真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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第二話○

 

 

 早いもので小学生になった。

 

 

 相変わらずうちの親のダメッぷりは変わらない。ついでに呪霊がいるのも変わらない。

 そんなわけで俺の小学生ライフは真昼と呪いの二つで完結していた。(温度差がひどい)

 

 

 あっ、ちなみに真昼には呪術師としての素養はないし、呪いを見ることもできなさそうだ。·········良かった、これで真昼は普通に生きられる······。

 

 

 今の生活は学校ではほどほどの関係を築きつつ、休み時間や登下校の最中に見かけた呪霊を祓って、休日は真昼との時間を大切にしつつ、ここでも呪術師としての鍛練は欠かさない。

 そのお陰で呪力制御に関してはこの数年の間に中々のものになったと思うし、自分の持つ術式も判明した。

 

 

 術式は幻術、つまり幻を操るもので、夢幻呪法と自分では呼んでいる。

 

 

 しかし、ここしばらくは停滞している感が否めない。

 

 転生して早六年ほど、来る日も来る日も呪術の鍛練に明け暮れた。

 呪力操作に始まり、術式の理解、そして体術と、自分の費やせる時間はとにかくこれらに当ててきたが、それを大変だと思うことはなかった。

 

 真昼を守るためということもあるが、前世にはなかった呪術という異能の存在は自分の心を踊らせた。

 

 

 呪力という己の内側にあるのに果てしなく遠く感じるソレに少しずつでも近づいていくのは達成感があったし、術式と向き合ってできることを増やすことにのめり込みもした。体術も呪力強化による超人的な身体能力が楽しくて色々な動きを試した

 

 

 

 

 もちろん呪術師として生きるということが何を意味するかはある程度理解はしているつもりだ。

 それでもやはり、前世ではできなかった感動がそこにはあった。

 

 

 

 けれど良くも悪くも人というのは慣れる生き物だ。

 

 

 

 気づけば呪術が使えることは日常となり、最初の頃にあった感動は希薄化しつつある。

 代わり映えしない日々は鍛練をマンネリ化させ、モチベーションを低下させることに繋がった。

 

 

 俺は環境というものが人間にとってどれほど重要かを痛感した。

 

 単純に然るべき環境に身を置いた方が習得が早いという効率的な面もあるが、自分の心をコントロールし、やる気を維持するのを徹頭徹尾自己の範囲内で行うのは想像以上に難しい。

 

 取り立てて顕著なのが体術だ。なまじ強化した身体能力に慣れてしまったことと、それをぶつける対象がいないのが大きい。

 ついで呪力制御。こちらも体術と同様で慣れてしまったのと、一定のレベルに達して目に見えた成果が出づらくなっているのが原因だろう。

 術式に関してはまだまだ発展途上だし、今のところはそこまで深刻ではないが、軽々しく使うのは憚れるのがあってそれがややストレスになっている節がある。

 

 とりあえず比較的モチベーションの低下のない術式を主体に呪力制御と体術の鍛練を織り混ぜて飽きが来ないように工夫はしているが、このままいくと術式の方も他二つに引きずられてしまう恐れがある。

 

 

 ふう······。

 

 

 現状を分析してみたが、それでもできることは地道な鍛練を続けることだけだろう。

 

 

 ────初心を思い出せ。

 

 

 ────何故呪術師を目指したのか。

 

 

 そうやって自分に言い聞かせ、今日も鍛練を始める。

 

 

 ······まずは軽い呪力操作から。次に術式で何かやろう。今日は何をやってみるか。

 何かやったことがない、こ、とを············

 

 

 

 ············待てよ。

 

 

 初心を思い出す。

 言い聞かせる。

 

 

 

 

 ·····················何とかなるかもしれない。

 

 

  ○ ●

 

 

 上手くいった。

 

 試行錯誤を数ヶ月ほど続けた結果、無事に問題の一つが解決した。

 

 

 俺の術式は幻術を操るものだ。

 見る、聞く、感じる、あらゆる情報を誤認させ錯覚を起こさせる。そんな知覚に作用するこの術式はつまり脳に対して干渉する力と言えるのだ。

 

 

 だから文字通りに言い聞かせたのだ、直接自分の脳に。

 

 

 ────自らの初心を。

 

 

 ────強くなるという決意を。

 

 

 ────原点の想いを。

 

 

 かつての記憶を鮮烈に呼び起こし、自己催眠という形で今に上書きしたのだ。

 仮にまた今回のようにそれが色褪せることがあれば再び上書きし直せばいい。少なくともこれでモチベーションの維持については悩まされることはもうない。

 

 

 しかし、やはり独学では限界があることを悟った。

 

 とはいえ師となる人のツテなどない。高専側に呪術師の才を開示して教えを請うという手もあるが、それをすると恐らく俺のことが上層部にも伝わる。そうなると芋づる式で真昼のことも知られる。

 現時点の俺の実力や影響力を考えれば自意識過剰な被害妄想と言えるかもしれないが、それでも真昼に累が及ぶ可能性は極限まで排除したい。

 せめて『最強』こと、五条悟が後ろ盾になるのなら一考の余地があるのだが、残念ながらそれはできない。

 

 

 なぜなら今は1994年。

 原作開始時(2018年)の五条が確か28、9だったか? 逆算すると五条の生まれた年は俺とそう変わらない。

 

 

 原作でも屈指の地獄である『渋谷事変』までかなりの時間があると喜ぶべき······とは言えないなまったく。

 

 

 ·········その頃には真昼と周は結婚して、何だったら子どもも生まれているのだろうか? というかそんな中で『渋谷事変』とかマジ勘弁だわ。クソ羂索め·····。

 

 

 まあ、それの回避はまた追々考えるとしよう。最悪の場合二人を海外にでも逃がせばいい。何だったら俺も普通に逃げるし。

 

 

 やれやれ、結局これからも独学で何とかしていくしかないのか。まあ下手に関係築いて呪術界に深入りするよりはマシか······。

 ぶっちゃけ読者として見るならともかく、現実で五条みたいのに関わるのは正直遠慮したい。ただでさえ学生時代はトゲトゲしてる上に、もう一人の問題児もいる。

 

 

 触らぬ何とか。俺は絶対関わらないからな!

 

 

 

 

 

 

 

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