真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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生存報告

もうあれですね。去年今年中に完結させるなんて思ってた自分を殴りたいですね。
一応完結させる意志も予定もあるんですがなかなか筆が乗らないしそもそもその時間がないしでもうゴミみたいな投稿ペースです。
それでも何とかこれからも気長にやっていくので応援いただけると嬉しいです。


番外編 あるいはこんな呪い●

思わぬ呪術体験

 

 

 ある朝の日のこと。

 

 少し前に新年を迎えたものの、世間では既にそんな空気はなくなり、普通の日々を送るだけの生活になってきたこの頃、椎名夕は珍しく家にゆっくりとしていた。

 

 ちなみにアイは仕事だ。といっても午前中で終わるらしく、昼を少し過ぎたくらいには帰ってこられると本人は言っていた。

 アクアとルビーはアイを見送るために朝早く起きたためか、朝食をとった後また寝てしまった。

 加えて家事の方も終わらせたため、正直暇を持て余していたのだが────

 

 

(誰だー······って周?)

 

 

 メッセージが届いていることに気づき確認してみると、真昼と一緒にこちらに来ていいかという内容だった。

 

 

「『いいよー』っと」

 

 

 別にそれくらい聞かなくても来ていいのにとその律儀さに夕は苦笑いしながらメッセージを返すと、それを待っていたようにすぐにまたメッセージが届く。

 

 

「『今からそっちにいくけど驚かないでくれ』ってなんだ? ······は! まさか······おめでたっ!?」

 

 

 一番にそれが出てくるあたり、十代で父親になっているのは伊達ではないと言うべきか否か。

 どちらにしても同じマンションのフロアに住んでいるだけに、すぐにインターホンが来客を告げる。

 

 

「おはよう周。それに姉さんもおはよう」

「···ああ、おはよう夕」

「おはようございます、夕······」

 

 

 玄関まで迎えにいくと、そこには案の上二人がいた。

 しかしその顔を見るに思ったより来訪の理由は深刻らしい。

 それを察した夕は挨拶もそこそこ、すぐに二人を招き入れる。

 

 

「────それで、どうしたの?」

 

 

 お茶を出し、二人の対面に座りながら尋ねる。

 もっとも内容はともかく、相談の内容が真昼のことだということは何となく夕は察している。

 その理由は真昼の頭にある。正確にはその頭にあるニット帽だが。

 夕がニット帽に目を向けたのに気づき、一度頷き合い、真昼が意を決したようにそれを外す。

 

 

「·········猫耳?」

 

 

 夕の目に飛び込んできたのは、自身の姉の頭についた三角形の耳。

 そう······紛うことなき猫耳の真昼がそこにいた!

 しかもよく見れば尻尾もあった。やけにゆとりのある服を着ていると思っていたが、どうやらこの尻尾を隠すためだったらしい。

 そこまで認識して夕は────

 

 

 

「ふぅ······まったく、いい趣味だね周。まあ姉さんと周のことだから同意の上なんだろうけどほどほどにね?」

「「違います(違ぇぇぇよ)ッ!!」」

 

 

 勢いよく否定する二人だが、夕は気にすることなく話を続ける。ついでに言うならその手にはいつの間にかスマホが握られている。

 

 

「待て待て待て、なに撮ってるんだお前は」

「えっ、いらない? 周は欲しくないの? ────ああ、ごめんごめん姉さん、俺が悪かったから」

 

 

 確かめたいことを確かめられた夕はスマホを手放し、両手を上げた。

 

 

 

 

「────それで? そうなった心当たりは?」

 

 

 改めて夕は真昼を見る。

 大学生となり、少女の可憐さと大人の女性としての美しさの両方を兼ね備えたその顔立ちはしかし、頭についた猫耳のせいか今は若干可愛いという印象を強く与えてくる。

 そして肝心の猫耳も尻尾も明らかに作り物には見えず、本人の感情に合わせて動いている。

 

 

「これが作り物だとしてもそんな精巧なものを用意するツテなんてありませんよ。そもそも見ての通り付いているというより生えているでしょう?」

 

 

 頭を少し傾けた真昼と猫耳との境目を夕は観察するが、本人の言う通り明らかにそれは生えていた。

 だが、夕としては一つ気になることがある。

 

 

「二人ともさ、結構落ち着いてるよね? まあ呪術の存在を知ってるからなのかもしれないけど、もう少し慌てたりしない普通?」

 

 

 そんな素朴な疑問に対する答えは────

 

 

「まあ、初めてじゃないし」

「そうですね。前にも一度あったので」

 

 

 しかし、夕にとってそれは聞き捨てならなかった。

 

 

 

 

「────それいつ?」

 

 

 平坦な、それでいて有無を言わせない声音だった。

 表面上は二人に不安を与えないように普段通りに振る舞っていたが、その実夕はこの事態を軽視していた訳ではない。

 だが前にも同じことがあったという事実を前に、夕は険しい顔をした。

 

 

 

 

「······ごめん、ちょっと取り乱した」

「いや、大丈夫だけど······」

「うん。それで悪いけど詳しくその話を聞かせて?」

 

 

 が、すぐに夕は平静を取り戻した。

 真昼も周もそんな夕の変化に驚きつつ、言われた通り以前あったことを話し始める。

 

 

「······」

 

 

 話を聞き終え、夕は口元に手を当て思案する。

 彼の懸念は当然ながら真昼のことだ。

 呪いの中には時間差によって発動するものもある。細かい条件を除けば、原作の『呪術廻戦』における八十八橋での一件がそれに当たる。

 

 

(羂索が何かした? いやでも時期的におかしい······。最初のは完全な偶然で、それを知った羂索が後から利用した···にしては流石に回りくど過ぎる······)

 

 

 二人によると前に同じことが起きたのは高校二年の頃。夕が羂索に本格的に目を付けられたのは高専三年時の星漿体の一件以降なので、少なくともその時に羂索が何かした可能性は薄い。

 

 

「────姉さん、ちょっと姉さんのこと調べていい?」

「調べる、ですか?」

 

 

 どうやって、と困惑する真昼の頭にポンっと手を乗せる夕。

 そのまま目を閉じて集中している様子だったが·····

 

 

「うん、いけそうだね」

 

 

 問題ないことを確認すると「楽にしてて姉さん」と一声かけ、夕は結界術を行使する。

 羂索亡き今、天元を除けば夕の結界術の技量は呪術界一と言っていい。そしてそんな結界術と、双子の関係にある夕と真昼だからこそそれは可能となった。

 

 

 呪術的に一卵性双生児は同一人物としての見なされる。夕と真昼は二卵性の双子であるため一卵性の双子ほど呪術的な結び付きは強くないが、それでも少なからず双子の繋がりが存在していた。

 そして夕はその繋がりを利用し、椎名(藤宮)真昼という存在の情報に結界術を用いてアクセスした。

 

 

(これは······? ────なるほど、そういうことか······)

 

 

 そうして夕は答えに行き着き、思わず苦笑がもれた。

 そのまま真昼の頭に乗せていた手を下ろし、安堵の息を吐くと────

 

 

「うん········とりあえずごめん······」

 

 

 

 ────原因、俺だわ。

 

 

  ○ ●

 

 

 知っての通り、椎名(藤宮)真昼は術師ではない。

 では術師か非術師かの違いはどこで生まれるかと言えば、それは脳にある。

 そしてさらに細かく分類するなら真昼は術式を所持しているが、脳の構造(デザイン)が非術師のものという分類になる。

 

 

「────つまり術式自体は姉さんも持っているという訳なんだけど、ここまではいい?」

 

 

 詳しい説明を求められた夕は、前提となる知識を二人に教えていた。

 

 

「まあ······」 

「理解をしたと言えばしたんですが······」

 

 

 わざわざこんなことを話していることから、真昼の今の状態は本人の術式が関係しているということは察せられる一方、ではなぜ術師ではないはずの彼女の術式が発動しているのかという疑問が残る。

 

 

「結論から言えば誤作動みたいなものだよ」

「誤作動?」

「そ。まず原因となったのが家に張ってある結界だね」

「結界······?」

 

 

 二人からすればそれは寝耳に水だった。何せそもそもそんなものを張っていたこと自体知らないのだから。

 しかし事実として結界は今いる夕の自宅はもちろん、真昼と周の方の部屋にも張られているのだ。ついでに言うならこの家に越す前の家にだってしっかりと結界は張られていた。

 

 

「────主な用途を呪霊を近づけないための結界だね。まあ低級の呪霊にしか効果はないけど。で、問題なのはその結界内に呪力が蓄積したことだね」

 

 

 だが、本来結界内に呪力が蓄積することはないのだ。そこについては夕が結界の条件付けによって、真昼や周から漏出される僅かな呪力は内から外に出ていくように設定していた。

 しかし────

 

 

「俺と姉さんが双子だからか呪力の性質が似てたんだろうね。そのせいで姉さんの呪力は結界の対象から外れて、本来外に出ていくはずの呪力が姉さんのだけ結界内に残ってしまった」

 

 

 結果、蓄積した呪力によって本来呪力を(使えるほど)持たない故に起動しない真昼の術式が誤作動を起こした。

 

 

「そうなると、この姿は······」

「時間経過で戻るよ。前もそうだったんじゃない?」

 

 

 その言葉に二人はホッと胸を撫で下ろした────

 

 

「────ですが、こういうことってそうそう起こるものなんですか?」

 

 

 そうして落ち着いたところで真昼がそう疑問を投げかけてくる。

 その顔にはまた同じことが起こるのは遠慮したいと書いてある。

 

 

「そこは姉さん次第じゃな~い」

「······いや、どういうことだよ?」

「夕、もう少し説明を······って、その顔はなんですか?」

 

 

 何とも投げやりな夕の解答に二人は頭を抱えるが、彼は彼で二人の反応にキョトンとした顔を浮かべていた。その心はというと────

 

 

「え、二人とも羞恥で悶えたい趣味でもあるの? ······いや、そういえばあったね」

 

 

 と、一人で勝手に納得していた。とはいえ、流石にそろそろ焦れてきてるのを理解してるから夕は説明を再開する。

 

 

「まず姉さんの術式だけど······ざっくり言うなら降霊の系統かな? まあ厳密にはまた変わってくるけど、とりあえずその認識でいいよ」

「降霊、ですか」

「うん、それも割と変わり種だね。というより自分で言っといてあれだけどこれ降霊か?」

 

 

 自信を持てないのか首を傾げる夕。それもそのはず。真昼の術式、それを一言で言い表すなら『幻想の体現』。

 夕の夢幻呪法が基本的に幻想(イメージ)世界()へと向けるものに対し、真昼の術式は幻想(イメージ)自身()に向ける。

 すなわち────

 

 

「姉さんのその姿は姉さん自身が少なからず望んだものだってこと。────さてさて一体どうしてその姿になることを望むんだのかなぁ?」

 

 

 ニヤニヤというよりはニタァと表現した方がいい笑顔を二人に向ける。

 

 

「「~~~·········っ!!!」」

 

 

 かくして二人は激しく悶えたのだった。

 

 

  ○ ●

 

 

「────きゃわぁぁぁ!!!」

 

 

 帰ってきたアイのそんな悲鳴? がリビングに響く。

 

 

「うん、予想通りの反応」

「そう思ってるなら止めろよ」

「わかってないな周。あのアイを止めるという選択が俺にあるとでも?」

「ないのか?」

「ない。はしゃいでるアイ可愛いし。それにオロオロしている姉さんを見るのも乙」

「······欲望に忠実過ぎる」

 

 

 呆れを通り越したものを滲ませた周はため息をつく。

 

 

「おいおいブラザー、素直になれよ? あれが危険なものじゃないってわかったんだからここは堪能しとくもんだぜ。あれはマイシスターがブラザーのためにと望んだすがt「それはもういいだろっ!」······っと······! 周~、暴力を見せるのは二人の教育に悪いんだけど」

 

 

 誰のせいだッ!? と叫ぶ周。残念ながら口封じ(物理)をしようと夕の顔に伸ばされた手はあえなく掴まれていた。

 

 

「─────でも顔を狙いつつも、ここでグーじゃないあたり周って本当育ちいいよね」

「······何だよ急に?」

「んにゃ? 別に思ったことを言っただけだよ。別に多少の傷ならすぐ治せるし、そんな気にしなくていいのに」

「·········」

「······周?」

「··········それ」

「ん?」

 

 

 突然押し黙ったかと思えば重々しく周は口を開く。眉をひそめつつ、その眼は真剣な眼差しを夕に向けていた。

 

 

「────それ、簡単に口にするなよ」

 

 

 咎めるように、それでいてその身を案じた言葉だった。

 

 

「呪術のことなんて俺はほとんど知らない。その方面じゃ俺はまったくお前の役に立てないことはわかる。そして、きっと俺たちのために知らないところで途方もない手を尽くしてるのもな。そんな守られることしかできない奴が偉そうに何言ってるんだって言われるも承知だが······」

 

 

 己の無力さを痛感しつつ、しかし決して嘆く様子は見せない。友として、家族として、対等であるために。

 だから────

 

 

「傷ついていいなんて簡単に言うな。次言ったら殴るぞ」

 

 

 

 

(······完全に口が滑ったねぇ)

 

 

 その言葉に夕は内心で苦笑を浮かべていた。

 とはいえ、改めて考えれば我ながら少しわかりやすかったと思わなくもない。

 予想外の出来事に思考が普段のそれから呪術よりのものになってしまっていた。そしてそれを誤魔化そうと些か饒舌になり、煙に巻こうとした結果逆に墓穴を掘ったのだから。

 わかっていたが、真昼たちに呪術が絡むとなると自分は自分が思う以上に動揺するらしい。

 あるいは、それを見抜いて先ほどから周は自分の近くにいたのだろうか。

 

 

「────周はさ、いい親になれるよ」

「また急に何だよ? 今の発言のどこにそんな要素があった」

「いやいや。あるある、超、メチャクチャ、すんごくある。呪術師の俺が言うんだから間違いない」

「いや呪術師関係あるか?」

 

 

 それに夕はどこか遠くを見つめ────

 

 

「あるよ」

 

 

 

 

  ○ ●

 

 

二十年の呪い

 

 

 夜景を彩るビルの一つ、そのオフィスにキーボードを叩く音が木霊する。

 既にオフィスにいるのは彼女一人だけだった。

 セミロングの茶髪を肩に流したその女性はパンツスーツをきっちり着こなし、まさにできるキャリアウーマンといった感じである。

 実際先ほどからキーボードの上を滑る指は淀みない。

 

 

「·········」

 

 

 女性の手が止まる。時計を見ると深夜とまでいかなくとも、かなりいい時間だった。

 しばらく時計を眺めていた彼女だが、やがてスッと立ち上がると手早く帰り支度を終わらせる。

 最後に自分しかいないオフィスの電気を落とし、そっと帰路へと付いた。

  

 

 

 

 

 

 

「·········ふぅ」

 

 

 自宅へと帰り、ようやく腰を落ち着けた彼女はそっと息を吐き出した。

 生来の気質もあるのだが、とある事情で最近は外でも気が休まらないこともしばしばあり、そのせいか疲れが今となってどっと押し寄せて来るのを感じる。

 鈍くなっていく思考に比例してその瞼も徐々に重くなっていく。

 が、まだメイクをしたままであり、このまま眠ってしまうことを意識の高い彼女は拒む。

 しかしどうにも動く気力が湧かない。

 とはいえ、このままでは本当に寝落ちしかねたいと思った彼女はテレビの電源を入れた。

 

 

「────」

 

 

 画面が映されるまでのわずかなラグをぼんやりと見つめていたが、次の瞬間には眠気など吹き飛び、テレビをつけたことを激しく後悔した。

 

 

「ッ·········!」

 

 

 咄嗟に脇に置いていたテレビのリモコンに手を伸ばすが、勢いよく動かした腕によってそれは床へと落ちてしまう。

 そんな彼女の変化など露知らず、画面の中の映像は流れていく。

 そこに映るのはとある長編ドラマ。いよいよクライマックスへと入ったシーンの主役は────

 

 

『どんな気分だい?』

 

 

 そう言い、薄く笑う。

 

 

「ッ······!」

 

 

 その笑みにただただ嫌悪が浮かぶ。

 

 

 

 

 

 笑うな·········嗤うな、その顔で······

 

 

 

 

 自分よりも赤みがかった茶髪にどこか自分の面影のある顔。それが······

 

 

 

 

 

 

 ────それが、どうしようもなくおぞましい。

 

 

 

 

「────フー······フー······フー······ッ!」

 

 

 もはや我慢ならず半ば飛び付くように床のリモコンを手に取り電源を落とす。

 

 

 

 椎名夕。

 断じて認めたくないが自分の血を引いた男にして人生の汚点。あれに比べればまだ娘の方がマシだとさえ言える。

 

 

 思い出したくもない記憶。

 今思えばあれはどこかおかしい······否、異常だった。

 しかしそれを最初は気のせいと思っていた。

 ただ娘であり戸籍上の夫に似た真昼の隣にいるからそれに引っ張られているだけだと思おうとした。

 けれど年を重ねるごとにあれの異常さはより顕著に現れだした。

 それは年齢不相応の振る舞いであったり、その高い能力だったりもするが、そんなものは大して問題ではない。そんな表面上のものではなく、もっと本質的、根本的にあれはおかしかった。

 

 

 それでも必死にそこから目をそらし続けてきたが、とうとうそれが限界を迎える日が来た。

 あの日、中学に入学して初めての誕生日を迎えることに気づき、久しぶりに顔を出しに行った。

 成長期に差し掛かり、少しずつ男女の性差が出てきている今なら、自分の息子として······そんな風に思っていた。

 

 

『────おやおやおや? 母上ぇ~? 珍しいねこっちに顔を出すなんて?』

 

 

 そこにあったのは以前会った時よりも遥かにおぞましい何かだった。

 その瞬間、今まで抑えていたものがすべて嫌悪感に変わり溢れだした。

 

 

 

 何だコレは? 自分は一体何を生んだ? これが一時とはいえ自分の腹にいたのか?

 

 

 

 正直あの場で吐かなかったのが奇跡に近かった。

 その日の夜は腹の内がひっくり返ったかのようにすべてを吐き出したし、何なら今でも思い出すだけで吐き気がこみ上げてくる。

 

 

 あれは今や日本では知らぬものがいないと言える知名度を持っている。

 ドラマ、バラエティー、果てはCMと、テレビで見ないことの方が珍しいその存在は、彼女────椎名小夜の心を常にかき乱す原因だった。

 

 

 もしもあれと自分の関係が知られたら······ここ数年はそれを考えない日がなかった。

 世間一般で言うネグレクトをしてきたことの露見など、もはやそこまで問題ではない。そんなことより自分があれを生んだこと、あのおぞましい化け物の母親と世間から認知されてしまうことの方が遥かに彼女にとって問題だった。

 

 

 きっと彼女に安寧の時が訪れることはない。少なくとも、それに向き合い歩み寄ろうとしない限りは。

 

 

 その心を蝕むそれは······

 

 

 

 

 ────どこまでも呪いだった。

 

 

 




というわけで8.5巻の真昼猫化を作者なりに呪術に落とし混んで見ました。実は随分前からおおよそ描けてたんですが、どうにも後一歩で落としこめないというところにモジュロで術具の呪力は流用できる(それも一般人と同程度の呪力しか持たないフィジギフが)という設定が出たお陰で、まあなんとか無理矢理だけどそれらしく落としこめたかな?
つまり真昼は術師ならそういう外部から取り込んだ呪力を制御するのが滅茶苦茶うまいという感じで考えてくれればいいです。それが彼女の感情をトリガーに発動した感じというのが『思わぬ呪術体験』の内容です。
ちなみにそこから何か描いてたら作者もちょっとよくわからん方向に話が転がっていって、その勢いのまま『二十年の呪い』が生まれた。正直11.5巻で断片的に出た椎名家の情報を鑑みると結構解釈がズレてるとも思ったが、まあせっかく描いたし最新刊でそこら辺の情報が開示される前に投稿しちまえの精神で投稿しました。はい。反省も後悔もありません。


また母親が夕に会いにいったのは本編第九話の特級呪霊in富士の樹海の直後も直後。つまり黒閃決めて色々とハイになってた。
なお夕が分かりやすくおどけて芝居がかったしゃべり方をしてる場合、心の均衡を保とうとしてる時なことが多い。所謂乙骨や裏梅の言ってた怪物になる、人である云々のあれ。
夕自身十三歳までそこら辺が曖昧だったが、富士の樹海で特級との戦いで術式なしで人智を超えたそれを祓えるかという考えが浮かびつつも、最終的には大切なものを守れない人であるくらいなら大切なものを守れる人でない何かでいいと完全に振り切った(イカれた)結果、遂に呪術師としての一歩を踏み出したという経緯があったりなかったり。
あとできればどっかでこの親子が顔を合わせて、「この化け物がっ!」って言われたところに「その化け物を生んだ気分はどうですか母上」とか夕に言わせたい欲がある。
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