001
「はぇー、ここがハグレ王国かぁ、テーマパークに来たみたいだぜテンション上がるなぁ!」
一人の人間がハグレ王国の玄関に立っていた、黒いローブを纏ったまるでゴーストのようだが足があり明らかに過去にエステルを狙ったような暗殺者にしか見えないだろう。
カメラを構えてパシャリパシャリと写真を撮っているこの男を何故暫く好き勝手にさせていたんろうか?
それは本来玄関である場所はぶっちゃけキーオブパンドラが使用されるので全く使われていないせいであろう。
この人間の男のような見物客や外来の客、朝日を浴びながらラジオ体操などの準備運動や軽いスパーリングを行うハグレ王国民がいるくらいだ。
今はちょうど朝の為にこの怪しい男を発見する事が出来る男がいた、朝のマッスルポージングラジオ体操をする為に現れたニワカマッスルである。
「ふわぁー……あー……んが?なんだあの男?」
「すっげー!これがハグレ王国の玄関!ゲームで全く使われてねェから全くわからんかったが異世界編の時のを綺麗にした感じなんだなコレ!外来用の護衛の為のか?テントまである!すっげぇ!」
「めっちゃ怪しいけどそれ以上にテンション高くね?」
会話の間、というか各々の独り言の間にも男は写真を撮り続けている、柱の形から全体図、はてには柱を形成している建材の色までを記録しているとしか思えない程の接写具合にニワカマッスルはドン引きしていた。
「うっわ、怪しさ全開過ぎて逆に怪しく見えないってヤツ?」
「おうハピコか、お前にそう言われたらあの黒ローブの男おしまいだろ」
「おやまぁひどい、どこにそんな妖しさ満点だって?」
「なんかニュアンスが違くねぇか?」
ニワカマッスルの隣にいたハピコが問う、そんなわいわいがやがやしていたらどうなるか?
ぎょろり、と首だけをこちらに向けるローブの男、その動作はまるでゴーストやゾンビのそれだと言えよう、獲物を見定めるかのような視線をニワカマッスルとハピコに向ける。
ニワカマッスルにはどことなくソレが過去、ハグレ王国と出会った洞窟にて遭遇した数多のゲート次元生物やあの首なしのゴーストのようにも感じた。
ハピコには何も分からない、分からないがあの頭だけのヒトウバンを思い出して嫌な気分になった。
先手必勝するべきか!?ニワカマッスルが拳を握りハピコを後ろにかくまうのと同時に。
ローブの男はニワカマッスルの目の前にいた。
10mはあろう距離を【まるで次元でも移動したかのように】
「すみません!?!??!??!?!?」
耳をつんざくような声が壁もないはずの外に反響する、明らかにゴーストが使う怨嗟の声のソレ、
何故それが謝罪と同時に話されたのかは分からない、明らかに攻撃の筈だ、現にニワカマッスルだけは行動を麻痺をされていた。
ハピコは庇われていたのでノーダメージである
「ニワカマッスルさんとハピコさんですか!?!??!?!??!?!??!?!フヒッ!??!?!?!?!!??!??!?!??!?!??!?」
「あのハグレ王国における!?!??!?!?!?!?!!!?!??!??!?!??!?!??!??!!?」
「マスクド二輪乗りの創造編の二人と同じく俺の中でベストマッチ賞を受賞された!?!??!?!??!?!?!??!?!??!??!?!??!」
「お写真撮っても良いでしぁ!?!??!??!??!?!??!!?!??!?!??!??!?!?!?!?!」
脅威の四回行動であった。
ぶっちゃけ、声、というか彼の特技であろうダメージはない麻痺とスタン攻撃が二人に留まらずハグレ王国全体の窓を揺らし森に潜んでいたカラスや獣を寝所から跳び出させた、
002
モスクイーンことグリーンモス、え、意味がダブってる?そんなこと気にするな、というかダブっているようでダブってな、まぁそこはいい。
結局のところ怪しい黒ローブの男はインタビューという尋問じみたメンバーの中で彼女、ローズマリーとのお話と相成ったわけである。
同席メンバー?サイキッカーヤエ、福ちゃん、イリスである、完全に動きを止めてから福ちゃんハンマーでぶん殴る気マンマンとしか言えない布陣だ。
そんな中でも黒ローブの怪しい男は眼を輝かせてメモ帳を取ったり取らなかったりとせわしない動きだ、どっちが尋問されてるのかわかったもんではないだろう。
「単刀直入に聞くが君は何者だ?ハピコはともかくとしてニワカマッスルを声だけで吹き飛ばして行動不能にしたのは……おもいだすのだけでも頭が痛いが一人……いや三人?しか知らない。」
「あぁ、スライミーズの方々ですか?ここに来る前に道案内をしてくれたついでに歌ってくれましたね!冗談抜きで三途の川に戻るとこでしたよ!」
「やはり知っているのか……」
ローズマリーはまたもや頭を抱えた、というより抱えざるを得ない、なんせ身内でしかしないような話題すら把握し。
それをメモに残しているという目の前の男の脅威度を把握しそこねているのだ。
三日前にこたつドラゴンがシノブの育てていた謎の種から生えた謎の草を食べて。
何故かシノブの方がパワーアップしているという、内輪でしか把握できないであろう話題を雑談で振られていたのが五0分ほど前。
その時のシノブ?なぜかローブの男と普通に会話していた、というかローブの男がシノブの難解な話にも食いつき吸収と応用していたのが三0分前。
その後がんばってんねぇ!と言いながらデーリッチにお小遣いを何故か上げようとして断られ、ならばとおすすめの土産菓子を聞いてそれを一緒に食べていたのがつい先程。
敵対と言えば敵対的としか言えない情報収集、だが味方としか思えない彼のハグレ王国への賛美、どちらもが事実故に分からない。
「いやーお噂というか本の中だけでしたがほんとに美味しかったですよ、んで私はなにゆえ新メンバーが着ては面接会場にされたり何かの相談事に使われるいつもの場所にいるのですかね?」
「んなもん証拠十分でお前が敵対的としか思えないからデース。」
「そりゃまぁこの場にいるメンバー見たらわかりますよそんなの、こんな三途の川に行く途中の死人捕まえて……あーもしかしてそういう?KILAられてハンマーでホームラン的なアレです?」
「こっわ!やり方が裏路地のソレよ!?あと私が活用できてないから0点!」
「じゃあ斬る前に縛りましょうポークハム的な」
「よし今すぐ実践してやるわ覚悟しなさい!」
「今すぐにでも避けたい所ですがよけようと動けば入口にいる方々も参戦しそうなんで甘んじてうけギャー!!!!!めっちゃ痺れる!?」
「暴れないでくれヤエ!」
まずい、と福ちゃんは思う、空気感が完全にあの男に握られているという事にきづくのに時間はかからなかった、そこはあの、まぁ言わんでもいいか、そんな福の神だからこそ分かった事だろう。
会話内容を見れば細かく気になるところは多い、第一目標としてはあのメモを見たい、そして第二目標としてはこの男の仔細を把握することにある。
デーリッチとお菓子が食える仲にすぐになってるから心配はないだろうって?現場猫の如く二度見確認というのはどの場所においても大事な事なのは理解していただきたい事柄だ。
「あぁ、で私の仔細確認でしたっけ、ならこれをどうぞ。」
またもや次元を移動したか、否、それはどちらかと言えばヒーロー作品や映画で言う画面転調の間に動かれているようにしか思えないだろう。
イリスはこういう所の感が良い、ソレを発言、というか言葉として声に出す前にメモの内容でも確認するかと彼女は考えた。
全部書いてあった
メモ帳に、恐らくこの怪しい男の脳内の独り言の内容すら全てが小説調に、ぶっちゃけ職業病としか思えない字面のメモには流石に彼女と言えど圧倒されそうにはなった。
あくまでされそう止まりなのは彼女が悪魔という種族、更には上から数えたら早いとかいうレベルではない頂点の二番目故だろう。
これが戦争前のケモフサ村とかだったら問答無用で斬り殺されていたとしても文句は言えないのだ、こんな情報暗躍していた頃のシノブですら買い取りたいと言う程の正確さがあると言えば分かるだろうか。
そんな事を逃げた時用に出入り口にスタンバっていたメニャーニャとエステルがメモを見ながらわいわいがやがやしている。
男?静かに椅子に座り直してから何故かヤエにビリビリされている。
「あーすごいここまで来た時の疲れのコリに効くゥー!!!!」
「私ですら引くレベルに体が硬いわねあんた、何喰ったらそうなるの?」
「一日にご飯二杯と納豆とキャベツ四分の一玉に安い肉二分の一の生活をしてましたね、いやー死ぬかと思いました、その結果こうなってんですが。」
「だからって心臓が動いてないのに細胞が動いてるなんて不気味ね。」
「魂半分向こう側に行っちゃいましてねぇ、それが心臓君だったんじゃないかなって、アッハッハ。」
「笑い事じゃないわー」
「は?いや待て、心臓が動いていない?その状態でここまで?」
ローズマリーはそこで久方ぶりに頭を上げた、その顔には無論の事驚愕という表情が張り付いているのは誰の目にも明らかだったし。
その誰の目たち以外の顔をしていたのはサイキッカーヤエとお茶を出しに来たブリギット、そして静か……静か?にNPを溜めていたマリオンくらいでろう。
機械か超能力者だけ、つまるところ眼にしただけでその動植物の健康状態がわかる者だけは驚いていたなかった。
「えぇまぁ、ここに来るまでは五日ほどでしょうかね?飯も水も飲まずくわ……いや体洗うついでに雨を飲んだくらいですかね?ようするになんでか生きてるし。」
「同時に死んでるんですよねアッハー!気分を上げてないとほんと死にたくて辛くて仕方がなくてですね!だからまぁここに来たんですよ大ファンなので。」
「えぇ、それこそ死ぬ前にやり切りたい事をやりきりに着てるんですよ私、その辺りを言えばハグレという存在に似てますねアッハッハ」
「っそれは」
「まぁまさか死ぬ前、いや生きる前?にこの本の方々と会えるとは。」
そうして彼が取り出したのは三冊の本、ハグレ王国ゲームブック第一巻から第三巻だった。
「私の祖父母が唯一葬儀の前に私に手渡した本です、時系列もめちゃくちゃで中身は読めない文字で形成されているがそれでもこの本に込められた熱意?というのは分かる者でしてね。」
「……君の祖父母はこの世界に来たハグレで、元の世界に帰れた存在だと?」
「さぁ?情報が伝わるのが遅いド田舎に住んでるのが同じであれば、恐らくは行き損ねて帰り損ねた存在がそれでもと帰れたと言ってましたよ、たぶん私のようにこの世界で寿命で死んだら元に戻った存在なのでしょう。」
「だからゲートが閉じた後のゲームブックという存在を知っていたという事か、それを記憶を頼りに書いた結果で内容が。」
「恐らくはそういう事でしょうな、まぁ元の世界に戻ったとしても私はガン患者だ、この体も治療をしなければ動かない、はずなのに動いててちょっと困惑気味なのですよねぇ」
「そういえば貴方雷に打たれたりしなかった?」
お通夜のような空気感の中、口を開いたのサイキッカーという魔導の巨人と言われた存在からも敬意を集めている……
どっちかっていうと極まった人という人からしか価値観として見られることがない最たる例のヤエちゃんだった
いやあのメモ見られるとちょっと困るあー!内容を書き加えないでくださいユキノさん!?
訂正、サイキッカーでありみんなのヒーローヤエちゃんが言葉を発した事により、どんどんとこの問題は解決してくこととなる。
003
「拝啓父上、はいねぇんだったわ母上だけでいいわ」
手紙を書く、別段どこに届ける訳でもなく拝啓から続く文字をスラスラと適当に書いていく。
結局のところあの後の物語は特に手紙に書くには必要ない事がらが続いていた、端的に言って病院と家を行ったり来たりするのに何が必要なのかを気にする程度だ。
まずは体が腐らない棟にとすっげぇ寒い事で有名なゲームブック序盤に書いてあった村へと移住する事となった。
あそこならば体が自身の活動状態を幾らでも保存しようと無理に魔力を使い続けることもない、そう、結局の所自身の現状を解決する手段がちゃんとあったのだ。
そう、皆様ご存知マナジャムである、え、知らない?モグリ呼ばわりされるぞそんなの、通販で妖精王国からお徳用セットを買おう!ついでに十二カ月のローン返済を。
あ、それはいい?失敬失敬。
一番良い解決方法が自然由来の方法でマナを摂取する事で精神と本能が死から遠ざかろうと体をマナで動かし続けていた、のがつい先週までの自分である、らしい。
それを発見したのが第一人者がみんなのヒーローサイキッカーヤエであり、それを論文として纏めたのが魔導の巨人シノブ、治療過程は皆さまご存知めちゃくちゃ苦いお薬で有名なベルくんです。
別に苦い薬は苦手ではないがそれほど得意でもないので心配である。
まさか自然由来というのが雨に打たれたり雷に打たれたり外を出歩くというのが良かったとは思わなかったが、ありがとう体の本能と脳髄の理性……。
そんな中私は治療の為にその寒い村へと行っている最中である、流石に歩きとはいかず、ヅッチーさんの馬車についでに乗っている中書いているのが今だ。
何でも究極どてらという星付きすごいのがあるらしいと聞いて楽しみである。
「これでメモもかなりの枚数になってきたなぁ」
「お、そんなに続いてんのかい?私は本は読まないけど内容は気になるね!」
「そうですねぇ、祖父母のゲームブックも足せば国語辞典くらいの文字数にはなったんじゃないですかね?」
「もうそれって武器って言わね!?」
「嫌ですねぇ、本は読むもんですよ、まぁ六法全書を武器にしている知り合いはいましたが」
「おっかねぇな、私はそんなのくらったら失神しそうだ。」
「異議ありっていうと場を凍らせ、そしてターンを得て自分の空気を作るのが得意な友人でしたが」
「武器にするの意味が正しい方だわコレ」
メモをいったん閉じる、外を見れば雪景色が遠くに見えてきた、ついでにとけっ飛ばされて跳んでる雪だるまも見える、なんだアレ。
そのメモ帳の題名には『ハグレ王国に来ました!総合第一巻』と書かれていた。