真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様   作:水の虎

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第四十八話○

 

 仕事を日々こなしつつ、俺は充実した生活を送っていた。

 帰れば愛する人が、愛する家族が待っている。

 その暮らしはとても幸せなものだった。

 

 

「······諸君、よく集まってくれた」

 

 

 そんな日常には似つかわしくない雰囲気で俺は口火を切る。

 

 

「夕もしかして疲れてる? それとも撮影か何かの影響がまだ残ってるとか? どっちにしても普段と違うからアクアとルビーが困惑してるよ?」

 

 

 俗に言うゲンド●ポーズ(わざわざこのためにソファーではなくダイニングテーブルの椅子に座ってる)をしているとアイがそう指摘してくる。

 そして彼女の言う通り愛久愛海と瑠美衣は困惑してるように見える。うちの子たちその年齢で表情豊か過ぎじゃね?

 

 

「もしかして二人とも今の話を理解したの?」

「「~~! ば、ばあぶぅ~······?」」

 

 

 双子らしくシンクロしながら首を傾げた。うん可愛い。

 

 

「······ま、そんな訳ないか」

「でも本当にわかってるみたいだったねー。もしかしてうちの子たちって天才?」

「流石にそれは親馬鹿が過ぎない?」

「えー、いいじゃん別にー! ねぇ二人とも?」

 

 

 二人に顔を寄せてご機嫌そうに話かけるアイ。愛久愛海も瑠美衣もそれに嬉しそうな安心してるような雰囲気を出す。

 

 

 

 

 

 

「────それで何か話があるの?」

 

 

 場所をダイニングテーブルからソファーに移し、寛ぎながらも改めて先ほどの話に戻る。

 

 

「······そうだね。残念なお知らせがある。しかも二つ」

 

 

 何となく雰囲気を察して少し今居まいを正すアイとうちの子二人。やっぱりわかってない(可愛いくない)かこれ?

 まあそれはとりあえず置いといて本題に入る。

 

 

「誠に誠に残念ながら、本日この家に五条がやってきます」

「五条くんが?」

 

 

 何故? と首を傾げるアイ。

 ちなみに双子も誰? と感じで同様の動きをした。

 

 ······うん、やっぱり可愛いし三人して仲良いな。けどただでさえ最近は仕事で一緒にいる時間がないのに余計疎外感が······

 

 

 

 

「────ねぇ夕············夕?」

「······ん、何?」

「『何?』じゃないよ。何で五条くんがうちに来るかって聞いたの」

 

 

 どうやら話を聞き流していたらしい。

 

 

「色々あるけど一番は二人を視てもらうことだね」

「見る?」

「多分その『みる』じゃないね」

 

 

 苦笑しながら軽く五条の『眼』と来てもらう目的を説明する。

 

 

「ふーん······つまりアクアとルビーが呪術を使えるか視てもらうってこと?」

「そういうことだね······」

「やっぱり継いでて欲しいの?」

「いや、できればそうじゃない方がいい」

「そうなの?」

「うん。·············確かに自衛の意味では呪術を使えた方がいいかもしれないけど、できれば愛久愛海も瑠美衣も普通の······少なくとも進んで呪いに関わる人生を送ってほしくないからね」

 

 

 二人が今より成長した時、きっと多くの負担をかけるだろう。

 ただでさえ俺とアイの立場で色々あるのに、そこに呪術に対する悩みまで場合によっては抱くことになるのだ。

 叶うなら、この子たちには出来る限り普通の人生を歩んで欲しい。

 

 

「そっか」

「·····逆にアイは何かないの? 自分と同じアイドルになって欲しいとか」

「おっ、いいね。私たちの子どもだし、全然あり」

「じゃあ二人がそれを目指してくれるように頑張らないとね」

「そうなるとルビーはアイドルで、アクアは夕と同じ役者さん?」

「案外二人とも役者を目指すかもよ?」

「それなら逆に二人ともアイドルを目指すかもしれないよ?」

 

 

 そんな未来を想像するのは楽しい。まあ芸能人になるってなると、ちょっと普通とは言い難い人生かもしれないけど。

 

 

「どうなるにしろ、今は見守ろう」

「うん、そうだね。────あれ? そういえばもう一つは何?」

「ん?」

「いや、残念なお知らせって夕言ってたけど、一つしか言ってないじゃん」

「いや言ったよ二つとも」

「え?」

「えっ?」

 

 

 いやだって······

 

 

「五条が来ることで一つ。二人に呪術の才能があったら云々で一つだよ?」

「二人のことはわかるけど、何で五条くんが来るのが残念なの?」

「俺が休めなくなる」

「それ、朝起きてご飯作るのと洗濯をやってたのに言うこと?」

 

 

 何故かアイがジト目を向けてくる。

 

 

「もちろんそれだけじゃない。もしこれで愛久愛海と瑠美衣が五条に懐くようなら······」

「懐くようなら?」

「多分俺が泣く。下手すれば二人が生まれた時と同じくらいに」

「えー······」

 

 

 アイがちょっと呆れた顔をしてくるが、これに関しては死活問題だ。

 だってあの五条だぞ? 

 もし初対面で俺より懐かれるようなことがあるなら······いや俺の場合懐かれる以前の問題だったけど。

 せめて抱っこが嫌がられるくらいされてくれないと割に合わない!

 ······でも赤子を抱く五条はちょっと見たいな。どうしたらいいかわからなくておろおろするとことか。

 

 

「愛久愛海、瑠美衣。今日の夕方過ぎに性格人格常識デリカシー以外のすべてを持ち合わせてる男が来るけど決して絆されちゃいけないよ?」

「うん、多分二人が生まれてから一番真剣な顔してるね」

 

 

 夕も親馬鹿じゃん、と聞こえたがスルーする。

 

 

「愛久愛海、決してその人を見習っちゃ駄目だぞ?」

「だ、だぁ······」

「瑠美衣、その人は信じられないくらいの美形だけど決してそれだけで判断してはいけないよ?」

「······だぅ」

 

 

 その後は普通に家族の時間を過ごす。

 

 

 

 そして夕食時────

 

 

 

 

 

 ────五条悟、現着(襲来)

 

 

 

 ······いや何となくそんな気はしてたよ? そもそもこいつにそれを求めたのが間違いだった。

 

 

 

 

 

 

 せめて玄関から入れッ!!

 

 

  ○ ●

 

 

「ちょっとセンパイ聞いてんの?」

「······聞いてる。だからまず出すもん出せ」

 

 

 はいはい、とまったく悪びれてない様子で応じる最強の片割れ。

 

 

「夕、それ何?」

「俺たち、正確には愛久愛海と瑠美衣の戸籍関係の書類」

「?」

  

 

 俺の答えによりハテナマークをアイは増やす。

 

 

「ちょっと五条に頼んでそこら辺のことを簡単に調べられないようにしてもらったんだよ」

「へぇ~」

「今から確認するけどアイも見る?」

「夕······任せた!」

 

 

 あいよ~、と応えて書類に目を通していく。

 

 

 

 

「────うん、これなら問題なさそうだね」

「そりゃあ言われた通りガッチガッチにしたからね。多分他の御三家二つが協力して調べても大丈夫だと思うよ」

「それは重畳。ありがとう五条」

「むぐっ?」

「······お前はいつも通りだね」

 

 

 口一杯に食べ物を詰め込んでいる五条を一瞥しながら呟く。

 

 

「んぐっ······つっても普通に忙しいよー? お陰で最近は移動中に寝てるし」

「の割にはここには無下限使って来たよな」

「久しぶりにセンパイの飯だから」

「それとは別でタッパーに詰めたから帰りに持ってけ」

「お、マジで? サンキューセンパイ」

「一人で食うなよ。夏油に家入、あと七海と灰原の分も考えて結構な量を作ったから」

 

 

 そうしてしばらく世間話をしながら食事をする。

 

 

「やっぱ今年は忙しいか?」

「まあね。去年災害が多かった影響だろうね。硝子も運ばれてくる人数が多いって愚痴ってたよ」

「······そうか。夏油の方は?」

「んー、最近全然顔を合わせる時間がねーけど、まあ大丈夫しょ」

「ならいいが、お前も夏油も変に意地張らずに休めよ? まあ最近はほとんど任務に出てない俺が言うことじゃないけど」

「わかってるわかってる────さてと」

 

 

 手を軽くひらひらと振って五条は立ち上がる。

 

 

「いくのか?」

「傑と硝子からセンパイは新婚なんだからあんま長居すんなって言われたしねー」

 

 

 がっつり夕食を口にしてる時点であまり変わりないだろうが、一応五条なりに気を遣ったらしい。

 

 

「じゃ、俺はこれで────って何すんだよセンパイ?」

「玄関から帰れよ」

「えー、メンド」

「万が一移動に失敗してタッパーの中身駄目にしたらお前非難轟々になるぞ?」

「確かにそれはマズイな。俺の食う分もあるし」

「というか失敗のリスクがまだあるのにうちに凸ってきたのかよ······」

 

 

 メンゴ、と謝る五条のケツを蹴りながら玄関に向かう。

 

 

「んじゃ、アイはまたねー」

「うん、またね五条くん」

 

 

 帰る前にそんなやりとりを交わす二人。

 

 

「「······」」

 

 

 他方、愛久愛海と瑠美衣の二人は五条に対してとくに何の反応もしない。

 

 

「五条────よくやった」

「······何かちょっと喜んでないセンパイ?」

「いや別に」

「ゼッテー喜んでる······」

 

 

 喜んでない。決して二人の反応が芳しくなかった五条を見て喜んでなんかない!

 

 

「というかセンパイも付いてくんの?」

「お前がご近所トラブルを起こさないかの監視だ」

 

 

 靴を足に通しながら答える。

 

 

「アイ、そういう訳でちょっと五条を途中まで見送ってくるから二人をお願い。戸締まりもしっかりね?」

 

 

 わかったー、と返事に背中を押され俺と五条は歩き出す。

 

 

 

 

「────そろそろいんじゃない?」

「だね。じゃあ本題を頼む」

 

 

 エントランスを出て、そのまましばらく歩いたところで五条が切り出してくる。

 本題────愛久愛海と瑠美衣の術師の才能の有無、ではない(・・・・)

 もちろんそれも用件の一つと言えば一つではあった。

 結果としてはどちらも非術師で、俺としては一安心だ。

 では本命の用件は何かと言うと────

 

 

カミキヒカル(・・・・・・)。センパイに言われて調べたよ。生憎と明確な証拠は見つからなかったけど、状況証拠的に考えればほぼ黒だね」

「·····そうか」

 

 

 愛久愛海と瑠美衣の戸籍関係の書類とは別の、いくつかの資料を取り出して渡してきた。

 目を通せば五条の言う通りカミキくんの手によるものと思われる事柄についてまとめられていた。

 そしてその中で俺はある部分に目を留めた。

 

 

「────宮崎行きの飛行機の搭乗記録。それもアイの出産日前日に、か······」

 

 

 少なくとも何かしらの関わりがあるのは間違いないと考えていいだろう。

 

 

「ありがとう五条。助かった。この礼は近い内にする」

「別にいいけど······センパイはどうすんの?」

「さあね。それは彼次第だ」

「そ」

 

 

 五条はそれ以上は何も言わなかった。

 

 

「じゃあ俺はそろそろ」

「ん、またねセンパイ」

 

 

 今度こそ俺と五条は別れる。

 

 

「────カミキくん」

 

 

 来た道を戻りながらその名を口にする。

 

 

 初めて会った時から感じてた。

 

 

 あの眼はきっと······

 

 

「来るなら容赦はしないし、君のしたことがはっきりしたら────」

 

 

 

 その時は叩き潰す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お知らせ

いつもお読みくださりありがとうございます。
そしてお知らせについてですが、作者のリアル事情により今月末から十月の前半まで投稿ができなくなります。
もしかしたら一話(頑張っても二話?)くらいなら今月中に投稿できるかもしれませんが、少なくとも十月に入ったら十日前後くらいまでは投稿できそうにありませんのでご了承ください。
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