真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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四章序盤は呪術と言ってましたが、もうしばらく日常が続きそうです。


それにしても本誌の方は五条が勝ちましたねー。
まあフラグの可能性がまだなきにしもあらずですが。
それはそうと呪詞の詠唱は作者の中二心をくすぐり、最近は夕の極ノ番の詠唱を考えてる時もあります。
まあ仮に詠唱を考えたとしても、使う機会が多分なさそうなんですよね。



第四十六話○

 

「······朝か」

 

 

 まだかなり早い時間に俺は目を覚ました。

 

 

「すぅ······すぅ·········」

 

 

 隣にはアイが穏やかな顔で寝ている。

 

 

「ん·········んぅ······」

 

 

 そっと手を伸ばして撫でると、心地好さそうな顔をして撫でた手に頬ずりをしてくる。

 そんな彼女の姿に表情を緩めながらもベッドから降り、寝間着から着替える。

 

 

「────おや、愛久愛海も瑠美衣も起きてるのか? おはよう二人とも。随分と早起きだね」

 

 

「だぁ」

「うぅ」

  

 

 ベビーベッドに目をやると既に二人とも既に起きていたので声をかける。

 一緒に過ごすようになって一週間が経ち、少しはこちらのことを受け入れてくれたのか、ある程度は俺に対しても反応をしてくれるようになった。

 

 

「······瑠美衣、少しいつもと違うけどどうした?」

「·········」

「う~ん······何か身じろぎの回数が気持ち多い気がするからオムツかな?」

 

 

 何となく瑠美衣が驚いたような気がするが、とりあえずオムツを確認する。

 

 

「あー、やっぱりそうだね。そりゃこれだと気持ち悪いよね」

「·········だう」

「まだアイは寝てるから悪いけど俺で我慢してね」

 

 

 そう言って手早く瑠美衣のオムツを替え、ついでに愛久愛海の方も確認しておいた。

 

 

「それにしてもよく泣かなかったね。お母さんを寝かせてあげるために我慢したの?」

「······」

「そっか······ありがとね瑠美衣。いい子だ」

 

 

 とくに返事はなかったが何となくそんな気がしたので褒めておく。

 

 

「愛久愛海も静かにしてくれてありがとね」

「······だぁ」

「そんな二人にはお母さんが起きた時に出迎える任務を与えよう」

 

 

 ようやく普通になったぐらいの俺より断然二人はアイに懐いているから、ベビーベッドをアイの寝るベッドの近くに移動させる。

 

 

「二人とも、お母さんのことは任せたよ? 俺は朝ごはんを作るから」

「「だっ!」」

「······元気いいなー」

 

 

 

 

 そしてやっぱり愛久愛海も瑠美衣もアイのことが好きなのだろう。こうも差が大きいとまたちょっと心にダメージが······。

 

 いや、アイがちょっと懐かれ過ぎなだけで俺は普通のはず。

 

 うん、そうそう······。

 

 

 

 これ以上それを考えると悲しくなりそうだから切り替えて部屋を出る。

 

 

「朝食は······卵サンドにしようかな」

 

 

 あとは冷蔵庫に野菜が残ってるからサラダも作るか。夏だしできる限り早めに消費しちゃおう。

 

 

 そうやってテキパキと手を動かしながら改めてこの一週間を振り返る。

 最初の頃は滅茶苦茶へこんだが、それでも一応は二人とも俺のことを認めてくれたみたいだ。

 普通に抱っこもさせてくれるし、少なくとも威嚇されることはなくなった。

 さっきみたいにアイの手が空いてない時は、不承不承(何となくそう感じた)ながらも俺の方を頼って任せてくれるくらいには慣れてくれたらしい。

 といってもアイがいれば迷いなくそっちにいくんだけどね! あっ、でも愛久愛海はお腹が空いた時とお風呂の時はこっち来るね。

 

 

 

「────おはよう夕」

 

 

 するとアイが二人を腕に抱いて起きてきた。

 

 

「おはようアイ。よく眠れた?」

「うん、夕が隣にいたからね。できれば起きた時もいて欲しかったけど」

「愛久愛海と瑠美衣じゃ不満だった?」

「そんなことはないけど、夕の顔も起きた時に一緒に見たかったの」

 

 

 腕に抱かれる二人に目をやりながらちょっといじわるなことを聞くと、アイはさらに唇を尖らせてくる。

 

 

「はいはい。じゃあ明日は起きる時には隣にいるよ」

 

 

 起きるまでではなく、起きる時、だ。

 もっと早く起きて朝食の準備をすれば大丈夫だろう。

 

 

「本当? 約束だからね?」

「約束するよ」

 

 

 それに苦笑しながら応じるが、十中八九アイは起きるまで、として考えてるだろう。

 バレたらバレたでへそを曲げられそうだから気をつけよう。まあその時はその時だけど。

 

 

「それよりほら、もう朝ごはんできてるから早く顔を洗って、歯みがきもしてきな」

「はーい。じゃあちょっと二人のことよろしくね」

 

 

 しかし、二人のことを受け取るとなぜかアイは洗面所に向かうことなく、こちらを見てくる。

 

 

「どうした?」

「ううん、やっと二人とも夕に懐いたなって」

「アイほどじゃないけどね」

 

 

 いや本当に。

 

 

「あはははは、最初は全然で夕すごい落ち込んでたもんねー」

 

 

 ケラケラと笑うアイ。

 

 

 ······そんなに俺がへこむ姿は面白かったのか?

 

 

 内心でそう考えていると、なぜかアイがスマホを手にしていた。

 

 

 パシャ。

 

 

「······何で撮ったの?」

「エプロン姿の夕に抱っこされてる二人を撮りたかったから」

 

 

 そう言って撮った写真を見せてくる。

 

 

「ほら! 三人とも可愛い!」

「そこで俺も入るの?」

「えっ? うん。だって二人を抱っこしてる夕って隠そうとしてるけど嬉しさがにじみ出てるもん。可愛いよ?」

「······ちょっと複雑だ」

「えー! 可愛いじゃん!」

「そこで本人に同意を求められてもね。それよりアイ、いい加減洗面所にいきなさい」

「はーい」

 

 

 返事をしてようやく足を向けるアイだが、しかしすぐに踵を返した。

 

 

 何だ? そう思っているとそのままアイはこちらの距離をゼロにしてきた。

 

 

 ······具体的には唇の距離を。

 

 

「ん······忘れてたからしちゃった☆」

 

 

「······」

 

 

 じゃ、今度こそいってくるねー、と言ってアイはリビングから出ていく。

 

 

「「────」」

 

 

 アイの姿が見えなくなった後、視線を感じて下を見ると、愛久愛海と瑠美衣が揃ってこちらを見上げていた。そして次の瞬間────

 

 

「「だあぁっ!!!」」

 

 

「ちょっ!? 二人とも落ちるッ!?」

 

 

 

 

 ······何とか二人を落とすことはなかったが、この後はアイが戻るまで二人とも腕の中で暴れ続けるのだった。

 

 

  ○ ●

 

 

「────夕、二人に何かしたの?」

 

 

 朝食を終えたアイがそう尋ねてくる。

 

 

「何もしてない」

「いや、でもこれ」

 

 

 そこにはムスッとした顔をした二人がいる。

 

 

「「·········」」

 

 

 アイに抱かれている愛久愛海と瑠美衣だが、俺が二人に目を向けるとすぐにプイッと顔を背ける。

 

 

「······知らず知らずの内に二人を不快にさせる何かをしてしまったかもしれないけど、少なくとも俺は身に覚えはない」

「そっか。────ん? ルビー、どしたのでちゅか~?」

「オムツは起きた時に替えたから多分お腹空いたんじゃない?」

 

 

 話している途中、瑠美衣が何かを訴えたような声を出す。

 

 

「はーい、ご飯でちゅよ~」

 

 

 そうすると勢いよくアイの胸に吸い付く瑠美衣。そのままごぐごくと喉を鳴らしている。

 

 

「······けふっ」

「おっ、ちゃんとゲップまで。ルビーはいい子だね~······って、ルビー? どこ見てるの?」

「······だぅ」

「あれ? 急に落ち込んだ?」

 

 

「────何かあった?」

 

 

 瑠美衣の授乳を尻目に俺は一度キッチンにいっていた。一応やりとりは聞こえていたが、作業をしていて見えなかったので、キッチンから戻ると何事か尋ねる。

 

 

「ルビーがおっぱい飲み終わったと思ったら別の方向を見たの。でもすぐに驚いた後に落ち込んだ感じの顔になった」

「······」

「ふーん······とりあえず見た感じは何ともなさそうだからしばらく様子見しようかな」

「そうだね。────さて、次はアクアだね」

「!?」

 

 

 アイのその言葉に愛久愛海が動揺? している。

 

 

「あれー? やっぱりアクアは私のおっぱい飲もうとしないね」

「みたいだね。一応哺乳瓶でミルクを用意してるけど、愛久愛海飲────」

「だっ!」

「······飲むみたいだね」

 

 

 それを確認してさっきキッチンに一度いったときに用意したミルクを取りに向かう。

 

 

「アクアは哺乳瓶好きだね~。というかご飯の時はもうほとんど夕のところに行くようになったよね」

「俺としては嬉しい限りだけどね」

「ふふ、じゃあ夕はそのままアクアにミルク飲ませてあげててね。それとルビーもお願い。私は洗い物してくるから」

「ん? 洗い物はもう終わったよ?」

「えっ、いつの間に······」

「普通に合間の時間に」

 

 

 そう答えると、アイは再び瑠美衣を抱いて隣に座ってくる。

 

 

「はぁ······夕が私を駄目人間にしてくる······」

「何を急に」

「だって帰ってきてからほとんど家事とか夕がやっちゃうじゃん」

「そりゃあアイは基本的に二人のことを見てるから、その分の家事は俺がやるのが筋でしょ」

「······その二人のお世話も最近は結構夕がやってるじゃん。オムツとか気づけばやってたりするし」

「手隙時間があったからね」

 

 

 またアイはため息をついた。

 

 

「もう、私だってできるんだからもっと分担しようよ」

「まさかそのセリフを家事のやり過ぎで言われるとは······」

「夕、はぐらかさない」

「はぐらかしてるつもりはないんだけどね」

 

 

 苦笑しながら思ったことをそのまま口にする。

 ちなみにその間にも愛久愛海にミルクを飲ませ終わり、ゲップをさせようとしたが、こちらも瑠美衣同様とくに何もせずにゲップをした。

 

 

「そもそもアイ、まだちょっと体調悪いでしょ?」

「······何のこと?」

「はい、はぐらかさないはぐらかさない。俺が帰ってこれなかった時は姉さんや周がいたはずなのに誤魔化してたよね?」

「······」

「はぁ······一先ずそれは置いといて、こうして俺が今はいるんだから甘えな。そのために一ヶ月近い休みをとったんだから」

「······いいの?」

「逆に断るとでも?」

 

 

 ようやく観念して身体をこちらに倒してくる。それを優しく受け止め、片腕で愛久愛海を抱きつつアイの頭を撫でる。

 

 

「······やっぱり夕は私を駄目にする」

「本当に駄目になってるなら俺が二週間も家を空けることはなかったよ。ちゃんと俺がいない時は頑張ってたんでしょ?」

「だってそうじゃないと夕は色々放り出して帰ってくるでしょ?」

「何を当たり前のことを。まあ、思った以上に無理してて驚いたよ。せめて姉さんたちに頼ればいいのに。それをしなかったから今こうして甘やかしてるんだよ?」

「はぁ······夕に隠し事はできないね······」

 

 

 何度目のため息をつくアイ。そうは言いつつその顔はとても嬉しそうに見えるのは気のせいではないはず。

 

 

「まあ、隠し事の種類によるでしょ。わからないこともあるよ」

「そう?」

「そうだよ。それに俺にも隠し事があるよ。結構、割と、本当に」

「······それはちょっと気になるかも」

「ちなみに秘密だ」

 

 

 興味深そうに身体を起こして、聞きたそうな目を向けてくるアイに先んじて、言えないと告げておく。

 

 

「むぅ······」

「そんな顔しても駄目。こればっかりは誰にも教えずに墓場に持っていくつもりだから」

 

 

 本来あった絶望の未来のことを言う必要はない。アイはもちろん、真昼や周、そしてそれに大きく関わるはずだった五条や夏油にも。

 それはこの先も俺の胸の中にしまったままにするつもりだ。

 

 

 

 

「────じゃあ同じお墓に入ったら教えてくれるの?」

 

 

 

 

 ······これには流石に驚いたな。

 多分今の俺、すっごいキョトン顔してそう。

 

 

「はは、そうだね······もしそうなった時は教えるよ」

「ふふ、じゃあ絶対に教えてもらえるね。ちゃんと一緒にいてよ、夕?」

「もちろんそのつもりだけど、その未来のことより今はこの日々を楽しまないか、アイ?」

「うん、そうだね」

 

 

 そうしてアイは改めて我が子二人を見る。かと思えば瑠美衣を抱いたまま俺と愛久愛海を抱きしめてくる。

 愛久愛海と瑠美衣を間に挟み、俺たちは抱きしめ合う。

 

 

「······お父さんも、お母さんもいる家族。私に······私たちになかった家族がここにある」

「うん」 

 

 

 それに俺は頷いた。

 アイも身体を離し、俺を見つめてくる。

 

 

「夕────愛してる」

 

 

「俺も愛してるよアイ」

 

 

 

 それと────

 

 

 

「「愛久愛海(アクア)、瑠美衣(ルビー)」」

 

 

 

 

 ────愛してる。

 

 

 





椎名夕
休みのはずなのに休めてなさそうな人。彼基準では休めてるらしいが、朝は基本誰よりも早く起き、夜は誰よりも遅くまで起きて何かしらやっている。
本人としては既に家事をすることが呼吸と同義みたいになっており、その合間に双子の世話もアイと一緒にこなしつつ、さらに時間が空くなら今後の仕事や任務などのことを考えながら色々してる仕事人間。
ただしあくまで最優先は家族。いざとなればそれを放り出して駆けつける気満々の模様。


椎名アイ
最近マジで駄目人間化が加速しそうでちょっと怖いと思ってる人。旦那は正直働き過ぎだと思うが、滅茶苦茶いきいきとしている姿を見ると何か止めづらい。
彼女としてはまだ自分ほど懐いてない双子との時間を夕に過ごしてもらいたく、家事とかを率先してやろうとするが料理洗濯掃除etcと、気づけば夕が終わらせている。
とりあえず夕の働き過ぎについての議論は今度義姉義兄を交えて行うつもり。


椎名愛久愛海・瑠美衣
継続して心にダメージを受け続ける双子。
両親が息を吸うようにイチャついて甘い空気を出すため、常にライフの危機に見舞われている。


 
次回はまた補完を兼ねた双子目線の四十六話裏を投稿すると思います。
 
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