シャーレの先生の執務室はある意味魔境だ
なぜ突然こんなことを言い出したかと言うと、先生が気付かないであろう場所に様々なアイテムがあるからだ
…アイテムと言っても、監視カメラや盗聴器、それと避妊用具まで
シャーレを訪れた生徒がさりげなく…置いて行く
唯一まともなのはホシノ位だ
彼女はどちらかと言うと私と話すために来ている感じがする
…………人体実験のことを心配されているのか
それなら別にいいのに
「やっほー、今日も来たよー」
「ホシノ、昨日も来ていましたけど」
「アビドスの方は落ち着いてきたし、おじさんがいなくても回りそうだからねぇ〜」
………はぁ
「ホシノはアビドスの生徒達にどれだけ頼りにされているか理解した方がいいですよ、私の事なんか気にせずに」
「いやいや、普通人体実験された子を心配するのは当たり前でしょ〜」
と、いいながら私にコーヒーの入ったペットボトルを投げ渡してくる
………無糖、私の好みをよく…
「その喋り方も崩して欲しいんだけれどねぇ〜」
「………これでいい?」
…私は何を
ほぼ無意識に言葉遣いを元に戻していた
「! うんうん、そっちの方がいいよ〜」
にこにこと、頷くホシノ
………
「……しょうがないね」
「んふふ〜」
ホシノはニヤニヤと私を見てくる
「…ホシノ、その顔は気持ち悪い」
「酷い!?」
「ところでさっきから先生喋らないけどどうしたの〜?」
「ん?ああこの人は早瀬ユウカにお金の無駄遣いがバレて叱られて、さらに1ヶ月のお小遣いが減ったらしく絶望してフリーズしてるだけだから気にしないで」
「つまりは自業自得?」
「そう」
ブラモデル?を買うために数万使っていた
「………こうなったらもやし生活で…」
「阿呆ですか、阿呆ですよね」
「さすがにそれはダメだよ〜」
先生がもやし生活とか言い出したから止める
「…でも」
「そこまで言うなら私がマスターに拾われる前の生活してみる?」
「……(ふるふるふるふる)」
殺気と圧を大量に込めて脅すと冷や汗を流しながら首を振った
「……どういった生活をしてたのか、聞いてもいい〜?」
「まぁ、いいよ」
私はゴミ箱漁りをしていたこと、紙を食べたこともあること、当初の私と同じぐらいの子を何人も殺して生きていたことを包み隠さず話した
「……想像していたよりも…」
「大変だったね」
「…大変?まぁそうですね」
少なくとも生きていくために必要な武器は持っていたから、食料を探すということ以外は大変じゃなかった気がする
「そういうことじゃないけど…」
「…ルリが偶に言うあの人のことも聞いていいかな?」
………………
「それは…」
「あ、無理して言わなくていいからね」
「なんと言えばいいのか…顔と性別が認識出来ない人物でした」
「「認識できない?」」
「どう頑張っても、絶対に認識出来なかった覚えが、何故でしょうね」
「うーん…」
「それと、このM4はあの人から貰いました」
……いつ見ても存在感が凄い
「なんかものすごい派手だねぇ…」
「これくっついてないよね…どういう原理なんだろう」
「あと弾道がビームみたいになります」
「「…ん?」」
これは見てもらった方が早い
私は窓を開け、空に向かって3発ほど撃つ
「………確かにビームだね…」
「あと色と形も変わります」
「どういうこと!?」
シュイーンという音と共に、白かったM4が赤くなる
「禍々しい…」
「性能に変化は……」
「ありません」
「「えぇ……」」
この機能の存在意義ないね、うん
「最後ですが…」
「まだあるの…?」
「実態のない剣を降らせることが出来ます」
「実態のない…?それって意味ないんじゃ」
「ですが当たると痛いです」
「めっちゃ意味あった」
しかも相手の真上からだ、予測不可能である
「M4はこんなものでしょう、あの人に関しての特徴で1番気になったのは先生、あなたの持つカードです」
「え、これのこと?」
先生は財布から黒いカードを出す
「はい、あの人もそれを持っていました」
「…………そう、か」
何か知ってそうな反応だけど……教えてくれなさそうかな
「その人には会える?」
「無理です」
「そうなの…?」
「………はい、私が………いえ、なんでもありません」
「……他にあの人のことについてはある?」
「Vanitas Vanitatum et Omnia Vanitas、あの人がよく口にしていた言葉です」
「全ては虚しい…か」
「あの人はその中から光を見つけることが大切と何度も言っていました」
光…見つけられるだろうか
…………
「じゃあおじさんがルリちゃんを沢山甘やかしてあげよう〜」
「…なんでそうなった?」
「んーいい子いい子ー」
「むぅ…」
もはやバカにしてるまであるでしょ、それ
「……暫くはホシノとルリは一緒に行動してもらうか」
「おー、先生分かってるー」
「………はぁ」
なんなんだ、本当に
………少し嬉しいと思ってる私もなんなんだ
あの人とは一体…(笑)