現実世界でアバターまとって無双します ~モンスターが出現する過酷な世界になったけど、どうやらアバターをそのまま使えるらしく、廃ゲーマーだった俺は配信されて謎の最強存在としてバズってしまう~   作:†タック†

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積み重ねが勝利を掴むカギ

 やるべきことが決まり、それからは忙しくなった。

 まずはらきめにコーチングしてもらい、FPSの基礎をしっかりと叩き込まれる。

 

「そこ~、クリアリングをしっかりとなの~」

「あの、らきめさん……ちょっといい……?」

「桃瀬っち、どうぞなの」

「こんなモニター前でカチカチしているだけで、リアルアバターとの勝負に勝てるの……?」

 

 その桃瀬の言葉に、らきめの深いため息が聞こえてくる。

 

「クリアリングというのは、現実の銃撃戦でも使われたりしているなの~。それにFPSを一通りやっておくことによって、かなり多いFPSアバター相手の思考もわかるようになるなの」

「な、なるほど……」

 

 京太もゲームから現実への有用性というのは少し知っている。

 

「たしか、一部の職業ではゲームで事前研修させてから、実際の業務をするやり方もあるらしい。感覚を掴むということでは有効なんだろうな」

「さすが京太っち、そゆことなの。FPSである程度慣れたら、次の段階としてリアルアバターでも練習なの~。じゃあ、次は常にヘッドショットラインを意識して――」

 

 

 

 ***

 

 

 

 らきめがいないときは、プライベートダンジョンで素材狩りだ。

 

「えーっと、今日の素材は……げっ!? 〝はぐれメンタル〟って有名なレアモンスターじゃないですか……。大丈夫なんですか、これ?」

「心配するな、かおる。プライベートダンジョンなら狙ったモンスターを出しやすい。ほら、見つけたぞ」

 

 京太が指差した先には、はぐれメンタル――正式名称〝エゴサによってメンタルを破壊されて他者から逃げ回る悲しきスライム型モンスター〟がいた。それも複数だ。

 

「ありがたみがないくらい、うじゃうじゃいますね……」

「これなら倒し放題だ――……って、忘れていた」

 

 京太が大剣で斬りかかるも、素早い動きで逃げて行ってしまう。

 これではなかなか倒せない。

 

「そういえば、このモンスター逃げ足も速かったですね……」

「うーむ、プライベートダンジョンを作る時の呪文で鈍足になるようにするか……」

 

 色々と工夫しながらも、素材狩りをこなしていくのであった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 ようやく休める夕食の時間、桃瀬はテーブルに突っ伏していた。

 

「ぢ、ぢがれだ~……」

「お疲れ様、桃瀬」

 

 京太は共感しつつ、お茶の入ったマグカップをコトッと置いてやった。

 

「ありがと~……京君~……。なんかうちの道場での鍛錬と違って、頭で覚えることが多すぎて大変すぎる~……。ここ最近、ずっと脳みそと身体の両方がギャーッて悲鳴をあげているぅ~……」

「配信業だと割とどっちも使うので慣れておいた方が良いですよ」

 

 キッチンからやってきたかおるは、肉野菜炒めが盛られた皿をテーブルに並べていく。

 湯気が上がっており、作りたての美味しそうな香りが漂ってくる。

 

「お、今日のは肉がきちんと入っているな」

「普段の肉野菜炒めとは違って、スポンサーもついて、しかも素材売却でお金のことは心配なさそうなので肉多めです! これでもう京太に『肉野菜炒めというより、ただの卵キャベツ炒めだろ……』とか誹謗中傷されることもありません!」

「いや、誹謗中傷というより真実だろ……。収益が入ってなかった二人暮らし時代はキャベツばかり食べる芋虫の気分だったぞ……」

「ええい、居候がうるさいですね! 早く食べちゃいますよ! そのあとは夜の配信準備です!」

「えぇ~……本日三回目の配信だよぉ……VTuberってハードすぎると思うの……」

 

 桃瀬はゲッソリした顔をしながら、肉野菜炒めを口に運んでいくのであった。

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