ソードアート・オンライン~赤腕の槍使い~   作:G.S

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第二十四話:同盟会談の結末

 互いに笑いながら翔ぶこと数分…《蝶の谷》にかなり近付いた事で俺たちの表情が引き締まる。そしてついに《蝶の谷》が見える所まで来たのだが…

 

「そんな…」

 

「間に合わなかったか…!」

 

そこには赤色の大軍…同盟を襲撃するために来たサラマンダーの大部隊が空中にいたのだ。キリトは間に合わなかったのか…!遠くから正確な数は分からないが十、二十なんて数では無い、下手をしたら五十人位いるかもしれない…。残念ながらシグルドの目的は果たされたようだ…。こんな大部隊が攻めて来たらこの場のシルフとケットシー、キリトもひとたまりも無い…。この場合俺たちが出来る事は…

 

「リーファ…最悪領主だけでも逃がすぞ」

 

俺たちがサラマンダーを足止めし領主だけでも逃がす…そうすれば奴等は目的を果たせなくなる。領主さえ無事ならなんとかなるだろう。…二度と同盟は組めないかもしれないが…

 

「うん。じゃあ飛ばすよ!」

 

俺たちはさらにスピードを上げて蝶の谷に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺たちは臨戦体勢で《蝶の谷》に着いたのだが…

 

「「…え?何これ?」」

 

二人して開口一番でそんな言葉を呟いてしまったが俺たちの反応も仕方無いだろう。なぜなら…

 

「すげーよスプリガンの兄ちゃん!」

 

「まさか将軍を倒しちまうなんてな!」

 

「スゴイね君!どう?これから少しお茶でもしない?」

 

「彼が困っているだろ?止めておけアリシャ」

 

「久方ぶりに血が煮えたぎるような戦いだった。貴様とは是非とも再び剣を交えたいな」

 

俺たちの目の前にはまるでお祭りのように拍手をしたり、大声で騒いでいるシルフ、ケットシーそしてサラマンダーが…

え?何?あれっていつ戦いが始まっても可笑しくない一触即発の事態じゃなかったのか?本当にこいつら襲撃に来たのか?そんな疑問を持ってしまった。

そしてその中心には黒色のコートを来たスプリガン…シルフ、ケットシー、サラマンダー達と談笑しているキリトがいた。

 

「よう!遅かったなタツヤにリーファ!」

 

清々しい笑みを浮かべながらキリトがこちらに来た。…確信した…こんな意味不明な状況になったのはこいつの仕業だ。一体何をしたのか…

 

「楽しそうで良かったな。それで…一体何をしたんだ?」

 

「ああ、実は…」

 

どうやらキリトが来ていた時点でサラマンダー達はすでにこの場所に来ていて戦闘が始まる一歩手前だったらしい。それでキリトは彼らとシルフ・ケットシーの間に入って自分はスプリガン・ウンディーネ同盟の大使でありここを襲撃することは四種族に喧嘩を売る行為であると大ボラを吹いたのだ。結局サラマンダーのリーダー…ALO最強のプレイヤーのユージーンとの一騎討ちになって辛くも勝利したのだ。まあ…

 

「「お前(あなた)馬鹿なのか(なの)?」」

 

「っぐ…!」

 

そんな感想を抱いてしまった。大体どこにウンディーネがいるんだ?嘘を付くならもっとまともな嘘にしろよ…まあ結果オーライだからいいか…

そんな事を考えていると俺の前に赤色の髪をトサカのように立てたサラマンダーが来た。

 

「やあ君!まさかあのスプリガンの知り合いなんてな」

 

「…誰ですか?」

 

俺にサラマンダーの知り合いなんていなかったはずなのだが…。俺の言葉に彼はどこか納得した表情で口を開いた。

 

「ほら、道教えてあげただろ?あの時は兜を付けてたから分からないのも仕方無いけど」

 

「ああ、あの時の…」

 

サラマンダー領で翔び方や《スイルベーン》までの道を教えてくれた親切な人だったようだ。

 

「あの時はどうも」

 

「いや、それはいいんだけど。ついさっき君宛に伝言を預かっちゃってさ」

 

「伝言?誰からですか?」

 

「あの人からだよ」

 

そう言って指を指したのは先程キリトと談笑していた明らかに強者の風格を備えたサラマンダーであった。もしかして…

 

「あの人…ユージーン将軍からだよ」

 

「…俺領地追放されるんですか?」

 

今回の襲撃を妨害したキリトと組んでいる時点でいわば俺はサラマンダーの裏切り者だ。残念だが領地には二度と戻れないだろう…。シグルド達もおそらく領地を追放されるから仲良く……出来そうに無いな。きっとこのクエストが終わったら俺は一人でぶらぶらする事になるだろうな…。しかし俺の考えはすぐさま否定された。

 

「?何言ってんの?違う違う 」

 

「…え?」

 

てっきりそうなるものだと思っていた俺は内心ほっとする…ペナルティー位はあって当然だろうに随分寛大な処置だなと思ってしまった。

 

「『あのスプリガンの連れという事はそれなりに強いと見た。領地に帰り次第俺に会いに来い、お前の処遇はその時に判断する』ってさ良かったね」

 

…訂正。死刑宣告が先伸ばしになっただけであった。つまりはあの将軍と決闘して勝てば今回の事は水に流すと言っているのだ。…勝てる訳ねえだろ!あの人外キリトですら苦戦した相手だぞ!

…ああ…レネゲイドになっちまうんだな俺は…なんか笑えてきたな。

 

「大丈夫かな君?」

 

「ははは…大丈夫ですよ。もう手遅れなんで…」

 

俺がそう言うと彼はまあ頑張ってと言ってくれた。…その気遣いが逆に痛い…

 

「じゃあ伝えたから…まあ、戻れた時はよろしく」

 

そう言って彼はユージーンの元に戻って行った。なんというか…良い人だったな。まあ…俺が領地に帰れる確率は絶望的であるが…レネゲイドでもやっていける所を真面目に探してみようなどと考えてしまった。

 

 

 

 

「それでは約束通り俺たちは退こう。全員領地に帰還するぞ!」

 

 ユージーンの号令でサラマンダー達は《蝶の谷》を後にした。おそらくこのまま真っ直ぐ領地に帰るのだろう…

一段落付いた事で緊張感が切れた俺は一息つく…

 

「助けに来てくれてありがとうリーファ。それに君も」

 

「どういたしましてサクヤ」

 

「どうも…」

 

そう声を掛けてきたのはシルフの領主であった。名前はサクヤと言うらしい…。緑色の長い髪に腰に刀を差して胸元を強調させるような着物を着た女性だ。…話し方からしておそらく年上だと思う。

その言葉に一応返事を返しておく。

 

「それにしても何故リーファ達は遅れて来たのだ?」

 

「ああ!忘れてた!サクヤ実は…」

 

サクヤの疑問にリーファが答えてくれた。シグルドが裏でサラマンダーと繋がっていた事、そのシグルドに邪魔をされて来るのが遅れた事…それを聞いて彼女は深い溜め息を付いた。

 

「はあ~。まさかシグルドが裏切り者だったとは…前から上昇指向が強い奴だとは知っていたのだが…」

 

「そんな奴なら尚更しっかり見てないと駄目だろ?こんな状況になったのはあんたの責任でもあるんじゃないか?」

 

そもそも彼女がしっかりとあのシグルドを見ていればこんな状況にはならなかったのだ。部下の責任は上司の責任とも言うし…。しかし…

 

「タツヤ君言い過ぎだよ!」

 

俺の非難に応えたのは目の前のサクヤではなく隣にいたリーファであった。リーファはすごい剣幕でこちらに詰め寄って来た。

 

「サクヤはね!たった一人で領主の仕事をこなしていて大変だったの!いくらタツヤ君でも彼女の事を悪く言うのは許さないよ!」

 

「ああ…えっと…その…少し言い過ぎた…悪い」

 

そんな剣幕で責められてしまったら俺に出来る事など一つしか無い…俺はサクヤに対して謝罪した。しかし彼女はこちらに手を向けて口を開いた。

 

「ありがとうリーファ。だが彼の言う通り私の監督不行き届きだよ。君たちには迷惑を掛けてしまったな。」

 

それにしても…と彼女は話を続ける。

 

「シグルド達をたった二人で退けるとはな…リーファの実力は前から知っていたが君の実力も中々のようだ」

 

「そうそう!タツヤ君すごく強いんだよ!」

 

「あそこのキリトの足元には及ばないがな…」

 

「ほう…」

 

そう言ってこちらを品定めするかのように見てくるサクヤ…そんなにまじまじと見られると正直恥ずかしいのだが…俺は彼女から目を逸らした。すると彼女は再び口を開いた。

 

「リーファがそこまで言うなら実力は確かなのだろう。どうかな?シルフ領に来ないか?」

 

「…俺はサラマンダーですよ。そんなのを雇ったら困るんじゃないですか?」

 

現在サラマンダーとシルフの仲はお世辞にも良いとは言えない…初めて訪れた時のあの敵意が混ざった視線は今でも覚えている。残念ながらわざわざそんな視線を受けたくないのだが…

 

「その辺は気にしなくてもいいさ。私は領主だからな…皆にはちゃんと説明する」

 

まあ、確かに領主だから他種族を雇うというある程度の無茶も出来るとは思うが…

 

「…なんでそこまでするんですか?」

 

彼女がそこまでして俺を…因縁のあるサラマンダーを勧誘する理由が分からないかった俺は素直に聞いてみると彼女は俺の疑問に答えてくれた。

 

「あれでもシグルドは腕が立つ男でね…こちらとしては戦力が欲しいのさ」

 

確かにあいつがシルフを抜ける事は戦力ダウンに繋がるだろう。あんな平気で人を裏切る奴だが強さ的にはかなり上位にいると俺は考えている。だが…

 

「それならキリトを勧誘すればいいんじゃないんですか?」

 

別に俺である必要は無い。それこそキリトの方が適任ではないだろうか?あいつは女性のお願いに弱そうだし…

 

「確かに戦力的には彼を勧誘出来れば一番いいのだが、正直どんな行動をするか分からない危うさがあるからな…」

 

それでも戦力としては欲しいがね…と続けるサクヤさん。…確かにあいつは突拍子も無いことをするからな、完全に御する事はあの鬼嫁アスナでも不可能であろう。彼女の人を見る目は確かなようだ。まあ例外はあると思うが…

 

「ならそれこそ俺はやめておいた方がいい。自分で言うのもなんだが信用出来るような人間じゃねえからな」

 

俺は人の期待に応えられるような人間ではないのだ、今だってサラマンダーを裏切っているようなものだしな。しかし…

 

「そんな事無いよ!」

 

俺の言葉を否定する声が聞こえた。声の発生源…リーファはさらに言葉を続ける…

 

「確かにタツヤ君はぶっきらぼうで、ガサツで怒りぽくって端から見たらチンピラ見たいに見えるかもしれないけど…」

 

「………」

 

…なあリーファ、ここって俺が怒るところで合ってるのか?そんなに言われたら流石の俺でも傷付くのだが…

堂々とし過ぎて逆に怒り辛いし…間違って無いところが余計に性質が悪い。

 

「でも!優しいし、頼りになるし、一度決めた事はしっかりやる人だもん!だから私はタツヤ君は信用出来る人だと思うよ!」

 

それは違うリーファ…本当の俺は自分勝手で優柔不断で逃げているばかりの人間なんだ。でも…

 

「…ありがとう。リーファ」

 

そんな人間では無いなんて事は俺が一番分かっている。例え嘘だとしても俺には勿体無い言葉だ…だがそれでもそんな言葉を俺にかけてくれることが嬉しかったのだ。

するとクスクスと笑い出すサクヤさん…一体どうしたのだろうか?

 

「いや、すまない…つい可笑しくて。なるほど…ますます気に入ったよ」

 

そう言ってこちらに近付いて来るサクヤさん。そして…

 

「な?!」

 

俺は驚いた声を出してしまった。それもその筈…なんとサクヤさんが俺の腕を取り体を密着させたからだ。え?!なんでこうなった?こういうのはキリトの役目だろ!

 

「どうかな?私の下で働かないか?」

 

「あ、あ、あ、あ、あ…え、え、え、えっと…」

 

そう言ってその豊満な胸を俺の腕に押し付けるサクヤさん。その柔らかな感触が俺の腕に伝わって…落ち着くんだ俺!落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け…

って落ち着けるかーーーー!!!

 

「ちょっとサクヤ!タツヤ君困ってるでしょ!」

 

動揺し過ぎて可笑しな事になっている俺に助け船に入るリーファ。マジサンキュー!だが…

 

「そうかな?彼も満更ではないようだが…」

 

その言葉で一気に不機嫌な顔になりジト目で睨んでくるリーファ…

 

「ふ~ん…。そうなんだ…タツヤ君って色仕掛けにコロッとやられちゃうような人なんだ…」

 

そう言ってぷいと顔を逸らしてしまうリーファ…そんなリーファに視線で助けを求めるがそれは無視されてしまう…どうすればいいのか分からずあたふたしていると再びサクヤさんはクスクスと笑って俺を離してくれた…

…今分かった。俺はからかわれたのだ。ジト目で睨み付けると彼女は笑いながら謝罪した。

 

「すまない、すまない。初心な反応が楽しくてな…つい悪ふざけをしてしまった。だからリーファもそんなにムスッとするな」

 

そう言われてリーファもからかわれた事に気付いたのであろう。俺と同じようにジト目で彼女を睨み付ける。

だが彼女はそれすらも面白いのかさらにクスクスと笑い始めた。…年上特有の余裕というやつだろうか?まあ…

 

「リーファ行こう。悪いけどこれ以上からかわれたくない…」

 

残念だが俺は人にからかわれて喜ぶような人間ではないのだ。…それにあの人は少し苦手だ。悪い人ではないのだろうが雰囲気というかなんというか…説明は出来ないがともかく苦手なのだ。俺はリーファにそう提案するとそうだねと言ってついて来てくれた。そして未だにケットシー領主…アリシャ・ルーさんと話しているキリトの元に向かった。

 

 

 

 

「ば、馬鹿な…」

 

 しばらくアリシャさん達と話しているとそんな声が後ろから聞こえた。振り返るとそこにはシルフの裏切り者…シグルドの姿が…。自分の領主が殺られているの確認するために羽が再生したらすぐに翔んで来たのだろう…その顔は驚愕に満ちていた。

 

「やあシグルド、リーファから聞いたぞ今回の件はお前の仕業のようだな」

 

シルフ領主…サクヤが口を開いた。まるで朝の挨拶のような気軽さだが、逆にそれが恐怖心を煽る…

 

「ま、待ってくれサクヤ!」

 

「なんだ弁明したいのか?聞くだけは聞いてやろう。まあ、お前の処遇はもう決まっているのだがな」

 

そう言うと黙ってしまうシグルド…考えなくても自分が領地が追放される事は分かるのであろう。ここに来た以上は逃げる事は不可能だろうし…奴は顔を俯けたままゆっくりと歩き出した。そして…

 

「サクヤーー!死ねーーーーー!」

 

「「「「「な?!」」」」」

 

なんと奴は剣を抜いて叫びながら自分の領主目掛けて走り出したのだ!…その完全に予想外な行動に俺たちは反応が遅れてしまった。

マズイ!サクヤさんもあまりに予想外だったのか動いていない!そのまま奴の剣が彼女の眼前まで迫る。そして…

 

「…え?」

 

奴はそんな間抜けな声を出した。それもその筈…奴の剣は彼女を斬らず右腕と共に足元に転がっているからだ。そして首元にはサクヤの刀が突き付けられていた…

つまり彼女はシグルドの右腕を斬り落としてそのまま奴の首に刀を突き付けたのだ。簡単な話だが問題はそこでは無い。

 

『なんて速さだよ…』

 

彼女はあの一瞬で抜刀して奴の右腕を斬り落とし首元に突き付けたのだ。人間技じゃねえ…。刀の軌道なんて俺にはほとんど見えなかったぞ。

そのサクヤは剣呑な視線でシグルドを射抜き首元を刀でペチペチ叩いている。…怖い、マジ怖いんだけど!これ程の恐怖はかの《魔人アスナ》を怒らした時以来な気がする…

 

「まさかお前がそんな肝の据わった男だったとはな、少しばかりお前の評価を上げないとなシグルド」

 

「あ、あ、あ、あ」

 

サクヤの言葉に口をパクパクさせるシグルド…その気持ちは分かる。あんな怖いのが目の前にいたら誰だってああなるだろう…まるで蛇に睨まれた蛙…いや、そんな生易しいものではない、あれは魔王に睨まれたスライム…絶対服従の道しか残されていない。シグルドの運命は決まってしまったようだ…

 

「こんな事をしなければ領地を追放するだけで済ましたのだが…どうやらそれだけでは足りないようだな」

 

「ま、ま、ま、待ってくれ!俺は…」

 

「問答無用!」

 

そう言って一切の躊躇も無くシグルドをバラバラにするサクヤ。それに満足したのか彼女はまるで血を払うように刀を振った後ゆっくりと鞘に戻した。

 

「見苦しいところを見せてしまったな…すまなかった」

 

そう言って頭を下げるサクヤ。しかし周りの奴は先ほどの行為に唖然としてしまって何にも反応が出来ないようだ。…キリトが冷や汗を流していたのはおそらくあの奥さんの事を思い出したからであろう。あいつも大変だったんだな…

 

 

 

 

「それよりもサクヤちゃん。助けて貰ったんだからお礼しないトー」

 

「そうだな…君たちには何か礼をしたいのだが…」

 

 この空気を変えるためなのかアリシャさんが口を開き、サクヤさんがそれに同意した。

しかしお礼と言われてもな…別に欲しい物は今は特に無いし、そもそも何か見返りが欲しくてやった訳では無いのだが…おそらくキリトも同じような事を考えているとリーファが口を開いた。

 

「サクヤ、この同盟って世界樹攻略が目的なんだよね?」

 

「まあ…究極的にはな」

 

リーファの言葉で俺はこの会談の目的を思い出した。あったじゃねえか欲しい物!隣のキリトもそれに気付いたようだ。捨てる神あれば拾う神ありってのはこういう事を言うんだな!…あの場合、捨てたのは俺なのだが…

 

「その世界樹攻略に俺たちも入れてくれないか?」

 

「構わないよ」

 

その言葉に内心喜ぶキリト。…だがなキリト、まだ第一関門を通っただけだぞ。最低条件はまだ満たしていない…

 

「ちなみに準備にはどれくらいかかるんだ?」

 

この会談は世界樹攻略の際には協力しましょうというものだ。まだ両陣営共準備が出来ていないと考えるのが普通であろう。

 

「う~ん…。全員の装備を整えるのにはまだユルドが足りないからネー。まだ数週間はかかるかな?」

 

数週間か…長いな。だが現状では一番確実な方法がこれなのだ。キリトには我慢して貰うしかあるまい。しかし、キリトはメニューを操作し何かを取り出してそれをアリシャさんに渡した。あれもしや…

 

「!スゴイよ!十万ミスリルユルド貨がこんなにも!」

 

「これは…!一等地にちょっとした城が建つぞ!」

 

マジかよ!お前なんでそんなに持ってんだよ!俺は叫びそうになるのを必死で堪えた。つか本当になんでそんなに持ってたんだ?俺なんかここ来てすぐに使い切ちまったぞ!

 

「俺には必要無いから使ってくれ」

 

流石キリト…太っ腹だ。今度なんか奢って貰うかな?そんな事を考えてしまった。

 

「これだけあれば目標金額まであと少しだヨー。急いで準備するネー」

 

良かった…これで思ったよりも早く攻略に行けそうだ。こちらとしても時間はあまりかからない方が良いしな。

 

「良かったね。タツヤ君」

 

そう言ってくれたのはリーファであった。別に早く行けたところで彼女には何の得も損も無いのだが…本当に良い奴だよな彼女…

 

「キリト君も良かった…ね…」

 

急に言い淀んだリーファに疑問を感じキリトの方を向くと…

 

「君、ケットシー領で傭兵やらない?今なら三食おやつに昼寝付きだヨー」

 

「個人的に君に興味もあることだし…どうかな?《スイルベーン》で酒でも…」

 

キリトは領主二人を侍らせていた。

…正確には違うのだろうが端から見たら同じことだ。二人の領主はその体をキリトの腕に密着させており…両手に華…ふとそんな言葉が頭を過った

これをかの魔人アスナが見たら……俺はそこで思考を止めた。…わざわざトラウマになりそうな事は考え無い方がいい。キリトは意外にも困った顔をして助けを求めていたが、あれの矛先がこちらに向くのを避けたいので悪いが無視させて貰った。

しばらくするとリーファが止めに入り二人の領主は満足したのか部下たちと一緒に帰って行った。

 

 

 その後怒っているユイをキリトが必死に宥めていたのは…まあ、当然の結果であろう。

 




シグルドを強化したら領主であるサクヤさんも強くなってしまいました(笑)
あの見た目で強く無い筈がない!というのが作者の意見です(笑)
それでは次回予告です
《アルン高原》にある小さな村に降りたタツヤ達。その村は不気味な程静まり返っており…
次回「謎の村と再び…」にレディーゴーーー!!!
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