寝落ち配信した妹の横でギターの練習してたら伝説になってた件について   作:五河 緑

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お待たせしてしまい、申し訳ありません!



#6 他箱とコラボしたい妹とドラムに逃げられた俺

 

「~♪」

 

 ひょんなことから巻き込まれ、Vtuberである妹の配信に特別ゲストとして出演したあの日から数日、今日は日曜日だ。

 大学は休みで、いつも行っているライブハウスでのバイトも今日は休み。

 久々に肩の力を抜いてリラックスできる休日。叶うのであれば、朝から晩まで趣味のギター練習でもしていたいところだが、生憎とそうもいかない。

 リビングのソファの上で下手くそな鼻歌を鳴らしながら朝からスマホの画面を満面の笑みで眺めている妹を傍目に俺はキッチンで昼食を作っている。

 

 うちの両親は相変わらず仕事に出張っていて今日も不在だ。

 俺や目の前の愚妹の食事は自分たちで用意しなければならない。ついでに言えば、洗濯物は山のように溜まっているし、掃除の行き届いていてない部屋の隅には埃が溜まっている。

 

「……なあ、妹様よ。お兄ちゃん、今お前のご飯作ってて忙しいんだわ。暇だったら掃除とか洗濯とかしてくれるとお兄ちゃん超嬉しいんだけどなー」

 

「えー?今忙しいから無理ー」

 

 どこが忙しいんだ。朝からスマホ見てニヤニヤしてるだけじゃねぇか。

 この前の配信で妹が大手事務所のVtuberだと知り、こいつも一皮剥けたのかと関心したが、私生活では相変わらずのダメ女っぷりを遺憾無く披露している。

 

「そんなことよりも見てよ、おにぃ!」

 

 トテトテと小走りでリビングに来ると妹は、いつかの時みたいにスマホの画面を向けてくる。

 表示されているのは、あるYoutu〇eの動画。

 

『週刊バズランキング! 今週のVtuber同接者数トップ15名』

 

 タイトルはそんな感じ。

 有志が作っているランキングらしく、動画は色んなVtuber達のイラストと名前が15位から1位まで順に左から右へと流れるだけのシンプルなものだった。

 残念ながらまだVtuberに対する知識が勉強不足の俺にとっては、ランクインしているVtuber達がどこの誰なのかはよく分からない。

 分かるのは14位にいた翡翠エメくらいだ。

 

 意外と男性Vtuberも多いんだな、と思った。

 妹やエメみたいな可愛らしい見た目をしたアイドル系だけが人気を博してるのかと思ったが、イケメン系の男性キャラのキャラデザや渋いオジサン系のキャラデザをした男性Vtuberも大勢ランキングに入っていた。

 

 そして、動画の最後。

 ランキングで堂々の1位に輝いていたのは赤髪で巨乳の美少女Vtuber、紅アリア……うちの妹だった。

 

「見てよおにぃ!1位だよ!1位!」

 

 テンション高めの妹は、ぴょんぴょん跳ねながら大喜びだ。

 実際、凄いことなのだろう。あの日、妹はVtuberの総数を個人、企業勢を問わなければ数千人もいると言っていた。

 そんな中で何かしら1位を取ったというのならば、それは確かに凄いことだ。

 ランキングを見てみれば、2位の『獅子郷レオン』という金髪のイケメン系男性Vtuberに僅差で妹が上回り、1位を取っていた。

 

「この獅子郷さんって人、凄いんだよ。この人もゲームガチの人だし、Vtuber杯っていうFPS大規模コラボ大会の優勝経験者だしトークも超面白いし!」

 

 でも、そんな獅子郷さんに勝ったわたし、超超超凄いっ!とはしゃぎ回る妹。

 もはや、その獅子郷というVtuberを褒めたいのか、自分を褒めたいのか分からない。

 

「それもこれも、おにぃのお陰だね!」

 

「……おう、そりゃよかったな。その獅子郷っていう人もお前のいるアートライブのVtuberなのか?」

 

 初めて見る男性Vtuberなるものが気になって尋ねてみると、妹は首を横に振る。

 

「ううん。うちって男性Vの部門ないよ。獅子郷さんは、『2clock 3clock』ていう別事務所のライバーさん」

 

 妹曰く、現在Vtuber界隈には幾つかの事務所が存在するらしい。

 中でも現在最も勢いのある事務所が妹の所属している『アートライブ』とこの獅子郷というVtuberが所属している『2clock 3clock』の二大巨頭らしい。

 それぞれの事務所に特色があり……。

 

『アートライブ』は色んな個性を持った可愛い系の女子ライバーを集めて、所謂アイドルグループのようなプロデュースで人気を集めている。

 

『2clock 3clock』は、所謂バラエティ枠のライバーが多く在籍しているようで、男女共に様々な方向に尖ったライバー達が盛んにコラボを行う事で、多様なドラマを生み出して人気を博しているそうだ。

 

 箱推しを推奨しているアートライブとは異なり、2clock 3clockは完全実力主義がモットーらしく、所属しているVtuberは大勢いるがその人気はピンキリで、まだファンがあまりついていない駆け出しのライバーから、1人で万単位の視聴者を集めるベテランライバーまでいるのだとか。

 この獅子郷という男性Vtuberは、所属事務所でもかなりの人気を誇る看板ライバーらしい。

 

「は~、おにぃのお陰とはいえ、わたしも有名になっちゃったからなぁ。獅子郷さんとコラボとかできないかな~。Vtuber杯、出てみたいなぁ」

 

「ん?頼んでみればいいんじゃないか?」

 

 どうやら妹はこのイケメン系男性Vtuberにかなりお熱のようだ。

 彼の所属する事務所と妹の所属する事務所は同程度の人気を誇っているようだが、コラボしたいのならば頼んでみれば良いのでは?

 

「難しいよ~。うちってアイドル系として売り出してるじゃん?明確な決まりがある訳じゃないけど男性Vとはコラボ自重する、みたいな空気あるから」

 

「そういうもんなのか?」

 

「世の中には、男女がただ喋ってるの見るだけで、2人が友達以上の関係に見えちゃう人が一定数いるってこと」

 

 そう言う妹の声音は少し疲れているような感じだった。

 

「ん?それだと、この前の俺が配信に出ちゃったのは不味いんじゃないか?」

 

「へ?いや、わたしとおにぃは別に大丈夫でしょ。兄妹なんだし。そもあの時は、話題になってたおにぃを寧ろファンのみんなが気にしてたから」

 

「……じゃあエメは?あいつ結構アイドル的に際どいこと言ってなかったか?」

 

 思い出すのは、俺が『共食いプレデターズ』のメンバーだと知って黄色い歓声をあげていた翡翠エメだ。

 俺もギターができないことで悩んでいる様子だったアイツを励まそうと、結構気障っぽいことを口走った気がする。

 

「……正直、微妙なとこ。あれはエメちゃんのファン層に救われた感じあるかな。ほらエメちゃんってあのキャラじゃん?だからガチ恋勢みたいなのは他と比べると少なめだし、どっちかっていうと弄られ愛されキャラだから……」

 

 それでもなんか言ってくる人はいるかもね、ファンにせよファンを装ったアンチにせよ、と妹は神妙な顔つきで呟いた。

 

「でもさ、あの後マネちゃんと話したけど……『あれで良かったのかも』て言ってたよ。正直、今の売り方には限界があるってみんな思ってたからね」

 

「限界?」

 

「うちって箱の外とコラボするの控えてたからさ。身内でてぇてぇ営業ばっかりしてて、ファンのコミュニティも狭いものになりがちだったし」

 

 逆に、と妹は言葉を続ける。

 

「競合の2clock 3clockは、持ち前のフットワークの軽さで箱の垣根を越えてコラボしまくって、ファンコミュニティも界隈全体に広がって互いに行き来きるようになってる」

 

 正直なところ、最近は競合他社の2clock 3clockに押され気味だったのだという。

 アイドル売りは、一定のファンを確実に固定できるが逆に新規が入りずらい雰囲気を作りやすい。

 更に身内だけのコラボを重ね続けると、そこから目新しさは消えていき、毎度似たようなやり取りばかりでドラマが生まれにくいのだとか。

 

「それにさ毎回同じ感じの百合営業よりも、男女入り乱れたワチャワチャ感あるコラボ配信の方が撮れ高多いしね」

 

 しかし、アートライブは今まで男性Vとのコラボを敬遠してきた。

 今更急な方向転換をしても反発を受けかねない。

 

「事務所の上の方でも協議重ねてたんだって。どうにか他箱の男性Vと程よい距離感でコラボできないか、何か良いきっかけがないか、て」

 

 そこに現れたのがおにぃなんだよ、と妹は言う。

 

「今話題のギタリストで注目度があって、しかもわたしの兄妹だからある程度信頼されやすいし、多少はファンから受け入れやすい立ち位置にいる」

 

「……アートライブの事務所からしても、絶好の機会ってわけか」

 

「だから、またエメちゃんとコラボすることが許可されたんじゃない?うちの事務所的には、多分次のおにぃとのコラボを通して、うちのライバーが他所の男性Vとコラボしても大丈夫だよ~、て雰囲気をファンの間に作りたいんじゃないかな」

 

 そこまで言われて、この前の配信の後にエメから聞いた話を思い出した。

 アートライブ事務所の代表が提示してきた『俺が翡翠エメをはじめとするアートライブのVtuberと音楽指導コラボ配信するにあたっての条件』だ。

 

 

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 1、オフコラボの収録は事務所の有するスタジオで行うこと。

 

 2、アートライブのライバーとは、あくまで『講師と生徒』の関係性に徹すること。男女の仲を匂わせる発言は慎むこと。

 

 3、アートライブのライバーと1対1でコラボはしないこと。必ず、紅アリア同席のもとコラボ配信すること。

 

 4、『紅アリアの兄』というキャラを強調し、他のライバーとは適切な距離感を保つこと。

 

 5、コラボ配信内で『共食いプレデターズ』や自身の音楽活動について喧伝しても良いこと。代わりにライバーのオリ曲作成の際に楽曲提供等の形で協力すること(協力の際は相応の報酬も払う)。

 

 6、翡翠エメが不適切な発言をしないように注意を払うこと。

 

 7、翡翠エメが暴走しないように手網を握っておくこと。

 

 8、翡翠エメが不適切な距離感での関係を迫ってきたら、張り倒してでも止めること。

 

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 以上8つである。

 

 …………。

 翡翠エメ、どんだけ信用されていないんだ。

 

「あー後、次の音楽指導コラボの時さ、この前配信に来た蒼羽シズクちゃんも来るって」

 

 蒼羽シズク、確かクラシック音楽に造詣が深い清純派Vtuberだったか。

 ……コメント欄でエロゲがどうとか書いてあったような気もするが、見間違いだったと思いたい。

 

「いいのか?ああいう清純派……そうな子が男とコラボしても」

 

「むしろ、エメちゃんとおにぃが1対1で話す状況を減らしたいんじゃない?生徒側になる女の子が多い方が、普通の授業っぽくて距離感ちょうど良くなりそうじゃん?」

 

 なるほど、そういうものか。

 

「そういう訳だから、次のコラボ配信までにシズクちゃんの配信とかアーカイブ見て勉強しといてよ?」

 

「わーったよ」

 

「あとで、おすすめの切り抜きとか送っとくね…………あっ、あとおにぃ」

 

 何かを思い出したようにスマホを操作して、切り替えた画面を見せてくる。

 映っていたのは、あるバンドのライブ映像。

 昔、俺が投稿した共食いプレデターズのライブの映像だ。

 

「おにぃがこの前、宣伝してたバンドの動画、今めっちゃバズってるよ。急上昇乗ってた」

 

 映像では、宇宙戦闘民族プレデターのコスプレマスクをつけた4人がステージの上で楽器を演奏している。

 

 ギターボーカル、ベース、ドラム、キーボード。

 

 各々の楽器を手に、プレデター達は全身全霊で音楽に酔いしれていた。

 ステージには演出の一環としてドライアイスのスモークが炊かれ、赤いレーザーライトが会場を照らしている。

 ……ちなみに赤いレーザーライトは、全て三本一束になっている。

 コスプレの元ネタの映画で、プレデターが使う武器のレーザーサイトをパロっているのだ。

 知っている人が見ればニヤッとできる、粋な演出になっている。

 

「昔は気付かなかったけどさ、やっぱり音楽やってるおにぃってカッコイイよね」

 

「ありがとよ」

 

 お世辞でも嬉しい。

 

「おにぃ以外の人たちも凄いよね。このドラムの人とかバチでジャグリングみたいなことしてるし」

 

 ドラム担当。

 大の目立ちたがり屋でパフォーマンス好き。演奏の合間にスティックを宙に投げて曲芸みたいなことを始める困った奴だった。

 

「女の人もいたんだね。キーボードってこんな格好いい音出せるんだ」

 

 キーボード担当。

 バンドメンバー唯一の女性で、1番我の強い奴だった。腕は確かだがアドリブ中毒者で、テンション上がってくると勝手に曲のアレンジをし始めるとんでもない女だった。

 

「このベースの人、手足すらっとしててめっちゃ格好いいよね。おにぃと背中合わせで演奏してるのマジでイケてる」

 

 ベース担当。

 バンドメンバーで1番イケメンな奴で、マスクを被り始めたのはこいつの発案だった。

 ベースの腕は最高で縁下の力持ち。こいつが演奏を支えていたと言っても過言ではない。

 歌唱のないギターソロのパートでは、俺とこいつで背中合わせになって演奏するのが定番だった。

 

「こんないい感じのバンドなのに、なんで解散しちゃったの?」

 

 妹の質問に胸の奥がチクリと痛む。

 誰だって思い出したくない記憶の一つや二つある。

 ……でも、まあ気になるよな。

 

「別に、普通に人気でなかったからだよ。……あと最後はバンドメンバーに逃げられちゃったからな」

 

「逃げられた?」

 

「……ドラム担当の奴がさ、他にやりたいことが見つかったって言い出してさ。たしかe-スポーツ選手を目指すとか言ってたな。そんでバンド抜けちゃったんだよ」

 

 今は乗り越えたが、当時は結構ショックだった。

 

「その後、他のドラム探したりもしたけどさ……やっぱりアイツ以外のドラムなんて考えられないってなってな。後はもうなし崩し的にバラバラになっちまったって感じ」

 

「……なんか悲しいね。おにぃは、それで良かったの?」

 

 良くはねえよ。

 本当に悲しかったし、辛かった。

 それでも……。

 

「まあ、俺達のバンドが鳴かず飛ばずだったのは事実だったから。それに、せっかく仲間がやりたいこと見つけたって言ってるんだ。……仲間としてちゃんと応援してやらなきゃって思ってたよ」

 

 そう、自分に言い聞かせてた。

 

「……そっか。おにぃ優しいね」

 

「当たり前だろ。なんたって、俺はお前のお兄ちゃんだぞ?」

 

「ばーか」

 

 頭をくしゃっと撫でると、妹は照れた顔を隠すように舌を突きだしてくる。

 ほんと、生意気な妹だ。

 

「なんか、湿っぽくなっちゃったな。……俺、料理に戻るわ」

 

 長話で忘れていたが今は昼食を作ってる最中だった。

 

「……そうだ、おにぃ。気分転換って訳じゃないけどさ、料理しながらでもいいからコレ見といてよ」

 

 そう言ってキッチン台にスマホを置く妹。

 映っているのは、さっきランキング動画に2位として紹介されていて、妹が熱弁していた2clock 3clock所属の男性Vtuber、獅子郷レオンの配信だった。

 

「これから定期的にわたし達とコラボ配信することになるかもしれないじゃん?おにぃ、ギターの腕はいいけどさ、トーク力とか低そうだしこれ見て勉強しなよ。獅子郷さん、マジでおすすめだから」

 

 そう言うと妹は、足早にリビングに戻ってテレビをつけて寛ぎ始めた。

 ……なんか気ぃ遣わせちゃったかな。

 

「さてと……やりますか」

 

 適当に肉と野菜を切りながら、キッチン台に置かれた妹のスマホに映る獅子郷レオンの配信を横目で見る。

 

『いやぁ今シーズン、チーター多すぎでしょ。マジキチィ』

 

 配信では、金髪のイケメン系のアニメチックな立ち絵のキャラが画面右下にいる。

 どうやら今はFPSの実況配信をしているようだ。

 このゲームは知っている。AP〇Xだ。

 3人1組でパーティを組んで最後の1チームになるまで生き残りをかけて戦うバトルロワイヤル系FPS。

 俺も少しやった事がある。

 

『あっ!スパチャありがとうございまぁす!もうね、その応援だけで俺ちゃん頑張れるわ。チーターなんぞに負けてられませんよ。意地でもソロマスター達成してやらぁ!』

 

 ハイテンションな男の声。

 なんかどっかで聞いたことあるような声だ。

 ……まあ要するに、どこにでもいそうな若者の声ってわけか。

 

『そういやさ。この前のトゥイートなんですけどぉ、俺ちゃんがCR海物語で大当たりした時のパチンコ玉のトゥイートめっちゃイイネついてたんですよ…………なんなら、AP〇Xの神業クリップよりもイイネついてたんですよ。喜べばいいのか、悲しめばいいのか、ちょっと複雑な気分デス』

 

 獅子郷レオン。

 どうやら、彼はFPSとパチンコの話題を中心にトークを展開しているようだ。

 こんなのが人気になるのか、とちょっと疑問に思ったがコメント欄を覗き見て納得した。

 

 なるほど、親近感が湧くキャラなのか。

 

 Vtuberの視聴者層で恐らく大部分を占めるであろう成人男性が親近感を持ちやすい話題を積極的に出している。

 ただ単にカッコイイ、可愛いだけでなく如何に親しみを持ちやすいかが人気者になる秘訣の一つなのかもしれない。

 確かに参考になるな、と思った。

 そうこうしているうちに、獅子郷レオンのトークは次の話題へと移っている。

 

『それと、最近ちょっと嬉しいことあったんですよぉ。前の雑談配信でさ、俺ちゃんが昔バンドやってたって話したじゃないっすか?みんな覚えてる?……そうそう、その時の。いや、まあ、全然人気でなかったんですよぉ、当時は』

 

 ん?

 

『そしたらさぁ、なんか知らんけど、最近昔投稿したそのバンドのライブ動画とかMVとかがさぁ急にバズってて。なんか笑っちゃいましたっ』

 

 

 

 

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 コメント欄

 

 :おーチャンポンおめでとう!

 

 :やっぱ獅子郷うめぇわ

 

 :アートライブの紅アリアといい勝負?

 

 :いや、流石にアリアの方が上でしょ。あれマジバケモンだし

 

 :よその箱の話だすなよ

 

 :空気嫁

 

 :ナイスチャンポーン

 

 :パチンコは草

 

 :海物語に負ける神プレイw

 

 :だってあの玉の量は流石にみんな気になるわww

 

 :バンド?

 

 :そういやなんか言ってたな

 

 :ドラムやってたんだっけ?

 

 :バズってんの?

 

 :知らねー

 

 :1度聞いてみたい

 

 :獅子郷こんどドラム配信してよー

 

 :今バズってるってひょっとしてアレか?

 

 :共食いプレデターズだっけ?

 

 :あれでしょ全員プレデターのやつ

 

 :アレなん?

 

 :獅子郷あのバンドやってたん?

 

 :そんな話していいの?

 

 :顔出てる?

 

 :あれ凄かったわ

 

 :なんで人気でなかった?

 

 :結構かっこよかった

 

 

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『そうそう、それ。共食いプレデターズ、なっつかしいなぁ。俺ちゃんドラムやってたんよ。……あぁ、顔はずっとマスク付けてたから大丈夫よ。そうそう、プレデターの奴。アレ、今思い返すと、センスやべぇよな』

 

 は?

 

『まあ、なに?気になった人この後見てみ。俺ちゃんの意外な一面見れっから。いやあ、でも今になってバズるとかある?人生何があるか分かんねぇわ』

 

 アッハッハッハッハッと豪快に笑う獅子郷レオン…………いや、アイツ。ドラムのアイツ。e-スポーツ選手本気で目指すわとか言ってたアイツ。

 

 ………………。

 

「ああああああああぁぁ!?」

 

「わっ!?なに!?どした、おにぃ!?」

 

 急に大声を張り上げた俺にビビってソファからひっくり返る妹。

 ……あいつ音にビビるとよくひっくり返るな。

 

 だが、今はそれどころではない。

 キッチン台のスマホを取り、画面を妹に向ける。

 

「こ、こいつ、こいつぅ……」

 

「し、獅子郷さんがどうかした?」

 

 …………。

 

「……逃げたドラム」

 

「は?はあああぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読、ありがとうございます。
よろしければ感想をお聞かせください。皆さんの感想のおかげで、本作の続きを書こうというモチベーションが湧いてきております。

最後に、感想欄にて「好きなように書いてください」と優しいお声を掛けてくださった皆様。本当にありがとうございます。
御指摘のお声も励ましのお言葉も全て、読ませて頂いております。今後とも、応援よろしくお願いします。
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