月の少年と思い繋ぐ、未完成な歌   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。


第5話 私なりの答え

ライブ前日。

 

「リサ、少し遅れてる。もっとテンポを上げて」

「オッケー!」

「あこは逆にリズムが走り過ぎているわ。もっとみんなの音を聴いて合わせて」

「はいっ!」

 

友希那が2人に指摘する。彼女の父の曲をやると決めた日から、練習量は凄まじくなった。

 

「紗夜ちゃん、燐子ちゃん。ラストのサビはもっと盛り上げて大丈夫」

「分かりました」

「う、うん……」

「友希那ちゃんはサビの出だしに入る直前に気を抜く瞬間があったから、この箇所なんだけど……一応、印を付けとくね?」

「この辺ね。分かったわ」

 

そして5人専用のスコアを作った悠里も3人に指摘する。特にボーカルである友希那には緻密な箇所も念入りに。

 

「…今の感じだと55点……本番でやった場合の状況も考慮して……」

 

ぶつぶつと呟く悠里。気になった箇所をペンを回しながら印を付けては、自身もショルダーキーボードで音をチェックする。

 

「それじゃ、もう1回始めからやろう。僕もちょっと合わせたいから」

 

それを合図に再び練習を始めるのであった……

 

 

 

 

「お、お疲れ様~。明日は本番だし、そろそろ上がろっか」

「もうこんな時間になるんだ~! 練習始めて3時間くらい経ってる……全然気づかなかったな」

 

リサの声で気づいたあこ。確かに練習を始めてから3時間が経過していたのだ。それだけ集中していたという事になる。

 

「りんりん! ゆうりん! まだスタジオの予約時間残ってるし、あと1時間だけ練習していかない?」

「うん……わたしもしたい……」

「僕はギリギリまで練習する予定だったから構わないけど」

「ちょっ、ちょっと、3人ともまだ練習する気なの~!?」

 

あこと燐子、悠里がまだ練習していく事に驚くリサ。

 

「私も残ります」

「えっ、紗夜も?」

「私も残るわ」

「友希那まで……もう、休むのも練習の内なんだからね~!」

 

なんと紗夜だけでなく友希那まで残って練習すると言ったのだ。明日が本番だという事を分かってるのだろうか?とリサは思ったが。

 

「リサ、あなたはどうする?」

「う~……みんなが残るのに、1人だけ帰れるわけないじゃん! こうなったら、アタシも最後まで残るよっ」

 

結果的に全員残って、予約時間の終わりギリギリまで練習するのであった。

 

 

 

 

「お父さん。今……いいかしら」

「どうした、友希那?」

 

その日の夜。友希那はリビングに居た父に声を掛けた。

 

「明日、私達のバンドのライブがある。それを見に来てほしい。音楽への向き合い方……私なりに出した答えを明日、歌にしてみる」

 

だから……それを見てほしいと友希那は父に頼み込む。

 

「……分かった、明日だな。友希那の歌を聴くのも久しぶりだ。楽しみにしているよ」

 

その頼みに父は承諾した。

 

「ありがとう。それじゃあ、明日待ってるから」

「友希那、待ちなさい」

 

お礼を言って自室に向かう友希那を父は呼び止めた。一体どうしたのだろうか?

 

「明日、これを身に付けるといい。父さんが昔ライブの時に付けていたものだ」

「これは……」

 

友希那には見覚えがあった。父が渡してきたもの……それは父がライブの時にいつも身に付けていた、シルバーのアクセサリーだった。

 

「初ライブの時に藍里(あいり)悠人(ゆうと)が父さんの為にと作ってくれたものだ。……ここだけの話だが、母さんから頼まれたらしい」

「お母さんが……?」

「ああ。意外だろう?」

 

父の口から意外な人物の名前が出た。それは悠里の両親。このシルバーのアクセサリーは彼の両親の手作りだと言う。そして依頼者は母だったとの事。

 

「お守りだと思って、持っているといい。きっと、最高の演奏ができる筈だ」

「お父さん……ありがとう」

 

これを受け取ったからには、明日のライブはより頑張らなくてはと思う友希那であった。

 

 

 

 

「……」

 

友希那が自室に戻ったあと、友希那の父は娘から渡された『ある物』を見ていた。それは悠里が徹夜で書いたという、当時、自分が歌っていた曲のスコアだった。

 

「あら、どうしたの? まるで読んでると若さが漲ってくる!みたいな顔して」

「……母さん、その例えはどうなんだい?」

 

すると不思議そうな顔をした妻がやって来た。しかしその例えはどうなのだろうか?

 

「それで? そんな真剣に何を見ていたの?」

「……悠里くんが書いたスコアの予備だ。友希那から聞かされたが、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード用も1人で書いたそうだ」

「まあ♪」

 

それを聞いた妻は、私にもスコアを見せてと言う。なのでベース用のスコアを渡す。

 

「右上に『予備2』って……これ絶対、教えたの藍里ちゃんね♪ チェックマーカーの説明なんか特に♪」

「ああ。こっちのフレーズの注意点の書き方は悠人そっくりだ。……あいつめ。教える柄じゃないなんて言ってた癖にちゃっかり教えてるじゃないか」

 

このスコアを見てると当時の楽しかった日々を思い出す。悠里が娘の為に書いてくれたからという事があるからだろうか?

 

「明日が楽しみだ」

「それはいいけど、寝坊だけはしないようにね?」

「……」

 

そうなってしまった場合、本気でシャレにならないので、今日は早めに寝ようと思う友希那の父なのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
……友希那ちゃんママの口調がマジで難しい。。
本日はありがとうございました。

※最後に、ある意味で初公開である悠里の両親の簡単なプロフィールです。


水無月悠人(みなづきゆうと)


容姿イメージ:『こみっくがーるず』の勝木翼

一人称:俺



水無月藍里(みなづきあいり)


容姿イメージ:『東方Project』の東風谷早苗

一人称:私
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