緋弾のアリア 爆弾撃ち抜く狙撃手   作:見知らぬ人だぜ

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第02話 ……なんやかんやがあったんだよ

「あ……間違いました」

 

 時間は変わらずに12月24日。クリスマスイブの男子寮屋上。レキは唐突にそう言ってから言った。

 

「お付き合いを前提に結婚して下さい」

「…………まずは何でそうなったのか聞こうか……」

 

 拝啓母上様……何やら本当に大変な事になってしまったようです。まだ、警察庁のコンピューターに足が着くようにハッキングして豚箱でクサイ飯食べてた方が普通の生活を送れたかもしれません。

 偏頭痛は『それも普通の生活じゃない』と告げるようにズキリと痛みを発した……この偏頭痛、意思でもって持ってるんじゃ無かろうな……。

 

「何故か?この方が確実かと思いまして」

「……俺はもう何も言わないよ…………」

 

 嗚呼……頭が痛い……この先どうなるのやら……

 

「……兎に角、今日はもうやること無いし……部屋に帰るかな……それとも……」

「それともなんですか?」

「クリスマスイブなんだから恋人らしくどっか出掛ける?」

「ではクリスマスツリーを見に行きましょう」

 

 グイグイ手を引っ張ってくるレキ……あれ?レキってこんな強引なキャラだったっけ?すんげー物静かなやつだった気がするんだけど……

 

※─※─※

 

 で、流石に防弾制服と言えども12月の冬は寒かったのでそこら辺の洋服屋(何か高級そうな店だった)でレキは翡翠色のロングコート、俺はレキと同じデザインの黒のロングコート(確か両方とも丸が4つは付いてて、2つ合わせれば丸が5つになったような気がした)を着てイルミネーションされたクリスマスツリーを見に着ていた。

 

「……………………」

 

 レキはイルミネーションのクリスマスツリーを見ているが……特に声は発しな……

 

「綺麗ですね」

 

 ……見とれてただけだったようだ。案外人間らしい所があるようだな……

 

「ああ、そうだな……とある一点を除いてな」

「とある一点とはなんですか?」

「その剥き出しのドラグノフ狙撃銃だよ」

 

 そう、レキはドラグノフ狙撃銃を何かしらのケースに仕舞う事なく普通に携帯しているのだ。これ、俺らが武偵高に居るからこそ出来る事だけど……普通に出掛ける時ぐらい仕舞おうか。

 俺?コートの中にグロック18Cと腰のホルダーにS&W M500、更にガンケースの中に対物狙撃銃よりも小振りな狙撃銃『L96A1』携行してますよ?

 と言うより、ここに来るまで職質されなかったのが奇跡だわ……コート着てて制服見えないから普通に職質されてもおかしくないんだが……しかし、どうするかな……何時までもこんな衆人環境で実銃を出しておく訳にはいかないんだが……

 

「……お♪」

 

 周りを見回して見つけたのは『古鷹モデルガンショップ』。あそこならモデルガンの為のガンケースがあるだろう。

 

「行くぞ」

「はい」

 

 俺はレキにそう言ってモデルガンショップに入る。勿論レキは着いてくる。

 

「いらっしゃいませー」

 

 レジにいる店主らしき人に直ぐに話し掛ける。

 

「あのー……」

「何か探し物ですか?」

「ドラグノフ狙撃銃を入れられるガンケースはあるかな」

「ドラグノフ狙撃銃が入るガンケースですか?」

「出来るなら分解せずにそのまま入れられるやつが良いんだが」

「少々お待ちを……」

 

 店主らしき人は店の奥に入って行った。

 そういやドラグノフ狙撃銃ってそこまで知名度高くないんだっけ?よく分からないけど……まぁ、良いや。店主らしき人も戻ってきたし。

 

「こちらなどどうでしょう?」

 

 大きさ的にはジャストか少し大きいガンケース。これなら問題ないだろう。

 

「幾らですか」

「5380円になります」

「はい」

 

 俺は5380円ちょうど払う。

 

「あ、そのままで良いですよ。今すぐに使うので」

 

 ガンケースを袋に入れようとした店主らしき人にそう断りを入れてガンケースを受け取りレジのカウンターで開く。

 

「レキ、それこれに仕舞って運んで」

「分かりました」

 

 レキはドラグノフをガンケースに仕舞い閉じるとそれを手に持と、俺とレキはモデルガンショップから出た。

 

「……さて……どうするかな」

「……………………」

 

 本格的にやることが無くなった。

 ……まぁ、クリスマスツリーも見たし、帰るかな……

 

「レキ」

「何ですか?」

「帰るぞ」

「分かりました」

 

 ……いつもながらレキとの会話は淡白だ。あの爆弾狙撃のときからよくパートナー(後衛2人でパートナーとはどうなのかと思ったことがしばしば)として行動することが多くなったが話す事といったら任務前のブリーフィングと任務中の指示とその返事(『はい』か『了解』か『分かりました』などの肯定の返事)のみ……そりゃ淡白にもなるわ。

 

※─※─※

 

 で、女子寮前。

 

「じゃ、また明日辺りにでも」

「いえ、ここで待っていて下さい。荷物を持って来ます」

「おう、分かった……………………うん?」

 

 違和感を感じ取った時にはもう時既に遅し、レキはもう女子寮に入っていた。荷物?一体何のことだろうか……

 あ、治まってた偏頭痛がまたしてきた……あれ……そういやレキと一緒に居るときは偏頭痛って起こらないんだよな……あれかなぁ……この偏頭痛もレキに命じている『風』と同じものなのかなぁ……レキと一緒に居ろとかそんなん?要らないんだけど。

 そして俺はいつもの口癖を言う。

 

「……まぁ、良いや」

 

 全てを割り切る魔法の言葉だ。或いはもしかしたらこれもレキの狙撃時の『自己暗示』と同じなのかも?全てを割り切る自己暗示……確かに間違っちゃいないな……いや、まぁ本当に……

 

「まぁ、良いや」

 

 レキが女子寮の入口から大きめのキャリーケースと大きめのボストンバッグを持って出て来た……ああ、引っ越し?一体どこに?多分俺の……俺ともう1人の部屋だな……いや、男子寮に女子を寝泊まりさせるのはどうかと思うけどレキは言い出したら止めないのだ……いや、言い出していないならまだ……

 

「これからは京介さんの部屋で暮らします」

「……………………」

 

 ………………(・_・)エッ..?

 あれ?俺が言う前に言われたんだけど……あれですか?もう打つ手無しとかそんなん?

 てか顔文字使うレベルで動転してるな……あれ?おかしいな……告白されて半日経たずに同棲スタート?電撃過ぎない?これ、このまんま電撃ゴールインとか無いよね?無いよね?

 

「……サインしますか?」

 

 そう言ったレキの右手には『婚姻届』……レキの所はサインに印付き……なにこの子?スッゴい強引なんだけど……しかもなまじ可愛い分質悪いな……

 てか、レキ今俺の心読んだよね?ナチュラルに普通に心読んだよね!?

 

「読んでませんよ」

 

 ……あぁ…………なんかまた偏頭痛が頭に飛び蹴りしてきた……すっげー頭痛い……

 

「サインしますか?」

「2度目!?しかも今度はなんか名前が記入されてて後は印を押すだけ!?もうサインはしてんじゃん!」

「間違えました。印押しますか?」

「どんな間違いが起ころうが押す気は無いからな!?」

 

 ……最近、憲法だか家族法だか(たしか家族法だった筈)が改正されて男も武偵であるならば16歳でも結婚出来るようになったんだよな……なんでこんな家族法改正が起こったんだろ?ちょっと理解出来ないや。あれか?武偵は稼いでるから別に良いんじゃね的な感じ?

 

「残念です」

 

 シュン……となるレキ……何だろうヤバい……小動物みたいで可愛いッ……レキの頭撫でてみたいけどそんな事したら戻れなくなる気がする……漏れなく印押しちゃうような気がするッ……!

 

「……俺は行くぞ」

「シュンとしてるとこれ狙っても無駄ですよ?スナイパーなめないでください」

「いや、狙ってないし。俺もスナイパーだから」

 

 スナイパーなめないでとは察知能力のことをさしているのだろう。スナイパーには必須のスキルだからな……かく言う俺も習得してるんだからレキが習得していない筈はない。

 

「……どうせ着いてくるんだ。さっさと来い」

「分かってます」

 

 俺とレキは男子寮に向かって歩き始めた。

 

※─※─※

 

「ああ……憂鬱だ……」

 

 男子寮、俺ともう1人の住人の部屋の前……俺はそんなことを呟いた。

 

「何が憂鬱なんですか?」

 

 ヘッドフォンしていても聴力は高いらしいレキ……

 

「いや、何でもない」

 

 俺は意を決してドアを開けた。もう1人の住人は出掛けて居ないようだ……が、他に誰か居るらしく、1人分の靴がある。……粗方、星伽 白雪あたりだろう。クリスマスパーティーでも開いて居るのだろう。

 俺は靴を脱いで廊下を進みリビングに入った。

 

「ただいま」

「お、遅かったな」

「あ、おかえりなさい」

 

 そう返事をしたのはこの部屋のもう1人の住人『遠山(とおやま) 金次(きんじ)』とキンジの隣にいる大和撫子のような少女がキンジの幼馴染で星伽の巫女『星伽(ほとぎ) 白雪(しらゆき)』だ。

 

「クリスマスパーティーでもしてたのか?」

「まぁな」

 

 そこに俺の後ろからひょっこり顔を出すレキ。

 

「ただいま」

「おう、レキ。おかえり……ん?」

「おかえりなさい。レキさん……え?」

 

 レキがあんまりにも自然とただいまと言ったために普通におかえりと言ったキンジと白雪。まぁ、普通にそうなるよな。

 

「どうも、今日からここで暮らします京介さんの妻レキと申します」

 

 ぺこりと礼をするレキ。

 

「……訂正しとくが、レキは妻じゃないからな。彼女だからな」

 

 レキの言動はしっかり見てないと駄目だな……こりゃ……あぁ……また頭痛の種がぁ……

 

「京介。ちょっと良いか?」

「…………ん?おう」

 

 答えるまでの間は何なのかって?偏頭痛だよこんちくしょう。

 で、キンジに連れてこられたのは2つ空き部屋があるうちの1部屋。

 

「お前、俺がヒステリアモードになるの知ってるだろ」

 

 HSS……『ヒステリア・サヴァン・シンドローム』……キンジ命名『ヒステリアモード』は遠山家の遺伝的体質で子孫を残すためのものらしいのだが、このヒステリアモードにはある側面があるらしい。その側面と言うのが『思考力・判断力・反射神経が30倍になる』だ……まぁ、有り体に言えば強くなれるらしい。

 その最高の自身強化は何時でも出来る訳ではなく、とある条件下で発動するらしい。それは何か?簡潔に言えば『欲情』だ。異性に対する性的興奮だ。

 で、問題なのはこのあと。キンジは……いや、遠山家のヒステリアモード持っている全員に言えるのだが、ヒステリアモードになると女性に好かれるようにキザな言動をとるらしく、過去中学時代にそれを利用されたらしく……なんと言うか、女性恐怖症に近いものになってしまったらしく、女子と関わる事を避けているらしい。

 

「あ~……いや、知ってるんだけどさ。俺的に言わせて貰えばレキはヒステリアモードなんか利用する必要性皆無だろ?」

「まぁ……そうだが」

「キンジ、多分大丈夫だ。俺もレキも他人に干渉するような人間じゃない」

「まぁ……それなら良いんだが……何があったんだ?」

「……なんやかんやがあったんだよ……」

「いや、分かんねーから」

 

 まぁ、なんやかんやで分かるのは色々あったって事ぐらいだろうなぁ……

 

「……告白されて、クリスマスツリー見て来て、今同棲しかけてる」

「……早すぎねぇ?」

「手の速いお前に言われたくない」

 

 キンジの場合、ヒステリアモードで無くても女子落とすから怖い。その早さはどうにかならないのか……ならないな。

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