授業にレポートにバイトと段々と執筆に掛ける時間が減っていく毎日……悲しいけど俺、大学生なのよね(笑)
今回久しぶりの戦闘回なので正直ビクビクしてます。
お待たせしました。それではどうぞ
第三十七話:サラマンダーVSサラマンダー
「…………ハァ」
「もう、そんなに溜め息ばかりついて……こっちまで気が重くなるじゃん」
晴れ晴れとした青空――そんな清々しい空に似つかわしく無い大の大人の溜め息が虚しく響く。その何度目かの溜め息を隣で聞いている少女リーファの表情はどこか呆れ顔だ。
現在俺とリーファはサラマンダー領の首都に向かうためその境界にある森の上空を翔んでいた。何故サラマンダー領の首都に行くのか?その理由はサラマンダーのユージン将軍に会いに行くためだ。正確には決闘だが…………
事の発端は数ヶ月前、グランドクエスト攻略のために世界樹に行こうとした時に起きたシルフ・ケットシー同盟会議をサラマンダーの部隊が襲撃しようとした事件から始まる。
まあ詳細は省くが結局はキリトが間に合い襲撃は失敗、シルフ・ケットシーの両領主共無事助かり万々歳な結果に終わったのだがそれはさておき、重要な所はその場所で俺はサラマンダーの将軍さんに顔を覚えられてしまった、という事だ。
サラマンダーに喧嘩を売るような行為……当然ながら何かしろのお咎め、例えば領地追放とかがあると思っていたのだがでその場ではお咎め無し、代わりに後日将軍と決闘しその結果で処分を決めると言われてしまった、と…………
ハァ……空はこんなにも晴れやかなのに――――――俺の未来はお先真っ暗……溜息が出てしまうのも仕方ない事だろう。
「大丈夫!お兄ちゃんが勝てたんだからタツヤ君も何とかなるって!!」
そんなやる前から無気力状態の俺にエールを送るリーファ。…………その気持ちは凄くありがたいが、むしろ今の俺には逆効果だ。つまりキリトレベルじゃないと勝てないと言っているようなものじゃないか……。俺をあの人外と一緒にして欲しくない、残念ながら俺は
ちなみにその人外キリトはユージン将軍について『いや~、本気出さなきゃ絶対負けてたよ。タツヤ、ドンマイ』と悪気も無く俺に言いやがった。他人事だと思いやがって……あん時の顔は今思い出してもマジムカつく……!!………………ハァ。
「もうっ、そんなに行くのが嫌なら行かなきゃいいのに…………」
頬を膨らませながら呟いた彼女の言葉は最もだった。別に向こうは何時とは言っていないし最悪レネゲイドにされたって中立地帯でやっていけない事は無いのだ。不便だけど……
だけどそれは出来ないというかしたくない。約束は破りたくないというのが一つ、もう一つは――――
「…………カッコつかねえじゃん」
「ん?今何か言った?」
「別に……何でもねえよ」
まあ一番の理由がこれだと思う。領地から追い出されたなんて男としてカッコ悪いじゃないか。別にリーファは気にしないとは思うがそういう問題じゃない、なんというか……自分が言うのも可笑しい話だけど男ってそういうもんなんだと思う。好きな奴の前では見栄っ張りでカッコつけたがる……
それに戦いもせずに諦めるなんて情けなさ過ぎだろ?例え望みが薄くても、だが…………
…………ハァ、やっぱり憂鬱だ。ユージン将軍はALO最強と謳われた男、本人の実力もさることながらエセルアルシフトという武器や盾を透過する伝説級武器《魔剣グラム》を持っている。云うならば鬼に金棒だ。
つまり今から赴く戦いはかなり勝機の薄い戦い……薄いという事は勝機があるのでは?と言われるかもしれないが最早ボールでゲルググに勝つぐらいの可能性だ。……なあ、やる気も失せるだろ?
「ねえ。戦う前からそんなネガティブだったら絶対に勝てないよ。いつも通りのタツヤ君でいないと」
リーファのありがたいお言葉。長年剣道をやっているだけあってその言葉の持つ説得力は絶大だ。……だが、だからといって自分でモチベーションを上げるというのは中々難しい。それに残念ながらそもそもポジティブな思考というのはあまり持ち合わせていないのだ、俺は。
「じゃあさ、勝ったら何かご褒美くれよ」
「えっ……ご、ご褒美?」
―――――――だからだろうか。思わずそんな無理なお願いをしてしまったのは……。俺の言葉にすっとんきょうな反応をするリーファ、それを気に掛けずに話を続ける。
「何でもいいよ。飯奢ってくれるとかクエスト付き合ってくれるとか何でも」
自分のモチベーションを上げようと適当に出てしまった言葉。言ってしまってから俺らしくないなんて自嘲してみるももう遅い。そんな突拍子も無い言葉を投げかけられたリーファは腕を組みながらう~んと唸りながら顔を俯かせる。
…………俺の戯言にそんな本気で悩んでくれている彼女の姿を見て思わず溜息が出てしまいそうになる。彼女に対してではなく自分に対してだが…………。ハァ、何やってんだよ俺は。リーファを困らせて本当に情けない…………どうやら流石にネガティブになりすぎたらしい。彼女の言う通りこんなんじゃ誰にも勝てない。
「…………悪い、今の言葉は忘れてくれ」
そう彼女に告げて俺は気を取り直すように両手で頬をパンパン叩く。よし!さっきよりは大分マシになった気がする!
「飛ばすか」
「えっ?!う、うん……」
そのまま陰鬱な気分を吹っ切るように全速力で空を駆けリーファもそれに続く。頭の中を下らない戯言から戦闘用へと切り替えて――――俺の思考はどうやってあの将軍さんに勝ってやるか――その一点に向けられていた。
だからだろう――俺の隣を翔んでいる彼女の顔が僅かに赤く染まっているのに気づかなかったのは…………
そんなこんなで俺達の目の前には砂漠の町、サラマンダー領の首都が見えて来た。決闘の場所として指定された中央の広場には多くの人が集まっているのが遠巻きにも分かる。ユージン将軍の戦いぶりを見に来たのか、それともそんな彼に挑もうとする愚か者を嘲笑いに来たのか……どちらにせよ暢気な奴らだ、こっちの気苦労を察してとっとと退散して欲しいものだ。そんな観衆をなるべく気にかけず中央に降り立つ。
「ふん、早かったな」
「えぇ、まあ……」
到着早々そう鼻を鳴らして俺を見据えるのはサラマンダー領主モーティマの弟であり俺の決闘の相手――ユージン将軍だ。静かだが威圧感がたっぷり込められた言葉を聞いて身体がピリピリする。
これがALO最強と謳われた男の迫力……気をしっかり持たないとと呑み込まれてしまいそうな――そんな覇気を身に纏った男だ。その姿はまるで
「来て早々で悪いがギャラリーが待ちくたびれてしまうのでな、始めるか?」
「すみません。その事で将軍に頼みというか提案があるんですが」
今にも剣を抜こうと柄に手を掛けるユージン将軍。それを俺は待ったと静止を掛ける。
「この決闘……半損決着にしませんか?」
「……何故だ?」
その提案に怪訝そうに俺を睨みつけるユージン将軍。俺はそれに最もらしい理由で答えた。
「いや……どちらともデスペナは惜しいですし、全損だと終わるまでに時間が掛かる。それに実力が見たいっていうなら別に半損でも構わないんじゃないですか?」
とまあ口では色々言ってみたが一番の理由はこのルールが俺にとって一番勝てる確率があるからだ。もしこの提案が拒まれたら俺の勝率はグーんと下がる、つか絶対に負ける。
「…………いいだろう。では始めるか?」
その言葉を聞いてホッとする。良かった……これで少しは希望が見えてきた。だがそんな安堵も束の間、将軍が抜いた剣を見て思わず息を飲んでしまう。
《魔剣グラム》幾人ものプレイヤーを斬り裂いてきたであろうその刀身は鮮血を連想させるように真っ赤に染まっていた。強面将軍さんとの相乗効果でその迫力は絶大だ。
対する俺も自らの得物を背中から抜く。幅広大型な三角形の穂先、それがルビーのように真っ赤な光沢を放っている長槍《カーネリアン・ピアース》リズベットの作品だ。それを右手でクルクルと回し感触を確かめる。うん今日もよく手に馴染む、武器の調子は万全だ。
だがそんな一人満足している俺とは対照的に目の前の将軍は不機嫌そうに顔を歪める。その瞳は俺――ではなく正確には右手の槍を一点に見つめていた。
「?前の槍はどうした?」
前の槍?その言葉の意味が分からず首を傾げながら考える。前の前の前の…………あ、そういえば初めて会った時この人見てたんだっけブリューナク、今思い出した。まあ、ありのままの事実を言うしかないよな……
「……壊れました」
「壊れた、だと?」
信じられない、という顔を一瞬するも今度はその表情が変わる。その顔色にあるのは興味が無くなったという失望……こちらを見向きもせずに心底つまらなそうに口を開く。
「ふん、ならば貴様は今万全ではないという事か?全力の貴様とやり合いたいというのにつまら――」
「おい、将軍さん。今の言葉は聞き捨てならねえな」
その傲慢な言動に思わず荒っぽく反論する。別に俺の事をつまらないと言った事に怒っている訳じゃない。俺の怒りの原因は今の俺を万全じゃない……この槍を劣っているとほざいた事だ。
「こいつは俺が今まで使ってきた中で最高の槍だ。それが前より弱いだ?ふざけんじゃねえよ」
この槍を俺にくれたのはリーファだ。俺が長い間留守にしていた間にリズベットに頼んで作って貰っていたらしい。フィールドを駆け巡り貴重な素材を集めて……そんな彼女の努力と時間、想いが込もったのがこの槍だ。こいつに勝るものがあってたまるか!そんな俺の反論にユージン将軍はさっきまでの興味が失せたような表情を一変させる。
「ほう……では貴様は俺に勝つつもりなのか?」
「当たり前だろ。誰がやられに来るってんだ?あんたのその澄まし顔をグツグツのシチューにしてやるよ」
「そこまで大口を叩くとは気に入ったぞ、小僧。精々俺を楽しませろ」
「あんたこそ、精々負けた時の言い訳でも考えてな」
そんな挑発染みた言葉を目の前の将軍さんに投げ掛けながら俺はメニューを開けてもう一つの得物を取り出した。
「…………何のつもりだ?」
静かだが怒りの込もった声……それに全く悪びれずに俺は答える。
「何のつもりって、これが俺の武器ですよ」
「…………二刀流の真似事か?」
そう呟かれた声はどこか憎々し気だ。まあその理由は分かっている、云わばこいつは古傷を抉るようなもんだしな。
というのも実はこの将軍さん、実は二刀流を使ったキリトに負けたのだ。防御を透過する《エセリアルシフト》というスキルを二つの刃で防ぎさらに連撃で畳み込まれて敗北したらしい。それで今の俺は二刀流ならぬ二槍流……よもや同じ手で勝利するつもりなのか?とあの将軍さんは考えているのだろう。
ちなみにこの槍の名前は《ソルジャー・ジャベリン》。アインクラッド第一層の草原地帯で大量にPOPする《ゴブリンナイツ・ソルジャー》という甲冑を着たゴブリン型Mobを倒すと高確率でドロップする一メートル程の長さの短槍だ。これと言った特徴の無い武器……当然ながら右手の槍と比べるとその性能は数段も劣る。何故こんな安物の槍なのか?それは追々説明しようと思う。
「貴様は全力で叩き潰してやる」
俺の態度が余程気に入らなかったのだろう。殺意にも似た敵意を身に纏い上空に上がるユージン将軍。それに倣い俺も同じ高度まで上昇しそんな将軍に決闘申請を送る。
刻々とカウントダウンが始まる。俺とユージン将軍――両者とも睨み合い緊張が走る。残り十秒……お互い不動の姿勢から臨戦態勢へと移行する、俺は槍を前に出し身体を低く、対する将軍さんは剣を中段に構えて……
5、4、3、2、1……そしてカウントがゼロ――――合図が鳴るその瞬間、俺達は得物を手に駆け出した。
リーファside
タツヤ君とユージン将軍二人の間に出ていたタイマーがゼロになると同時に二人は駆け出した。タツヤ君が槍を突き出すとそれを身体を捻りかわしながら横一閃に斬り裂こうとするユージン将軍。それをバックで避けると同時に手早く戻した槍を再び突き出すタツヤ君……戦いは互いに一歩も譲らない一進一退の攻防だ。
「やあ、久しぶりだね~シルフのお嬢さん」
そんな決闘を一挙一動見逃さないように見ていると突然声を掛けられた。赤い髪をトサカのように逆立てたサラマンダー……そのフランクに話し掛けてきたサラマンダーさんに私は恐る恐る尋ねてみる。
「えっと…………失礼ですけど誰ですか?」
そう知らない人なのだ。そもそもサラマンダーの知り合いなんて今戦っているタツヤ君にクラインさん、それにそのギルド風林火山のメンバーだけだ。だからこの人は知らない筈なのだけど……
私の問いかけに彼は『またか……』と落ち込んだように顔を沈める。その姿を見ていると特に何をしたわけではないのだけど罪悪感が湧いてしまう。
「ほら、これで分かるかい?」
そう言ってそのサラマンダーさんはあるアイテムを取り出した。サラマンダー領で一般的に入手しやすい重戦士用の兜……
「…………あッ!あなたは」
それを一目見て私は思い出した。朱色の兜に気の抜けるように間延びした声、この人は――――
「ランス隊隊長カゲムネ!!」
「そうそうそう!名前まで覚えてくれているなんて光栄だね~」
私の言葉に嬉しそうに頷く見知らぬサラマンダーもといカゲムネさん。彼はサラマンダーの中でも有名人だ。
今となっては昔の話だがまだシルフとサラマンダーの間にいざこざがあった頃、何人ものシルフを狩っていたシルフ狩りの名人……私も一度だけ会った事があるけど兜を被っていなかったら全く気がつかなかった。というより何で話し掛けられたんだろう?そんな疑問を感じていると――――
「いや~君の連れ強いね~」
……突然そんな事を言われた。いきなりそんな事を言う意図は全く見当がつかないけど……好きな人を褒められるというのは悪い気分じゃない。自分の事を褒められているようで思わず顔がニヤけてしまいそうになる。
「ええ、タツヤ君は強いわよ」
「そうだろうね。でも彼、負けるよ」
「……どうしてそんな事分かるんですか?」
どこか確信めいた彼の言葉に思わず睨みつけてしまう。すると彼はさも当然だろと答えた。
「君だって知ってるだろ?ジンさんはALO最強のプレイヤー……まああのスプリガンに一回負けちゃったけどそれからジンさんは打倒スプリガンの剣士って張り切っちゃてさ~。だから今のジンさんはあの時よりも強いよ」
「でも――」
「それに……彼は将軍だからね。ほら?見て見な、あれを」
将軍だから……つまりサラマンダーの将軍として他のサラマンダーには負けられないと言っているのだ。
彼の示した方向を見ればそこにいたのはタツヤ君とユージン将軍、だけどその優劣は先ほどとは違い歴然だった。次から次へと大剣とは思えない速度で放たれる斬撃に防戦――いや躱す事しか出来ないタツヤ君……遠目からなのにその表情は私には苦しげに見えた。
「ようやくエンジン掛かったみたいだね、ジンさん」
嬉しそうに笑うカゲムネさん。最初の応酬の時は全然本気じゃなかったの!私は今戦っている相手の底の見えない強さに戦慄した。
……前の私ならもう諦めていただろう、それほどまでに相手を信じる事なんて出来なかっただろう…………でも――今は違う!私は彼が勝つって信じているのだ!!私は二人の戦いを一瞬も見逃さないように見続ける。彼が勝利するその瞬間を逃さないように。
頑張って、タツヤ君――――私は祈るように胸の前で手をぎゅっと握った。
一方的……現状を表すのにこれほど適した言葉は無いだろう。最初こそ互角の戦いを演じていたがエンジンが入ったかのように猛攻を仕掛けてくるユージン将軍に俺は防戦一方になっていた。
「どうした!!所詮は口だけかッ!!」
横一閃、上段斬り下ろし、袈裟斬りと三連撃を繰り出すユージン将軍。それを後ろに退がりお返しとばかりに槍を薙ぎ払うが空気を斬り裂く音がするだけ、ユージン将軍は飛び上がりぐるりと一回転しながらの体重を乗せた重たい斬撃を浴びせようとする。
慌てて俺は左右の槍を頭の上で交差させて防ごうとする―――が、将軍さんの剣はその防御をすり抜けて俺を吹き飛ばした。
「ハッ!そんな付け焼き刃な二刀流で俺の攻撃を防げると思っていたのかッ!!」
怒りにも似た感情で吠えるユージン将軍。チッ!やはりあの武器が厄介過ぎるな……!!俺は今の状況を生み出している元凶を苛立ちながら睨みつけた。
魔剣グラム……非実態化する事で防御を無視する魔剣だ。キリト曰く二つの武器を使えば何とか防げるらしいがその判定はかなりシビアだ。現に俺は防げ無かった……今更ながらあの人外のアドバイスは当てにならない事を思い知る。
つかマジ武器が二つって使い難いんだな、うん。やっぱり慣れない事はしないに限る。まあ今回に限りは使う理由があったのだが……
「死ねぇぇぇ!!」
そのまま剣を前に突出しながら俺にただ真っ直ぐ突っ込んで来るユージン将軍。どうやらもうこの戦いに終止符を打ちたいらしい。せっかちな御仁だ、予想通りにな……!
「ぬぉッ!」
ソードスキル……浮遊城アインクラッドと同時にALOにアップデートされたSAOの遺産だ。勿論ALOプレイヤー全員が使えるがこっちとら二年半も世話になってきたんだ。どのモーションがどのソードスキルなのかも、ソードスキルに自分の動きを合わせてブーストさせる術も全部覚えている。
んで今発動したのは槍単発攻撃《スティング》。システムアシストと俺の動きによってブーストされた高速の一突きは真っ直ぐに将軍の右肩を射貫き攻撃を中断させる。そして初級ソードスキルの硬直は短い……次いで俺はソードスキルの勢いを生かしたまま肉薄し腹に蹴りを放つ、さながらどこぞの紅い彗星のように。
「ぐほッ!」
蹴りを喰らいくぐもった声を出しながら後ろに吹き飛んで行くユージン将軍。そいつをトップスピードで追い駆けながら身体を竜巻のように回転させると穂先を緑色の風が包み込む。上位ソードスキルのみに付加された《地水火風闇聖》の六つの魔法属性のうちの一つ風属性のソードスキルだ。それを未だ吹っ飛んでいる将軍さんの脳天目掛けて叩き落とした。
「ちょいさぁ!!」
槍上位攻撃《ライジング・シュトゥルウム》旋風を纏った鋭い一撃をユージン将軍は剣を盾にして防ごうとする。一瞬の鍔迫り合い……だがシステムのアシストを受けたそれををソードスキル以外で防げる筈もない、風の槍は簡単にその剣を打ち破り将軍の身体に赤いラインを刻むと同時に吹き飛ばした。
上位スキルの硬直が長い、その間に体勢を立て直す将軍。硬直が解けると同時にその将軍目指して槍を腰の位置に溜め込んだまま駆け出す。槍突撃技《アクセル・ドライブ》だ。
「なめるなぁぁ!!」
それに対して将軍が放ったのは両手剣上段突進技《アバランシュ》、突撃技には突撃技という算段らしい。この場合お互いの武器が打ち合えば重量に勝る両手剣が競り勝つ。まあそれを見越してのチョイスなのだろう。
システムのブーストが掛かった突進は数十メートルはある筈の距離をたった二三秒程度の距離にしてしまう。そしてこの状況――奴が大技を発動してくれるというこの状況は俺が望んでいた最大のチャンスでもあった。
先ずはあの攻撃を避ける事からだ、槍の軌道を少し上に逸らす。すると俺の身体は槍に導かれるように斜め上へ昇り将軍の剣は空振りに終わる。ソードスキルのブーストを利用した緊急回避だ。ソードスキルにはこういう使い方もあるのだよ!!と誰に言うでも無く内心で叫ぶ。
「ほぅ……」
俺の技に感嘆の声を零すユージン将軍、だがその表情は冷静だ。まあ上位ソードスキルの硬直が長いっていってもこの距離――大体八十メートルを詰めるにはギリギリ足りない。だが――いやだからこそ俺は奴を見据えながら左の槍を引き絞る。すると槍全体が青い光に包まれた。
…………ソードスキルがアップデートされたと言われても全部という訳ではない。キリトの二刀流やヒースクリフの神聖剣のようなユニークスキルは当然の事ながら外されている。
逆に言うとそれ以外の片手剣や槍、曲刀などのソードスキルや刀やランスなどのエクストラスキルは全て導入されているのだ。そう――全てのエクストラスキルも、だ…………
「
青い光を纏う槍――――それを俺は放った。槍は空を切り音を立て矢のように真っ直ぐと飛ぶとユージン将軍に突き刺さる。
槍投げスキル……かつて俺がSAOで偶然手に入れてしまったエクストラスキルだ。高い攻撃力に引き換え硬直が長く使う度に武器を一つ台無しにしなければいけないというまさにハイリスク・ハイリターンなスキル……左手の安物はこのために用意してきた使い捨てだ。
だが正直自分のスキル欄にこれがあった時は驚いた。エクストラスキルと言えばエクストラスキルだがこんな入手が面倒なスキルを持っているのはきっと俺ぐらいだからな。
「ぐぬおおぉぉぉぉぉ!!!」
放たれた槍の勢いはまだ止まらない……彗星のような光の尾を引きながら急降下を続け、ついにはユージン将軍諸共地面に激突した。その周囲を砂塵が舞う。
その光景を見て下からは『槍を投げたぞ!』とか『何だあれは?!』とか『将軍がやられた?!』とか様々な声が飛ぶが俺にはそんな言葉を律儀に聞く余裕なんて欠片も無かった。
あいつ……!あのギリギリで避けやがった……!!
正確には致命傷を避けたというのが正しい。あの一瞬、ソードスキル発動後の硬直からいち速く立ち直った将軍さんは身体を横にずらしたのだ。そのお陰で奴のど真ん中を貫く筈だった槍は奴の脇腹に突き刺さっただけ……あの一撃で決める筈がこんな事になるとは…………えぇい!サラマンダーの将軍は化け物か!!
「…………危なかったな」
土煙から現れたのは予想通りユージン将軍。首をコキコキと鳴らしながら生き生きとした表情で上空にいるこちらを睨みつける。その瞳に宿るのは獰猛な獣のような意志……目の前の獲物を全力で狩り取ってやると言っているようだった。
――――チッ!どうやら俺はこのおっさんを本気にさせてしまったようだ。奴に付け入る隙があるとすれば強者ゆえの慢心と搦め手に弱い点……それを何とか利用して勝利を手に入れようとしていたのだが奴の警戒心はこれでマックスになってしまった。もう同じ手は通用しない……最大にして最高のチャンスを逃してしまった俺は思わず舌打ちを零す。
「オラァァッ!!」
だが俺はめげずに地面に足をつけこちらを睨みつける将軍さんに二本目の槍を放り投げる。真っ直ぐな軌道を描き高速で将軍に迫る青い槍……だがそれは将軍さんが翅を広げ上へと翔んでいったため地面に突き刺さると同時にポリゴン片となり消滅した。ジャベリンを躱したユージン将軍はそのまま距離を縮めながら俺の周りを旋回する、それはさながら獲物を狙う鳥のようだ。
「まだまだ!」
俺はストレージから槍を取り出しそんな鳥目掛けて本日三本目の槍を撃ち放つ。視認する事さえ難しいような一撃……だがそれを将軍は意図も容易く躱した、その顔に笑みを浮かべながら。
「どうやら貴様のそれは真っ直ぐにしか飛ばないようだな。軌道が分かってしまえば回避も容易い。それに――」
そのまま両手剣を振り上げながら真っ直ぐ最短距離を突っ走る。勢いよく振り下ろされた剣先はソードスキル発動後の硬直で動けない俺の胴体を斬り裂く。
「クッ……!」
「硬直が長いな。その技はそうは使えまい」
チッ!やっぱ気づかれたか!!槍投げスキルの決定的な弱点……それはスキル発動後の硬直の長さと槍が真っ直ぐにしか飛ばないという事だ。そして真っ直ぐにしか飛ばない物を三次元的な動きをするのに当てるというのは非常に難しい……つまりこのスキルは俺の強みでもあり弱点でもあるのだ。
そんな簡単な事は戦闘が長引けばいずれ相手に気づかれるのは分かっていた。だからとっととケリをつけるつもりだったのだが……本当に上手くいかないものだと俺は思わずにはいられなかった。
だがそれを取ってしまえば俺なんかただ槍をぶん回すしか取り柄が無い男だ。性懲りも無くさっきと同じモーションに入るとさっきと同じ青い光は穂先に宿った。
だが今度はじっくりと狙いを定めて……奴を引き付けて引き付けて引き付けて――絶対に躱せないであろう至近距離まで引き付ける。旋回しながら近づいて来るユージン将軍の動きから目を離さず注意深く観察する。
十メートル……躱される、まだ駄目だ。五メートル……もう少し引き付けて、四メートル、三メートル、二メートル、そして剣を振り下ろそうとする一メートル!今だ!俺は溜めて来た槍を放つ。
「かかったな!!」
だがもう俺の正面に将軍さんはいなかった、槍の動きを見て一瞬で上昇したのだ。発動したソードスキルは止まらない、俺の槍も例に洩れずそのまま何も無い空へと放たれ――
「なっ?!」
――る事は無かった。俺の槍は突如軌道を変え滑空しながら剣を振り下ろそうとした将軍の顎を直撃、そのまま上へと打ち上げる。
《アッパー・ブライス》……槍でサマーソルトのような軌道を描くように振り上げるという槍の初級ソードスキルだ。そう……俺は槍投げスキルを放つように見せかけて槍スキルを放ったのだ。実は槍投げスキルと槍スキルのモーションは似た物が多い、勿論似て非なるものではあるのだがそれを初見で判断するのは至難の業だ。更に俺は槍投げスキルを全て左の槍で行ってきた、左の槍は全て投擲用だと相手に思い込ませるためだ。その作戦は見事に成功、そして――――
「これが本命よ!!」
次いで俺は右手の槍の穂先に炎を灯す。槍単重攻撃《デス・スティンガー》だ。穂先の周りを台風のように回転する爆炎……そいつを将軍へと突きつける。
「こいつで……
「ぐッ!ウオオオォォォッ!!」
渾身の一撃はノックバックしたままのユージン将軍の胴体に突き刺さった。これで後はこいつを押し込めば勝てる……!漸く俺は自分の勝利を確信した。
だが突如将軍さんの獣のような咆哮と共に俺の目の前に炎の壁が現れる。その壁は急速に膨れ上がり爆発、俺は思いっきり吹き飛ばされてしまった。
なッ?!何だよこれは!聞いてねえぞ、キリト!!
だがしかし起きてしまったものは仕方が無い。戦いにおいて予想外とはいつでも起こり得るもの。奴が攻めるとすればこの灰色の煙に身を潜めて最高速度での突撃……それしかない。
ならば俺がやる事は簡単だ、奴が煙の中から出た瞬間を狙う。俺は神経を尖らし注意深く目の前に広がっていく煙を見渡す。どこだ……どこだ……どこにいる…………妙にスローに見える景色を睨みつけながら俺は右手の槍にピンク色の光を灯し奴がいる場所を探し出す。
その時、視界の右端にキラリと光る剣先が見えた。
「そこッ!!」
光を宿した槍は真っ直ぐ目標に向かって飛んでいく。よし!遂に仕留めた!!俺は勝利を確信する。
「なっ?!グッ!」
しかしその槍は命中せずに止まる事無く彼方へと飛んでいく。躱された訳じゃない、有り得ない事に奴は――――端からそこにはいなかったのだ。
馬鹿な?!一体どういう事……そんな俺の頭に湧いた疑問に答えてくれたのは奴ではなく腹部に走る衝撃と朱色の剣だった。
魔剣グラム……あの将軍さんの愛剣だ。その剣だけが俺の腹に深々と刺さっていた。つまりあのおっさんは攻撃される事を見越して剣を囮に俺のミスを誘ったのだ。
チッ!見た目の割りに小賢しい真似をしやがるじゃねえか!!
「残念だったな、小僧!!」
スキル発動後の硬直で全く動けず降下していく俺の耳に聞こえたのは将軍さんの勝利を確信した喜びの声……落下する俺目掛けて全速力で突っ込みその剣を身体に捩じ込ませる。
「ぐッ!」
腹部に不快感が走る……HPバーを確認すればもう六割という所まで来ていた。剣が突き刺さり落下していく身体、すぐ目の前にいる将軍さんの顔には絶対の自信が満ちていた。
もう十分やった、ALO最強にここまで戦えたら最早勲章ものだろう。誰も文句は言うまい、もうここらで諦めても――――と言いたい所だが――
「まだ、だ……」
「ん?」
「まだ終わらんよ!!」
こんな所で――リーファのいる前で負ける訳にはいかねぇんだよ!!俺は掌をユージン将軍の前に翳す。するとその掌から極小の火球が発生し将軍の顔に襲い掛かる。
「クソッ!目潰しか!!」
火属性初級魔法《クラスター・フレア》火属性魔法の中で最も詠唱時間が短いがそのあまりの火力の低さと有効射程距離の短さ故に滅多に使われる事が無い魔法だ。それこそ掠り傷にもならないであろう攻撃……だが突如将軍さんは顔に飛んできた火の粉に思わず怯み反射的に俺から離れてしまう。
今がチャンスだ!このまま反撃……と言いたい所だがそうはいかない。どうやらさっきの攻撃で翅まで貫かれてしまったらしい、俺の身体はなす術もなく自由落下していき遂には背中が地面に激突する。
グフッ……!!背中を強打して走る猛烈な不快感に悶えたくなるのだが――残念ながらそうは問屋が卸してくれない。横たわる俺の視界には日輪を背負いながらこちらに向かってもの凄い速さで突っ込んで来るユージン将軍が映っているからだ。頭上にまで剣を掲げ今にも降り下ろさんとしている。
「オラァァァァァァァ!!」
獣のような烈声を上げながら突進してくるユージン将軍、だがそれに対して俺は抵抗せずに仰向けのまま見つめ続け時を待つ事しか出来ない。
「死ねぇぇぇぇぇ!!」
そして将軍は《魔剣グラム》を振り下ろす。その真っ赤な刀身は俺の眼前まで迫り来り――突然ピタリと止まった。
その顔に浮かんでいたのは驚愕……ありえないとでも言いたいように目を大きく見開いている将軍さんに俺はしてやったりと笑みを浮かばせる。どうやら漸く仕掛けが効いてくれたらしい、全く冷や冷やさせてくれるぜ……!
「…………フッ、俺の負けか」
俺の笑みの意味を悟ったのだろう、どこか満足した将軍の声と同時に目の前に”Winner”という文字が表示される。決闘の勝者は俺、将軍の背中にはさっき俺が投げた愛槍が突き刺さっていた。
《シャイニング・エッジ》投げた槍がブーメランのように回転しながら手元に戻って来るという投げ槍スキルらしからぬ技だ。こいつを使ったのはついさっき……あの煙に向かって投げた時だ。全くもって何処まで飛んでいくのかと思ったが……結果的には戻って来たので良しとしよう。
決闘が終わると同時に巻き起こる歓声……だが疲労困憊状態の俺にはその声に答えるなんて疲れる事はしたくない。正直言わして貰えばこのまま寝たいぐらいだ。
だがそういう訳にもいかない。というのも俺の目の前には地面に横たわる俺を見下ろし続けるユージン将軍がいるからだ。その手には俺に勝利をもたらした真っ赤な槍が握られている。
さて……もうそろそろ起きないとわざわざ待ってくれているあの人に失礼だろう、槍も返して貰わないといけないしな……俺はゆっくりと身体を起こす。立ち上がると同時に槍を投げて渡してくれたユージン将軍……その顔はいつものように厳ついままだがどこか嬉しそうに見えた。
「見事な戦いだった。貴様とはもう一度剣を交えたいな」
「ハハハ…………暫くは勘弁して下さいよ、将軍さん」
こっちとらあんたと違って
「しかし解せぬな」
「ん?何がですか?」
「あの技……貴様は俺の攻撃を予測していての事だろう?何故あんなやられるリスクの高い方法を選んだ?」
あの技……というのは《シャイニング・エッジ》の事だろう。つまりあの剣を囮にする事が分かっていたなら、そんなリスクを負わなくても倒す事が出来たのでは無いのか?と言っているのだ。
どうやら相当買い被られているようだ……すぐさま俺は訂正をさせて貰う。
「ハハハ……まさか、あんなの予測出来る訳ないでしょ?あの攻撃は流石に予想外でしたよ」
そもそもあの攻撃が分かっていたなら迷わず避けていただろう。そしてわざわざ武器を投げて無手状態の将軍を追い掛け回して槍を突き刺す……その方が圧倒的に勝率が高いし何より楽チンだ。
「では何故……」
と俺の答えに当然ながら再び疑問を持つユージン将軍。……どうしようか。別に言っても構わないのだが、なんというか……少し恥ずかしい。本音を言えば答えたくない質問だ。だが目の前の将軍は『答えるまではここから一歩も出さんぞ』的なオーラを醸し出している。仕方ないので俺はそっぽを向きながら掠れるような声で渋々答えた。
「……こいつを壊したく無かったんですよ」
「ん?……ああ、そう言うことか」
俺の言葉を聞いて納得したようにフッと笑うユージン将軍、その視線の先には俺の手に握られた紅い槍があった。
《カーネリアン・ピアース》……リーファからの贈り物である俺の愛槍だ。俺があの時あのソードスキルを使った理由はただ一つリーファから貰ったこの槍を失いたく無かったのだ。
《シャイニング・エッジ》には他の槍投げスキルとは異なる点が二つある。一つは槍が自分の手元に戻ってくる事、もう一つは耐久値にもよるのだが槍が無くならない事だ。つまり俺はあの時勝負云々より咄嗟に自分の武器を選んだという事だ。
「大事にしているのだな、その武器を」
「……えぇ、まあ」
大切な人からのプレゼントですから……なんて言葉は飲み込む。そんな小っ恥ずかしい事をこんな大勢の前で言えるほど俺の肝は座っていない。まあ大勢じゃなければ言えるのか?という事はさておき……
「約束だ、あの件は不問としよう」
「ああ……ありがとうございます」
将軍さんの言葉でどうして決闘をしていたのかを今更ながら思い出した。そういえばレネゲイド云々で戦ってたんだよな俺、今の今まですっかり忘れていたぜ。まあ色々それどころじゃなかったしな……
「その代わり貴様にまた再戦を申し込みたいのだが……」
「…………いやマジで当分は勘弁してくれよ……」
そんな情けない声と同時に周りからワッと笑い声が上がる、こうして俺とユージン将軍との決闘は幕を閉じた。だが結論を言わして貰えば俺は将軍さんのお眼鏡に掛かってしまった訳で……素直にレネゲイドにならなくて良かったとは喜べなかったのであった。
「おめでとう!頑張ったね、タツヤ君!」
「ありがとう、リーファ。まあ目つけられちまったみたいだけどな……」
「ほら、そこは武の誉れ……みたいなもの?って思えばいいじゃない!」
帰路に着く途中で俺に労いの言葉を掛けてくれるリーファ。その言葉はとても嬉しいし、せっかくの二人きりなので色々話したいのは山々なのだが生憎今日はすぐにでも帰りたい気分だ。それほどまでにあの将軍との勝負は疲れるものだったのだ、肉体的にも精神的にも…………
「今日はもう疲れたよね、早くいつもの宿に戻ろっか?」
そんな俺の心情を思いやってくれての事だろう……彼女は優しくそう提案してくれた。気を遣わせてしまった事に申し訳無いと思いつつも『あぁ……』と言葉少なく返事をして彼女の好意に甘えさせて貰う。そのまま俺たちはスイルベーンにあるいつもの宿に向かおうとしていた。
「あっ?!」
「ん?どうしたんだリーファ?」
だが突如大声を上げて止まるリーファ。俺もその声を聞いて彼女の一歩前で静止し振り返りながら尋ねてみる。すると彼女はそのエメラルド色の瞳を大きく開いて答えた。
「……忘れ物しちゃった」
全く予想していなかった言葉に俺は思わず首を傾げてしまいようになる。忘れ物ぐらいでそんな大声を出す必要なんかないと思うのだが……。つか……意外におちょこちょいなんだな、なんていう感想を抱きつつも俺は彼女に告げる。
「ここで待ってるから取りに行きな」
「うん!」
俺の言葉に元気良く返事をするリーファ。それを見送りながら俺は振り返ったままの頭を正面に戻そうとする。
だが――この時の俺は全く気づかなかったのだ。そもそも付き添いだけで来た彼女に忘れるような物なんて何一つ無かった事に…………
俺が彼女の見るために振り向いた顔を戻した――その瞬間、頬に柔らかいものが落ちた。
思わず感触があった右側に目を向けるとそこにいたのはリーファ。だけど頬を僅かに朱色に染めて微笑む彼女には歳下とは思えない色っぽさが滲み出ていた。
「勝利のご褒美、だよ」
腕を後ろに組み可愛らしく小首を傾げながらそんな事を言うリーファ。その姿は俺には悪戯好きな妖精のようにも、男を魅了する小悪魔のようにも見えてしまって――――――俺の思考は何処か銀河系の彼方へと飛んでいってしまった。
そのまま彼女は何も言わずに俺の前を翔び去っていく。一人取り残された俺は呆けたまま空中で静止し続けていたが彼女の姿が見えなくなって漸く自分が彼女に何をされたのかを理解する訳で……
そろそろと指で頬をなぞってみた。そこにはまだあの柔らかい感触が残っていて俺の顔と身体はかあっと熱くなるのであった。
タツヤ「ジャベリンは……こう使う!!」
ユージン将軍「なァァァァにがジャベリンよォォォォ」
ガンダムならこうなっていたに違いない(笑)という悪ふざけはさておき、みなさん大変お待たせいたしましたm(__)m
いや~本当に忙しい!学年上がれば暇になるって言った奴はきっと嘘吐きですね(笑)
そしてジャベリン復活!!エクストラスキルですよ~ってしつこいぐらい言っていたのはこの時のためだったりします。やっぱ槍は投げるものですよね!!
ちなみにあの後、スイルベーンで顔面からスライディング着地をしたタツヤの姿が見られたとか見られていないとか……(笑)
次回の話はリーファがタツヤに槍をプレゼントした時の話になると思います。どうぞごゆるりとお待ち下さい。