とある自衛官が鎮守府復興してみた   作:うわぐつ24号

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本当に遅くてごめんなさい。


プロローグ3 第二次日本海海戦② 『決死の索敵』

ー2032年、4月6日午後21時30分、対馬沖45キロの海域ー

 

〜海上自衛隊 護衛艦はぐろCIC内にて〜

 

 

九鬼「………」ジ…

 

橋本「………」ジ…

 

その他の隊員「………」ジ…

 

 防衛出動の下令から数時間が経過したこのとき、日本艦隊は未だに敵の索敵に苦労していた。

海保の巡視船『きたかみ』の撃沈から始まった一連のこの事件、現場海域の対馬沖には、いるはずの中国艦隊は何処にもいなかった。

 

その為、海自側は流石に痺れを切らし、体力も奪われかけていた。

 

 

艦長「…仕方がない。みんな、一度飯にしよう。警戒を緩めず、交代で食べるように。」

 

九鬼「(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)」

 

橋本「…2尉、警戒を厳にしてください。」ムッ

 

九鬼「ハイ」

 

ー一方、済州島沖上空、海自P-1哨戒機内にてー

 

機長「いいか、防衛出動が下令された以上、俺達にも十分に危険がある。まだまだ気を引締めていてくれ。どうだ?レーダーに何か映っているか?」

 

レーダー員「いえ、特には映っておりません。」

 

防衛出動が下令された現在、佐世保の艦隊のみならず、当然全国の自衛隊にも本土防衛の任が与えられていた。このP-1もその内の1機である。

 

佐世保の本隊が中国艦隊を見つけ切れていない現状、この付近の海域にまで後退した可能性は十分にあったため、まだまだ気の抜けない事態であった。

本隊の隊員はZ旗の件もあり、士気は充分。しかし、現状はその士気が1人走りをしている状態だった。その状態で攻撃される事はある意味危険であることを、この飛行時間1500時間を超えるベテランパイロットのP-1の機長は知っていた。だからこそ、自らの部下たちにも適度な集中力を保つように指導していたのである。

 

しかし……索敵を始めてから2時間がこのP-1にも経過。少し機長にも疲れが見え始めた。

 

機長「…流石にこれ以上は厳しいか…」

 

P-1に残された燃料はあと15分程の索敵時間しか残していなかった。それ以上は帰投分に影響を及ぼしてしまう。しかし、

 

機長「よし、あともう少し捜索を続ける。皆、もう少し頑張って『レーダーに感あり!!ミサイル3発、6時の方向から来ます!!』」

 

 

 

まさかだった。それもそのはず。このP‐1はずっと中国艦隊を発見できていなかったが、中国側はすでに1時間前から当機を捕捉していたのだ。それが日本機と分かった中国艦隊は、索敵機であると判断。まずは3発を打ち込み、徹底して撃墜する為に、飽和攻撃として、もう5発を発射していた。

つまり、この3発を躱したところで、P-1に未来は無い。

 

機長「クソ!回避行動を取る!フレア撃て!」

 

レーダー員「機長!9時の方向からも5発来ます!」

 

そして、この機が求めていたものが、この最期の瞬間に姿を同時に現した。

レーダー員②「機長!中国艦隊を7時の方向に発見!衛星でも捕捉できました!!」

 

 

機長「…!!そうか………では、本隊に連絡。『ワレ、ミサイル攻撃を受ケル。マタ、済州島沖ニテ敵艦隊発見。衛星データを発信ス。貴艦隊の健闘を祈ル。第1航空郡所属P-1 5番機機長畑中3等海佐以下5名』と連絡をしてくれ。」

 

機長は、自らの命よりも、敵の位置伝達を最優先事項として伝えた為に、自らの救助を要請する暇もなかった。この連絡は、ミサイルが着弾するまでの僅か8秒間で行われたのであった。

 

 

 

 

 

ー佐世保本隊ー

 

 

P-1の撃墜報告は、はぐろと同じく僅かな休息を取っていた艦隊旗艦の護衛艦かがに真っ先に届いた。

 

かが幹部「艦長、報告です。済州島沖にて中国艦隊を索敵していた、鹿屋のP-1が撃墜されました。」

 

この報告には、艦長含めたかがの幹部達に衝撃を与えた。

なにせ、彼らは、中国艦隊はこのまま日本海へと北上するという見立てを立てていたからである。そして、その反対方向の済州島沖に出現したということは、舞鶴の艦隊との挟み撃ちが出来なくなってしまったのだ。

 

艦長「そうか…具体的な位置は、分かるのか?」

 

かが幹部「P-1の最期の発信は、救難信号では無く、敵の位置情報でした。すでに衛星が敵を捕捉しており、そのデータがP-1の最期の発信でした。」

 

 

『なんと……』『彼らは…そうまでして…』『ありがたい…』

 

ザワザワ…

 

 

艦長「よし、彼らが命を張って送ってくれたこの情報、決して無駄にはせんぞ。敵との位置は?」

 

かが幹部「9時の方向124マイル先(200キロ)に敵がいます。」

 

艦長「こちらは防衛出動が下令されている。もう待つ必要はない。やるぞ。全艦、戦闘用意。」

 

かが副長「了解。全艦艇に連絡する。総員、戦闘用意。繰り返す。総員、戦闘用意!」

 

 

 

 

ーはぐろCIC内ー

 

 

その頃、はぐろにもP-1のデータが届いていた。

これを聞いた九鬼2等海尉、橋本3等海曹は、すぐさま戦闘モードにマインドが切り替わっていた。

 

九鬼「…あのP-1は、命を張って敵の位置を教えてくれた…」

 

彼らの壮絶な最期に、九鬼は半分感極っていた。

 

橋本「ですが、俺達に求められているのは、感涙することではないです。眼の前の敵を殲滅するのみです。」

 

美山副長「二人共、士気を高ぶらせるのは良いが、仇討ちは考えるな。冷静さを欠くぞ。」

 

そういう美山副長も、目には怒りを秘めていた。

 

 

同胞の自衛官が殺されたこの現状を、怒りなしに捉える自衛官などいないだろう。

 

 

 

その時、

 

はぐろ艦長「かがより連絡!総員戦闘用意!!」

 

一同「!!!」

 

ついにその時が訪れようとしていた。佐世保艦隊の彼らがいよいよその矛先を中国艦隊に向けるのである。

 

 

かが艦長『我々は既に敵艦隊を捕捉している。まずはこの差を活かす。各イージス艦はこれより『Jトマホーク』を発射せよ。それぞれ15発を敵艦隊に撃ち込め。』

 

 

Jトマホークーーそれは、2025年に海上自衛隊が取得した米国製トマホークミサイルを独自に改良したもので、なんと従来のトマホークよりも断然に高性能化されたのだ。実際の日米合同訓練では、世界最強と呼び声高い米海軍第7艦隊を、10発程で旗艦のロナルド・レーガンを撃沈している。

 

加えて、中国艦隊はこの日本の新世代対艦ミサイルへの対抗策を実施できていなかったのである。そんな状況の中、まだ就役して間もない護衛艦ふそうなど、日本艦隊は、敵への攻撃要員は充分揃っていた。

 

とはいえ、中国艦隊にも超音速対艦ミサイルが多く配備されている為、先制攻撃を成功させた側に今回は軍配が上がると言っても良いだろう。

 

 

そして、ついにその時がきた。自衛隊発足以来、実弾を訓練以外で撃ち込むときがきたのである。

 

九鬼「……艦長、Jトマホーク、発射準備完了です。」

 

はぐろ艦長「よし、旗艦かが、こちらはぐろ。Jトマホーク発射準備よし。」

 

かが艦長「了解した。」

 

そしてそれに続いてすべてのイージス艦から準備完了の打電が届いた。

 

橋本「いよいよですね…」

 

九鬼「あぁ…」

 

2人は、呼吸をしてその瞬間を待った。

 

 

 

 

はぐろ艦長「水上戦闘、用意!!目標、敵艦隊旗艦、空母遼寧!」

 

 

九鬼「発射準備よし!」

 

はぐろ艦長「………発射!」

 

橋本「…てぇ!!!」

 

その瞬間、はぐろの前部VLSより、15発のJトマホークミサイルが、計75発の日本の技術の結晶が、翼を広げて満天の星空へと解き放たれた…

 

 

第二次日本海海戦、ここにて開戦せり。

 

 

 

 

 

 

 




これからもよろしくお願いします。
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