをサラマンダー達に囲まれているということであり…

 

「総攻撃!」

 

「やっぱそうなるよな!」

 

サラマンダー達のランスが右から左から、上から下からと様々な方向から俺を攻める…そんな攻撃を完璧に捌ける訳が無く所々ダメージを負ってしまう。…空中戦ってのも厄介だな…そんな事を考えてしまった。

そして俺に対する一方的な蹂躙が始まった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーファside

 

 タツヤ君が一人で行ってしまってから私は何も出来ないでいた。彼は私に隠れるように言ったけど正直一人で戦えるような相手ではない。…確かに彼の戦闘センスはかなりのものだ、この世界で一対一で彼に勝てる人はそうはいないであろう。それでも…あんなに敵の援護がある状態では彼だって勝てない。今だって三人のランスを何とか捌いてシグルドの攻撃に当たらないようにしているだけで精一杯な状態なのだ。今すぐ助けに行きたい…でも…

 

『今の私には何も出来ない…』

 

今の私では彼と一緒に戦うことは出来ない。もしここで私が出たとしても彼の足でまといになるだけだ…そんな事は私が一番分かっている。それでも…

 

『黙って見ているのだけは嫌だ!』

 

このまま指を咥えて彼が倒されるのを見るだけなのは嫌なのだ!何か考えないと…この状況を変えるために私が出来る事を……そういえば…私はある事を思い出した…

 

『あの槍のエクストラ効果…!あれなら…!』

 

《魔槍ブリューナク》のエクストラ効果の一つ…それと今までのシグルドの行動…これらを上手く使えばこの状況を引っくり返せるかもしれない…それなら私がやることは決まっている。私は彼を助けるための行動を開始した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?一方的にいたぶられる気分は?」

 

 シグルドは嫌な笑みを浮かべながら尋ねてくる…が、俺にはそれに答える余裕は無い。あらゆる所からダメージエフェクトが出ており全身が不快感を感じている。

 

「これで終わりだ!」

 

そう言いながら剣を突き出してくるシグルド…普段なら容易く躱せるその攻撃も疲労困憊状態の俺には全く避ける事は出来ない。そのまま奴の剣は俺に近付いていき…

 

「…ック!」

 

奴の剣は俺の体に突き刺さる事は無かった。代わりに奴の腕には光っている細長い針のような物が刺さっていたのだ。あれは…シルフの風魔法!つまりこれはリーファからの援護か…。馬鹿野郎!隠れていろと言ったのに!

 

「…やはり貴様から殺してやろう…リーファ!」

 

止めを刺すのを邪魔されただけではなくダメージも受けてしまった…それは奴のちっぽけなプライドを傷つけるのには十分過ぎる威力だったのだろう。奴は額に青筋を浮かばせながら叫んだ。

 

「サラマンダー!まずは全員であの女を血祭りに上げるぞ!」

 

その号令でサラマンダーが全員リーファに向かって行く…あの馬鹿は何やってんだよ!俺はリーファの方を見ると…

 

「え?」

 

そんな間抜けな声が出てしまったが俺の反応は至極当然であろう…リーファはなんと微笑んでいたのだ…迫り来る敵など見向きもせずにその双眼で俺を見ていたのだ。それはまるで何かを俺に伝えようとしているようで…

 

『そうか!』

 

リーファのこの行動は自己犠牲なんかでは無い!これは勝利への一手だ!リーファが作り出してくれたチャンス…必ずやってやる!

 

「~~~~!」

 

俺は右手を前に出して最近覚えたばかりの呪文を唱える…あの世界では魔法なんてものは存在していなかったので俺の魔法の熟練度は0だ。そんな熟練度でも使える初歩的な魔法…俺はそれを放った。

 

「な!?」

 

シグルドの驚きに満ちた声…それもそのはずシグルドの前には人の2,3倍の大きさの火の玉が迫っているからだ。これこそが《魔槍ブリューナク》のエクストラ効果の一つ…魔法攻撃の威力にブーストをかける効果だ。本来なら上級魔法の威力をブーストさせて一撃必殺のような魔法を放つためにあるのだと思うが、魔法スキルを上げていない俺ではそんな魔法は使えない。しかし…

 

「ぐあっ!は、羽が!」

 

俺の魔法が直撃したシグルドは炎に包まれたまま落下していく…奴は火属性魔法特有の状態異常《火傷》を負ったようだ。状態異常《火傷》…これには相手に継続ダメージを与える効果があるが俺たちの狙いはそこには無い、俺たちの狙いはその羽だ!状態異常《火傷》には羽が再生するまでの間、飛行が出来なくなるという効果がある。つまりあいつはしばらく翔べないということであり、リーファと同じ条件になる。地上に落ちたシグルドにリーファが斬りかかる。さらにここで予想外な事が起きた…

 

「何をしとるんだ貴様ら!早く助けろ!」

 

シグルドの叫びでハッとした様子で奴の近くに集まるサラマンダー達…しかし下は森の中なので必然的に高度が下がり地上からの攻撃でも届く範囲にいる。それは地上にいるリーファでも奴らに攻撃出来ると言うことであり…

 

『もしかしてここまで考えていたのか?』

 

ふとそんな疑問が生まれた…もし狙ってこんな事をしたのであれば彼女はとんでもない策士だ…そんな事を考えながら俺はリーファの隣に降りていった。

 

 

 

 

「全く…無茶をする…」

 

「…タツヤ君には言われたく無いけどね」

 

 俺の非難めいた言葉にリーファは苦笑いをして返す。…まあ、確かに無茶をやったという自覚はあるが、お互い様であろう。

 

「この状況は予想通りか?」

 

「うん。シグルドって自分本位な奴でいつも私たちに殿をさせていたから…ここまでいくのは予想外だったけどね。私の作戦どうよ?」

 

なるほど…これまでパーティーを組んできたリーファだからこそ思いついた作戦だったのか。…良かったリーファが実は全て計算しているような腹黒な人間じゃないと分かって…もし口に出していたら彼女に怒られそうだな。しかし今回は上手くいったが、彼女の作戦には重要な欠点があったのだ。これからは無謀な作戦を建てないように俺は彼女に忠告をすることにした。

 

「あのな…そもそも俺がお前の考えに気付かなかったらどうするつもりだったんだ?」

 

この作戦は前提として俺がリーファの意図に気付く必要がある…だが今回は偶々気付いたようなものだ…もし俺が気付かなかったらリーファは今頃殺られていただろう。

 

「大丈夫よ。だって…」

 

俺の問いにリーファは顔をこちらに向けずに微笑みながら答えた。

 

「あなたの事を信じてたから」

 

…その言葉は予想外であった。彼女は俺なんかを信じてくれたのだ…その気持ちは正直嬉しかった。だが、彼女のためにも俺は苦言を一つ二つ言う必要があると感じた。

 

「は~あ……。お前な…俺は一度は裏切ろうとした人間だぞ。そんな相手を容易く信用するな。少なくとも俺はな…」

 

これは忠告だ…俺は残念ながら人の期待に応えられるような人間ではない。今回は偶々こういう結果になっただけ…それが現時点での俺の考えだ。しかし俺の言葉には耳を貸さず彼女は答えた。

 

「ううん。多分これからもあなたを信じると思うよ。だってあなたの事が好きだもん」

 

「な?!」

 

いきなりそんな言葉を言われて俺は動揺してしまう。顔は真っ赤になり口を金魚みたいにパクパクさせる。し、仕方無えだろ!いきなり好きなんて言われたら誰だってそうなるだろ!…一体俺は誰に弁明しているのだろうか?ふとそんな疑問が湧いてしまった。動揺のし過ぎで頭がパンクしてしまいそうになる俺。だが…

 

「もちろん友達としてね」

 

「はぁ~。……」

 

その言葉でさっきの動揺から一変、溜息をついて頭を抱えてしまう…。考えればそうだって分かっただろうになんであんなに動揺してしまったのか?数秒前の俺の頭を殴りたい気分だ。…それにしても彼女には簡単に人に好きって言うなと忠告する必要があるようだ。幾ばくか冷静になった俺は正面を向く…そこには三人のサラマンダーがシグルドを守るように囲んでいた。…おそらくシグルドが回復するまで積極的に攻撃してこないであろう。なら…

 

「リーファ。何をするかは分かっているよな?」

 

「勿論。先に取り巻きを倒すのよね」

 

…どうやら俺の言おうとしている事が分かったらしい。彼女はいつの間にエスパーになったのだろうか…という冗談はさて置き。俺の作戦は彼女の言った通りである…シグルドの戦力をなるべく多く削る…少なくともメイジ隊は壊滅させたい。そんな事が出来るとすればこのチャンスに賭けるしかないであろう。

 

「リーファ。上にいるメイジ隊は俺がやる、ここにいる奴らの相手をしてくれるか?」

 

「うん。でも私一人に任せて大丈夫?」

 

リーファの若干不安そうな問い…意趣返しも含めて俺が言える事は一つだけだ

 

「リーファを信用してるよ」

 

その言葉に彼女は一瞬呆けた顔をした後、すぐに嬉しそうな顔になる。

 

「任せて!剣の腕ならここにいる誰にも劣ってないわ!」

 

頼もしい限りだ…俺は振り返らずに翔んで行く。彼女なら大丈夫とどこか確信を持って…

 

 

 

 サラマンダーのメイジ隊は上空で待機していた。まあ、あんな地上でごちゃごちゃしていたら魔法で援護なんて出来ないからな。どうやらこちらに気付いたようだ…

 

「爆裂魔法用意!」

 

メイジ隊のリーダーらしき人物の号令で一斉に呪文を唱えるメイジ隊の面々。だが…

 

「遅い!」

 

こちらに気付くのが少し遅かったな…俺の一突きがメイジ隊の前列にいたサラマンダーの胴体に刺さり、赤色のリメンライトになる。…やはり防御力は高くないようだ…

 

「さ、散開して攻撃だ!」

 

リーダーらしき男の声で散らばるメイジの連中…固まっていたら格好の的になると思ったのだろう。仕方無いが一人一人潰すしかないようだ。まずは頭を潰すのがベストだな…俺は槍を構えてリーダーらしき男に突っ込んで行く。

 

「く、来るな!」

 

俺の姿を見て、ちょこまかと逃げ出すリーダーらしき男…正直弱い者虐めみたいな気がしないこともないが、二人相手に十人で挑んで来ているのだからお互い様であろう。そして…

 

「ぎゃああああ!」

 

俺の槍が無防備な背中に突き刺さり、その姿をリメンライトに変える。後は逃げ惑うサラマンダーを一人ずつ倒すだけだな…少し余裕が出来た俺は地上で三人を相手しているリーファに目を向ける…

 

「すげー…」

 

リーファはたった一人で三人を手玉に取っていた。ランスによる突きを長刀で捌き、受け流し、軌道をずらし、隙があれば果敢に攻める…お手本のような鋭くも美しい剣捌きに見惚れてしまいそうになる。あの剣捌きは…

 

「まるで剣道みたいだな…」

 

彼女の剣捌きに体捌き…どれも俺が祖父の道場で何度も見てきたものに似ていたのであった。本人に自覚は無いかもしれないが染み付いた動きとは自然に出てくるものなのだ。つまり…あの動きは彼女が剣道をやっている、もしくは経験者であるという事だ。

剣道経験者か…ちょっと試してみるか…この時俺の中で少しばかりの好奇心が生まれる。さっきまで一人でボコボコにされていたのだ、多少の憂さ晴らしぐらいしてもいいだろう…あいつらを使って…

ともかくリーファにだけ良い格好はさせられない…俺は逃げ惑う残りの連中を狩りつくすための行動を開始する。

 

 

 

…とは言ってもバラバラに散らばっている敵を倒すというのは中々に骨が折れる作業だ。地道に一人ずつ倒すしか無いからな…それにあいつらも隙を見て魔法で攻撃してくるからな。だから…

 

「おらよ!」

 

詠唱中の奴に向かって投剣を投げる…すると俺が投げた投剣は奴らに当たり詠唱が中断された。以前俺はクラインに投剣スキルなんて攻撃の役に立たないと言ったことがあるがそれは対Mob戦での話だ、対プレイヤー戦においてこのスキルはかなり有効である。このスキルだけで牽制に妨害行為、さらには誘導までこなせるのだ。プレイヤー同士の戦いにおいて必要なのは強さでも速さでも無い、どれだけ自分の手札を持っているかであると俺は考えている。…器用貧乏と言われればそれまでではあるが…

 

「だあああああ!」

 

ともかくそれはさて置き…こいつで終わりだ…俺の突きが最後に残ったサラマンダーのメイジの頭に突き刺さりそのままリメンライトになる。…ようやく全てのメイジ隊を倒した俺はリーファの元に降りて行った。

 

 

 

「悪い。時間がかかった」

 

「ううん。思ったより早かったね」

 

まだ余裕というリーファの表情に安心する。どうやらあの後もあの数相手に互角でやりあっていたらしい。…リーファが翔べれたらこんな戦いすぐに終わっただろうにと思ってしまった。そう思うと癪ではあるがあのシグルドの判断は正しかったのだろう。そういえば…

 

「なあリーファ、一つ聞いてもいいか?」

 

「?何?」

 

俺の問いにリーファは驚いた顔をしてこちらを見た。

 

「リーファって剣道やっているのか?」

 

その言葉にリーファは一瞬驚いた顔をした後すぐに不機嫌な表情をする。…あれ?俺なんか聞いたらいけないような事を聞いたのか?女の子の扱いとは難しいものだ…などという柄でも無い事を思ってしまった。

 

「…タツヤ君。リアルの詮索は御法度だよ」

 

え?そうなのか?…どうも俺はこういうゲームのマナーとかがあまり分からないようだ。…そういえばキリトがそんなことを言ってたような…言って無かったような…

 

「はぁ~、まあいっか。うん、子供の頃からやってるよ」

 

…そうか。そいつは良い事を聞いたな…!

 

「なあリーファ…」

 

一つ提案があるんだが…無表情のままそう言った俺であるが、この時の俺はこれから生涯で初めて行おうとする事に内心ワクワクしていたのであった…

 

 




本当に申し訳ありませんでした!m(__)m
次回予告はもう少し考えてから書くことにします。そういえば…戦闘だけで一話以上使ったのは今回が初めてのような…
それでは次回予告です!
共闘してサラマンダーを倒したタツヤとリーファ、ついにシグルドとの決着の時が…
次回「炎と風の双武」にレディーゴーーー!!!
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