真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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二話連続投稿です。先に三十四話をお読みください。
それにしても、十人近く人がいると動かしづらくて描きづらいですねー。
まあ、完全に作者の技量不足なんですけど。
文才、どこかで買えませんかね?


第三十五話○

 

「────センパイ?」

 

 

 どうしたと言わんばかりに声をかけてくる五条。

 

 

「あー······うん、何でもないよ。とりあえず自己紹介······いや、それだと長くなりそうだから、全員の紹介を僕からしようか」

 

 

 癖が強すぎる者が混ざる中でそれをするのは悪手と思い、それらを自分で取り持とうと思い直す。

 

 

(どうするか······)

 

 

 その後の話のことも考えてどう紹介するのがスムーズに進むか考える。

 

 

「じゃあまずは七海と灰原からいこうか。もしかしたら三人は僕が倒れた後話したかもしれないけど、そこにいる二人が僕の二つ下の後輩で七海建人と灰原雄。今年の新入生だね」

 

 

 よろしくお願いします、と相変わらず対照的な感じで二人は頭を下げる。

 

 

「残りの三人は二年で、まずそこにいる女の子が家入硝子。呪術による治療のスペシャリスト」

 

 

「どうも~」

 

 

 軽く手を振りながら応じる家入。

 

 

「黒髪の方は夏油傑。一般家系の生まれだけどその才能は折り紙付きで、最強の一人」

 

 

「ご紹介に与りました、夏油傑です」

 

 

 こちらは一応表面的には愛想良く笑ってそう挨拶する。

 問題は────

 

 

「······もう一人の最強である五条悟。呪術界のエリート家系の出身で、いいところの坊っちゃんなのに、礼節その他諸々をどこかに忘れてきている。基本的に生意気だけど多目に見てやって」

 

 

「何で俺の紹介だけ悪口なのセンパイ?」

 

 

「日頃の行いだね」

「日頃の行いだろ」

「日頃の行いですね」

「日頃の行いだと思います!」

 

 

 ピキッと五条がなるが、まあ他四人の言う通りだから僕は何も言わない。

 そのせいで何か言いたげな顔を向けてくるが、それを無視して今度はアイたちの紹介をする。

 

 

「こっちが僕の双子の姉の椎名真昼。僕と違って呪術師の才能はないし、何より至って普通だから、言動·········せめて『動』の部分には気をつけてね────五条」

 

 

「だから何で俺だけなんだよ!」

 

 

「じゃあお前敬語とかで話せんの?」

 

 

「······」

 

 

 無言だった。

 

 

「え、ええと······夕の姉で、椎名真昼と申します······」

 

 

 控えめに挨拶をする真昼。

 真昼からするとまったく関わってこなかった人種だから、色々と面食らっていた。

 

 

「姉さんの恋人で、僕の友人でもある藤宮周」

 

 

「······よろしく」

 

 

 言葉少なめに周は会釈する。

 

 

「そして、僕の恋人の星野アイ」

 

 

「えーと、よろしくお願いします······?」

 

 

 首を傾げながらそう言うアイ。

 ちなみに未だに僕の腕に抱きついたままなため、地味にニヤニヤとした視線が伝わってくる。

 それに眉をひそめつつ、僕はさっさと話を進める。

 

 

「じゃあ今回の件について話そうか」

「え~、センパイのカノジョの話聞きたいんだけど~」

「お前が最初に僕が倒れた理由聞いてきたんだろ······」

 

 

 既に数分前の自分の発言を忘れた五条に呆れ、ため息をつく。

 

 

「······まあ、いいや。少しは話す必要もあるしね。まず、さっきの紹介で言わなかったけど、彼女、アイは現役のアイドルだ」

 

 

「マジ?」

「少し意外ですね」

「あー、わかるかも」

「確かに意外ですね」

「そうかな? 僕はお似合いだと思うよ!」

 

 

 各々の反応を見せる高専メンバー。

 前提となる情報を開示し終え、僕は先の一件について語る。

 たまたま旅行であの近くに来ていたこと、スキャンダル対策として術式を長時間使っていたこと、そしてその状態で戦うことになった呪霊が厄介な行動に出て、結果無理をしたことを。

 

 

「────とまあ、そんな感じ」

 

 

 締めくくると、納得したような顔を浮かべる五条たち。

 その一方で────

 

 

「お前そんなことしてたのか······」

「気楽に観光してたのが腑に落ちましたね······」

 

 

 と、呆れたような、それでいて僕がそれによって無理をしてないが心配するような顔で呟く二人。

 ちなみにアイはというと。

 

 

「────むー、それ使えばもっと頻繁にデートできたじゃん!」

 

 

 あっさり呪術の存在を受け入れ、そんなことを言っていた。

 

 

「······僕の術式なら確かに人の認識は誤魔化せるけど、カメラとかは無理だからね。カメラ越しの人間に干渉すればその場は誤魔化せても、写真撮られて後で見返されたら色々と面倒だから」

 

 

 少しずつこの世界も前世のようにSNSが広まり始めているから、実は結構気を遣ったりする。

 まあ、そんなこんなで長い説明も終わった。

 

 

「────ちなみにそういう訳だから改めて念押しする。写真や動画の記録はスキャンダルの種になるからやめてね? ちゃんとさっきの消したよね、五条に夏油? もし万が一お前ら経由でバレたら、一生お前らが周囲からハゲに見える呪いをかけるからね?」

 

 

「マジで呪いじゃんウケる。というかハゲのこの二人とか普通に見たい。夕先輩、ちょっとやってみてくださいよ?」

 

 

「センパイ?」

 

 

「絶対にやめてくださいね?」

 

 

「はいはい、お前らがヘマしない限りはやらないよ。家入も下手なこと言わないでね? 五条はもちろん、夏油も何だかんだ沸点低いんだから」

 

 

「夕先輩も微妙に煽ってませんか?」

 

 

「か弱い僕がそんなことする訳ないでしょ?」

 

 

「「「「「······」」」」」

 

 

 何か五人が無言になった。

 ついでにひそひそと話し始めた。

 

 

「聞いた~? 何か言ってるよ?」

「まったく、どの口で言ってるんだろうね」

「でも、実際のどころ椎名さんってどれくらい強いんですか?」

「まあ、明らかに今の階級と見合ってはないんじゃない?」

「······そういえば以前、椎名先輩と五条先輩と夏油先輩が戦っていたと補助監督の方が言っていましたね」

 

 

 順に五条、夏油、灰原、家入、七海だった。

 小声で話しているが、大して話してないから普通に聞こえるし、徐々に議論がヒートアップしている。

 何か実力が詐偽ってるとか聞こえてくるんだけど。

 というかこいつら言いたい放題だな······。

 

 

「······夕、凄い言われてるよ?」

「······まあ、今の階級以上の実力はあるからね。でも上がると面倒事も増えてアイとの時間が減りそうだからいいよ、僕はこのままで」

「面倒事って何だ?」

「色々~······まあ、上に行けば行くほど柵が増えるのはどこでも一緒だからね」

「そんなに大変なんですか?」

「呪術師って変人が多いしねー。他にも血統とか伝統とか重視する奴もいて、それと付き合うのは本当にしんどい」

 

 

 ため息混じりにそう言うが────

 

 

「後ろ二つは何となくわかるけど、変人はお前が言うか?」

「······周、言っとくけどこの業界のイカれっぷりはとんでもないからね? 何せ僕が(呪術師にしては)まともって言われるぐらいだからね? しかも最上位の部類で」

「マジかよ·······」

「······想像もできませんね」

 

 

 戦慄したような表情を浮かべる真昼と周。

 ちなみにアイは「へぇー」とわかっているのかいないのか判断のつかない声を出していた。

 まあ、芸能界も割と変人が集まるしね。

 

 

「────あ、そうだ······二人とも受験生だし、せっかくだから五条のこと拝んとけば?」

「······?」

「どうしてですか?」

 

 

 なぜ? と首を傾げる二人。

 

 

「あいつの先祖、菅原道真」

 

 

「「·········はっ?」」

 

 

「何、俺のこと?」

 

 

 そこに五条が入ってくる。

 嗚呼、本当に────

 

 

「先祖もきっと泣いてるんだろうなー······」

 

 

 何せこんなのが末裔なんだし。

 そう思ってると、夏油が愉快そうに笑いながら合流してきた。

 

 

「いや、悟の先祖ですよ? きっと悟に負けないくらいの人ですよ」

 

 

 なぜだろう、今の言葉にこんな副音声が入って聞こえた気がする。

 

 

『いや、悟の先祖ですよ? きっと悟に負けないくらい(性格・人格が破綻した)人ですよ』

 

 

 

 

「くっ······ぷっ······!」

 

 

 それを理解した家入は今にも吹き出しそうだし、七海と灰原の二人も顔を背けプルプル震えてる。

 

 

「······おい傑。何か変な意味で言わなかったか?」

「別に他意はないさ。それとも、何か思い当たる節でもあるのかい、悟?」

 

 

 そうやってまたいがみ合う二人。その周囲の反応を含め、きっと誰かが死んでいたのなら見れなかった光景だろう。

 

 

「······センパイ何笑ってんだよ? そもそもセンパイが言い出しっぺだろ?」

「そうですね。椎名先輩も悟に言ってやってくださいよ」

「僕を巻き込むなよ······」

 

 

 そうは言いつつ、僕の口角は上がっていた。

 知らず知らずの内にきっと安堵していたのだろう。

 改めて今の時間が続いたことを喜び、噛み締めつつ、僕は引っ張られるように輪に入っていく。

 それによってアイたち三人も引きずられるようにして会話に加わり、次第に打ち解けていった。

 

 

 結局、この日はそのまま高専でもう一泊し、帰ったのは翌日となった。

 

 

 

 

 ······ちなみにそのせいで僕が無茶したエピソードがバラされたりして、アイと真昼に激しく詰め寄られる羽目になったのは別の話。

 

 







·········おや? アイの様子が────
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