緋弾のアリア 爆弾撃ち抜く狙撃手   作:見知らぬ人だぜ

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第03話 嫉妬・恨み

 あの後、星伽が作ったホールケーキを星伽、キンジ、俺、レキで4等分しそれを食べきった後(星伽は寮に持ち帰って食べるようだったがレキはペロリと食べきっていた)、俺は自分の部屋に居た。火薬臭い自室へと……

 

「ハンドリローディングだったのですね……ファクトリーリローディングでは無いのですか?」

「大量生産品は少し精度が落ちるからな……別に拳銃弾は大量生産品でも良いんだが狙撃銃だと精度悪いのは使いたくないからな」

「そうなのですか」

 

 まぁ、その精度の悪さでも狙った所に当てられるのが絶対半径な訳だけどな。

 そして、弾丸を作る機材の他には精々両親と俺を映した写真ぐらいしか無い。レキはそれを手に取る。

 

「京介さんの両親ですか?」

「ああ、そうだよ」

「……別に名前は?」

「父親が『草薙 狛司(はくじ)』、母親が『草薙 素子(もとこ)』……両働きさ」

「ここから先は私の興味本位ですので答えても答えなくても良いです……ご両親の勤め先は?」

「父親が公安0課の武装検事、母親が公安9課の実働部隊隊長」

「そうですか」

 

 公安0課、公安9課共に内閣総理大臣直轄で0課は闇の公務員で、9課は秘密組織なんだそうだ。

 因みに説明すると0課は『殺しのライセンス』を持つ国内最強の武偵らしい。

 対して9課は少数精鋭の実働部隊を持つ異常犯罪やサイバー犯罪などの国民に影響を与える大きな犯罪の捜査、テロの抑止・検挙、暗殺などのカウンターテロとそれに伴う警備又は要人警護を行う総合防諜機関らしい。

 なぜどちらにもらしいが付くのかって?両親から聞いた話だからだ。公安0課も公安9課も、実質的には存在しない……表向き存在しない組織であるため、両親が本当の事を言う確率が低いのだ。

 ある意味……具体的には闇だが、凄い家系だと俺は思う。

 

「…………」

 

 俺は弾を作る機材の前にある椅子に座った。

 ……にしても、学生の年齢でこんな火薬臭い部屋が自室ってのもおかしいな。過去に両親の部屋に入ったことあるけど……今の俺よりはマシだった。いや、まぁ……母親の部屋には重火器がズラリと並べられてあったり、父親の部屋にはたっくさんのナイフが転がってたけど……多分、俺よりはマシであろう……そう思いたいところだ。

 

「京介さんは……」

「ん?」

「京介さんはなぜ、対物銃を使うんですか?」

「うー……ん……何でだろう?」

 

 そんなの考えた事無かったな。

 でも、そうだよな。基本は殺せない武偵が対物銃使うのはおかしいよな……口径は50口径、肘に当たればその下と体が分かれるし、膝に当たればその下と体が分かれる……明らかにオーバーキルだよな……でも、なんで使ってるんだっけ?火薬量を少(・)な(・)く(・)し(・)て(・)ま(・)で(・)……

 初めて使って、今も使っている対物銃『PGM ヘカートⅡ』……この『ヘカート』は『冥府の女神』を意味する……これが理由なのだろうか?そのあとも幾つか対物銃や狙撃銃は試し撃ちして結局気に入ったのは対物銃2丁、狙撃銃1丁だった。

 まぁ……他にも常に狙撃銃持ち歩く訳にもいかないから拳銃を3丁ぐらい見繕ったんだけどな。

 

「……あなたが一番よく使うライフルはヘカートⅡ……冥府の女神を意味します……銃に一目惚れでもしたんですか?」

 

 何故だろう、レキの背後に修羅が見える。これ、返事ミスったらドラグノフで撃たれるよね?

 ……でも、あれぇ?レキってここまで嫉妬深い(?)やつだったっけ?

 

「……………………」

「沈黙は肯定と受け取りますが?」

「試し撃ちしてて一番しっくり来たから」

「一目惚れですか」

「どうしてそうなったのかなぁ!?」

「京介さんの彼女は私だけです」

 

 レキはそう言って部屋のもう一つの銃器整備用の机の上に置いてあった整備済みのヘカートⅡを取り上げ、部屋を出て行く。

 

「おい、どこ行くんだ!?」

 

 リビングでも、廊下でも止まらず、そのまま男子寮からも出て行ったレキを追いかける俺。レキが走る方向には女子寮……あれ?そう言えば俺はどちらを追いかけてるんだ?彼女であるレキ?それとも愛銃のヘカートⅡ?恐らく半々だろう。

 レキは女子寮に来ると速度そのまま女子寮に入ってしまった。後はもう簡単に想像出来る……粗方、レキの自室にでも隠したのだろう。5分程でレキは戻ってきた、やはり手にヘカートⅡは居ない。

 

「さぁ、帰りましょう」

「あぁ…………」

 

 なんかやる気出ない……何でかな……偏頭痛も何か酷いし…………

 

※─※─※

 

 レキにヘカートⅡ取り上げられて早2週間……俺はもう1丁用意していたセミオート対物銃『OSV-96』で任務(クエスト)をこなしていた。

 何かあの日、レキからヘカートⅡ取り上げられてからやる気が無くなってきた……何でだろ?

 ……で、ちょいと前に学校が始まったんだけど……キンジは1月期から強襲科(アサルト)から探偵科(インケスタ)に転科した……恐らく12月24日……俺がレキに告白された日にあった武偵殺しで兄が失踪して色々あったんだろうな。寮の方にもマスゴミが押し掛けていたし……。

 まぁ、それはどうでも良いんだが、問題は始まって3、4日しか経過して無いのに俺とレキが付き合ってるなんて情報が流れてて、何か狙撃科の男子から何度か流れ弾と称して狙撃が飛んでくるようになった。多分レキファンクラブの人達かな……情報元も多分情報科(インフォルマ)のレキファンクラブの方々だろう。レキって人気なんだなぁ……としみじみ感じたが絶対半径(キリングレンジ)が1500いかないやつとかパートナーにもなれんぞ。因みにレキとは余り仲は進展していない。精々手つなぐ程度だな。

 あぁ……ヘカートⅡのウッドストックが恋しい……。

 

※─※─※

 

 んで、時は過ぎて3月……俺とレキは強襲科のやつと4人組でヤクザだか暴力団の制圧をする事になった。確か名前は……『倉石組』……俺、人撃つの嫌いなんだけど……。

 配置は勿論レキ・俺が後方支援、強襲科組が前衛。作戦は強襲科組が突入して、要所要所で俺とレキが支援……だそうだ。

 インカムから声が聞こえる。

『……カウント5で突入する』

「了解」

 

 因みにこの作戦では俺は東側、レキが西側から狙撃で南口から強襲科組が突入となっている。

 

「5、4、3、2、1……ゼロ!」

 

 強襲科組が突入、早速組員に見つかったらしく、銃撃戦が開始される。今回の俺の狙撃銃はL96A1……つまり、対人装備だ。

 倉石組の屋敷の窓から見える組員の銃を持つ右腕を照準し、発砲……直撃。ボルトハンドルを引いて空薬莢を排出、次弾装填……次は他の銃を持っている組員の腕を照準、ラグ無しで発砲、直撃。

 その直後、俺は嫌な感じがしたため横へ即座に移動……した直後、俺の頭があった場所を弾丸が通り過ぎる。

 目標にスナイパー居るなんて聞いてない……俺はインカムの周波数をレキに合わせ繋げる。

 

「レキ、敵にスナイパーが居る。そっちは撃たれたか?」

『いえ……撃たれ ましたが大丈夫 です』

 

 若干途切れ途切れの声……レキらしくないな……これヤバい感じがするな。

 その瞬間、倉石組の屋敷から盛大な爆発音が響いた。

 

「ッ!?」

 

 即座に強襲科組の周波数に変えて繋げる。

 

「おい、何があった!?」

 

 返答は無い。あの爆発で死んだか……?可能性は0ではない。

 俺は少し考え事をしながらも、スナイパーの狙撃銃を撃ち抜き破壊し、スナイパーの右腕に2発入れて無力化する。

 レキから通信。

 

『スナイパー無力化 しました』

「こっちも無力化した……あー……中がどうなってんだが理解出来ないな……強襲科のやつらどうなった?」

 

 俺はL96A1のスコープで一度レキを確認する。

 

「……右肩負傷……か……」

 

 レキは自分で手当てしていたが、あの傷は見せるつもりは無いだろうな……大丈夫だと言った手前引けないだろうしな……気遣う必要なんて無いのに。

 俺はノートPCを取り出し倉石組の防犯カメラを確認する。勿論ハッキングだ……普通に侵入成功。中の映像を確認する。

 

「うひゃあ……酷いな……」

 

 そして武偵高の制服を着て倒れている奴が2人、その下には大きな血溜まりか……流れた血が多いな失血死かな……葬式に出ないといけないかもな……遺族に何も言われないと良いな……後方支援だと前衛やってたやつの遺族から恨み買われること多いんだよな……。怪我だけで恨み辛みは止めて欲しい。

 で、残ってる組員は1人……他は死んだか動けないようだし……頭(かしら)、かなぁ……って、あのジジイ自爆するつもりかい……腹に爆弾巻いてるよ。えっと?押したらハイ、爆破って奴か……幸いにして起爆装置撃ち抜けば無力化は終了だな……

 俺は開けられている頭の部屋の窓から起爆装置を照準し撃ち抜く……無力化成功、次は両脚……移動不可、両腕……武器の使用不可……任務(クエスト)はこれで終了。

 

「レキ、終わった。帰るぞ」

「は い……」

 

 任務終了。倉石組負傷者多数、自爆に等しい爆発により倉石組から死者3名、武偵2名。

 

※─※─※

 

 頬に痛みが走り、背中が壁に叩き付けられる。

 

「…………痛った」

「なんでお前が戻ってきて柴田と紅月が戻って来ないんだよ!?」

 

 あの倉石組を潰す任務(クエスト)の次の日。俺は校舎裏で強襲科複数人に囲まれていた。

 

「……そりゃ、死んだからでしょ」

 

 もう一発顔を殴られる。

 

「だから、なんでお前がノコノコと戻って来たのかって話だ!!」

 

 次は鳩尾……

 

「ゴフッ……!」

 

 これだから嫌なんだよ。誰かと前衛後衛で組んで任務やるの……だから物を撃つような任務しかやらないのに……

 

「てめぇみたいな後方でノコノコと照準してただ引き金引いてるような、誰でも出来るような奴らが俺は大嫌いだ!」

 

 また鳩尾……ああ、痛い……これ、死んだならまだしも怪我しただけでこのリンチ擬きにされるんだよね……止めて欲しいや。

 

「てめぇが、もっとしっかりしてりゃあの2人は死なずに済んだんだよ!!」

 

 右頬、左頬、鳩尾……ああ、なんでこんなめに遭わなければならないんだか全く……

 

「……いやいや……あいつ等は自分の力を過信し過ぎただけでしょ」

「あぁ!?」

「だってあの任務(クエスト)、平均武偵ランクA以上がそうだもん……あいつ等の武偵ランクはB……足りない分を俺とレキで補えるとでも思ったんだろ」

「それはお前らSランク2人が補うところだろ」

「虫の良い話だな……狙撃なんて誰にでも出来るやつをやってるやつが嫌いだって言ったくせにSランクとなればカバーするの当然?無茶言うなよ、あっちは大した状況説明もしないで突入したんだぞ。粗方、Sランクだから大丈夫だろうって考えかなぁ……強襲科だったら良いけど狙撃科にそれは無いだろ」

「……やりようは幾らでもあっただろう!」

「いや、過信も良い所だから!!」

 

 言いはしないがレキだって負傷はしているのだ……。

 

「じゃ……俺は行かせて貰うよ……先生方に今回の任務の詳しい説明しなきゃならないんでね」

 

 俺はそう言ってそこから離れる。

 

 別に最早あんなのは気にしない。スナイパーは恨み辛みを買いやすい配置だから。そんなのは武偵高入ってから2ヶ月で理解した。戦争でも同じらしい。




……初!死人!!

いや、祝うことではありませんけどね
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