月の少年と思い繋ぐ、未完成な歌   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。


第4話 友希那の決意

そして翌日。

 

「(湊さんから『みんなに話がある』って連絡が来たけど、急にどうしたのかしら?)」

 

そう友希那から連絡があった紗夜は、現在進行形でライブハウスに向かっていた。

 

「(昨日はどこか様子がおかしかったし……)」

 

もしかして、何かあったのだろうか……?

 

「……悠里さんも言ってたけど、本人に聞いてみないと分からないわね」

 

とりあえずライブハウスに向かうのであった。

 

 

 

 

「ねぇねぇ、りんりん! 今のとこ、どうだった?」

「走りがちだったから……少し抑えた方がいい……かも……」

 

あこと燐子は早めにスタジオに入っており、例の曲を練習していた。

 

「わかった! それじゃあ……こんな感じでどうかなっ」

「うん……さっきよりも、よくなってる……」

「やったー!! じゃあ今度は一緒に合わせてみようよ!」

「……宇田川さんに、白金さん?」

 

2人で合わせてみようとした時、紗夜がスタジオに入って来た。

 

「あっ! 紗夜さん! お疲れ様ですっ!」

「お疲れ様……です……」

「練習していたの?」

「はいっ!」

 

紗夜の質問にライブまで時間もないし、昨日聴かせてもらった曲が気になっちゃって!と答えるあこ。

 

「おっす、おはよ~。アタシ達が最後か」

「あっ、友希那さんにリサ姉! ゆうりんも……って、ええええええっ!? ゆうりんどうしたの!?」

 

そして友希那とリサと悠里がスタジオに入って来た……のだが、あこは悠里の目元がかなり酷い事に驚きの声を上げる。紗夜と燐子も声には出さないが驚きの表情だ。

 

「実はここに来る途中、アタシ達も訊いたんだけど、悠里が頑なに教えてくれないんだよ……」

「…………友希那ちゃん、本題に移って」

「…分かったわ。その代わり、終わったらちゃんと説明して頂戴」

 

正直、友希那としては心配なので今話してほしいのだが、悠里が『二度手間な説明は嫌だ』と顔に書いてあったので、気が進まないが本題に入る事に。

 

「それで今日は改めて、みんなに話しておきたい事があるの」

 

もちろん話すのは、昨日の曲についてだ。

 

「先日、みんなに聴いてもらったあの曲だけど……あの曲は、私の父の曲なの」

「ええ~っ!?」

「友希那さんの……お父さん……?」

 

その事実に驚くリサと悠里以外の3人。

 

「初めてあの曲を聴いた時、私はこの曲を歌いたいと、思った。だけど……今の私に、あの曲を歌う資格があるのか分からなかった。少なくとも資格がある、と胸をはっては言えないと思ったの」

 

あの曲が持つ、音楽への純粋な情熱を今の私では歌いきれないと、そう思ったのよと友希那は話す。

 

「曲がレベルに見合ってない、って……そういう事だったんですね」

「……そんな事情があったんですね」

 

ここで『曲のレベルに見合ってない』という意味を理解したあこと紗夜。

 

「もし……もし機会をもらえるなら私は、あの曲を歌いたい。お父さんの残した曲にもう一度命を吹き込みたい。それが、私ができる向き合い方だと思うから……」

 

ライブまで日がない上に、私情で申し訳ないと思ってる。でも、私は……と友希那が言いかけた時。

 

「ダメだなんて言ってません。ただ……少し、驚いただけです」

「あこは大大だ~い、さんせ~ですっ!」

「わ、わたしも……みんなであの曲が……演りたいです……」

 

紗夜、あこ、燐子がそう言った。

 

「だってさ、友希那?」

「……みんな、友希那ちゃんと同じ事を思ってたって事だよ」

 

そしてリサと悠里も友希那に向かってそう言った。

 

「あの曲が演奏できるの嬉しいなあ~! 頑張らなくちゃ!」

「……今以上に頑張らないとだけどね? それじゃあ、みんなに渡しておくよ。はい」

 

あこがそう言ったタイミングと同時に悠里は、自身のショルダーキーボードケースからある物を取り出し、5人に手渡す。

 

「これって……スコア?」

「うん。友希那ちゃんのお父さんの曲のやつ」

「……(悠里がお父さんの曲のスコアを持ってたって話、聞いた事ないけれど……でも、どうして5枚も?)」

 

燐子の疑問に悠里はそうだと答えた。ここで友希那はある事に気づく。

 

「ちょっとみんなのスコア見せて」

 

そう言って友希那は、5人分のスコアを隅々までチェックする。

 

「? 今井さんのスコアと私のスコア、ここのフレーズ、微妙に違いませんか?」

 

違和感に気づいたのは紗夜だった。そう、リサのスコアと紗夜のスコアが微妙に異なっていたのだ。次にあこの、燐子のと順にチェックするが、やはり違う部分があった……

 

「……(やっぱり私のも違う)」

 

最後に友希那のスコア。出だしやサビの部分や注意点まで、きめ細かく記されている。

 

「昨日の夜……かな? ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード用のスコアを()()()()()()やってたら、いつの間にか今日になっちゃった。……まあ、スコア自体完成したからいいけど」

 

そして悠里が5人にちょっとだけ疲れた表情しながら、とんでもない事実を暴露したのだ。

 

「……ごめん、ちょっと外の空気吸ってくるから、先に練習しててもらっていい? 20分くらいしたら戻るから」

 

それだけ言い残して、悠里はスタジオを出た。

 

「りんりん、ゆうりんって、あこ達とチャットもしてたよね……?」

「うん……ゆうりくん、()()()()()()()()()()って言ってたけど……もしかして……スコアを書いてたの……かな」

「……息抜きの範疇を超えてると思いますが。まさか昨日のメールで送ってもらった、あのフレーズも……?」

「……もお~、悠里ったら、また昔みたいに無理して……これは後で説教かな」

 

昨日のやり取りを思い出すあこと燐子、紗夜の3人。リサは溜息を吐きながらも後で説教だと呆れる。

 

「はっ! これって今以上に頑張らなきゃいけないんじゃ……」

「当たり前でしょ。演るからには全力でやらねば、湊さんにも、湊さんのお父様にも失礼よ。それに悠里さんにも。これから本番まで練習の時間を増やして完成させるわよ」

「はいっ! ゆうりんが用意してくれたんですからねっ! りんりん、練習始めよう!」

「う、うん……」

 

そして曲を完成させる為、練習の準備をする一同なのであった。

余談だが、案の定、悠里はリサを中心に説教された……




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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