真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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オッエー······


この一週間執筆していた作者の状態です。
そんなわけで四の五の言わずに本編をどうぞ。
久しぶりに一人称と三人称の両方があります。


第三十七話○●

 

 

 

 

 

 

「·········ふぅ」

 

 

 色々あった昨夜。朝となり、まず僕は風呂場へと直行した。

 身体を洗い、湯船に浸かると意識せずともほっとため息が漏れる。

 

 

「♪~~」

「·········ご機嫌そうだね?」

 

 

 そう。現在湯船に入っているのは僕一人ではない。

 こちらの足の間に座り、僕の方に身体を預けているようにしてアイも湯船に浸かっていた。

 言葉通り鼻歌を歌っていかにもご機嫌ですとわかる彼女に声をかける。

 

 

「にゅふ~、夕と一緒のお風呂だからね~」

「ユルユルだねー。というかちょっと大袈裟じゃない」

「そう言うわりには全然一緒に入ってくれなかったじゃん。何度も一緒に入ろうとって誘ったのに」

 

 

 ちょっと墓穴だった。アイの反論に僕は言葉に詰まる。

 

 

「·········察してくださいお嬢さん」

「何を~?」

「それ、絶対わかってる口ぶりでしょ?」

 

 

 転生して精神年齢的には既に三十どころかさらにもう一回りくらいしているが、この十八年ですっかり肉体の年齢に精神は引っ張られ適応した。

 お陰で付き合って以降、ますます激しくなった彼女のスキンシップの際に理性のタガが揺らいだのは一度や二度ではない。一緒に寝るのだってギリギリだったのに······

 そんなわけで風呂に一緒に入ろうものなら間違いなく理性のタガは緩み、下手すれば外れるからこれまで断っていたが────

 

 

(·········昨日は完全に暴走したよねー)

 

 

 一線を既に越えてしまったので、開き直って今は一緒に入っている。

 というわけで現在、湯船に一緒に浸かっているが────なるほど······確かにこれはいい。

 お湯の温かさとはまた違う温もりを感じながらそう思った。

 普段から頻繁にこれぐらいの距離間でくっついてはいるが、浴室という狭く閉塞感のある場所だとまた色々と違う。

 お湯があるから僅かな身じろぎでも水面が揺れて動きが伝わるし、漏れ出て空間に響く息づかいも、いつもより強く香るシャンプーの匂いも、触れ合う肌の感触も何もかも異なり、一層相手のことを感じられる。

 加えて、狭い場所を好むのと似ている、というより·········ある程度重さのある掛け布団に落ち着くのと同じと言う方が近いかな? とにかく、狭い浴室の中のさらに限られたスペースである湯船、それが人二人分で埋まっているのに、それが逆に安心できた。

 

 

「·············ん? ────って、ちょっ! アイ!?」

 

 

 ぼんやりとそんなことを思っていたが、視線を感じアイに目を向けた。星のような瞳でジッと僕の顔を見つめていた彼女はしかし、いきなり身体を反転させた。

 崩れる体勢、上がる水しぶき、感じる衝撃、突然のことに目を丸くした。

 

 

「··················えっと·········どうしたの······?」

 

 

 訳が分からず、そう尋ねると────

 

 

「むぅ·········」

 

 

 彼女は不満そうに唇を尖らせと、僕の首に腕を回し身体と一緒に顔を寄せてくる。

 すぐ近くまで迫った顔は決して明るい表情を作っている訳ではないが、整った顔立ちのアイの場合だとそれだけで様になり、改めて綺麗だなと思った。

 

 

「·········っ」

 

 

 しかしそれで相好を崩したのが悪かったのか、よりアイはむっとした顔になる。その拍子に顔に当たった吐息がこそばゆく、少し身体が震えた。

 

 

「────ぼーっとして、何考えてたの? それとものぼせた?」

 

 

 ようやく口を開いた彼女はそんなことを聞いてきた。なるほど、お姫様は放置したことが不満らしい。

 

 

「·········のぼせてなかったけど、今のこの状態でのぼせそうだね」

 

 

 誤魔化すようにそんな軽口を叩く。

 向かい合ったこの体勢で至近距離に顔を近づければ必然的に身体も寄せられ、柔らかな胸のふくらみが当たる。ちなみに僕たち二人とも水着どころかタオルすら身に付けてない。

 胸部という意味では同じはずなのに、まったく異なるそれは自分の胸板で静かに潰れ、その存在を主張してくる。

 

 

「ふーん」

 

 

 口ではそう言いつつ、反応しそうな身体を何とか抑え込もうとするのが伝わったのか、アイは少し機嫌を取り戻したように見える。

 

 

「そう言えるなら大丈夫だね。だからさ────今は私を見てよ」

 

 

 地獄のようで天国、あるいは逆か? それを作り出している彼女の要望はまた随分と可愛らしいものだった。

 

 

「今だけじゃなくて結構見てるつもりだけど?」

「······そこはいつも見てるよって言うところじゃないの?」

「生憎と、できる限り嘘はつきたくないからね~」

「そういう嘘はいいの!」

「そういうもの?」

「そういうもの!」

 

 

 などと、やりとりをし、最後にアイはむんっ! と唸りながら言った。

 

 

「······じゃあ────いつも見てるよ、アイ」

「馬鹿·········遅いよ」

 

 

 わかってて言ってみたが、当然その反応は良くない。

 といっても彼女も本心から言ってる訳じゃない。謂わばこれは軽いじゃれ合いだ。

 とはいえ、あんまりこのままだとヘソを曲げてしまいそうだから────

 

 

「────ん·········何か誤魔化されたみたい······」

「誤魔化したからね。駄目だった?」

「·········夕のイジワル」

 

 

 そうやって拗ねた顔をしたアイに、もう一度僕はキスをした。

 

 

  ○ ●

 

 

 ────ハァ······ハァ······

 

 

 リビングからそんな息づかいが聞こえてくる。

 

 

 本来ゆったりと寛ぐはずの場所だが、少なくとも今はそんな雰囲気はない。

 室内を満たすそれ(・・)は、多くの人間の頭を朦朧とさせること間違いなしだろう。

 

 

 そして、そんなリビングに二つの影があった。

 汗だくの身体をソファーに投げ出した二人は、荒い息を吐き、口元から首筋にかけては汗とは違う液体が伝った跡が見受けられる。

 

 

「アイ······」

 

 

「夕······」

 

 

 見つめ合う二人。

 

 

 

 

 

 

「「────暑い!!!」」

 

 

 しかして、夕とアイは同時にそう叫んだ。

 

 

 いや、よく考えれば当たり前のことだ。

 今は八月の終わり。まだまだ暑さの続く季節なのに、長時間風呂に入りながらくっついていればそうなるのは自明だ。加えて────

 

 

「リビングのエアコンがタイマーで切れてたしねー·········」

 

 

 室内を満たす熱気に夕が気怠そうにぼやく。

 そう、昨夜アイの着替えをとりに寝室に行ったらそのままベッドに押し倒され、そのまま致したわけだが、リビングのエアコンは夕の言う通り朝になったら切れていた。

 もともと消し忘れをした時に備え、寝室に自分たちがいる頃には切れる設定にしていたのが今回は災いした。

 それを忘れ、今朝起きてエアコンをつけずに風呂に直行したのが今の結果だった。

 

 

「────んぐ······んぐ·········ぷはぁー!!!」

 

 

 暑さのあまり冷蔵庫から取り出したペットボトルの水をがぶ飲みする。

 ちなみにこれで二本目だがそれだけでは到底熱された身体はどうにもならず、力無く身体をソファーへと投げ出し、豪快に水を呷った影響か、口元から首筋へとそれが流れていくがそれを拭う余裕もない。

 

 

「·········アイ」

 

 

「·········何?」

 

 

「シャワー、浴び直そうか······」

 

 

「·········そうだね」

 

 

 こうして二人はもう一度浴室へと向かった。

 

 




とまあ、こんな感じのことを描いてた一週間でした。
お陰さまで本編があまり進められてない。三章の終わりが見えるところまで描きたかったんだけどなー。
まあとりあえずまたぼちぼちと二日か三日おきの投稿を再開します。


ところで途中で三人称になったところの冒頭、どうでした? 騙されましたか?
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