真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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第八話○

 

 中略、九十九由基に気に入られた。

 

 思ってた印象と大分違ったが、結論を言えば結果オーライ。

 彼女に気に入られたおかげで弟子入りの申し出はアッサリ通った。これでかねてより問題だった体術や、原作では描かれてない呪術界の知識を補完できる。

 とりあえず高校までは真昼と同じ進路で見守るつもりだから、高専に入るつもりはないし、九十九さんから呪術界の知識まで教われたのは幸いだった。

 

 

 それにしても、流石は巷でゴリラ廻戦と言われる世界の最高位の一人、とんでもない強さだった。

 そんなわけで本日も修行パート、ではなく────

 

 

「誕生日おめでとう、姉さん!!!」

 

 

 ハイ、真昼の誕生日を祝っています。

 

 

「······ありがとうございます、夕」

「あれ? 姉さんテンション低くない? 主役なんだからもっと盛り上がろうぜ」

「いや、双子なんですから主役なのは夕も一緒でしょ······」 

「えっ、僕の誕生日とかどうでもよくない?」

「どうでもよくないですよ!?」

 

 

 え~、だって僕の中身の年齢考えるともうそこそこいい年だし、そんな野郎のこと気にするなら真昼の誕生日を全面に押し出した方が、僕の精神的にもよっぽどいい。

 せめて僕くらいは盛大に祝ってやりたいからね!

 

 

「はあ······祝って貰えるのはありがたいですけど、そんなだと私だってちょっと気後れしますし、せめてもう少し普通に祝ってください」

「ごめんごめん、次は気を付けるから」

「······それ毎年聞いている気がする上に、改善されるどころか年を重ねるごとに盛大なっていくのは私の気のせいですか?」

「······」

「夕、目をそらさないでください」

 

 

 真昼の指摘に流石に僕も今年は調子にやり過ぎたことを自覚しているからか、反論ができない。

 なんせテーブルには所狭しと料理が並べられ、部屋もかなり華やかに装飾している。

 昨日真昼が寝たのを確認した後せっせと準備をし、徹夜でこれを用意したのだ。

 

 

 うん、流石に朝から色々と胸焼けしそうだね、主に料理。

 地味にララライの活動で子どもにしては動かせるお金が増えたせいで、完全に調子に乗った。お金の魔力、恐るべし······!

 

 

「······まあ、流石に今回は夕もやり過ぎたと自覚しているようなのでこれ以上は何も言いません。本当に次は気を付けてくださいね?」

「ありがとう! 流石姉さん、愛してる!」

「まったく······。────夕、遅くなりましたが誕生日おめでとうございます。夕がいてくれて私もすごい助かってますよ」

「それはお互い様でしょ? 僕だって助かってるよ。いつもありがとう、姉さん」

 

 

 フワリと笑う真昼にそう答えると、今年の誕生日が始まった。

 

 

  ○ ●

 

 

「────ということがあったんですよ」

「なるほど。シスコンここに極まれだな」

 

 

 翌日、九十九さんに誕生日のことを話したら、そんな評価が返ってきた。解せぬ······。

 今日も今日とてゴリラになるためにゴリラゴリラしてます。

 

 オラ! いつまでもやられる側にこっちが甘んじると思うなよ! くたばれメスゴリ······おまっ、ちょっ!

 

 ······調子に乗った。昨日の反省はいかせなかったらしい。

 

 

「────そういえばプレゼントには何を贈ったんだ?」

 

 

 ボロ雑巾のように僕をボロボロにした九十九さんがそんなことを尋ねてくる。

 

 

「髪留めをいくつかですね。数年前から髪を伸ばし始めていたので」

「思ったより普通だな」

「ちなみに何を贈ったと思ってたんですか?」

「夕のことだから来年中学に上がるからと言って、馬鹿高い腕時計あたりを選ぶと思ったな」

「あ~、それも考えたんですけどね~」

「考えてたのか······」

 

 

 何やら呆れた様子を見せる九十九さんは無視する。

 

 

「でも、流石にそれだと姉さんが気後れすると思って、値段とかは抑えたものを贈りました」

「何でその気遣いを別のところにも向けられない」

「いや、だからせめて時間はかけて盛大しようと思って」

 

 

 またしてもため息をつかれた!

 

 

「────お前姉に何かあったら絶対暴走するだろ」

 

 

 むっ、これは聞き捨てならない。僕が考えなしに報復すると思ってるのか。

 

 

「しませんよ。じっくりと社会的に磨り潰した後に、物理的にトドメを差します」

「······一応聞くが何をする気だ?」

「まず、それに関わった人間の姿に術式を使って化けて、社会的不祥事を起こす。そうして周囲から見放された後·········処します」

「エグいな······」

 

 

 使えるものは何でも使うさ。何のためにこっちが術式を磨いてきたと思っているのだか。

 

 

「というかあれだな。お前やりよう次第では普通に国を滅ぼせそうだな」

 

 

 物騒なこと(自覚あり)を考えてると、九十九さんがそんなことを言ってきた。

 何を言ってんだこの人?

 

 

「何で自覚なさそうな顔をしてるんだ」

「いやだって僕の術式ってそんな破壊力とかはないですよ?」

「······まあ、確かに直接的にはそうかもしれないな」

 

 

 僕の術式の幻術はあくまで幻術。そんな国家転覆なんて物騒なことは······アレ?

 

 

「気づいたか? お前の術式で地位の高い人間、それも軍事方面の方の奴に成り代わればやってやれないことはないだろ」

 

 

 多少の時間と手間はかかるかもしれないがな、と九十九さんは言うが、確かにその通りだ。

 原作の五条の絶対的な火力や、夏油の物量とかの物理的な方法ばかりに気をとられていたが、国家転覆のやり方は物理的な方法に頼らずともできる。それこそ歴史上内部からの崩壊によって滅んだ国だっていくらでもあるし、僕ならその方法で国を破滅させられる。やらないけど。

 

 

「うわ、高専とか行く気ないけど、こっちのこと知られたら滅茶苦茶不味いやん」

 

 

 僕の術式はとことん対人に特化している。現時点でも初見の相手で何でもありなら、一級の中堅あたりまでなら多分殺れる。

 ついでに言うなら僕の術式は非術師の人間も見ることができる。

 何せ呪力の類いは非術師には見えなくても干渉できる。

 僕の術式は脳の知覚を呪力的な方法で誤認させるものだから、非術師であっても僕の幻術(イメージ)を見えているように思わせることができる。

 まあ術師の方はともかく、非術師の方には見えないようにさせることもできなくはないが。

 

 

「まあ高専、というよりも上層部の方だな。それを知られたら間違いなく目を付けられるぞ。それこそ最悪お前に人質をとって言うことを聞かせ、暗殺紛いのことをさせる、なんて考える輩が出てくるかもな」

「······」

 

 

 人質は言うまでもなく真昼のことだ。僕は思ってるよりずっと綱渡りなことをしてきたのだと悟る。

 

 

「やれやれ、隠し事がどんどん増えていくな」

「いくらかは自業自得だろ。まあ万が一呪術師とバレたら、術式のことを過小申告しておけ」

「······そうします」

 

 

 こうして僕はまた秘密を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 




解説(言い訳)コーナー
非術師にも幻術を見せられるっていうのは作者の独自解釈です。
いや、でも、帳とかも呪いの存在を秘匿するために視覚的な干渉を多分してるんだろうし、なら知覚に干渉する主人公の力は非術師に見せることもできるってことにしてもいいよね?
あと、特級術師の定義が「国家転覆が可能」ってことになってるけど、物理的な火力によってじゃないといけないのか、それとも搦め手のような方法でもその定義に入るのかがわからない。
とりあえず本編では国を滅ぼせるけど、特級になれるとまでは描きませんでした。
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