とある自衛官が鎮守府復興してみた   作:うわぐつ24号

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取り敢えず1人目の艦娘が登場です。どうぞ。


2話 戦艦と艦娘

九鬼「山本…五十六……?」

 

そう漏らすのが精一杯だった。

 

とんでもない偶然なのか、それともやはり死後の俺たちが見ている幻影なのか、幕僚長の制服を身に纏う彼は、あの有名な山本元帥の名を名乗るその男は、穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ている。

 

実際彼は俺の知る山本元帥と顔立ちも瓜二つ、いやまさに本人そのものと言えるだろう。多少彫りのある特徴的な顔に強い目力は、江田島で何度も見た肖像画と感じるものが同じに思える。

 

 

橋本(2尉、山本五十六って、たしか日本海軍の有名な将校ですよね?)ヒソヒソ

 

九鬼(ああ、世界史的に見ても指折りの、日本を代表する軍人だ)ヒソヒソ

 

軍事史に疎い橋本でも知っているような有名な人間の名前を、わざわざ付けるような珍しい親がいるだろうか?

 

 

 

山本「もしかしてだが…私の名前が気になるのかい?」

 

山本と名乗る男は笑みを崩さずに問いかける。

 

九鬼「ええ、幕僚長…じゃない、元帥のお名前が、帝国海軍の山本大将と同じなので、ついびっくりしてしまいして…」

 

流石にヒソヒソ話はまずかっただろうか。少々不快な思いをさせてしまったかもしれないと、少し後ろめたい気持ちになってしまう。

 

 

山本「なるほど、どうやら君達は本当に『前世』の記憶を引き継いでいるようだね…」

 

橋本「それは、どういうことでしょうか?」

 

男の意味深な言葉に、橋本が食い気味に質問する。実際、『前世』というワードには俺も引っ掛かる気持ちはあるし、ちょうどいい。

 

 

山本「話すと長くなるが、それでもいいかな?」

 

九•橋「」コクッ

 

 

山本「よし、では説明しようか」

 

俺たち2人は、山本の言葉を固唾を飲んで聞く。

 

海の波音、風の流れ、感じられる温度、五感が冴え渡るのを感じる。

 

 

山本「この世界は死後の黄泉の国でもないし、君達の魂が見ている幻影でもない。はっきりと存在する実世界だ」

 

山本は、ゆっくりながらもはっきりとした口調で言い切った。

 

山本「かく言う私も、大日本帝国海軍の元帥海軍大将、山本五十六本人だ。」

 

九鬼「嘘だろ……」

 

一瞬、視界が真っ白になる。

 

ここはSF小説の中でもなければ、異世界転生モノのラノベの世界でもない。明瞭に存在する現実世界で、俺は先ほど死んだ。

 

それが、異世界の日本に転生して、それも日本海軍の代表的な軍人である、山本五十六が目の前に同じ職の上官として立っている。鳥肌が止まらない。

 

何が正解なのか分からない顔のまま、橋本の方に目をやるが、彼も彼で同じ表情を浮かべている為、質問を投げかけることは出来なさそうだ。

 

 

 

山本(まぁ、そんな顔になるか…)

 

山本(実際に俺も、ブーゲンビル島上空で撃墜されてからこの世界に飛ばされたときは、本当に黄泉の国に来てしまったと思ったからなぁ…)

 

山本「死後の世界は誰も知らない。何故なら死人は還らないからね」

 

山本がしんみりと固まる2人に言葉を続ける。

 

 

山本「だが、君たちは確かに死んだ。そして来たのがこのもう一つの現実世界というわけだ。」

 

山本「死んだら死んだで、また新たな別世界に飛ばされる、それが科学技術では証明できていない正解の一つだと、私は思うがね」

 

にこりと彼は答え、2人の反応を待つ。

 

 

 

 

 

 

山本の言う通りかもしれない。俺達は死んだ。この呉で目覚めてから、何度も何度もフラッシュバックしたあの時の痛み、光景は脳裏から離れることは無い。それでも俺は、橋本はまたしても生きている。そうとしか言いようがないじゃないか。

 

つまり、俺たちがやる事は、この世界でまた1人の人間として生き抜く事のではないだろうか。

 

 

左手に見える工廠の裏の、小高い山から朝日が登ってくる。静まりかえった呉の町に、命が宿るかの如く明るい陽の光が降り注ぐ。  

 

何度も見てきた太陽だが、今は少しだけ違って見える。それは、新たにこの世界に生まれた俺たち2人を歓迎しているかのようだった。

 

 

まだ混乱はおさまらないが、どうやらやるしか無いようだ。

 

橋本「山本元帥、私は、この世界で再び生きていこうと思います。まぁ、まだ頭の中で収拾はついていませんが」 

 

不安の混じったような、乾いた笑みで橋本はそう述べる。

 

山本「おお、よく言った!それでこそ男だ。私も君達のように、本当に自分が死んだ身なのか、悩みながらあれよあれよと過ごしていたからね。まぁ、慣れだ!」

 

山本はグーサインを作ってそう笑ってみせる。

 

そして、俺の方を見やり、

 

山本「で、君はどうするんだい?九鬼少佐」

 

心の中を見透かしたような目で問い詰められる。まぁ、覚悟自体は決まってないが、部下で年下の橋本がああ言ったら、答えなんて1つしかないが。

 

 

九鬼「私も、この世界で生きていこうと思います。正直まだ自分も何が何だか分からないんですが、それ以外に選択肢も無いわけですし、1人の帝国軍人として、頑張って参ります」

 

これで良いのだろうか、でも、今さらまた死ぬ訳にもいかない。あんな思いをするのはもうごめんだし、とりあえずやっていくしかない。

 

 

 

 

ん……?『帝国軍人』?そんな記憶、どこから?

 

確かに俺は自衛官だった。しかし、「日本国防軍」の軍人としての記憶も何故だかある。1発で日本国防軍という名称も出てきたし、これはなんなんだ?

 

26年の自衛官としての人生と共に、軍人として歩んだ人生の記憶が混ざる。しかし、両者の相違点といえば、自衛官か軍人か、その違いのみで、防大生までの記憶は全くもって違和感を感じない。

 

錯綜する記憶に困惑する事が表情に出ていたのだろうか、山本元帥は俺を見て、またにこやかに話し始める。

 

山本「どうやら、記憶が混同し始めたようだね。」

 

山本「まぁ厄介というべきか、なんと言うべきか、私も君たちも含めた前世からの転生者は、どうやら前世の記憶まで引き継ぐらしい。だから、この世界に飛ばされてもなお、君達が自衛隊だった頃を覚えているんだよ」

 

 

山本の説明からして、あるべき本来の記憶はこの前世、つまり今の俺の自我ではないということだろうか。であるなら、この世界にも俺は1人の日本人として存在していた事になり、昨日までは今の俺とは別の自我があったという事に結論は辿り着く。しかし、自分が自衛官か軍人か、2つの世界の記憶の相違点はそこだけで、それ以外は何ら変わりがない。

 

ならば、この世界の歴史について知ることが、どうこれから適応していけばいいかを知る近道であろう。実際、この時代にはいないはずの山本五十六が存在しているような、同じようで矛盾点の多い世界だからな。

 

 

九鬼「元帥、お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

山本「ん?なんだい?」

 

九鬼「この世界の歴史について教えていただくことは可能でしょうか?」

 

 

山本「…」

 

あれ?山本元帥が黙りこくってしまった。それも、質問を聞くとすぐに眉を寄せて、下を軽く俯いて。不味い質問をしてしまったのだろうか。

 

 

山本「いや、すまんね。勿論教えよう。君たちはもうこの世界の住人なんだし、知る権利はあるだろう」

 

山本「だが、注意して聞いてほしい。」

 

俺たち2人は、息を呑んで話に耳を傾ける。

 

山本「この世界は95%前世と同じ歴史を辿っている。そしてだね、唯一違う残りの5%が、現代の国際社会、そして日本の大きな問題に繋がっているのだよ。」

 

山本「まず、結論から言うと、この世界では第二次世界大戦は起こっていない。」

 

彼の表情が今までの穏やかなものから険しいものに変わると同時に、低い唸るような声からは、衝撃的な改変された歴史が告げられる。

 

橋本「第二次世界大戦が、起きていない…?」

 

山本「そうだ。まぁ、というのも様々な要因があってね。少しずつ歴史の糸が前世からほつれていき、それが爆発したのが、第二次大戦よりも更なる惨劇を産んだのだよ」

 

下を向き、悔しそうな顔で答える。まるでその当事者のような語り草に聞こえる気がする。

 

山本「少し、場所を変えても良いかな?」

 

そう言えば、ずっと大和ミュージアムの前で突っ立ったまま話していた。流石に足が痺れてきたし、ちょうど良い。

 

 

 

 

山本「君たちに、この世界の歴史を教える上で連れて行きたい所があってね」

 

 

 

 

 

ー10分後、俺たちは山本元帥に連れられ、とある丘に来た。

 

背後に住宅街を控え、そばには少しだけ錆びれた歩道橋、そして、正面には広大な海軍基地を望み、視界の至る所にクレーンやドック、右奥には大和ミュージアムを始め呉の市街地が広がる。

 

いわゆる『歴史の見える丘』。前世の日本ではここからドックに入る護衛艦、運の良い日はかがを間近に拝むことも可能な、海自好きの聖地の一つ。

 

しかし、この後世日本では全く違う光景が広がっている。

 

ドックの規模、クレーンの多さは去ることながら、俺と橋本、特に旧海軍の知識に精通している俺は、ドック入りしている艦艇を見て言葉を失ってしまった。

 

九鬼「う、うそだろ…‥?」

 

体から鳥肌が一気に立つ。

 

電子戦機器やミサイルの発達したこの時代では、それらを多く搭載した駆逐艦が海軍の主な艦船。空母を除けば全長にして150メートル前後の艦が一般的だ。前大戦期まではそこまでの技術発展が起こっていなかったが故に、全長が200メートルを超え、高い艦橋、そして大口径の主砲を兼ね備える艦船である戦艦が水上戦闘艦の主力だった。

 

現代の海軍で戦艦を保有しているのはアメリカのみで、そのアメリカ戦艦も全艦が現役からは退いている。

 

つまり、この時代に戦艦クラスの巨艦は日本には到底存在し得ない、はずなのに…

 

 

俺の目の前の海軍ドックには、全長にして『かが』と同じ、いや、それよりも僅かに大きく、全幅はおそらく40メートル近くあり、そして城の天守閣のような荘厳な艦橋に、これでもかと誇らしげに後部甲板に鎮座する巨大な三連装砲塔。まさに『浮かべる城』とも言えるこの艦の艦尾に書かれた艦名を見て、俺は魂から震える感触を覚える。

 

 

九鬼「戦艦……大和…!」

 

俺の目に映ったその巨艦は、在りし日の帝国海軍を象徴する戦艦、大和型戦艦の1番艦である『大和』そのもの。

 

今からおよそ100年前に、米英を凌ぐ強力な戦艦を建造する目論見からここ呉で建造され、世界最大の46センチ砲を9門備える史上最大最強の戦艦として生を受けた。

 

しかし、『大艦巨砲主義』を打破し航空戦力が重視されるきっかけを作ったのは、奇しくも我が国日本だったのだ。

 

その破格の建造費から、戦中大和は幾度も海戦において出し惜しみされ、初出撃時には既に敗戦濃厚。大和は大した戦果も挙げられず、昭和20年に坊ノ岬沖にて、米空母艦載機群の攻撃を受け、その巨体を海中に没した。

 

そんな悲しき歴史を持つ、かつての巨大戦艦がこうして目の前に現れた。同じ日本の海の防人として、海軍史にも残る名艦に、心を踊らせない訳にはいかない。

 

橋本「これが、戦艦大和ですか……大和ミュージアムで一度模型を見たことがありますが、まさかここまで大きいなんて…」

 

艦艇に詳しくない橋本でも、かつての帝国海軍を象徴するこの艦に感動を覚えているらしい。声色が高揚している。

 

 

山本「やけに楽しそうじゃないか、2人とも」ハハハ

 

九鬼「!すみません、つい…」

 

かなり大和に惚れ込んでいたのだろう。山本元帥の存在をすっかり忘れていた。

 

 

山本「いやいや、構わんよ。前世の君達の世代は本物の大和など見た事が無いだろう。むしろ自然なリアクションだよ」

 

九鬼「はぁ…」

 

誇らしげに胸を張る山本元帥に少しテンションがついていけなかったが、どうやら俺たちの反応を楽しんでいたらしい。

 

九鬼「ですが長官、何故大和が現存しているのですか?大和は坊ノ岬沖に沈んでいるはずでは?」

 

当然といえば当然。大和は対米戦争で既に没した艦艇。なぜこの呉にいるのだろうか。

 

 

山本「これが、私が君達に伝えたかったこの世界での歴史だ。」

 

現存する大和、そしてこの国の国防の任務を担うのは、自衛隊ではなく国軍…

 

九鬼「!まさか、この世界では、戦争に勝ったのですか!?」

 

山本「おぉ〜、良い線を突いてくるね」ハハ

 

山本「だが、ちょっと違うかな」 

 

九鬼「…」ガクッ

 

橋本「では、この世界では、そもそも戦争自体が起こっていない…?」

 

山本「お、正解だ!橋本中尉」

 

山本「そう、この世界では、『人同士の』世界大戦は起こらなかった。というのも…」

 

そこから語られた歴史は、驚くべきものだった。

 

第二次世界大戦は、従来の歴史では1939年に勃発している。しかし、ここでは、世界大戦の大きな要因となったドイツ第三帝国の総統、アドルフ・ヒトラーが大戦直前にCIAにより暗殺され、イタリアのムッソリーニもまたイギリス特殊部隊により暗殺された。こうして、世界大戦は避けられたかに見えたが……

 

山本「欧州のファシズムの次の敵は、まさに『災害』だった…」

 

山本元帥は唇を強く噛む。そんなにどえらい事態だったのか…

 

山本「『そいつら』は、日本の近海を除いた全世界の海域に突然出現したんだ。それから、人が乗っていると認められた船舶、艦船は躊躇いもなく沈めたんだ。」

 

橋本「?新種の巨大な海洋生物とかでしょうか?」

 

山本「まぁ、あながち間違ってはないかな…ただ、そいつらは、所謂人型なんだ。そして、今なおこの世界中の海で我々を脅かしている。」

 

九鬼「まるで深海棲艦みたいな奴らだな…」ボソ

 

山本「お?その通りだよ、少佐!『深海棲艦』、よく知ってるな!」

 

九鬼「…え?」

 

橋本「…は?」

 

聞き間違いだろうか、いや、たしかに元帥は『深海棲艦』と言った。俺の知っている、いや、俺の影響で艦これを少しかじっている橋本も知っている、あの深海棲艦では無いだろう。飛んだ偶然もあるのだな……

 

山本「これが、その深海棲艦だ」

 

そういって元帥がスマホの画面で俺に見せた画像は……

 

 

俺の知っている深海棲艦そのものだった。

 

山本「人型の空母「ヲ級」、強力な戦艦である『タ級』に…あ、これは『ル級』と言われる別の艦種のヤツらだね…‥」

 

 

九鬼「…そだろ……」

 

橋・山『?』

 

九鬼「嘘だろーー!!???」クワッ

 

山本「!?」ビクッ

 

橋本「…ハァ」アキレ

 

 

橋本は興奮気味の俺を見て呆れ顔を見せる。「また始まったよ」みたいな気持ちなんだろう。

 

まぁ、興奮を隠せる訳なんてないよな。大好きな艦これの世界の敵までが、この世界では存在しているんだから。

 

 

ん??待てよ?深海棲艦が実在するなら、もしかして……

 

九鬼「あの!」ダッ

 

山本「おぉ、な、何だい?」ビクッ

 

九鬼「その、深海棲艦が居るなら、そいつらの対の存在も、こちらの陣営であるんですよね!!?」

 

俺は目を見開き元帥に迫る。

 

山本「急に詳しいじゃないか……」

 

山本「あぁ、御名答だよ。少佐の言うように、その深海棲艦に対抗しうる我々の味方もまたこの世に存在している」

 

そして、元帥が一息吸って、言葉を発するその時、隣の歩道橋の階段の方から、元帥とは別の女性の声が聞こえた。

 

 

 

??「それが私達『艦娘』だ」

 

九・橋「!?」

 

びっくりして俺たち2人が声の方を向くと、そこには長身で褐色の肌をした、眼鏡の美しい女性が歩道橋の階段に座っていた。

 

 

山本「…『武蔵』、やっぱりここにいたのか….探したぞ」ハァ

 

武蔵「ハハハ、、だが流石は提督だ。私の居場所がここだと分かるなんてな」フフッ

 

山本「そりゃあ、何年も一緒に居ると嫌でも分かる」

 

武蔵「…何度見ても、『大和姉さん』のこの巨艦には惚れ惚れしてしまうよ。呉に来たら、必ずここから見ると決めている」

 

山本「それを知っとるからここに迎えに来たんだろうが」ハァ

 

 

この武蔵と名乗った女性と山本元帥、やけに仲が良い。ふと指を見てみると、2人とも同じ指輪を付けている。もしかして夫婦なのか?しかし、大分年の差婚じゃ?

 

それに、武蔵が山本元帥に言った『提督』って…

 

 

武蔵「九鬼少佐だったかな。貴官もそう思うだろ?この勇壮な戦艦に感動を覚えないかい?」

 

九鬼「え?はぁ、まぁ…」

 

正直突然現れたこの美女の事が気になりすぎて、それどころじゃないんだよな。一体何者なんだ?

 

この女性、何処かで見た事のある服装だ。特徴的なマント、灰色にしつらえた軍服にも似た上着、そして、少々短いスカート。それに、スタイルも顔の整い方も抜群。身長にして172〜174はあるのだろうか?明らかに俺よりも高い。橋本よりかは多少低いが…

 

俺がまじまじと彼女を見ていると、山本が呆れ顔で言う。

 

山本「武蔵、まずは自己紹介をしてやりなさい。じゃないと、まだ2人とも困惑しているぞ」

 

武蔵「あぁ、そうだったな!失敬失敬!」ハハハ

 

九鬼(やけに堂々としているな…)

 

武蔵「申し遅れた。私の名は武蔵。大和型戦艦の2番艦の艦娘だ。よろしくな!」ニッ

 

 

 

九鬼「……え?」

 

武蔵「ん?」

 

 

 

 

九鬼「ええええええええーー!!!!??」

 

橋本「…」アキレ

 

か、艦娘???大和型戦艦??嘘だろ?

 

九鬼「ち、ちょっと待ってください!なんの冗談なんですか!?艦娘なんて存在するはずが『これが前世とこの世界の、最大の特異点だ、少佐。』

 

山本「君たちの世界では、彼女達のような存在はいるはずもないだろう。これが、この世界の最大の特徴だ」

 

山本元帥が言葉を遮ってそう俺たちに告げた。まさか、こんなことまでこの世界では起こっているなんて。

 

 

『艦娘』。在りし日のの艦艇の魂をその身に宿し、麗しい女性となって世界の海を深海棲艦から護る者達。それが艦娘であり、艦これの世界の、画面の向こうの海を駆け巡っていた娘達である。

 

その艦娘が、目の前にいる。大ファンである俺からしたら、もうどうにかなりそうだった。

 

確かに言われてみれば、武蔵と名乗るその女性は、確かに艦娘の武蔵と特徴が合致している。で、では、本当に存在するのか……艦娘が…

 

山本「まず、艦娘というのはだな…」

 

橋本「元帥、実を言うと、艦娘と言うのは我々の時代では形は違えど存在しているんです」

 

山本「な、何!?そうなのか?」

 

山本元帥が驚きの顔でそう返すと、橋本が続ける。

 

橋本「はい、我々の時代では、艦娘というのは、ゲームの中の架空の存在として認知されておりました。それも、一時期は日本中を沸かせるほどの大ブームまで作った程に。私自身も生前はたまにプレイしておりましたし、2尉…少佐に関しては、いわゆるヘビーユーザーです」

 

山本「な、なるほど…だから武蔵を見てあんなに輝いた目をしていたのか…」

 

 

一方、武蔵はその言葉を聞いて先程までの明るいオーラを消していた。

 

武蔵「…では、私たちの存在に関しては、君達は既知の事実という事でいいかい?」

 

 

武蔵が真面目な顔で俺達に問う。その顔付きは、歴戦の猛者の顔つきでありながら、どこか複雑な感情が入り乱れているように感じる。

 

 

山本「…まぁ、いずれ伝える事だからいいか。武蔵、君の口から言っていいぞ」

 

武蔵「分かった。じゃあ、前世から転生し、我々艦娘の事を知る君たちに海軍からの辞令を伝える。だが、これは私たち全艦娘の願いでもある。聞いてくれ」

 

俺たち2人は、何も知らないこの世界で、もうひと頑張りしないとならないらしい。




拙い文章でしたが、閲覧ありがとうございました。

そして、お気に入り75件、本当にありがとうございます。

あと、昨年投稿していた3話と4話は、リメイクしているこれまでのお話と繋がらないので削除をしました。しおりを挟んでいただいていた方々、申し訳ございません。しっかりストーリーの質を上げて再投稿します。お願いいたします。
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