『ラプタ』(仮)   作:ポポアップル

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注意事項
i. 本作品は不定期に投稿されるとともに、改稿も行われます。ですので本作品に関しましては完成途上の「草稿」を見ている、という認識で読んでいただきますようお願いいたします。
 
ii. 本作品はゲーム"RimWorld"、同作品向けに有志の方々が作成されているMOD、そしてあたしほもづき氏とidatenzz氏原作の四天王シリーズの世界観を参考・前提にして執筆されています。ですので上述の作品についてある程度の予備知識が必要である場合があります。


プロローグ
①~③


「セラ博士、『ハンター』たちはここから少ししか離れていないトウェーラに辿り着きました。このクレイドルが敵の手におちるのも時間の問題です。今すぐ避難を…。」

セラは声の主の方を一瞥することもなく、ただ目の前の、赤い鱗と髪をした幼いラックルを見ていた。

幼いラックルが首をかしげると、横に束ねられた髪の毛がだらんと肩にかかる。その髪の毛を、なぞるようにして彼女の肩にセラが手を置いた。

「なんでもないのよ。パンジー。なんでも…。」

その言葉とは裏腹に、セラの助手の顔からは血の気が引いていきみるみる青ざめていく。彼の耳につけられたインカムからは不穏な報告が次々と否応なしに伝えられてきた。一列に並んだ蝋燭の炎が順々消されていくように、時間は脱出の希望をどんどん低いものへとしていくだけであった。最後には暗闇がやってくるだけである。堪えかねた助手はとうとう声を上げた。

「セラ博士、もう時間がありません!お気持ちはわかりますがどうか堪えて脱出をー」

そう言葉を紡ごうとした瞬間にガァン、と、部屋中に凄まじい力で鉄と鉄を打ち付ける音がした。助手は糸の切れた人形のようにがくんと前に倒れた。そしてその背後には硝煙が烟る拳銃を握る一人のミホの姿があった。

 

「セラ博士だね。」

目の前に倒れた男をつゆも気にかけず、茶髪のミホは問いかけた。セラはそれに答えなかった。だがミホは続けた。

「あんたにはラックルの生態を教えてもらったりと恩義も感じてる。だけれどあんたの今やってる研究とやらが成果を上げちまったら私たちハンターはおまんまの食い上げさ。助手も殺しておいてまだいうかって思うかもだけどね、最後に一応聞いとくよ。あんたの研究とやらはそこまでしてでも続ける価値があるのかね?」

セラは決して背を見せぬよう、ゆっくりとそのミホと対峙しながら、部屋を中心に円を描くように部屋の右端へと迫った。

「私のやってきたことに悔いはない。今も、そしてこれからもね。キトリ。」

キトリはしばらくセラの瞳を見つめていた。揺るぐ余地のない、まっすぐな眼差しをセラはキトリに注ぎ続けた。その瞳から一筋の滴が溢れる前に、引き金が引かれた。

 

キトリは、セラ博士の瞳から徐々に光が失われていくのをみとると、ゆっくりと彼女の瞼を閉じ合わせた。好奇心は人を殺すというが、セラ博士は全く、その言葉を体現するような人であった。

(手にかけておいていうことではないが、ラプタの民にとって惜しい人を亡くしたものだ。)

そう思い、セラ博士の亡骸から視線を外し、彼女の立っていた場所を見ると、ダストシュートの蓋が外れているのが見えた。対峙している際は彼女の影で見えなかったが、床に落ちた蓋の血のつき方を見るに、それはセラ博士が倒れた際に外れたというより、生前から外れていたようであった。もしくは外されていた…?

(下はゴミ捨て場…。セラ博士はここで止まり、私と向かい合った。あの時、セラ博士は何かを庇うようにしていたが…。まさか、背後に誰かがいてセラ博士はその人を逃した…?)

そんな考えがキトリの脳裏によぎりダストシュートに頭をつっこんだが、そのような考えはすぐに潰えた。大の大人はともかく、小柄なミホの中でも細身なキトリですら、ダストシュートに肩を通してここを落ちていくことは、不可能な芸当であった。ただ、花の刺繍のある布の切れ端のようなものと、赤い髪の毛が一本、ダストシュートの枠を止めるねじにひっかかって下から吹き上げる臭い風に揺られていた。

「そこで何をしてる?」

キトリが頭を抜こうとしたところで、聞き慣れた声が背後から聞こえた。不意を突かれキトリの頭は無意に跳ね上がり、派手に頭をぶつけた。

「標的はやったようだけど…。なんでアンタはダストシュートに頭を突っ込んでる?」

クミは決まりが悪そうに頭を出したキトリを怪訝そうに見つめた。

「…いや。ね。セラ博士は…見ての通りやったよ。ただ、ダストシュートに何か、隠したいものを捨てたんじゃないかと勘繰っててね。そこの蓋、外れてたんだよ。博士が死ぬ前から。でも部屋に入った時は確かにこのダストシュートは閉まってて蓋も外れてなかった。だから…。」

「へえ。そんであんたはダストシュートに頭を突っ込めばその『落とし物』が見つかると思ったと?」

キトリはまた決まりが悪そうにクミを見つめた。

「みなまで言わないといけないかね…。あの…。」

「いや、いい。廃棄物集積所は地下二階のはずだ。早く行こう。」




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