真昼の弟は転生者で、呪術師兼ララライの看板役者です。でも推しの子は知らない模様 作:水の虎
東堂の簡易無量空処にやられましたはい。
気づけば金曜日が抜け、土曜日になってました笑
というかアニメの演出がヤバい。推しのアイドルを持つ呪術師って凄いんですね~。
ドルオタの
いや、それがうちの夕なのか? あの演出、夕の領域ならやれなくはないでしょうし。
······やらない······よな?
うちの子は俺同様、転生者だった。
まあそれに関してはかなり早い段階で察していたことだし、それで二人に対するこの
だが明らかになったことがある。それは同じ転生者でも二人は俺とは別口であり、恐らく二人はこの世界と同じ時間軸に前世がある転生者ということだ。
『推しの子』は視聴してないから何とも言えず、『お隣の天使様』は残念ながら視聴者の層が比較的限定的だが、『呪術廻戦』に関してはその人気と知名度からしてどこかしらで耳にしているはず。だってあの週刊少年ジャンプの作品だし。
あとは単純にアイに対する執着というか何と言うか、そういうものが明らかに創作物の何かに向ける熱量ではなかったしね。
それと、瑠美衣の前世は多分だけど結構幼いと思う。
恐らく成人すら迎えずにその生涯に幕を閉じてしまったのだと俺は感じた。
まあだからと言っちゃあれだが、瑠美衣は意外と今の自分に対する順応がかなり早く進むだろう。
逆に愛久愛海の方は言動からしてそれなりに年齢を重ねてそうだからもしかしたらそこら辺で少し悩むことがあるかもしれないな。
(子育てって難しいね~)
何とも対極的な双子だと苦笑を滲ませる。
とはいえ、条件はみんな同じだ。
誰しも子育ての時は自分のそれまでの経験を踏まえてやっていくものだ。
あるいは俺が生まれた意味はそこにあったり·········なんて、流石にそれはないか。
·········ないよね? まあどっちでもいいけど。やることは変わらないし。
「それはそうと二人とも」
「何?」
「どうしたの?」
俺は二人にスマホの画面を見せる。
「────これ、やったのはどっち? それとも二人とも?」
そこには壮絶なリプ合戦の戦跡が刻まれていた。
「「······」」
二人して沈黙するが、その様子は対極的だった。
露骨に目を泳がせる瑠美衣とそれを呆れたような目で見る愛久愛海。つまり────
「瑠美衣?」
「ち、違うのパパ! これはその······」
「見たところアイのアンチコメに対してみたいだね」
「そ、そう! ママのことをちっとも理解してないゴm「瑠美衣」っ! で、でも······」
勢いこそ削がれたが、どこか不貞腐れたように瑠美衣は食い下がった。
「まあ気持ちはわかるよ? でもね────」
そう言って別のスマホを取り出し、目的の画面に指を滑らせる。
それに瑠美衣、そして愛久愛海も画面を覗き込む。
「これは······?」
「アイのことを応援する書き込み、みたいだな」
「呪術っていうのはね二人とも、文字通り呪いの力なんだ。つまり俺が扱うのは負の力、負の感情なんだ」
画面をスクロールしながら俺は二人に語りかける。
「けどね? 必要でもないのにそれを使うのは疲れるんだよ。人を憎む······っていうとこの場合少し大袈裟かもしれないけどさ、そういうのをいちいち気にして
······そろそろいいかな?
「というわけで説教臭い話はこれでおしまい。お利口さんに聞いてた二人にはこれをプレゼントしよう」
「スマホ?」
「わざわざ俺たちの分を用意したの?」
「うん、だって二人とも暇でしょ? だから夜抜け出してたわけだし」
まあ昼間は使えないだろうけど、これで二人も無理に夜抜け出すことはないだろう。いくら中身が中身でも未だに身体は赤子である以上、怪我のリスクが付き纏うしね。
「────あ、でも瑠美衣はもう少しネットリテラシーを勉強しようね?」
「うっ······」
○ ●
そうしてその後も俺は二人と話し合った。
俺としても曲がりなりにも初めて邂逅した同類が相手とあって結構饒舌になった気がする。
流石に前世に大きく踏み込むようなことは聞かなかったが、転生者の間でしかできない会話をした。
「────ん?」
「パパ?」
「どうしたの?」
あー、まあ結構長く話してたからね。
「二人とも、そろそろとお口チャックしようか。アイがこっちに来るみたいだよ」
「!」
「······何でわかるの?」
「気配だけど?」
「いや気配って······」
「ちなみに最初の頃二人が抜け出そうとしたのに気づいたのも気配を感じたからだよ」
とか言っているうちにリビングの扉が開いた。
「むぅ、やっぱりここにいた」
自分だけ除け者みたいになったのが不満なのか、俺たち三人を見てアイは口を尖らせていた。
「ごめんごめん、起こすのも忍びなくてさ」
「でも何でルビーとアクアも連れていったの?」
「珍しく二人が
「······そうなの?」
ちょっとだけ二人を見下ろしてアイにバレない程度に喉をククっと鳴らしながら答える。そのせいか二人からはちょっと睨まれてしまった。
しかしアイは驚いたように少し目を見開いた。まあ珍しいどころか夜泣き自体したことなかったからね。
「────っと······どうしたのアイ?」
「んー? 二人を甘やかしつつ、私も夕に甘えるのー」
その言葉通り、床に胡座を掻いていた俺に背中を預けるようにしてアイが座り、愛久愛海と瑠美衣は彼女が代わりに腕に抱いている。
「ほらほら二人は私がギューってするから夕は私をギューってして?」
「はいはい」
要望に応じて腕を回し、アイを、そして彼女ごと愛久愛海と瑠美衣も抱きしめる。
「♪」
「ご機嫌そうだね」
「夕は違うの?」
「まさか」
「早く四人揃って寝たいな」
「愛久愛海も瑠美衣も成長が早いし、思ったより早くできる日が来るかもね」
「うん······でも本当にあっという間に二人とも大きくなりそうだなぁ。二人はどんな大人になるのかな?」
「どうだろうね·········そもそも俺たち二人もまだまだ大人に成りきれてるとは言えないしね。まあとりあえず俺に似ないように育って欲しいかな」
「そこは俺みたいに育って欲しいじゃないの?」
「そりゃあ俺みたいになるなら
温もりを感じながら、ぽつりぽつりと言葉を交わしていく。
「ああ、でもそうだね。二人ともいい出会いに恵まれて欲しいね。それが友人かはたまた恋人なのかはわからないけど、どんな時でも自分を支えてくれるそんな人に会ってほしいね」
「私にとっての夕みたいな?」
「うん、俺にとってのアイみたいにね」
「ふふ、でも友だちはともかく、恋人ってなると瑠美衣は大変そうだねー。夕みたいな男の人なんてそういないだろうし」
「アイみたいな女性だってそうはいないと思うけど?」
寄りかかっているアイの肩越しから覗いてみると、自分たちのことを話されてるせいか二人とも居心地の悪そうな顔をしていた。
別にそんなに気にしないでいいのにとも思うが、こればっかりは二人の心の問題だからゆっくりと折り合いをつけていくしかないのかね。
まあ転生者の先輩として、そして父親として、必要な時に相談に乗って、その都度背中を押そう。
(でももう少し何かしてあげたいよなー·········あっ!)
いいこと思いついたぞ~。
こうしてまた一つ夜が明ける。
目眩くような日々の中で手にした最愛と、彼女との間に生まれた未来の象徴。
この先でも目映いものであることを願おう。
────そしていよいよアイが復帰する。
ここまで思ったより長くなったので四章はここまでで切ります。キリもいいので。
そして次の章は······