【魔王城】人間くんを愛でる高位存在、高位種族のおはなし【攻略!】 作:人間くんは衰退しました
魔法って便利だよね?
高位存在の次元連結による介入により人類は滅亡を免れたが、全面核戦争となった第三次世界大戦で破壊されたインフラは後の人類生存に大きく影を落とした。
高位存在により第三次世界大戦が終戦(強制終了)させられて早一世紀あまり……
多くの技術が失伝しながらも、それでも人類生存に必要なインフラは、優先的に復興されていた。
次々と再構築されるインフラではあったが、だがそれはかつてと同じ物ではなかった。
一つ具体例をあげよう。
情報インフラは、第三次世界大戦で旧来の根底から壊滅し、再興は完全に不可能になった。
第三次世界大戦が勃発した21世紀中盤、インターネットによる情報ネットワーク全盛の時代だったが、数多の核兵器の炸裂した事で発生したEMP(電磁パルス)と、それに伴う未曾有の誘導電流で、ネットワークを形成する全ての機材が核爆発の直接的な影響がない範囲も含め壊滅した。
EMPの影響は、ネットワーク機器だけでなく強固なシールドを施されていないほぼ全ての電子機器を焼きつかせたのではあるが……
この情報ネットワークの再構築に大きく力を発揮した種族がある。
それが、”
機械族は、実はその本質、あるいは本体という意味ににおいて種族名に反して機械ではない。
その本体は、知性回路を形成するまでに高密度集積された
大きさから言うと、某死の王のモモン○玉と同じような見た目と大きさであり、強力な魔力を内包している鉱物系生命体、あるいは珪素生命体に近い種族なのだ。
機械族と呼ばれるようになった原因だが、彼らの進化の過程にその答えがある。
本来のオーブ状のボディだと、魔導演算処理の速さや並列処理のタスク数などで独自の術式体系である魔法自体は得意としていたのだが、物理的な干渉力は弱く球体の特性を生かし転がっての移動以外は、浮遊移動する、年動力に近い特性の連続可変制御の力場魔法くらいしかなかった。
彼女らだけしかいないのならそれで自己完結していたのかもしれないが、程なく高位種族特有の好奇心の強さから、他世界の観測と他生命体との接触、次元連結門が開通するまではあっという間だった。
そして、他の高位種族と相互情報交換を行ううちに、知ってしまったのだ。
高位種族のみならず、高位存在の多くが並々ならぬ執着をみせる”人間”という恐ろしく脆弱な生命体を。
***
正直に言えば、オーブボディ・オンリーだった時代の機械族に性別という概念は存在しなかった。
そうであるが故に、最初は他の種族がどうして、あまりにも弱小で矮小な二足歩行炭素生命体に執着するのか理解できなかった。
だが、ほどなく人間を観測してゆくうちに、機械族にもある意味において情報汚染が広がったのだ。
平たく言えば、”彼女”らもまた「人間くん、可愛い♡」に染まっていった。
特に機械族の心の琴線に触れたのは、人間が「機械仕掛けの似姿に非常に偏愛をもっていたこと」だ。
神話の時代からピュグマリオーン、現実にもからくり人形や
だからこそ、自分達も「人間くんのように、
これが「”機械族”が”機械族”と呼ばれるようになったきっかけ」である。
いや、どうしてそうなった?
「可愛い人間くんの似姿を自作して、自分の
根底にあった想いはそれだったが、実はすぐに実際的なメリットもすぐに気づいた。
どういう訳か、角や尻尾や羽根がついていたり獣毛があったりと造形は多少違えど高位種族は、対の腕をもつ二足歩行型が多い。
そして、”彼女”らとより円滑で情報密度の高いコミュニケーションをとるにも、”彼女たちの世界”でのインフラを使うにも非常に都合がよかった。
加えて、この時代より人間界への渡航も考慮されていたという説もあり、フルスケールの人型義体の開発が熱心に行われるようになった。
最初に開発されたのは、得意とする量子情報干渉術式で周囲の物質を”
簡単に言えば、某サイバーダイン映画2作目の”T-1000”とか、あるいはガンダムと戦った初めての宇宙人として知られる”ELS”とかと似たものと考えてほしい。
確かにこれはお手軽な造りだし、
結局、外見だけを人間に似せただけだと機械族は思ってしまった。
確かに、この疑似流体金属ボディはナノマシン・パーティクルを量子情報アッセンブラとすることで瞬時に形状のみなら材質変化も可能で、大抵の事には対応できるので今でも”
つまり、利便性も汎用性もあるのにスペアになってしまうというのは、相応の理由があるわけで……端的に言えば、人間たちが作る機械仕掛けの人形に”美学”や”様式美”という概念を感知し、気に入ってしまったのだ。
当時、機械族の一人は、こう言い放ったという。
『やっぱり、磨き抜かれたフルメタルフレームの内骨格は、美意識の固まりだと思うの♪』
まるで、T-1000を開発してからT-800を開発するような話だが、一説のよれば珪素球体型の超高密度魔導集積回路知性体という本質を持つ”彼女ら”にとり、可動部分がある骨格のある生物に強い興味と憧れがあったらしい。
ちなみに本来は無性である機械族が、「
そして、時代は更に”彼女”たちに味方した。
第三次世界大戦の影響で人間のインフラが事実上壊滅したこともあり、機械族が得意とする情報工学と人類の既存技術に頼らない新しい方式インフォメーション・ネットワークの構築が要請されたのだ。
彼女らは快諾し、一度は訪れたいと憧れていた人間界へと喜びと一緒にやってきた。
***
機械族の偉大な発明というのはいくつもあるが、それをいくつか挙げてみよう。
・ME/EMコンバーター
魔力を電気に変換するMEコンバーターと、電気を魔力に変換するEMコンバーター。ただし、MEコンバーターは変換装置を大型単一結晶の非接触型ダイナモ構造などにすることで大入出力に対応できるが、EMコンバーターは現状ではあまり高出力な物はできていない。むしろ開発の方向性は、小型化と変換能率の上昇へと注がれている。
・ラプラスの悪魔型魔導集積回路(Laplace's Demon type Magilink Integrated Circuit:LD-MIC)
機械族のコアを模式的に簡略技術再現した高速術式処理紋様を焼き付けた魔導結晶ウェーハ―を多重積層化した非ノイマン演算機。ただし、作動には電力ではなく魔力が必要。
MEコンバーターは大規模な物は、地球上に流れる龍脈上に設置されそれを吸い上げ術式処理で電気変換する魔導発電所などが代表的な使用例だが、EMコンバーターはより身近な分野にも使われ、例えば1チップ化されたそれはパソコンに組み込まれ、LD-MICの動力源となっている。
また、LD-MICは用途によってCPU型、GPU型、魔力通信ネットワーク型など多くのアーキタイプが開発・製造されている。
つまり、第三次世界大戦で製造基盤も開発能力も失われた半導体を穴埋めしてるのが、これらの技術だった。
そして、その先にある技術……情報ネットワークにも大きく影響していた。
現在、人間界に敷設された情報ネットワークは”インターネット”あるいは”ネット”という従来の名称で呼ばれることも多いが、実際には
”Pan Dimension Magilink Information Network”
即ち【PDMIN:汎多次元魔導式情報通信網】というもので、情報のやり取りは電磁波でも光ケーブルでもなく、高位存在では一般的な通信魔法”念話”と根本的には同じ原理で、自動的に術式処理された情報でやり取りをしているのだ。
要するにLD-MICなどを用いた通信用デバイスが、連続的に簡略された通信魔法でパソコンからネットワークに接続し、またネットワーク自体の魔法式通信網として術式処理された通信魔法で情報をやり取りしている。
物理限界にとらわれない魔導式インターネットは地球上のみならず高位存在がいる別次元まで情報ネットワークを構築し、そのシステム全体を管理しているのが機械族という訳だ。
無論、高位存在・高位種族全体の多次元間情報ネットワーク全てを機械族が掌握している訳ではなく、種族ごとに独自の情報ネットワーク【Tribal Intranet:個別種族情報通信網】を構築し、他種族には聞かれたくない話題を話し合ったり、情報のやり取りをすることもできる。
大容量広域通信手段を人類だけが失い、通信情報網のほぼ全てを機械族に依存しているのも人類だけだ。
人類が使える通信情報網は、今や
言い方を変えよう。
人類は、情報を全て高位種族に監視され、掌握されていた。
高位種族が人間くんに興味と執着がある限り、超監視社会は免れない模様。
見つめられているのは、ネットだけであるわけはない。