とある自衛官が鎮守府復興してみた   作:うわぐつ24号

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5話 回想② 突入開始

森林に覆われた山々を切り開いて作られた呉鎮守府別館。俺の眼前には鎮守府といえばの赤いレンガ作りの、海軍兵学校を彷彿とさせる厳かな建物が鎮座している。この建物の左隣には、2階部分が渡り廊下で繋がった3階建ての寮のような施設。恐らくそれが艦娘達の居住区なのだろう。

右隣には作業場じみた少々小ぶりな1階建ての建物。入り口には『工廠』と書かれてある。しかし、かなり古びていおり、整備が行き届いているのかが不安になってしまう。

 

菅野「ここも、久しぶりだな…」

 

教官は6年ぶりの呉に目を細めて懐かしむようにそう呟く。

 

菅野「だが、変わっちまってやがる」ギリ

 

小さく震える左手を握りしめて、その中に怒りを閉じ込めるように感情を堪える彼には、何が見えているのか、かつて可愛がった艦娘達の泣き叫ぶ姿か、それとも丸々と太った赤井中将を殺す想像か。様々な気持ちが入り乱れている事だろう。

 

 

九鬼「ん?教官、あそこに立っているのって、艦娘じゃないですか?」

 

菅野「ありゃ…吹雪じゃねぇか!」

 

俺は正門前に立つ1人の少女を見てそう告げると、菅野教官は驚きの声と同時にその子の所へと駆け出していた。

 

菅野「おぉーい!吹雪〜!」ノシ

 

??「!!近づかないでください!!」ジャキ

 

菅野教官と共にその少女の元へ駆け寄ると、少女は俺たちに気づくとすぐに銃口を向けた。その子は特型駆逐艦娘の艤装をフル装備していて、彼女が手に持っているのは片方の砲がひしゃげ、かなり傷のついた12.7センチ連装砲であった。

 

155センチほどの身長と、人間でいえば15歳ほどの身体つきのその少女は、先ほどまでの長門さんと同じくボロボロな身なりをしていた。

 

彼女の名は特型駆逐艦1番艦、『吹雪』。特にこれといった強みを持っていないが、汎用性に富み、どんな敵にも柔軟に編成を組めるオールラウンダーな艦娘である。全国の駆逐艦の中でもかなり高い実力を持っていたはずだ。

 

赤と黒のセーラー服を着用していることから、おそらく改二まで練度は達しているのだろう。だが、憲兵隊の書類で見たような真っ直ぐな瞳はどこにもない。その目には、目の前の俺たちに対する、いや、人間に対してであろう恐怖心で埋め尽くされていた。どうやら、長門さんのように艦娘全員が憎悪の感情を抱くわけではないようだ。

 

吹雪「こ、これ以上近づくようなら、う、う、撃ちますよ!?」ガタガタ

 

九鬼「…」

なんてことだ…こんなにも真っ直ぐで誠実な吹雪にさえ、人に銃口を向けさせるような事をさせているとは…

 

九鬼「…」ギリッ

 

菅野「吹雪、落ち着いてくれ。俺だ、菅野だ」

 

吹雪「…へ?し、司令官?」

 

吹雪はつむった目をゆっくり開きながらそう答える。どうやら、恐怖心から俺たちの姿を見ていなかったらしい。

 

菅野「6年ぶりだな、吹雪。久しぶり」ニカッ

 

吹雪「あ、あぁ…」ナミダメ

 

吹雪「しれいか〜ん!!」ダキツキ

 

菅野「おっと…ハハ、もう大丈夫だ、吹雪。助けてやれず、すまなかったな」ヨシヨシ

 

吹雪「うぅ……しれいか〜ん…」ゴウキュウ

 

教官を見るや否や涙を流して吹雪は飛びついた。こちらも長門さんのようにいままで我慢していた全ての鬱憤を晴らすように、それはそれは声を上げて泣いた。

 

 

するとそこへ、その声を聞いたらしいこの鎮守府の衛兵達が駆けつけてくる。

 

兵士「なんだ何だ!?何が起こった!」ダダダダ

 

兵士「おい!そこの者達を取り囲め!」

 

指揮官らしい男の一声で40名ほどの衛兵に取り囲まれた。俺は、すぐさま腰の拳銃を引き抜き指揮官らしい男へと銃口を向ける。

 

九鬼「貴様ら何奴だ!いきなり取り囲んで失礼じゃねぇか!」

 

菅野「おぉ〜、お前中々様になってんじゃねぇか」ハハハ

 

教官が抱きつき泣いている吹雪の頭を撫でながらそう呑気に言う。

 

九鬼「教官今状況分かってんすか!?」

 

菅野「ハハハ!そう焦んなって!」ガハハ

 

吹雪「し、司令官…助けてください…」ポロポロ

 

菅野「…少し待ってな。この状況をなんとかすっからよ」ニコ

 

俺は見た。そうハグを解きつつ吹雪に笑いかけた菅野教官のその目には、優しさが消えていたのを。

 

九鬼(これ、絶対に教官ブチ切れる…)ゴクッ

 

兵士「我々はこの鎮守府の衛兵隊だ!私はその隊長である山田准尉!いいか、准尉だ!!貴様ら!どこの隊の者か知らんが、ここに来たからには無傷で帰れると思うな!」

 

そうふんぞり返りながらイキリ立てる、いかにもゲスそうな見た目の小太りの中年の男は無駄にでかい声をあげる。段々と腹が立ってきた。

 

九鬼「…准尉如きでイキリやがって」ボソッ

 

山田「なんだと!貴様、所属を言え!」チャキ

 

九鬼「海軍憲兵隊佐世保地方隊所属、憲兵中尉の九鬼だ。今日は此方の菅野直海軍大臣の護衛として来た」

 

菅野「どうもどうも〜、菅野だぜ」ギロッ

 

山田「な!?か、海軍大臣!?」

 

それと同時に周囲の衛兵達がざわつき出す。まさか大臣本人とは思わなかったのだろう。それと同時に菅野教官は腰から拳銃を引き抜いた。

 

山田「も、申しわけございません!!!まさか、大臣とは思わず『ドンドンドン!!』

 

菅野「…」

菅野教官は山田准尉の言葉を遮るように地面に3発撃ち込んだ。彼を殺す勢いのある眼で睨めつけながら。

 

山田「ヒッ…」ドサッ

 

菅野「おい。豚箱にぶち込まれたくなかったら、全員今すぐに銃を捨てろ。そして俺を艦娘寮まで案内しやがれ」ギロッ

 

その瞬間、誰からともなく銃を下に置き、山田が青ざめた顔で教官を先導し出す。

 

九鬼「こ、こわ…」ブルブル

 

憲兵なのに思わず身震いしてしまった。防大時代でもあんな顔見たことなかった…

 

吹雪「え、えっと…」

 

吹雪がこちらを気まずそうに見ていた。拳銃の発砲前に菅野教官からハグを解かれた彼女は、すでにその涙は消え失せ、発砲時には口をあんぐりと開けていた。まぁ、あんなに感動の再会をぶち壊されたら、そんな顔にもなるわな…

 

九鬼「あ…えっと、吹雪さん、菅野大臣について行って大丈夫だと思いますよ。私はこれからやる事がございますし…」

 

吹雪「あ、はい!すみません!」タッタッタ…

 

吹雪(艦娘相手に敬語なんて、真面目な将校さんだな…)

 

 

吹雪が菅野教官の元へ走り出してから程なくして、右耳のイヤホンに無線が入る。

 

菅野『九鬼、聞こえるか?』

 

九鬼「え?あ、はい!聞こえます!」

 

菅野『よし、これからお前にこの無線で適宜指示を送る。まず、これから2階の提督執務室までダッシュで向かってくれ。さっきの発砲でもしかしたら赤井の野郎が勘付いているかもしれねぇ』

 

九鬼「了解です。えっと、提督執務室の場所がわからないんですが…」

 

菅野『あぁ、そうだった。正面玄関入ったら右の方に階段が見えるはずだ。その階段を上がってすぐの右の部屋に、『提督執務室』って表札が出ると思うから、そこの部屋に押し入ってくれ。入ったら、迷うなよ。ヤツはどんな手を使っても侵入者をとっちめるからな』

 

九鬼「…了解です。では、教官もお気をつけて」

 

菅野「あぁ。じゃ、頼むぞ、九鬼」

 

 

 

ー出撃ドック内ー

 

長門「よし、これで出撃できるぞ」ガチャ

 

九鬼が鎮守府内に突入しようとしていたその時、ドック内では長門が艤装を装着して瀬戸内海に出ようとしていた。

このドックは鎮守府の位置する山の中腹に作られた小ぶりな鋼鉄の装甲で作られた小さな小屋の中にある。万が一鎮守府が攻撃され、鎮守府のドックが破壊されてもここから出撃できるようになっているのだ。

 

長門は自身の艤装を見下ろしてみる。41センチの誇らしき巨砲は、敵深海棲艦の攻撃によりボロボロである。赤井の資材の過剰な節約の為に、出撃で傷ついても、砲塔が吹き飛んでも、戦えると判断されればそのまま出撃させられる。そんな日々を送っていた。そのせいで助けられる命をどれだけ目の前で奪われたことか。

考えただけで腑が煮えわたる。しかし、そんな地獄も今日で終わる。

 

 

菅野が海軍航空隊の幕僚として厚木に異動したあの日は、そんなことになるとは思ってもなかった。『また帰ってくる』、その彼の言葉を待つことしか考えてなかった当時の彼女には耐え難い日々がそこから続いた。当初こそ摩耶や川内といった活発な艦娘は激しく抵抗していたが、彼の容赦のない暴行に次第にその精力も失った。

暴力は当たり前。グーパンならまだ良い方で、ひどい時には竹刀やバットで殴られた娘もいた。艤装を外していればただの女性と同じ筋力である艦娘にとっては耐え難い苦痛。しかし、山本元帥や菅野は救いだそうにもその権力も削がれており、山の入り口や鎮守府の正門前には常時彼が賄賂で買い上げた武装した水兵がいるために、簡単には中に入る事さえできなかった。

それまでは定期的に行われていた施設の掃除も行われず、執務室近辺のみが清潔に保たれ、艦娘にとって大切なドックや工廠すらもどんどん汚染が進んでいった。

最悪なのは、赤井の気分次第では性暴力など当然に行われていた事。これが原因で自殺までしてしまった艦娘だっている。艦娘という特性上、妊娠こそしないものの、それを良いことに散々な扱いを受けた。主には戦艦娘や空母娘、重巡娘であろうか。数えればキリがない。

 

 

長門「…もう、誰も傷付けさせない…!」

 

長門は誰もいないしんみりとしたドックで1人呟く。それは、無残な死を遂げ、生きたくても生きられなかった同胞達への弔い。そして、その死に確実に近づいている仲間たちへの宣言だ。

 

長門は大きく息を吸う。そして、心に復讐の火を宿し、決意の海への飛び出す。

 

長門「戦艦長門、出撃する!!」

 

 

  

 

 

 

ー呉鎮守府別館ー

 

吹雪が菅野教官の元へと駆け出したのを確認し、俺はいよいよ玄関へと走り出した。

どうやら、先ほどの騒ぎに乗じて門兵たちも菅野教官の方へとついて行ったらしい。ガラ空きになっている。

 

ドアを蹴り破り玄関から向かって右に位置している階段を駆け上る。中の雰囲気は一言で言えば、使われなくなった役所のような感じだ。電気は薄暗く、あちらこちらからカビ臭い匂いがする。とても人が生活する環境とは思えん。

 

九鬼(玄関がこんな有様って、どんだけ外部から人を入れてなかったんだ…?)

階段の踊り場の壁の窓からは日光が不気味なほどに照り入っており、ホコリやハエの羽を反射させている。

漂う空気は1階部分は例えれば屍の空気。しかし、2階に行くに連れて段々とそのジンメリとした匂いは消えていく。しかし、決して空気が澄んだわけではない。

 

九鬼(うっ…!クセェ…!)

 

そこは、このジメッと匂いを誤魔化すように、かき消すように充満する香水の匂い。今は交感神経が働いているからなんとか耐えたものの、不意打ちで喰らえば必ずむせるような重たい匂い。どれだけ赤井という男が悪趣味かが分かる。

 

なんとかキツイ匂いを耐えて階段を上がり切り、曲がり角を曲がってみると、そこには廃れた雰囲気には全く持って似合わない豪勢な扉が顔を見せた。まるで中の部屋の主の人間が1番偉いことを示しているかのようだ。

 

その事に不快感を覚えつつも、俺は驚愕もした。

執務室と思わしき扉の前には、1人の女性がぐったりと力なく横たわっていたのだ。

この女性も長門さんや吹雪と同じく服はボロボロで、全身傷がひどい。顔は真っ青で半開きになっている目は、もはや輝きを放っていない。唇はカサカサでフルフルと震えている。

 

この女性も一度資料で見たことのある艦娘だ。特徴的なのは、巫女服を模した制服に金と黒色のカチューシャ、そして薄い灰色の髪の毛。この艦娘は、金剛型戦艦3番艦の榛名だろう。

俺はそばに駆け寄り声を掛けた。

 

九鬼「大丈夫ですか?!」 

 

床にダランと横たわる彼女に問いかけると、死んでいるような声で返答が返ってきた。 

 

榛名「うぅ…あ、あなたは…?」

榛名はぐったりとした声で問う。

 

九鬼「私は海軍憲兵隊の者です。皆様を赤井中将から助けに参りました」

 

榛名「憲兵さん…」

 

九鬼「私は、皆様のかつての司令官の菅野直海軍中将の命令を受けております。ですから、安心してください」ニコッ

 

榛名「…!、提督が、私達を…助けに…」

教官の名を出した瞬間、榛名の目からは涙が溢れでた。菅野教官は、どうやら本当にこの娘達に好かれていたのだろう。

 

九鬼「はい。今日、赤井を艦娘多数喪失の罪で、私と長門さんで殺します。榛名さん、赤井はどこにいますか?」

 

榛名「こ、殺す…!?」キョウガク

榛名は驚きの声を上げた。今まで自分達を苦しめた赤井に、手を上げる者は数多いたのだろうが、まさか自分達の尊敬する司令官である菅野教官が、半分暴挙とも言える行動に出た事が驚きなのだろう。

 

九鬼「実を言うと、私も昔から菅野中将とは面識があるのですが、彼が赤井を殺す決心をした時の顔は…まるで鬼のような顔つきでした」

 

榛名「で、でも、これまで何人もの憲兵さんがこの鎮守府に取り締まりで訪れました。でも…」ウツムキ

 

九鬼「安心してください。ここの衛兵達なら、もう菅野中将が既に制圧済みなので、任務に支障はきたしませんよ」

 

ここで、何人もの憲兵が殺されたのだろう。失踪扱いになっていたが、やはり衛兵たちがリンチにしていたのか…

 

九鬼「それに、長門さんも安全な位置から攻撃をしてもらいます。榛名さんは、ここから動かないでくださいね。」

彼女は停止しているであろう思考回路を必死に働かせて俺の話を聞く。

 

榛名「わ、分かりました」

榛名「彼は…この部屋です…」ユビサシ

 

彼女が力なく指を目の前の扉を指差す。やはり、この豪勢な扉の向こう側に、奴がいるのか。

ここで殺して、呉の艦娘に平和をもたらす。それが、俺の海軍軍人としての魂だ。

 

俺は覚悟を決めてその場で軍刀を引き抜いた瞬間、後ろの扉から重苦しい音が聞こえた。その時、俺は本能的に危険を感じ取った。

 

振り返って見てみると扉が開いている最中で、その中からは50代前半ほどの丸々太った海軍の将官が垣間見え、俺がその男を赤井と認識したと同時に赤井は一気に扉を開けて怒鳴り散らす。

 

赤井「なんだ貴様は!!何者だ!所属をー」

 

刹那、俺は赤井に強烈なタックルを執務室向けて浴びせかける。『グフッ』と短い声をあげて赤井は巨体を揺らし倒れ込んだ。

いきなりの攻撃に不意を突かれたのだろう。フラフラと立ち上がってなんとか目を開ける。

 

九鬼(ここが、呉の提督執務室か…)

 

そこは海軍軍人には似合わない豪華な飾り物ばかりだった。壁には自分の肖像画を貼っていたり、仲間の艦娘を特攻させて獲得したのであろう勲章がこれ見よがしに壁に貼られていた。天井には似合わないシャングリラが吊るされ、先程の廊下で臭った香水の匂いがさらにキツくなっている。

 

肝心の赤井はというと、身長にして175センチほど、制帽を被っていない頭は髪の毛がしっかりと中年らしく後退していて、体はでっぷりと太りきり、額は汗ばんでいる、言うならば、世間一般的に想像されるニートのような成りの人間が海軍の軍服を着ているような物だ。

 

そして、噂に聞いた通り、とても短気でとにかく怒鳴り散らすような男である事に間違いはない。

 

九鬼「私は海軍憲兵隊佐世保地方隊所属、憲兵中尉の九鬼駿斗である!赤井義明、貴官をこの瞬間をもって、海軍中将の任を解く!」

 

赤井「ズカズカと人様の土地に乗り込んできて何をほざくか!戯言もいい加減にしろ!」チャキ

 

赤井が拳銃を引き抜いたその時、俺は軍刀で銃を持つ手に斬りかかった。佐世保に配属されてから、剣道も猛訓練として行っていた為に、反応の鈍い中年親父など簡単に斬れた。

 

赤井の右手首から下は、『ゴトッ』と音を立てて床にこぼれ落ちる。俺の軍刀は日本刀として作られているので、そこらの軍刀とは斬れ味が比べ物にならない。

 

これまで艦娘をイジメにいじめ抜き、あまつさえ多くの彼女らの命を奪ったこいつは、手首一つでは足りない。込み上げる怒りはギリギリの所で抑えられたものの、半殺しまでなら長門さんも許してくれるだろう。

 

手首を落とされた赤井は、怒りの形相から、眉を歪めて真っ青な表情へと一変し、その場に倒れ込んだ。綺麗なカーペットの上にヤツの薄汚い血液が零れ落ちる。

 

赤井「あ…あぁ…!」

赤井「ぎゃあああああああああああぁああぁー!!!痛いーー!!」

 

ガキのような声を上げてその場にのたれまわるソイツの姿に怒りしか湧かない。多くの大切な艦娘を兵器としてしか見れず、自分の事となればこういって泣き叫ぶ。クズの典型例だ。

 

九鬼「黙れクズ!!貴様の身分はこの辞令書にある通りだ!海軍大臣直々の命令だ!サッサっとその軍服を脱げ!!」クワッ

ここ最近で1番語尾を荒げている。それだけ同じ海軍軍人として反吐が出る。そして、奴の横っ腹を思い切り蹴り飛ばしながら罵声を浴びせる。

 

九鬼「貴様、これまで何人もの艦娘を殺しておいて、何が『痛い』だ!お前に苦しめられたあの娘達の痛みは、こんなモンの比じゃねぇぞ!!」ドゴ!ドゴ!

九鬼「ほら、辞令書だ!さっさと受け取れクソが!」ドン!

 

紙を軍刀に差し込み、そのまま奴の腹に突き刺す。だが、まだ殺さない。太い血管は外しているから、少なくともまだ死なん。

 

赤井「イヤァァァァァーー!!」

 

赤井は鼻水まで垂らして泣き叫ぶ。先ほどまでの威勢は既になくなっている。今は、ただの汚い中年親父だ。

 

心臓の心拍数がどんどん上昇していく。コイツを痛ぶるたびに怒りが倍増して、勢いで殺してしまいそうになる。ここまで他人に対して怒った経験なんてないだろう。心をグッと抑えて、俺は豪勢に飾られた執務机の後ろの窓に向けて数発発砲して窓に大穴を開ける。ちょうど赤井が落とせそうな大きさで。

 

空から、軍刀を引き抜き、血を専用の紙で拭って納刀したのち、奴の体を引きずって窓の前まで持ってくる。赤井は、『な、何をする!?頼む!殺さないでくれ!』とか泣きながら言っているが、そんなことは知らない。全くとんだご都合主義野郎だ。

 

九鬼「大臣から、『殺す方法は問わん』っていうお達しを貰ってるんでな。」ハイライトオフ

 

窓の向こうには呉港を一望できる絶景が広がっており、真下の中庭は小学校の校庭ほどの大きさはある。だが案の定草木はボーボーに生え渡り、地面はどこなのか見当もつかない。こんなクソ野郎の処刑場としては最適だろう。

 

九鬼「じゃあな。死んで詫びろ、クソ野郎。」

今までにないほどの憎しみを込めて、引きずってきた赤井の体を中庭へと放り投げた。

 

これで、全てが終わる。

 




読んでいただきありがとうございました。
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