ありふれた異世界で魔獣は笑う   作:富竹14号

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 ようやっと書けた…書けたけど大分適当でござる、しかも大分掛けたのに三千くらいしか書いてない…もうちょい文才とネタがほしいところ。


そして今に至る

 

 

「どうしますかなぁこれ」

 

 斧槍にこびりついた血肉を振り払いながら、湊は一つため息を零した。

 

 あれから、湊がこの灰色の斧槍を拾ってから湊は優に約二十層近い数の階層を潜り抜けている。

 

 日数なんて分からない、太陽もクソもないのだからそれは当たり前として…だからこそ分かってしまうこの斧槍の異常性。

 

 まず刃毀れしない、以前湊が使っていた斧槍は頑丈でこそあったが大分刃毀れしていた、傍から見ればそれはもうボロボロであったことだろう。

 

 後は斬れ味も素晴らしいと言える、軽く以前の倍近い斬れ味を誇るため大熊やサメの時のようにわざわざ口の中と言った防御力が関係無い急所を狙う必要が無い、これが素晴らしいのだ。

 

 しかもそれだけではなく、異様な程に手に馴染むのだ。

 

 まるで、自分の為に作られたような、そんな感覚に陥ってしまうほどにこの斧槍は湊の手に馴染んでいた。

 

 そういったこともあって、湊はこの階層にやって来るその時まで非常に機嫌が良かった、具体的に言うと鼻歌を歌いながら魔物をバッサバッサと斬り殺すくらいには機嫌が良かった。

 

 虹色の体色をした毒を吐くカエルが居た、ぶった斬った。

 

 麻痺の鱗粉を蒔き散らす蛾が居た、叩き斬った。

 

 身体の節が分裂してGの如く襲ってきたムカデが居た、纏めて細切れにした。

 

 その他諸々の魔物全てを、湊は鼻歌交じりに殺しまくった。

 

 殺して殺して殺して殺して、それを繰り返し続けた湊の服は血塗れだ、血に濡れすぎて寧ろ最初から赤かったのではないかと言われてもおかしくない程に赤い。

 

 そしてそんな状況で非常に機嫌が良さそうにフンフンと鼻歌を歌う湊、傍から見れば完全なスプラッターホラーである。

 

 

 まぁ、そんなこんなで突き進み続けて二十階層そこら辺、終わりは遥かに遠く、目的の友人の姿は影も形も無い。

 

 それでも何時かは会えるだろうと何も気にせず前へ前へと突き進み続ける湊は…ある場所を前にして立ち往生していた。

 

 それは一言で言ってしまえば門だ、石造りの無骨で巨大な両開きの門…それの前で湊は立ち往生していた。

 

 ではそれは何故か…それはこの門の奥から伝わってくる強大な気配が原因に他ならない。

 

 ほんの一瞬、ほんの一瞬だけ扉に触れただけでも伝わってくる程の濃密で濃厚な絶対的な強者の気配、それが湊をこの場に留まらせていた。

 

 果たして無視して良いものか、それとも向き合う方が良いのか…答えとしては後者だろう、湊はこの気配をどうしても無視出来なかったのだから。

 

 しかし、無視出来ないのと入るのとではまた意味が違うのだ。

 

 湊が立ち往生しているのは確かに気配のこともあるが、それ以上に押しても引いても扉が開かないからだ。

 

 横に開くのかな? と試しに横に引っ張ってみても開かず、さてさてどうしようかと途方に暮れていたのが今の湊である。

 

 

「…うん、めんどくさい…壊そう」

 

 そう言って湊は徐ろに斧槍を構えた、どうやら力尽くで扉を抉じ開ける気らしい、さっきの迷いはどうした。

 

 そんな湊にまるで焦ったかのように石造りの扉がピカピカと発光しだすが…時既に遅しというやつである。

 

「えいやっ」

 

 非常に軽い声と共に、湊は斧槍を上段から思い切り石造りの扉に叩きつけた。

 

 瞬間、周囲に爆発的に響き渡る破砕音、扉が衝撃を与えられた箇所を中心にヒビ割れ諸共砕け散り、最終的に扉部分が盛大に吹き飛んで土煙を巻き上げる、最早原型すら無い。

 

「うん、すっきり」

 

 ふんすと満足気に頷いた湊は、そのまま何事も無かったかのように扉の奥へと歩を進める、吹き飛ばした扉が戦慄するかのように弱々しく光を放っているが、湊はそんなもの何処吹く風と言わんばかりに華麗に無視した、哀れ扉。

 

 扉を破壊し、ついでに道端に寝そべっていたトカゲのような魔物を踏み潰し、湊はトコトコと扉の奥底へと歩みを進める。

 

 

 

 

 扉の奥は湊が灰色の斧槍を手に入れた階層と同程度には不可思議な様相をしていた。

 

 まず、整備されたような道がある、所々ヒビ割れていたりもするが確かに道と呼べるくらいには綺麗な道だ、今までの階層に無かっただけに驚きもある。

 

 更に松明があるのだ、それが道を照らすように何本も何本もズラッと壁に並んでいる、それがまるでRPGによくあるボス手前の通路のような雰囲気を醸し出している。

 

 ハッキリ言おう、今までダンジョンで見てきたソレに比べて、この道には明らかな人工的なそれを感じる。

 

 誰が作ったのか、どんな意図があるのか、目的は何なのか…それら全てを分からぬまま、湊はただ気配の方向へと突き進む。

 

 

 そうして、湊は───

 

 

「…アハァ…!」

 

 

 獣に出会った。

 

 

 

 

 

 


 

 

 ふと、目が覚めた。

 

 

「…いっっつぅぅ…」

 

 …頭が痛い、ガンガンと耳元で鐘鳴らされるレベルで痛い。

 

 地面の上で寝そべりながら、唐突にやってきた頭痛に顔を顰めてうつ伏せになっていた身体で寝返りを打つ。

 

 天井を見上げ、上から降り注ぐ光を一身に浴びて、ぼうっととしたままダラーンと寝転がり、ふとした時に気づいた。

 

 あぁ…俺は奴に、あの獣に勝ったんだと。

 

 それを認識した途端、湊は満足に動かない身体に鞭打ってなんとかして立ち上がろうとする。

 

 身体が重い、というか怠い、動きたくない…そんな欲求こそあれど、それでもどうしても確かめたい。

 

 あの獣はどうなった? 俺は最後の最後まで食い切れたのか? それとも腐らせてしまったのか? …理由はなんにせよ自分の殺した獲物が気になるということは変わらなかった。

 

 視線を向ける、つい先程まで湊が眠っていた場所、その先。

 

 そこには、骨があった。

 

 獣の骨、尋常じゃない程に大きく太い獣の姿をした骨がそこにはあった、容貌からしてあの時の獣だろう。

 

 真っ白な骨だ、血肉どころか血の一滴すら付着していない、それはもう見事なまでに真っ白だ。

 

「…ハハッ…」

 

 それを見て、湊は心の底から安心した、俺は何一つ残さずアイツを平らげられたのだと、そう安心した。

 

 安心したせいなのか、途端に身体から力が抜け落ちるが、そんなことは些末なことだ、今感じているこの安心感に比べれば。

 

 地面に座り込んで湊は自分が喰らった獣、その残骸を見つめる…骨だけだというに、今にも飛びかかってきそうな程の威圧感を感じた。

 

 死んでなおもその威光に衰えは無し、流石と言うべきか無茶苦茶だと言うべきか…。

 

 頭をガジガジと掻く、叶うことならこの目でキチンと食い切る所を見たかった…そう思ったところでふと違和感に気づいた。

 

 頭を引っ掻いた時に触れた髪が、妙に長く感じるのだ、しかも何か妙にサラサラとしているような気がする。

 

「んぁ?」

 

 間抜けな声を出しながら何気なく振り向いた湊の視界に綺麗な紅色が映り込む、サラサラと絹が擦れるような音を鳴らしながらソレは湊の動きに合わせて湊の視界を掠めていく。

 

 いや、視界に映ったのはそれだけではない。

 

 尻尾だ、大きな尻尾がゆらりゆらりと右へ左へと揺れ動いている、あっちへゆらりこっちへゆらりと規則性もなく動いている。

 

「……あら?」

 

 素っ頓狂な声を出しながら、湊は目をパチクリと瞬かせ、何気なしに自分の髪の毛へと手を伸びす。

 

 触れただけでも分かる何時もよりも…というか有り得ないほどにサラサラとした自分の髪、伝うように下へと手を移動させれば本来存在しなかったはずのところにまで髪の感触がある。

 

 髪の一部を見えるように目の前に持ってくる…目の前に持ってこれているという時点でロングヘア確定なのだが、そこら辺は無視するに限るのだ。

 

 そして見えるわ見えるわ綺麗な紅色をしたサラッサラの髪の毛、触ると簡単に解れるしスーっと沈む…男子の髪の毛じゃねぇぞ。

 

 そんな伸びた挙げ句女の子みたいな髪質になった湊は若干ガビーンと衝撃でも受けたみたいに固まり、次いで自分の手の変化に気がつく。

 

 手が人間のそれじゃない、というか小さくなっただけで見た目的に自分が殺して喰ったあの獣のソレとほぼ同じなのである。

 

 よくよく見てみれば足も同じようなことになっている、ギランと薄暗くその殺傷性を主張する爪が眩しい。

 

 

「…えっと…とりあえず『鮮血』」

 

 対馬湊(17歳)、とりあえずで技能を放つ。

 

 血液を操り射出する、恐らくこれで適当に地面に水溜りみたいなのを作って鏡代わりにしようとしたのだろう、何処かの不死身な卍さんアニメでも血溜まりに月が映ってたわけですし。

 

 そして、今まで通りの威力を想定していた湊は、なんの躊躇も無く()()()()で『鮮血』を射出した。

 

 ではその結果としてどうなったか…湊の掌から放たれた鮮血は湊の眼前の壁をいとも容易く粉砕しながら貫通し、その道すがらに偶然いた魔物すら突き破って着弾点した箇所で盛大に爆発した。

 

 ドドォォーンという爆裂音が湊の耳に届く、湊は何処か呆気に取られたような表情で壁を見つめている。

 

「………あれれぇ? おっかしいぞぉ?」

 

 湊の頭はポンコツ名探偵と化した。

 

 

 

 





 因みにハジメはとっくにユエに出会ってるし、最奥のガーディアンまで後もう少しの所にいたりする。
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