真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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とある作品の影響を受けて描きました。
初投稿ですが、楽しんでいただけたら幸いです。


第一章
第一話○


 

 転生した。

 こんなことが実際にあるのかと思ったが、事実として生まれ変わってしまったのだから受け入れよう。

 そして自分には双子の姉がいる。名前は真昼────椎名真昼だ。

 

 

 ────お分かりだろうか?

 

 

 そう、真昼である。まひるんである。天使様である。

 

 

 ······ここは天国か? だって天使がいるし。あっ天国だ(断定)

 

 

 いや正直驚いたね。確かに前世で『お隣の天使様』を見て真昼の兄弟になりたいと思ったことはあったけど、本当にそうなるとはね! 

 えっ、兄弟でいのかって? は? 何? もしかしてうちの真昼さんを狙ってる?

 馬鹿野郎! 真昼の相手は周しかいないだろう(断言)

 

 

 むしろ、あんなピュアピュア天然記念物カップルの戯れをベストポジションで眺められる兄弟の位置こそ至高! 異論は認めない!

 

 

 ふぅ、取り乱した。

 

 

 とはいえ、自分が真昼の弟に生まれ変わったと知った時は驚いたものだ。自分に双子の姉がいるということは周囲の会話を聞いて知っていたが、その姉が真昼と知ったのは今世における実家に帰った時だ。

 なんせうちの両親俺たちの名前を考えていなかったのだ。なかなか決められず悩む親は往々にしているにしても、まさかまったく考えていなかったとは······。

 実際、いざ名前をつけるってなった時もその理由が出生届の期日が迫っていたからと聞いた時はもう何も言えなかった。

 

 

 というか、そんなことを隠しもせずに赤子の前で言うなよ、俺はともかく真昼がいるってのに。

 まだ病院にいた時に親が一度も新生児室に顔を出さなかったからもしやと思っていたが、やはり俺たちはお世辞にも望まれた命とは言えなかったようだ。

 

 

 そんなこんなで付けられたのは、両親の名前である朝陽と小夜の間をとったものだった。······うん、何というか安直だ。

 

 

 原作を知っていとはいえ、ここまで親として終わっているとは······。

 

 

 特に母親! 仮にもお腹を痛めて産んだ子どもだろうが! 愛情の一つもねぇのかよ。そんなだから真昼が将来あんな風になっちまうんだろう。

 父親も父親だ。こっちはこっちでまともに顔を出しにこねぇ。顔を見た回数片手で足りるぞオイ。

 

 まあ、この通り中々に問題のある家庭に第二の生を受けたわけだが、せめて俺だけでも家族として真昼に愛情を注ごう。そしてあわよくば周とのイチャイチャを間近で眺め······ゲフンゲフン!

 

 

 とにかく! 少しでも真昼の心の傷を減らして、周へと繋ぐんだ。

 

 

 椎名夕、頑張ります!

 

 

  ○ ●

 

 

 意気込んだのはいいがこの身体はまだ赤子でできることはほとんどない。精々隣で眠る真昼の寝顔を眺めて癒されるくらいしかできないのだ。

 

 

 ······いや最高かな? これがあるだけで俺の人生は薔薇色、むしろこれだけでいいまでである。

 

 

 赤子として過ごす上で避けられない授乳やおむつ、風呂といったこちらの尊厳を滅多刺しにしてくるものもまあ·········うん、慣れたよ。

 

 意外にもそれは愛情微塵もないうちの親によって思いの外ダメージは少ない。なんせあの両親がまともな育児をするはずがない。ベビーシッターのオバチャン雇ってそっちに丸投げだったわ。本人はその後さっさと仕事に復帰していくあたりもう筋金入りだぜ。

 授乳は専ら哺乳瓶だし、風呂もまあ相手がオバチャンならギリギリ、おむつは聞くな、馬鹿野郎······。

 

 

 そんなわけで精神ダメージを受け、その度に真昼に癒されることを繰り返しつつも表面上は普通の赤子と変わらぬ生活を送っている。

 

 

 ······ごめん、ウソです。その表面上の生活に似つかわしくないものが今僕の視界にいます。具体的には何か異形の生き物が······。

 

 

 

 

 ふぅ······。

 

 

 

 

 ナニコレ? 

 

 

 

 いや、現実逃避はやめよう。

 落ち着け、クールだ俺。

 整理しよう。

 

 

 まず奴はどうやら俺にしか見えてないらしい。まあ真昼に関してはまだ意志疎通が無理だからワンチャン見えてる可能性もあるが、少なくともベビーシッターのオバチャンには見えてない。

 

 

 大きさはティーカップくらい。今のところ直接的に何かをする様子はない。とはいえ正体不明の生物が視界にいるのは精神衛生上良くない。

 しかし見えてるのは俺だけだし、普通の赤子よりは動けるだろうがそれでも今の身体能力などたかが知れているから放置するしかない。

 

 

 

 ────と思っている私がいました。

 

 

 

 何と野郎、あろうことか真昼の傍にいつの間にか来ていやがった。

 

 

 不覚! ちょっと眠った隙に接近を許していた。クソが、この身体はとことん不便だぜ畜生め!

 

 とか思っている内に奴はさらに真昼へと近づく。

 

 

 テメェそれはダメだろ! 自分のビジュアル考えろゴラ! そんな気持ち悪いクリーチャーみたいな見た目でうちの真昼とツーショットなんて千年は早いわ! 

 

 

 どうにか奴を追い払おうと試みるが悲しきかなまったく効果はない。きっと今の自分は第三者から見ればただ手足をバタつかせてるだけの赤子。水中でもないのに溺れてるように見えるその様はさぞや滑稽なことだろう。

 

 

 しかし関係ない。奴が真昼に近づくことを俺の全矜持が許さない。

 

 

 クソ、届け。

 

 

 届け!

 

 

 とぉぉどぉぉぉけぇぇぇ!

 

 

  ○ ●

 

 

 

 『蠅頭』、四級にも満たない雑魚呪霊。

 『呪霊』とは人の身体から漏れ出た負の感情の集合体たる異形の存在。

 週刊少年ジャンプ連載の人気漫画『呪術廻戦』。その世界における敵の象徴として描かれるのがこの呪霊だ。

 

 

 

 

 まあ何が言いたいのかいうと────

 

 

 

 

 

 

 

 ────ここ『呪術廻戦』の世界だわ。

 

 

 いやわかってたよ。蠅頭見た時何か見覚えがあるなと思ったよ。現実逃避はやめようって言ったけど、実際はしてたよ、したくもなるだろクソッタレめ!

 

 

 二次創作的な言い方をすればクロスオーバーと言うんだろうが·········『お隣の天使様』と『呪術』混ぜるか普通!? 思わず「世界観ッ!?」って叫んだわ。赤子だから言葉になってなかったけどさ!

 

 

 

 ·········とはいえいつまでも現実逃避はしてられない。どうにかしなければ。真昼のために。

 

 

 

 えっ? あの蠅頭結局どうしたのかって? 祓ったよ。祓えちゃったからこそ、ここが『呪術廻戦』の世界って認めざる得なかったったんだよっ!

 

 

 話を戻そう。

 ここが『呪術廻戦』の世界でもある以上、己を鍛えなければならない。

 ある程度の自衛手段を持つ呪術師すらあっさり死ぬような世界なのだ。非呪術師の命など文字通り紙屑のように容易く吹き飛ぶだろう。

 

 

 ────強くならなければならない。

 

 

 真昼を守るためにも、自分の望む未来を得るためにも。

 

 

 蠅頭を祓う時に触れた呪力。

 それを介して自覚した真昼に対する想い。

 俺は自分が思う以上に真昼を愛していた。

 それが前世から生じたものなのか、それとも今世の真昼の弟としてのものなのかはわからない。

 

 それでも、腹の底から呪力を沸き上がらせたソレはきっと、何一つ偽りはないものと断言できる。

 

 一先ず、できることを一つずつこなしていこう。

 とりあえず当面は呪力操作を頑張っていこうと思う。

 

 

 椎名夕! 生後半年、将来のために呪術師を目指しまっせ!

 

 

 

 

 

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