寝落ち配信した妹の横でギターの練習してたら伝説になってた件について   作:五河 緑

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遅くなりました。本当に申し訳ありません。
色々、吹っ切れました。再開します。




#7 推しの顔見てアガるギャルとネガティブな俺

 

 株式会社アーティスティック

 

 起業して1年目の出来立てホヤホヤのベンチャー企業だ。

 発展途上のバーチャルライバー市場、その先頭を走る新進気鋭の会社であり、今をときめく人気Vtuberグループ、アートライブの運営元でもある。

 

「おにぃ、なにしてんの?早く入ろ」

 

 都内の一角に聳え立つオフィスビルを前に呆然と立ち竦む俺を尻目に妹は涼しい顔してビルに入っていく。

 ちくしょう。なんか悔しい。

 あの半引きこもりで、ぐーたら三昧のズボラ女が俺よりも先にいい所に就職してると思うと謎の敗北感を感じずにはいられない。

 ……いや、妹はまだ高校生だから正確には就職とは少し違うのだろうか。

 

 ビルの中には防音室やレコーディングにも使えそうな収録スタジオも完備されており、かなり広い造りになっていた。

 今日、俺達が向かうのもそんな収録スタジオの1つだ。

 スタジオに到着すると、眼鏡をかけた小柄な女性が出迎えてくれた。

 

「アリアさんの……お兄さんですね?お疲れ様です。本日はよろしくお願いします」

 

 丁寧に頭を下げてくれるこの女性は、株式会社アーティスティックの社員で、妹達……アートライブ3期生のマネージャーを務めている、通称マネちゃんだ。

 今日の音楽指導コラボのために数日前からメッセージ上で文面のやり取りをさせてもらっている。実際に会って話すのは今日が初めてだ。

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

「なんか、すいませんね。こっちの都合ばかり押し付けるような形になってしまって……」

 

 申し訳なさそうに謝るマネージャー。恐らく、オフコラボをするに際しての八つの要望事項について言っているのだろう。

 

「いえ、大丈夫ですよ。俺も妹の活動を応援していますし。こちらこそ、いつも妹の面倒を見てもらってなんとお礼を言ったらいいか……」

 

「とんでもないです。こちとらアリアさん達の活動で収益を得ている身ですし、むしろこっちが面倒を見てもらってるようなものでして。おまけにお兄さんにもお力添えしてもらうことになって、ホントになんてお礼を言ったらいいか……」

 

「いやいや」

 

「いえいえ」

 

 お互いに頭を下げ合う。

 なんか、日本人特有の謙遜し合って一向に話が進まない状態になっているような気がする。

 

「おにぃもマネちゃんも頭下げるの好きだね」

 

 うるせぇ。世の中、信用と謙虚さが大事なんだよ。

 バンドやってた時もそうだった。

 あちこちのライブハウスに行って、頭下げまくって音楽をやらせてもらっていた。

 今回だってそうだ。

 たまたまバズったとは言え、プロでもなんでもない俺に一企業が音楽の仕事を振ってくれたんだ。

 浅ましいと言われてもいい。この縁は大事にしていきたい。

 

「確認になりますが、再度今回の企画の説明をしますね。参加者は紅アリア、翡翠エメ、蒼羽シズクの3名。今、SNSで話題沸騰中のギタリストによる音楽指導をコンセプトに、本日と来週末の配信枠で計2回のコラボを予定しています。内容としましては、本日はギターの演奏指導。来週末は歌唱の指導をお願いします。ここまで大丈夫ですか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 事前に決めていたことを確認していると、妹がシャツの裾をチョイチョイと引っ張ってきた。

 

「どした?」

 

「ギターの練習って、わたしもやんの?歌だけじゃダメ?」

 

 背中にしょってるギターを親指で指しながら面倒くさそうに言う妹。

 なんとも失礼な奴だ。

 ちなみに妹が持ってるギターは俺の予備だったりする。

 

「エメはギター習いたがってたろ?限られた時間の中でギターもボーカルも教えるってなると、とっちらかった内容になるから今日はギター、次はボーカルって分けた方が俺も教えやすいんだよ。……初心者でも分かるようにやるから大丈夫だから、な?」

 

 宥めるように言うと妹も渋々と言った様子で「へーい」と返事をする。

 本当に手が掛かるな、こいつ。

 

「話を戻しますね。現状、コラボは2回の予定ですがファンからの反応を見て3回目以降の継続も視野に入れていますので、頑張ってください。……あぁ、あとコラボ1回につき、講師費としてこちらの額をお支払いしますので確認をお願いします」

 

 タブPCで額を提示してくるマネージャー。

 これも事前に取り決めていたことだが……。

 

「ありがたい話ですけど、本当にいいんですか?こっちは配信内で自分の売り込みしていいことになっていますし……。正直、音楽関連の活動の機会が貰えただけで俺は割と満足なんですけど……」

 

「どんな形であれ、我が社の人間が外部の方から技能を教わるんです。こういう所は、きちんとしておきましょう。お互いに」

 

「……分かりました。ありがとうございます」

 

 報酬が支払われる。嬉しいことではあるが、それを手放しで喜ぶほど俺も子供じゃない。

 金銭のやり取りがあるということは、そこには責任というものが発生する。

 人に金を払わせるということが何を意味するのか、人並み以上には理解しているつもりだ。

 なんせ、バンド時代に自分のライブチケットを知人やら道行く人々に売り捌いていたのだから。

 相手に金を払わせておいて、相手が満足できるものを提供できないなんてふざけた真似は許されない。

 そんな奴に次のチャンスなんて絶対に来ない。

 ……改めて気を引き締めよう。

 

「それとエメさんについてですが、くれぐれも……」

 

 マネージャーがそこまで言ったところで、収録室のドアがバァンッと勢いよく開く。

 

「おっはようございまーっす」

 

 入ってきたのは、髪を明るい色に染めた小柄な少女。

 背中にはギターを背負っていて、『共食いプレデターズ』のロゴが入ったTシャツを着ている。

 ……あれ、昔物販で売った奴だ。

 

「アリアたそ、マネちゃんオツっす。……で、そこにいるのがひょっとして」

 

 目を蘭々と輝かせて少女が駆け寄ってくる。

 

「アリアたそのお兄さん……HIBIKIさんっすかぁ!?」

 

「……おう。ドーモハジメマシテ」

 

 お互いほぼ初対面だが、相手は俺が誰だか分かっている。もちろん、俺も相手が誰か分かっている。

 なんとも変な気分だ。

 

「はぇー、こんな顔してたんすね」

 

 マジマジと顔を覗き込んでくる少女……もとい、翡翠エメ。

 

「……イメージ壊しちまったか?」

 

「いえ、むしろいい方向に裏切ってくれたっす。正直もっとチャラチャラしたホストっぽいの覚悟してたんで。ちょっと強面だけど、意外と真面目系っすね。目つき悪いとことか、完璧にイメージ通りっす」

 

 目つき悪いのは近眼だからだ、ほっとけ。

 まあ、悪い印象持たれなくてよかったよ。

 覆面で活動していたアーティストが素顔晒したら、なんかイメージと違ったって話はよく聞く。それで人気が低迷したりとかも。

 そう考えたら、Vtuberも似たようなものなのかもしれない。

 ……いや、Vtuberからすればもっと重い意味を持つか。下手すりゃ致命傷だ。

 

「逆にあたしは、どうっすか?生エメちゃんっすよ?」

 

 あざとく横ピース。

 目の前のギャルと記憶にあるVtuber翡翠エメを脳内で重ねる。

 快活そうなスポーツ少女みのある翡翠色の髪をした美少女、翡翠エメ。

 眼前にいるのはピアスつけて、あざとくポーズをとる渋谷あたりにいそうな可愛い系ギャル。

 

「うちの妹もそうだが、なんでVtuberって自分とは真逆のデザインにするんだ?」

 

「特に理由はないっすよ。あたしは、用意してもらったアバターをもう1人の自分だと思って、それを大事にしてるだけっす。……まあ、アリアたそはガワ作ってくれる絵師さんに『おっぱい!おっぱい!もっとでっかく!』てリクエスト出しまくったらしいっすけど」

 

「うわぁ、引くわ」

 

「ちょっとぉ!?」

 

 妹よ、女としてそれはどうなんだ。

 流れ弾食らった妹が抗議の声を上げているが、知ったこっちゃない。

 そんなしょーもない話で盛り上がっていると……。

 

「ダメですよ、エメさん。おっぱ……だなんて、女の子がそんなはしたない」

 

 凛とした声だった。

 声の主に視線を向ける。エメのあとを追うように収録室に入ってきたのは、鴉の羽のように黒い髪を伸ばした少女だった。

 恐らく、エメや妹と近い年頃の少女。背中にはギターを背負っている。

 

「おはようございます。マネージャーさん、アリアさん。……それと、アリアさんのお兄さんですね?本日はよろしくお願いします」

 

 少女が誰かは見当がつく。

 Vtuberの命とも言える、聴き心地の良い澄んだ声音。

 背中のギター。

 彼女こそが今回、俺が音楽を教えることになる3人目の生徒だ。

 

「初めまして。アートライブ3期生、蒼羽シズクです。どうぞよしなに」

 

「ど、どうも。こちらこそ、今日はよろしくお願いします。蒼羽さん」

 

 彼女につられて俺も会釈をする。

 なんというか、圧倒された。彼女の雰囲気に。

 言葉遣いというか、仕草というか、蒼羽シズクの立ち振る舞い全て一挙一動に気品の高さを感じたからだ。

 妹は、彼女をいい所の育ちのお嬢様と評していたがあながち嘘でもないのだろう。

 そう思わせるだけの品位の高さが蒼羽シズクにはあった。

 

「シズクでいいですよ。敬語も結構です。エメさんと話す時と同じようにしてもらえると嬉しいですね。えっと、ヒビキさん……とお呼びすればよろしいでしょうか?」

 

「あー、出来れば他の呼び方がいい……かな」

 

 別に深い理由があるわけではない。

 ただ、『共食いプレデターズ』のギターボーカル、HIBIKIはもう終わった存在だ。

 あの日々はもう帰ってこないのに、あの時の名前で音楽やるっていうのはなんというか、言葉にし難い気まずさや気持ち悪さを感じてしまうから、できれば遠慮したかった。

 

「ええ!?あたしの中ではHIBIKIさんはHIBIKIさんなんすけど!?今更他の名義とか受け入れられないんすけど!?」

 

「……まあ、もろおにぃの本名だしね」

 

 外野がうるせぇ。

 エメはもう訂正しても治んないだろうからほっとくとして、妹よ。お前は余計なことを言うな。

 

「嗚呼。本名で活動されていたんですね。……確かにそれでしたら配信中にお名前を呼ぶのは少し不味いですよね」

 

「いや、まあ今更なんで正直名前呼ばれるくらいは大丈夫なんだけど、なんという気持ちの問題で……」

 

 歯切れの悪い俺に蒼羽シズクは嫌な顔一つせずに代案を考えるように顎に手を当てていた。

 

「では、なんとお呼びすればよいでしょうか?お兄さんは……なんだか違いますよね。お兄さんは、あくまでアリアさんのお兄さんですから。うーん、無難に『先生』とかどうでしょう?」

 

「そう呼んでもらえるなら光栄だし、助かるよ」

 

 先生、少しムズ痒い響きだ。

 でも、不思議と嫌な感じはしなかった。

 

「えー、HIBIKIさん。これあたしも先生って呼んだ方がいい奴っすか?」

 

 若干1名、まだ納得のいってない奴もいるようだが。

 

「……まあ、できればな。なんだよ不満か?」

 

「いや別に先生って呼ぶのが不満って訳じゃないんすけど……逆になんでそんな嫌なんすか?」

 

「昔のこと思い出すからだよ。なんか……嫌じゃん、昔の栄光に縋ってるつーか、いやまあそんな栄光ってほど栄光でもなかったけどさ、それに他のメンバーのこと無視して1人だけ『共プレ』の代表みたいな面するのもなんか最近悪い気がしてきたし……」

 

 自分でも上手く言語化できない。

 ただ、とにかく落ち着かないんだ。

 これがバンドを円満に解散してるとか、今でも他のメンバーと問題なく頻繁に連絡取り合っている、とかいうなら話は少し変わってきたと思うが……。

 

「はあ、あたしにはよく分かんないっすけど『共プレ』のメンバーの皆さんもそんな気にしないんじゃないっすか?」

 

 実際、エメの言う通りなんだと思う。

 こんなことで気を悪くするような器の小さい奴はバンドの面子にはいなかった。

 だから、これはもう本当に俺個人の気持ちの問題だ。

 他人に完璧に理解してもらうとかまでは考えていない。

 

「あっ、『共プレ』のメンバーで思い出した。2clock 3clockの獅子郷さんが『共プレ』の元メンバーって風の噂に聞いたんすけど、あれってマジ……」

 

「エメちゃんストップ!その話題、今おにぃの前で禁句だからっ!」

 

「え?」

 

 エメの口から零れたその言葉を聞いた瞬間、俺の視界から色が消える。

 音が遠くなり、世界から彩が消えて、胸の内を言い様のない虚無感が満たし始める。

 

「いや、別に気にしてねぇし。あいつが今どこで何してようとあいつの自由だし……」

 

 別にネットで活動するなら一言教えて欲しかったとか思ってないし。

 別にeスポーツ選手目指すって聞いて、ウメ○ラみたいなの想像してストイックにゲームの特訓に励んでいると思ったら、なんか配信者になって毎日楽しそうにしてて羨ましいなぁとか思ってないし。

 別にその活動、俺らとバンドしながらじゃあできなかったんですかねぇとか思ってないし。

 別にあいつがバンド抜けて俺は死ぬほど悲しかったのに、あいつは楽しそうに毎日過ごしてて、何だこの野郎とか思ってないし。

 別に競技に集中したいから音楽辞めるって言うあいつを応援して送り出したのにパチンコやったり配信でパーティゲーやる余裕あるあいつを見て、ふざけんなこの野郎言ってること違ぇじゃねぇかとか少しも思ってないし。

 

 ……もし。もしも、俺達とやってたバンドが嫌になって辞めたとかなら、正直にそう伝えて欲しかったとか……もっとちゃんと話し合いたかったとか……これっぽっちも思って……ねぇし。

 

「……なんで言ってくれなかったんだよ……そんなに居心地悪かったか?……俺か?俺が1人で勝手に熱くなりすぎて口煩く言い過ぎたせいか?……みんなで売れるバンドになりてぇって必死になりすぎて逆にプレッシャーになってたのか?……分かんねぇよ……言ってくんなきゃ何も分かんねぇよ……」

 

 ブツブツと心の中に浮かんでくる濁った言葉が口から零れ落ちてくる。

 

「あー、おにぃぶっ壊れちゃった」

 

「えっと?アリアさん、これどういうことですか?」

 

「いやぁ、この前からずっとこの調子で……。獅子郷さんがおにぃのバンドのメンバーだったのマジらしいんだけど解散する時に一悶着あったみたいで、その時のトラウマ思い出しちゃうんだって。おにぃ、バンドもバンドメンバーのことも本当に大好きだったから……」

 

「なるほど、それはお辛いでしょうね。深くは聞きません。……ダメじゃないですか、エメさん。人の古傷抉るようなことを言うなんて」

 

「そうだよ、エメちゃん。おにぃこう見えて結構、繊細なんだから」

 

「いや、あの、え?2人共、これあたしが悪いんすか?」

 

 妹、シズク、エメが三者三様になにやら好き放題言っているが、生憎と俺の耳には届かない。

 今俺の脳内にあるのは、かつてのバンドメンバー達と駆け回った慌ただしくも楽しい青春の日々、そしてドラム担当のあいつが抜けると言い出した人生最悪の日の光景だけだ。

 忘れたくても忘れられない、青い記憶が延々と脳内でループして………。

 

「ほーら、おにぃ!帰ってきてー!」

 

「……バンド作ろうって誘ってくれたのお前じゃねぇかよ……なのになんでお前が1番に抜けてくんだよ……お前以上のドラムなんて見つかんねぇよ……俺にとってお前がどんだけ……」

 

「おにぃってば!いい加減、戻ってきてー!配信開始までもう時間ないよ?準備とか色々あるんじゃないの?」

 

「あ」

 

 肩をガックンガックン揺らされ、配信という単語を耳にしてようやく脳みそが現実に戻ってくる。

 

 おれはしょうきにもどった。

 

 ……いや、ふざけてる場合じゃないな。

 これからコラボ配信だし、その前に準備とかもある。しっかりせな、俺。

 

「……ゴホン。あの、本当に大丈夫ですか?くれぐれも頼みますよ?今日のコラボで今後の我が社の方針とか色々決まると思いますので」

 

 エメが突入してきた辺りから静かだったマネージャーが咳払いしつつ釘を刺してくる。

 

「特にエメさん。この前も言いましたが、迂闊なこと言っちゃダメですからね?2clock 3clockさんのライバーさんの話とか絶対にダメですからね?」

 

 やはり1番信用されていないのかエメが1番念入りに釘を刺されているが、当の本人は「へーい」と適当な返事をして流している。

 ……こいつそのうちクビになるんじゃないか心配になるな。

 とはいえ、マネージャーもその辺諦めているのか溜め息をつきながらこっちに目配せしてくる。「あとは頼みます」とアイコンタクトで言っているのは、何となく分かった。

 

 その後は、迫るコラボ配信に備えて準備作業に集中した。

 俺はギターやアンプ、楽器に関する機器のセッティング。

 妹やエメ達は、配信用のパソコンやマイク、アバターを動かすためのトラッキング用カメラの準備を担当した。

 まだ1ヶ月とはいえ、大手の箱で活躍しているだけあって妹達の手際は悪くなかった。

 今も、3人でどんな段取りでトークを展開していくか話し合っている。

 俺にはまだ理解できていないだけで、Vtuberもその道で食っていくには相応の努力や工夫が求められるのだろう。

 決してただ呑気に喋ったりゲームしてるだけではないのだ、と感じさせられた。

 

 ……そう思えば、バンドを抜けたあいつも、ただ遊び呆けているのではなく本気でVtuberという世界で生き抜くために見えない所で日々忙しくしているのだろうか。

 それこそ、バンドと両立するなんて難しいくらい忙しいのだろうか。

 それがあいつが今1番やりたいことだって言うなら、やっぱり俺はそれを応援してやらなきゃいけない、と思う。

 俺が感じているこのモヤモヤは、結局のところただの被害妄想だ…………いかん、いかん。また、ネガティブな方向に思考が走って行っていた。

 いい加減、切り替えないと。

 

 程なくして準備は整った。

 スタジオ内では、中央に置かれた椅子に俺が座り、その前に扇状に広がるように並べられた3つの椅子に妹、エメ、シズクがそれぞれ座っている。

 全員、手にはギターを持っており、コードはアンプに接続済みだ。

 近くに置かれたテーブルの上にはノートPCが設置され、配信待機画面が表示されている。

 

 待機画面には『アートライブ 3rd 音楽教室コラボ!!』と書かれたロゴの下に4人のVtuberのライブ2Dアニメーションの立ち絵が映っていた。

 

 赤髪、巨乳の美少女『紅アリア』。

 

 緑髪をショートにしたパッション系美少女『翡翠エメ』。

 

 青髪を伸ばした清楚系美少女『蒼羽シズク』。

 

 そして、黒いスーツに身を包み顔にはガスマスクをつけた男の立ち絵が3人とは少し離れた位置にいた。

 

 ……どうやら、これが俺の立ち絵になるらしい。今日の配信のために運営がわざわざ用意してくれたのだとか。

 顔につけるマスクは本当はかつてのバンドと同じ某宇宙狩猟民族プレデターにしたかったらしいが、流石に版権で無理だったらしい。そりゃあ、そうだ。

 

 配信待機画面のチャット欄には既に大勢のアートライブVtuberのファンがお仕掛けており、大いに賑わっている。

 

 

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 コメント欄

 

 :待機

 

 :待機

 

 :待機

 

 :全裸待機

 

 :待機

 

 :服着ろやw

 

 :もうすぐか

 

 :楽しみー

 

 :何気にシズクちゃん、コラボ2回目か

 

 :前は先輩とだったから堅苦しくなってたな

 

 :今回はエメいるから大丈夫っしょ

 

 :エメ公ついにニワカロック卒業か

 

 :1曲ちゃんと弾けるようになるまでニワカだろ

 

 :相変わらずエメちゃんとこのファン、厳しいなぁ

 

 :アリアちゃん、あの棒読み治るかぁ?

 

 :今日のコラボ男いるってマ?

 

 :アリアのお兄さんの演奏楽しみ

 

 :アイドルと男がコラボっていいのかよ

 

 :アリアちゃんの実の兄だぞ

 

 :妹の前で変なことする奴なんていないでしょ

 

 :つーかコラボっつってもギターの先生な?

 

 :それ言ったら2期生のライブのダンス振付師とか先生も男の人だし

 

 :スタッフにも男の人いるでしょ。何言ってんの

 

 :おい、そろそろだぞ

 

 :お、始まる

 

 

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ご愛読ありがとうございます。最近、感想に返事をお返しできなくなってしまっていることをお許しください。
全て、読ませて頂いております。感想欄を眺めいる時が1番、生を実感しております。
これからも、ドシドシ皆さんのお声を聞かせていただけると嬉しいです。大変励みになります。何卒、応援よろしくお願いします(:D)| ̄|_


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