異世界行ったらTSさせられて最強の不老不死にもさせられたんだけど? 作:嗚呼津
俺が恥ずかしい、既にほぼ黒歴史となってしまった『君臨してやる!』とか決意した日の翌日。
今日のひとまずの予定は魔法をできるだけ思いっきし使うこと。魔法なんかない元居た世界から、こっちのロマン溢れる魔法がある世界にきて二日目でそんな満足に魔法なんか使えるのかと、不満に思う気持ちはもちろんあるが与えられた記憶を頼りにしたら出来そうなんだよなー。まあ何とかなるでしょ。
で、今はあのまま自分の部屋として与えられた部屋で起きた寝起きの状態。ちなみに部屋には普通に暮らせるようにいろいろある。例えば適当に見繕われた服を入れるタンスに、魔力を流すだけで火が着くように魔法陣が施された料理ができるキッチンに風呂だったりと、充実してる。
「あ、姿見」
部屋の隅っこで反対向きに立てかけられた姿見を見つけた。
「⋯⋯そーいえば、手鏡でしか見てないから実際どんな体してんのか見てねーな」
昨日は自分の体見るのはなんか恥ずかしくて、あんま汚れてねーだろ、と自分に言い訳して風呂入ってないし。
「⋯⋯どれ、ちょっと見てみるか」
鏡を反対向きだったのを正面に向かせて⋯⋯いざ、その美麗たる姿を御開帳ーーっと。
「分かってたけど⋯⋯ちっぱい、だなあ。いやいいんだけどね?まだ男の感覚に近い状態で生活できるから便利だけどね?」
⋯⋯一回くらい揉みしだきたいじゃないですかクソがー⋯⋯。
「それにしても、ほんとに美人だな⋯⋯俺。綺麗な黒髪だし顔もめっちゃ整ってるし。ひとつ言いたいのがこの顔の人に自分じゃなくて他人として男で会いたかったって事だな⋯⋯ラブコメの神様仕事してくれ」
髪の長さは肩まで伸びていて、まあまあ伸びている髪に違和感がある。が、切るつもりは無い。だって綺麗だから。
一応こっちの人の特徴を言っておくと、日本人顔で髪は色とりどり、だ。
ちなみに俺はこのことにめっちゃ興奮している。異世界っぽいっていうのもあるが、本当の理由はもっとオタクっぽい理由で、外国人の二次元キャラに似ている人を、コスプレではなくガチで見つけられるかもしれないということ。
二次元作品の悲しいところは外国人キャラも日本人がもとになった二次元の顔で描かれていて、実際に外国人がコスプレしていてもなんか違和感を感じるところだと俺は思ってます。
「美人だけど服がなんか⋯⋯、やばい感じ出してるからなんかいいやつ探して着替えよ」
今着ている服が⋯⋯端的にいうとよく奴隷が着ているような服で自分が奴隷になったような気分になって非常によろしくない。
なんかいいやつあるかな~。
「お、軍服みたいなのあるじゃん。⋯⋯しかもめっちゃカッケェ⋯⋯」
とりあえず興味が湧いたので着てみる。
「お、おおーー!似合ってんじゃん!マジでめっちゃカッケェ!!」
ここまで来たんなら帽子も欲しいな、これで君も軍服の姫君!!⋯⋯なんてな。
どうせならカッコよくこれ着て魔法をぶっ放すのも一興か⋯⋯?
「決まってますね。気合い十分って感じですか?」
「ヤァッッッッハァ!!ヒィ!?」
「……相変わらず随分と個性的な驚き方ですね」
「………………いや、いやいやいや」
「なんですか?」
ったく、この人わざとやってんのかな?全く気づかなかったんだが?なんなの?アサシン?……真アサシンなの?
「さすがにノックくらいしてくれ?」
「……あ、すみません失念してました」
「頼むぜ……心臓が破裂するかと思うから」
「大丈夫です。心臓くらいなら再生しますから」
「……」
不意に不老不死ギャグされた、全然笑えねぇ……。いやまあ、ギャグと思って言ってないだろうけどさ。
「いや、まあいいや。準備できてるし行こうぜ」
「あ、はい了解です。まずは朝食ですよね?」
「ああ、どこで食えばいいんだ?」
食堂みたいなところがあったとしてもまだ俺が存在を知られる訳に行かないから行けないのだが……?どこで食うのだろうか。
「それは大丈夫です。私が研究のために所有する土地に建物があります。その中で食事が作れますのでそれで済ましまして、そのまま魔法訓練に移りましょう」
「……お前が作んの?」
「はい?なにか問題ありました?」
「ちなみに、ペースト状になってたりとか……」
「ありますけど、そっちの方が良かったですか?」
「いや逆逆、きちんとしたやつが出るのかって聞いたんだよ」
なんと言うか、研究者の作るものがマトモなイメージがない。効率重視でどこまで行っても『料理』じゃなくて『食事』ってイメージ。
「きちんとしたやつとは何ですか、これでもちゃんと作りますよ。⋯⋯研究に没頭しているときはペーストで済ます時もありますが」
「いや、ならいいんだが⋯⋯期待しとくよ」
まあ、本人がこう言っているのなら信じよう。⋯⋯もし嘘なら魔法にムカつきを混ぜて放とう。
「あ、そういや昨日言ってた不老不死魔法の詳しいこと、教えてもらっていいか?」
これから生きていく上で自分のことが分かってないのは怖すぎる。きちんと聞いておかなければ。
「そうですね、ここから着くまで大分歩きますし、話しましょうか」
「ああ、不老不死つっても実際どういう存在なのか知らないとこれからどこまで無茶していいのか分からないからな」
「そのことなんですが、実は、この魔法による不老不死は完璧な不老不死ではないんですよ」
「あ、そうなの?」
あらま、『完璧な不老不死ではない』ってことは場合によってはポックリ死ぬ可能性があるって事だよな。
「まず、何をもって不老不死とするか、てことですが、皇帝はこう定義づけしました。まず、『永遠に老いることがない』です」
「まあ、それは不老を名乗る上では当たり前のことだな」
「はい。それで、問題は次の不死の部分なのですが、これは非常に迷われたそうです。そして、その結果、『今現在認知しているあらゆる事象に於いても、生還できること』になりました」
「⋯⋯?不死の部分ってそんな迷う部分あるか?」
「この定義ではどんなに傷ついて死にそうになっても再生できれば良いんですが、最初は傷も全く負わなかったら不死、って考えてたそうです」
「あーーー、確かにな、傷がつかないって考えもあるのか」
自分の中の不死ってのが無意識にドラゴンボールのザマスで固まっていて、ほかのイメージが無かった。
「あとは、私が一時魂のことを研究していたので体が滅びても同じ魂をもって生を受けさせたら、それは不死なのかっていう悩みもあったみたいです」
「ふむふむ、確かにそう思うとなかなか難しい問題だな、不老不死って」
「そうなんですよ。⋯⋯まあ正直言うと妥協してもらいました。さすがに私でも完璧な不老不死は難しいので、だからあなたは今『少なくとも今認知されている魔法、自然現象では死なず、再生する』疑似不老不死です。」
不老不死はさすがに無理だったか。⋯⋯いや普通におかしいでしょ。つまり、結局誰も俺を殺せないって事じゃん。
「いや十分なのでは⋯⋯?」
「いえ、十分じゃないですよ。もしこれからあなたを殺しえる魔法が開発されたらどうするんですか」
「それは⋯⋯力で?」
「不老不死に頼らずですか?無謀です。だからまだこの魔法は究極的には未完成なんですよ」
いや、ないと思うけどね。そんなふざけた定義で成り立っている俺を殺せる魔法が開発されるとは思えないのだが⋯⋯。
「まあ、俺が言われている不老不死が何なのかって言うのは分かった。その上で聞くが、そんなのどうやって達成したんだ?」
これを聞かなければ弱点の洗い出しもできない。しっかり聞かないと。
「ええ、私の大発明です。よーく、聞いてくださいよ?⋯⋯正直単純なのであんま話すことないんですけどね、⋯⋯まあいいです。まず、あなたの頭の中には核を作りました」
「ほうほう」
頭の中に核⋯⋯ね。まあセルってことだわな。⋯⋯てか単純なのか。
「そして、まだ何も機能がない核に後付けする形で魔法によって不老不死の根幹となる再生力、そして再生力のほかに、最強の存在となりえるためのほぼ無制限の魔力生成力だったり、これから永久に生きていく上で必要な記憶力や脳ほどではないですが思考力だったりといった機能を付与しまして、パーフェクトな核の完成です」
「めっちゃすっっっげーーな、その核。⋯⋯でも、核があるってことは核がやられたらもう死ぬのか?」
俺の生命が核だけに頼りきっているのかどうか……。
「核がなくなっても肉体が無事であれば普通の人間になるだけです」
「⋯⋯まあ、核がやられる状況で肉体が無事ってことはないだろうから⋯⋯そういうことだわな」
「そうですね⋯⋯はい。でも、大丈夫ですよ!『今現在認知しているあらゆる事象に於いても、生還できること』⋯⋯これを達成しているのは肉体ではなく、その核ですから!!」
「いやマジ核すごすぎだろ。てかアンタ天才すぎだろ」
「そうでしょうそうでしょう!もっと褒めてください!!」
調子に乗り出してしまった。⋯⋯どれ、ちょっと疑問に思ったこと聞いて焦らせてやろう。
「で、その天才のマッドサイエンティストはこの核を作る魔法を少なくとも、国民に一人くらい適応者がいるようにもっと改良できなかったのか?」
「⋯⋯それは、その⋯⋯まずたくさんのメチャクチャ魔法を乗せることのできる核を適応させる時点で、適応できる人が大幅に減り、それに実際にさっき言った核の機能を担う魔法を一つでも乗せたら⋯⋯適応出来る人いなくなったんですよ。しかも核も魔法も改良しようといろいろ試しましたが、少しの改良や、根本から理論を変えたりしたら、不老不死に出来なくなったんです。⋯⋯おそらく不老不死を形作るメチャクチャ魔法っていうのはそれほどシビアなものなんでしょうねぇ」
ほーーーん……、まあ、俺は異世界人なわけだしそーゆーところで適応力って所が違ったんだろーな。
もしかしたらこっちの世界の人は全員適応出来ないのかもしれない。
……あと、自分でメチャクチャ魔法って言うなよ。
「ま、自分がどんだけ凄いことによって成り立っている存在なのかってことが分かった」
「はい、だからこそあの皇帝は貴方にあれだけの期待を抱いてるんでしょう。かく言う私も、どれだけ貴方がこれから活躍するか楽しみですけどね。……あ、話し終わった所でちょうど着きましたね。いやー、どれだけ凄い魔法が使えるのか楽しみですねー。その前に朝食頑張って作りますから楽しみにしていてくださいね?」
「おう、疑いながら楽しみにしとくわ」
飯がどうなるかは……まあ置いておくとして。
魔法か……爆裂魔法みたいなの打ちてーな。ばっくれっつばっくれっつ。