とある自衛官が鎮守府復興してみた   作:うわぐつ24号

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本当にすみません。また終わらなかったです。次回はどうダラダラ書いてもプロローグ終了しそうなので、どうかお許しください。


プロローグ6 第二次日本海海戦⑤ 『ゲームセット』

飛行隊長「30式対潜誘導弾、発射!!」

 

 

海上自衛隊混成艦隊と中国太平洋艦隊第一空母打撃群の間に勃発した、第二次日本海海戦。戦いは、日本側の新兵器の攻撃によって初撃ながら中国艦隊に大ダメージを与える事に成功。更に、護衛艦いせの艦長である井上1等海佐の妙案により、敵の真の目的である潜水艦の雷撃を阻止する為、日本艦隊は252飛行隊による対潜攻撃を敢行。

その矛の向く先は、敵潜11隻であった。

 

さらに、ここに来てもう一つの海自の新兵器、『30式対潜誘導弾』が猛威を振るう。

 

この兵器は、従来であれば戦闘機には対潜ミサイルを積まないところを、F-35のステルス性能を活かし、短射程のミサイルの中に3本の超小型の新型の高速魚雷、『30式魚雷』を搭載した物である。

 

これを1機のF-35につき2発、つまり、6本の魚雷を、252飛行隊合わせて30本の魚雷を積んでいる。この新戦法の誕生により、通常の対潜攻撃に加え、更なる選択肢を手に入れた海上自衛隊は、まさに世界最強の対潜軍団となった。

 

その252飛行隊に狙われた中国潜水艦隊は、絶体絶命である。

 

 

 

 

 

 

252飛行隊から発射された10発の30式対潜誘導弾は、その後着水後に分離。従来の魚雷の3倍の速度を誇る追尾式魚雷が、獲物を求め一斉にスクリューを回し、シャチの如く敵潜へと襲い掛かった。

 

 

5番機「魚雷発進確認。敵潜命中まで、10秒。」

 

飛行隊長「よし、全機に告ぐ。これより帰投する。対空警戒を怠るな。5番機、魚雷の追跡を続行せよ。」

 

 

5番機「了解。命中まで、5…4…3…2…1…」

 

 

5番機「着弾!」

 

 

5番機からの無線連絡と同時に、252飛行隊の背後から凄まじい爆発音と、数多くの水柱が辺り一帯を包んだ。その衝撃波は、超低空で帰投する252飛行隊までに及んだ。

 

 

3番機「うお!?なんだこの揺れは!」

 

コックピット内が微かな揺れを起こす。音速を超える速度の出ている252飛行隊まで届く衝撃波。いかに凄いかが分かる。

 

 

飛行隊長「…この爆発に飲まれれば、無事な艦は1隻もないだろう。…すまない。」

 

 

252飛行隊は、目標の沈黙をレーダーにて確認し、一糸乱れぬ編隊航行で母艦へと帰投していった。

 

 

 

 

 

ー同時刻、護衛艦はぐろ艦内ー

 

 

いせの井上1佐考案のこの作戦は、このはぐろにも伝わっており対潜警戒を強めアスロック対潜ミサイルをいつでも発射できる態勢へと移っていた。

 

そして、11隻の敵潜撃沈の報もまた、全軍に即時通達された。

 

 

九鬼「…艦長、11隻の潜水艦を沈めたともなれば、相当数の乗員が犠牲になっているはずです。我々だけでも、救助活動を行うべきでは…」

 

 

橋本「駄目です。」

 

眉を寄せ、冷や汗を流しながら言葉を発する九鬼を、橋本がまたしても冷静に制す。

 

 

橋本「2尉、ここは戦闘海域です。まだレーダーに映っていないだけで、敵潜がいないとも限らない。」

 

橋本は冷静な口調で続ける。

 

橋本「それに、はぐろはこの艦隊の重要な防空艦です。易々と離脱はできません。」

 

 

この状況に置いて、橋本は驚くほど冷静であった。

 

いや、冷静であろうとしていた。

 

 

橋本「………」カタカタ…

 

 

橋本は、この自衛隊に希望を持って入隊してきた。それは、九鬼も同様である。しかしながら、九鬼は幹部自衛官であり、防大、幹部候補生学校を卒業している士官である。(登場人物紹介参照)

 

防衛大学校にて4年に渡り防衛学を履修し、勉強を進めていく上で、日本は近いうちに再び戦争の渦に巻き込まれていくだろうという見解を深め、覚悟を持って海自へと飛び込んだ。

 

そして、自衛隊の力に信頼を置き、適切に物事を判断した上で自衛官としての己の信念を信じ続けている。

 

 

しかし、橋本は階級を取れば3等海曹。高卒入隊の下士官という身分だ。

高校時代だけを考慮すれば、彼は全国で見ても偏差値70前後の優等生であり、高校時代の九鬼よりも成績は優秀である。そして、3年間を野球部として過ごした為に、先を読む力はある程度備わっている。(自己紹介参照)

 

だが、高卒の橋本は防衛学などの国防そのものへの専門知識が浅いのだ。学校で教えられる学問に関しては優秀だが、それまでだった。表面上の正義感のみで自衛隊に入隊した橋本はその心意気だけで、本当に戦争が勃発するとは考えもしない彼にとってこの現状はただの強がりでしかなかった。野球部での3年間で培った忍耐強さで、心の弱さを必死に隠している、それだけなのである。

 

 

 

 

 

艦長「九鬼2尉、気持ちは分かるが、今は却下だ。それよりもそろそろ我々にも出番が来るぞ。」

 

CIC中央に設置されたテーブル型のレーダーを、鋭い目つきで眺める艦長が九鬼に向かって言う。

 

 

九鬼(どういうことだ…?また、井上1佐が奇策でも思いついたのか?……)

 

 

美山「どうした九鬼、狐につままれたようなような顔をして」ハハ

 

 

九鬼「そ、そんなに可笑しかったでしょうか?」

 

 

美山「まあ、緊張がほぐれる程度にはな」ハハ

 

そして、再び真剣な顔に戻して言葉を放つ。

 

 

美山「築城からのお客さんだよ。」

 

 

その直後、艦隊のレーダーに大量の機影が映る。

 

築城からはるばるやってきた第八航空団所属の戦闘機部隊である。彼等は4機ごとに編隊を組みとても美しい編隊航行を行っていた。

 

 

はぐろ乗組員「築城からのF-2です!艦隊上空を超低空で通過していきます!」

 

乗組員がそう叫んだ直後に、上空から無数の轟音が響き渡る。その音ははぐろのCICまではっきりと聞こえてきた。

 

 

 

ゴォォォォォーーーーーン………

 

 

九鬼「うお…、なんつー音なんだ…耳が張り裂けちまうぞ…」

 

両耳をさすりながら、少々驚いた顔つきでそう言う。

 

九鬼「F-2…かなり到着が早いな…少なくとも、あと15分はかかる予定だったと思うが。」

 

 

美山「おそらく、敵艦隊損壊の報告が彼等にも伝わったんだろう。実際、当初の巡航速度よりも遥かに速い。」

 

橋本を挟んで九鬼と隣り合う美山副長が答えた。

 

 

艦長「では、これより第3段階目の作戦を始める!」

 

F-2が全機上空を通過し終わってから、艦長が艦内放送にて呼びかける。

 

 

艦長「これより、F-2戦闘機部隊は先程損壊した敵艦隊への航空攻撃を実行し、我々はその後の敵掃討を担当する。」

 

艦長「現在の敵艦隊の状況としては、旗艦遼寧が中破、前衛の防空駆逐艦1隻沈没、2隻大破航行不能、フリゲート艦4隻沈没、3隻大破、2隻が中破、その他の艦艇は戦力として健在だ。」

 

 

美山「つまり残る我らの敵は、遼寧直衛の防空駆逐艦3隻、対潜型の駆逐艦2隻、フリゲート3隻か…」

 

 

艦長「その通りだ、副長。そして内航空攻撃にて空自さんが遼寧の直衛艦を仕留める。我々は、対潜型の駆逐艦を標的とする。」

 

 

九鬼「艦長、ちなみに攻撃に加わるのは、他にどの艦がいますか?」

 

 

艦長「我々だけだ。他のイージス艦4隻は、空自さんの支援射撃に回る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー航空自衛隊、戦闘機部隊ー

 

 

飛行総隊長「全機に告ぐ、これより海自の本隊の上空を通過する。」

 

 

海自艦隊が第3段階の作戦を実行に移し始めた頃、空自部隊は彼等の上空に差しかかっていた。

 

 

築城基地を発進してしばらく経った時、九州上空を超低空かつ低速で飛行していた戦闘機部隊は、海自によるミサイル攻撃で敵艦隊が大幅に防空能力を喪失した報を受け、増速を開始。海自に合流するまで40分かかるところを25分で到着したのだ。

 

 

飛行総隊長「那覇基地からの情報によると、敵艦隊は現在ここから198マイル(320キロ)先に、落伍した駆逐艦、フリゲートを除いて再び輪形陣を形成している。」

 

飛行総隊長「まずは、我々F-2部隊が93式空対艦誘導弾をそれぞれ2発、合計80発を発射し、敵の防空網を混乱させる。恐らく、敵の防空ラインを突破できるのはせいぜい1.2発だろうな。だが、それで良い。後続の、301飛行隊の攻撃のお膳立てが今回の任務だ。」

 

改めての作戦説明が終わった後、先頭を飛行する第8飛行隊隊長より入電が入った。

 

 

第8飛行隊隊長「隊長、遼寧より敵艦載機が2機発艦!我が編隊に向かってきます!」

 

中国艦隊の防空ラインまで残り5分に差し掛かった時、突如敵の艦上戦闘機、J-15が2機発艦。数だけ見ればただの悪あがき。そしてJ-15は第4世代ジェット戦闘機で、F-2はそれよりも性能が上の4.5世代。いざ戦えば隊員の練度も高い空自側に分があるだろうが、厄介なのはそのタイミングであった。

 

 

飛行総隊長「…それは、予想外だな…」

 

飛行総隊長は、難しい決断を迫られる。

 

 

飛行総隊長(ここでは出来れば空対空ミサイルは使いたくはない。だが、それを使った方が確実ではある…)

 

飛行総隊長「迷うな…ミサイル攻撃か、格闘戦か…」

 

 

この時、彼は敵機はミサイルを装備していないと考えていた。というのも、遼寧は既に飛行甲板を破壊され、そもそもの空母としての機能を喪失している。その中でなんとか発艦できたこの2機は、まともな装備、弾薬を搭載できていないと踏んでいた。

 

しかし、ここで彼が導き出した答えは、驚くべき物だった。

 

飛行総隊長「よし、全機に告ぐ。これより私が敵との格闘戦を実行する。私が敵を引きつけるから、貴官らは攻撃ポイントにて一斉にミサイルを発射せよ。」

 

 

第8飛行隊隊長「!そんな、危険すぎます!敵との格闘戦を行えば、隊長は間違いなく敵艦隊の艦対空ミサイルに晒さられてしまう!」

 

 

第6飛行隊隊長「そうです!隊長には我々を築城まで導いていただく任務がございます!危険です!」

 

 

飛行総隊長「…大丈夫だ。それに、私はあと3ヶ月で戦闘機を降りる身だ。ちょうど良いラストステージではないか。」

 

飛行総隊長は、今年50歳のベテラン1等空佐。かつてはF-15のアグレッサー部隊にも所属していた生粋の戦闘機乗りで、この年の秋から築城基地の司令へと昇任する予定であった。

 

ヘルメットの中でその無骨な顔に笑みを浮かべながら、

 

飛行総隊長「それに、戦闘機に乗っていれば、やはり醍醐味と言えば格闘戦だろう?2人とも、私に華を持たせてはくれまいか?」 

 

 

第6飛行隊隊長「…了解です。隊長のご決断に敬意を表します。隊長、絶対に帰ってきてください。」

 

 

第8飛行隊隊長「…敵機2機、あと30秒で視認できます。」

 

 

飛行総隊長「この距離まできて撃ってこんと言うことは、敵さんは元から格闘戦でくるつもりなのだろう。」

 

すると、F-2の2機が編隊を崩し隊長機へと近づき、両隣でその翼を振ってバンクをした。

 

 

隊長がコックピットを覗き込むと、2人のパイロットが敬礼をしていた。

 

隊長もその2人に微笑を見せ、答礼する。

 

 

飛行総隊長(全く…編隊航行を崩してはならんと、出撃前に厳命していたのは、どこの2人だったかな…?)

 

 

穏やかで笑みで2機が編隊へと戻っていったのを見届けると、隊長機は踵を返し300メートル下方から真っ直ぐこちらに向かう敵2機へと急降下を仕掛けていく。

 

 

F-2の40機の編隊へと突っ込んで来る2機のJ-15の間を、音速を超えるスピードですり抜ける。突然のことに中国軍パイロットは驚きを見せた。

 

 

中国軍パイロット①「うお!?なんだ今のは!」

 

パイロット②「くそ!日本機だ!堕とすぞ!」

 

 

2機の中国機は直ぐにこの隊長機に食いついた。このF-2が、航空自衛隊指折りの精鋭パイロットであることを知らずに。

 

 

2機の中国機はすぐに旋回し、隊長機に向かっていく。中国機を追い抜いた直後に減速をしていた隊長機は1機に追いつかれるが、即座に急上昇を始め、一気に高度を上げる。

 

この急上昇する隊長機を逃さんとばかりに中国機も上昇を始め、それと同時に銃撃をするが、上昇によるブレのせいで照準が中々定まらない。

 

 

パイロット①「グ…クソ…」ダダダダダ

 

 

飛行総隊長「よしよし…もっと食いつけぇ…」

 

かれこれ300メートル上昇を始めたあたりから、両機に猛烈なGがかかる。満天の夜空に轟音を響かせる2機の戦闘機は、その衝撃に耐えながら獲物を撃ち落とさんと上昇を続ける。

 

 

しかし、ベテランの飛行総隊長と新人の中国パイロットの彼とではGに対する耐性に差が大きすぎた。

 

 

中国パイロット「う…どこまで上がるつもりなんだ…!」ギギギ…

 

高度50メートルの超低空から、一気に2000メートルまで上昇を続けた彼は、朧げな意識の中で日本機を追うが、その隙を見逃してはくれなかった。

 

 

飛行総隊長「よし、敵機の速度が落ちてきたぞ…もう少し…」

 

 

飛行総隊長「ここだ!」

 

突然隊長機は上昇を止め、なんとF-2の高い運動性を活かし、機体を垂直に保ったまま前へと進む、コブラ飛行へと移った。

 

そしてそのまま自分を追う立場だった中国機の後ろに付き、再び上昇へと転じ今度は隊長機が追う側へとなった。

 

ドッグファイトで後ろを取ったということは、勝負ありだ。

 

 

飛行総隊長「貰った!!」

 

そのままバルカン砲で敵機を銃撃。見事な射撃で、僅か2発の発砲で敵の左翼を吹き飛ばし撃墜した。

 

隊長機は、火を吹きながら力無く堕ちるJ-15を横目に、水平飛行にもどし、すかさず次を狙いに行く。

 

 

パイロット②「くそ!やられた!」

 

僚機が敵の術中にはまった様子を斜め上の遠くから見ていた2番機は、すぐさま日本機を追撃にかかる。

 

パイロット②「1番機のようにはいかん!この位置からだと俺の方が有利だ!」

 

2番機の位置はF-2の斜め後ろ上。空戦としては最適なポジションからの攻撃となる。

 

そして、その後難なく隊長機の後ろへと向かっていく。が…

 

パイロット②「堕ちろ!クソ野郎!!」ダダダダダ!!!

 

中国機が機銃を撃ったと同時に、彼の眼前からF-2が突如消えた。

 

パイロット②「な!?どこだ!?どこに行って…バシューーー…

 

刹那、2機目のJ-15はアフターバーナーに被弾。そのまま燃料に引火し爆散した。

 

この瞬間で、飛行総隊長は機体を巧みに操り、敵機が後ろについた瞬間に、日本海軍航空隊から伝わる伝説の技、『左捻りこみ』を使い敵の真後ろを取った。空自でも模擬空戦で2度しか使っていないこの大技に、まだまだ未熟な中国パイロットでは目で追うことすら出来ずに撃墜されたのだ。

 

 

2対1という不利な状況から、僅か30秒足らずで敵を一掃した彼であったが、隊長機は無傷ではなかった。 

 

2番機の機銃が僅かに1発、左翼に命中し、煙を吐いていたのだ。 

 

この状態では、築城までは帰投が出来ない。ましてや、最寄りの九州の飛行場にすら行けない状況であった。

 

飛行総隊長「どうするか…このままでは、燃料が持たん…」

 

燃料を示す計器は、被弾した事により低下をどんどん続けている。

 

 

しかし、隊長が頭を抱えていたその瞬間、彼の真上を無数の対艦ミサイルが過ぎ去って行った。

 

隊長「…!よし、なんとか時間は稼げたようだ…!」

 

彼が空戦を行った事により、敵の目を惹きつける事に成功。残るF-2隊が陽動攻撃に成功していた。

 

 

 

 

  

 

 

 

第8飛行隊隊長「隊長!!機体は大丈夫ですか!?」

 

その後に、帰投するF-2隊から駆けつけた第8飛行隊の隊長が切羽詰まった声色で彼に尋ねる。

 

 

飛行総隊長「すまん、1発貰った。だが、俺自体はなんともないぞ〜」ハハハ

 

 

第8飛行隊隊長「…隊長、ありがとうございます。なんとか作戦は実行できました。」

 

余裕ぶりを見せる飛行総隊長にそう告げ、その後に思いもよらぬ提案をする。

 

 

第8飛行隊隊長「それから隊長、帰投の件ですが、海自の艦隊から電報を受け取っています。」

 

 

飛行総隊長「?海自さんから?」

 

 

第8飛行隊隊長「はい、『モシ帰投ガ困難ナラバ、ワレヘノ着艦ヲ許可ス 発、混成艦隊旗艦護衛艦かが、宛、第8航空団飛行総隊長機』」

 

なんと、全長248メートルの、空軍機のF-2からしてみれば短すぎる甲板への着艦許可であった。これには一時飛行総隊長と驚きを見せるが、

 

 

総隊長「なんともまあ…」

 

感嘆の表情を浮かべながら、彼はかがへと電報を打つ。

 

 

『貴官ノ御配慮ニ感謝ス。コレヨリ向フ。』

 

 

 

 

 

 

 

その頃、80発の93式空対艦誘導弾は、真っ直ぐに中国艦隊へと到達し、彼等の防空網を食い荒らしていた。

 

とはいえ、先ほどのJトマホークとは異なり、こちらは旧式ミサイルである為に容易に迎撃を行うことが出来、中国側もスムーズな対応を行った。

 

 

5分後、80発の内、全弾を撃墜。中国側には安堵の空気が溢れる。

 

 

遼寧艦内にてー

 

遼寧は、先ほどのトマホークによる飽和攻撃にて損傷を受け、J-15の発艦が不能となり、死傷者も出したのだが、幸いダメコンには成功し、その指揮系統はまだ健在であった。

 

 

王中将「よし、全弾撃ち落としたな。総員、敵は強大だ。まだ油断をするな、対空警戒を厳にしてこのまま進むぞ。」

 

太々しく野太い声で指示を出す彼は、遼寧と護衛の為の数隻の駆逐艦を引き連れ日本艦隊を目指していた。

 

 

王「あの島国野郎共め、次こそは叩き潰してくれるわ…!」

 

怒りに燃える王だったが、次の瞬間が彼の最期となった。

 

 

 

乗組員「!?長官!敵機が侵入してきました!目視でも確認できる距離です!」

 

慌てふためいた乗組員が、戦闘指揮所内で突如大声を張り上げた。なんと、先程帰投したはずの敵戦闘機隊がこちらに向かっている。それも、もう防空網を突破しているという。

 

王「!何を言っているんだ、貴様は!ふざけたことを「ミサイル発射確認!着弾まで4秒!!!!」

 

 

 

その瞬間、遼寧艦内で警報音が鳴り響いた。突然の敵機の侵入と、ミサイル攻撃。何が何だか分からないままにとてつもない衝撃音と爆発が遼寧を包み、その全てを業火で焼き尽くした。

ゼロ距離で発射された戦闘機搭載型のJトマホーク、それが同時に5発遼寧に着弾した。非常に高い攻撃力を備え付けるそれは、何とも一瞬で空母を海中へと沈めた。

 

 

遼寧は着弾とほぼ同時に船体が爆散。他の艦艇に判断する時間を与える暇もなく沈んでいった。

 

 

中国艦隊の旗艦を鎧袖一触で沈めた伏兵の正体、それこそが新型の第6世代戦闘機のF-3である。

 

最高速度でも、ステルス性能でも、運動性能でも、航続距離でも、全ての性能でF-35を圧倒するその新鋭機は世界初の第6世代戦闘機。彼等は、たった1発のみを各機発射し、一言も残さずに彼らの巣である築城へと帰投していった。彼等の存在は、この海戦ののちに中国、ロシアを恐怖へと突き落としていく事になるが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

ー護衛艦はぐろCIC内ー

 

橋本「301飛行隊、ミサイル全弾命中!遼寧、沈黙しました!」

 

 

九鬼「これが、第6世代戦闘機の力か…」

 

椅子にもたれかかってモニターを見つめる九鬼は、新技術の圧倒的な力に畏怖の念を見せる。

 

 

九鬼「まさかここまでゲームチェンジャーだとは思わなかったぞ…」 

 

 

美山「これで敵艦隊の戦意を挫ければ良いんだが。」

 

 

橋本「もう残された戦闘艦は小型戦力のみです。彼らが私達と戦うにはリスクが大きすぎます。」

 

 

九鬼「さて、どう出るかな…」

 

この一方的なコールドゲームをこれ以上続けるか否かは、敵の判断に委ねられるところであった。

 

 

 

 

ー15分後ー

 

はぐろ乗組員「艦長!敵艦隊から入電!『ワレ、戦闘行動ヲ停止ス。救助活動ヲ援護サレタシ。』」

 

ここにて、第二次日本海海戦は幕を閉じた。結果は、日本艦隊の圧勝。1隻の損害も出さず、戦闘開始から僅か1時間強で決したこの海戦は、日本側のまさにパーフェクトゲームであったのだ。 

 

艦内の緊張感が一気に解かれる。安堵の声が皆から漏れ、隣の隊員と抱き合う者や、小さくガッツポーズを取る者、その場に突っ伏す者など、様々な表情を見せた。

 

 

斯くいう九鬼と橋本は、安心感とも言えない、複雑な表情を浮かべていた。

 

命令とはいえ人を多く殺めてしまった罪悪感と、その血が行き交う戦場にて生き残った感触を感じられないような、さながら半分亡霊のような雰囲気に包まれていた。

 

 

九鬼「終わったのか……」

 

 

橋本「なんか、あっけないと言いますか、実感がないといいますか…」

 

 

九鬼「昔なら、敵の姿が見える位置で敵を撃っていたからな。それがない現代戦じゃ、俺たちは殺し合いをしていた実感が持てないんだろう。」

 

九鬼「実際にここから少し離れた所じゃ、同じ人間が多く生き絶えているのにな…」

歯痒いような表情を滲ませ九鬼が答える。

 

 

艦長「皆、本当にお疲れだった。君達の奮闘の甲斐あって、無事に作戦を終えられそうだ。改めて、ありがとう。」

 

艦長は艦内放送にてはぐろの全乗組員に感謝の意を述べた。

 

その艦長は、いつも通り冷静を保っていたが、どこか安心したような目をしていた。

 

 

艦長「しかし皆、まだあとひとつ、我々には任務が残っている。」

 

艦長「我々は、敵兵の救助へと向かう。自衛官として、助かる命は全て助けたい。皆、協力をしてほしい。」

 

九鬼、橋本は疲れ切ったその顔を再び引き締める。

 

自分達が殺めてしまった命の中に、助かる命があるのならば是が非でも助けたいのは、この場の全員が同じ気持ちであった。

 

 

美山「艦長、我々も助かる命まで犠牲にするつもりは毛頭ございません。是非ともやりましょう。」

 

 

艦長「副長…ありがとう。」

 

艦長がCIC内を見渡すと、九鬼と橋本を始め、全員が賛同の意を込めた表情を浮かべている。

 

 

艦長「では、これより我々護衛艦はぐろは、中国海軍の将兵救助に向かう。航海長、取り舵30度、最大船速!」

 

 

 

 

 

 

しかし、この判断が、海自艦隊の唯一の犠牲を生む事になるとは、まだ誰も想定していなかった。

 

 

 




両軍の被害状況

海上自衛隊

P-1 1機

水上戦闘艦 なし(現時点)

中国人民解放海軍

沈没

航空母艦 遼寧

駆逐艦 1隻

フリゲート 4隻

潜水艦 11隻


損傷艦 多数

読んでいただきありがとうございました。
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