カッツェ平野を効率良く活用したいNPCの物語   作:ユウキング

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本編お待たせいたしました!仕事も落ち着いてきて、練習がてらに書いたプロットで執筆意欲が湧いたのでちょくちょく進めていた話を何とかキリのいい所まで書ききれました!それでは是非お楽しみください!


聖戦

スレイン法国が魔導国に向けて出軍したという情報が出てから2日後

 

「何?ネイア・バラハが率いる軍と王国の兵らしき軍が交戦している?」

 

「はい、その様です。」

 

リ・エスティーゼ王国内部では傍観派と介入派の会議が纏まらず、結局介入派だけが軍を出すという暴挙に出ていた。それをアインズの支援に行こうとしていたネイア率いる信徒達からなる軍が気付きスレイン法国側ではなく、リ・エスティーゼ王国側へ出立し介入させまいと足止めしている状況だった。

 

「如何なさいますかアインズ様?」

 

アルベドにも予想外だったらしく、アルベドには珍しい『どうしたらいいか分からない』という風な困惑した顔を見せていた。

 

「ふむ…いや放っておいて構わない、王軍国の相手をしてくれているなら丁度良い足止めだ。それに良い戦闘経験にもなるだろう─そうだなシズの友人であるバラハ嬢とその取り巻きくらいには配下を付けておけ。」

 

「かしこまりました。」

 

「スレイン法国の軍はどうだ?」

 

「はい、間も無くスレイン法国の領土から出ると思われます。」

 

「よし、ではそろそろ私達も準備するとしよう。《転移門(ゲート)》」

 

アインズが転移魔法を展開しスレイン法国軍から数キロ離れた場所に出る、そこには既に待機していた複数の死の支配者(オーバーロード)死の支配者の将軍(オーバーロード・ジェネラル)がアインズを迎えていた

 

「出迎えご苦労。では早速だが作戦通りに進めるぞ」

 

「「「はっ!」」」

 

アインズの合図で死の支配者(オーバーロード)達が一斉に魔法を展開する

 

「「「『不死の軍勢(アンデス・アーミー)』」」」

 

第七位階の不死の軍勢(アンデス・アーミー)は位階の割に骸骨(スケルトン)動死体(ゾンビ)など低位のアンデッドしか召喚出来ないが、その代わりとんでもない数のモンスターを呼び出す事が出来る。今回は総勢1万5000体の低位アンデッド達が召喚された

 

「うむ、壮観だな。では─全軍進軍を開始せよ!」

 

カチャ…カチャ…ドチャ…ドチャ…ズリ…ズリ…

 

様々な足音を立てながらアンデッド達の非常に遅い行進が始まる

 

〜スレイン法国軍・司令室〜

 

「なに?アンデッドの軍勢だと?」

 

簡易テントで作られた司令室に斥候からの情報が入る

 

「はっ!非常に遅い速度ですが確実に我らの軍に向かってきていると思われます、現在の速度からして2日後には交戦するかと。」

 

「遂に来たか…アンデッドどもの種類や数は分かるか?」

 

骸骨(スケルトン)動死体(ゾンビ)食屍鬼(グール)内臓の卵(オーガン・エッグ)などの目撃情報が入っており─数が…い、1万体以上という報告が…」

 

「1万…!いや、やつの力にしては寧ろ予想の範囲内か…低難度のアンデッドばかりの烏合の衆を幾ら集めても天使を召喚出来る我ら法国軍には問題ない。しかし─やつは死の騎士(デス・ナイト)を街で警邏させてると聞いたが─軍にする程の死の騎士(デス・ナイト)はいない?もしくは小手調べのつもりか…?舐めやがって…」

 

スレイン法国軍の将軍という地位を任された男ーテモート・クーヨ・タハクッラーは現状を冷静にそして的確に推測する

 

「では明日の早朝には再び出立を開始する!奴らはアンデッド、太陽が出ている間は弱体化するだろう。奴らと早朝に接敵出来るよう進軍を調節し万全の準備で殲滅するのだ!魔法詠唱者(マジックキャスター)部隊には交代しながら死者探知(ディテクト・アンデッド)を常に発動する様に伝えておけ。」

 

「はっ!」

 

「─ふぅ」

 

(アンデッドの群れが我々と到達するのは約2日後、しかもわざわざ我々に向かってきてくれている…ならば次の進軍は早めに切り上げ簡易的な防壁を作り相手を迎え撃つ方が良いか。それとは別に奇襲してきた場合の対策としては…)

 

部下が下がるのを確認しテモートは深い思慮に耽る

 

〜アンデッド軍勢の報告を受けた2日後〜

 

「いよいよだな…」

 

迎撃する為の平地に防壁を構えたスレイン法国軍の前に遂にアンデッドの群れが姿を現す。低難度のアンデッド群による行進が太陽光というデバフによって更に遅くなっており、姿が見えていてもテモートに焦りはなかった。

 

「よく聞け!誇りある法国軍の同志たちよ!敵の数は多いがそれだけだ!我ら一人一人の練度は粗末なアンデッドなど何体いようとおそるるに足らず!さぁ今こそ法国の正義を掲げるのだ!!《獅子のごとき心(ライオンズ・ハート)》!」

 

「「「うぉぉおお!!!」」」

 

テモートは部下達に激励を送ると同時に恐怖心を和らげる魔法をかけると、鼓舞された者達の雄叫びがあがる

 

「全軍進軍開始!」

───ブォォオ───────

 

テモートの号令と吹号に合わせ法国軍が一斉に歩みを進め遂にアンデッドの群れと衝突する

 

「「「蹴散らせぇぇぇ!!」」」

バキッ!グチャ!ゴキッ!

 

アンデッドの群れと衝突する前に予め魔法詠唱兵から身体強化の魔法-ユグドラシルでいうバフ-をかけられていた法国軍最前線にいる重装歩兵達は危なげなく低位アンデッド達を屠っていく

 

「ははは!数だけの雑魚アンデッド共め!土に還れ!」

「俺達の国に来るんじゃねぇ!」

「俺達が国を守るんだ!!」

 

重装歩兵隊が次々アンデッドを順調に屠っていくのを確認しテモートは次の号令を出す

 

「よし、順調だな重装歩兵に更なる身体強化は必要ないか。─次に神官兵は天使を召喚しアンデッド群の後方にいる骸骨弓兵(スケルトン・アーチャー)と空に飛んでいる鳥型の獣の動死体(アンデッド・ビースト)に牽制し、重装歩兵を援護せよ!

 

魔力が残っている魔法詠唱兵は火系統魔法を、神官兵は神聖魔法の攻撃開始!魔力がなくなり次第後方に戻り兵站部から魔力回復ポーションを貰って魔力を回復せよ!」

 

テモートの号令を間隔的に配列されている通達兵が次々に復唱していき重装歩兵の後方から天使や魔法がアンデッドの群れに向かって飛来していく

 

「《第二位階天使召喚(サモン・エンジェル・2nd)》!」

「《光弾(シャイニング・ショット)》!」

「《火弾(ファイア・ショット)》!」

 

「「「グギャアァア!!」」」

 

テモートの指示は的確かつ最適でアンデッドの群れは法国軍にまともな被害を出す事も出来ずに数を減らしていく。

 

 

 

────戦い始めてから数時間後────

 

 

 

法国軍は順調にアンデッドを屠っていくが、アンデッドの数が膨大な為かアンデッドが減っている様に見えなかった。更にはアンデッドにはスタミナがという概念がない為勢いが衰えず、逆にスタミナに限界がある人間達で構成された法国軍は最初こそ押していたが段々と勢いに陰りが見えはじめる。

 

「くそっ!コイツら一向に数が減りやがらねぇ!」

「怪我した奴は後退しろ!邪魔になる!!」

「おい!攻撃魔法が掠ったぞ!気をつけろ!」

 

兵士達の雰囲気が剣呑になっていく様子を感じテモートの補佐を務める者が提言する

 

「テモート将軍、同士達の士気が下がってきています…如何なさいますか?」

 

「不味いな…精神を落ち着かせる魔法を使える者達は?」

 

「魔力切れの為現在兵站部に下がっていますがまだ回復しきれていません!」

 

「仕方ないな…全軍に通達!戦略的撤退の準備を!重装歩兵は順次交代し、殿を務めよ!相手はアンデッド、スピードではこちらに利がある!決して焦らず行動せよ!」

 

テモートの号令でアンデッドから逃げる様に撤退する法国軍に対しアンデッドの群れは追撃する様な素振りも見せず、完全に法国軍が撤退した後もただゆっくりと歩みを進めていた。一方法国軍は1日ほどかけて撤退した後簡易的なテントを張り戦いの疲れを少しでも癒す事に努めていた

 

〜法国軍・司令室簡易テントにて〜

 

(1回目の進軍で想像以上に兵達の消耗が激しい…が幸いな事に負傷者はいるが未だ死傷者はいない。そして開戦地点も法国から離れていた為あと2度いや3度は撤退しながらの戦略が取れる、相手は低位アンデッド油断せず攻めれば必ず勝てる─!)

 

それから5日かけてテモートは進軍と撤退を繰り返し、遂にアンデッドの群れの数も限界を迎えていた。それでもテモートは油断せず冷静に指示を出しアンデッド達を屠っていく

 

「よし、このまま行けば今日で─」

─ザワッ

 

勝利を確信した瞬間、最前線でなにか異変があった事を感じ嫌な汗が額をなぞる。通達兵に何があったか伝える様指示を出そうとする前に、嫌な予感が当たったかのように前線からの通達兵がテモートの前に現れる。

 

「馬上から失礼します!アンデッド群の難度が上がりました!」

 

「難度が上がった!?どういう事だ!奴らはもう500もいないだろう!」

 

「はっ!数こそ少なく当初は順調に減らしていたのですが、残り数百を切った辺りから骸骨戦士(スケルトン・ウォリアー)黄光の屍(ワイト)腐肉漁り(ガスト)、更には後方に骨の魔法使い(スケルトンメイジ)死者の大魔法使い(エルダーリッチ)を確認!その他にも見た事のない強力なアンデッドが現れ重装歩兵隊にかなりの被害が出ています!」

 

「なんだと!?ここに来て高難度ばかりのモンスターを…!くそっそうか、奴らには疲労という概念がない…最初に低位アンデッドで我らを消耗させて最後の最後に高難度のモンスターで仕留めるつもりか…!撤退は─」

 

テモートは補佐に目で確認するが

 

「無理です将軍!これ以上撤退すると法国の外壁に軍がぶつかってしまいまともに隊列が組めません!」

 

「だろうな─法国からの援軍も合流しているが、その分最初から前線に出ていた隊を国内で回復させているし…くっ!ここまで苦戦するとは!おのれ魔導王…!」

 

テモートは悪態をつきながら必死に最善の策を考え続ける─がその間にも強力なアンデッドによってどんどんと前線が押されていき悲鳴が近くなる

 

「ぎゃぁぁあ!たす、助けてくれー!」

「あっ引き込まれるっ!やめろ!くそ!!やめろぉぉお!!」

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

 

手足が吹き飛ぶ者、アンデッドに捕まり群れの中に引き摺り込まれる者、生きたまま食われる者─法国軍とアンデッド群の前線は人間にとって地獄絵図と化していた

 

「終わり…か。」

 

──────────────どどどどどっ

 

テモートが諦めかけ絶望を呟いた時だった。法国軍の後方、法国から力強い足音が聞こえ司令室に報告が入る。

 

「テモート将軍!新たな援軍です!ギガントバジリスク数体に数名の人影が!!あれはもしや─」

 

「漆黒聖典か!!」

 

通達兵の言葉と被さるようにテモートは歓喜の声を出す、漆黒聖典とは国に秘匿されている為テモートでも詳細を知る事は出来ていないがスレイン法国の切り札であり法国が人類最強と言われる所以の部隊であり、たった十数名しかいない部隊でありながらその力は法国軍に勝ると言われている正に伝説的な存在だった。

 

「おぉ…あれが漆黒聖典…ギガントバジリスクを何体も操るとは!─おぉ!なんだあの魔法の威力は!1発の魔法でアンデッド共がまとめて…!!」

 

あまりの興奮に思わず司令室から飛び出し漆黒聖典の活躍を見ているテモートは最早子供のように漆黒聖典の戦いぶりに釘付けになっていた、だがそれは前線にいた兵士達も同じだった

 

「すっすげぇ…」

「あのギガントバジリスクが俺達の味方なのか…!?」

「英雄だ…俺は今英雄譚を見ているんだ…!」

 

思わず呆然としている法国軍の兵士に漆黒聖典の隊長である黒髪の青年が慣れた様に大声で指示を出す

 

「はぁぁあ!《穿撃》!!─法国軍の誇りある同士達よ、すまない駆けつけるのが遅れてしまった!ここは私達漆黒聖典が前線を保つのでその間に隊列の立て直しを!─早く!!」

 

「「「は、はっ!!!」」」

 

高難度モンスターを難なく屠っていきながら漆黒聖典第一席次は法国軍に指示を飛ばし、見蕩れていた法国軍の兵士達は負傷者を後退させたり隊列の組み直しを素早く行動し始める、そんな中アンデッドの群れにいるエルダーリッチが魔法を放とうとし─

 

「人間共め小癪な…《(ファイア)─」

 

「させないよー《魔法最強効果範囲拡大化(マキシマイズワイデンマジック)隕氷(アイス・フォール)》」

 

「なっ…!なんだその馬鹿げた魔力は!?なん─ぐぁぁぁあ!!」

 

がエルダーリッチの魔法よりも早く漆黒聖典第十一席次の『無限魔力』が放った巨大な氷の塊という圧倒的な物理攻撃ですり潰され、エルダーリッチの周りにいたアンデッドも巻き込まれながら霧散していく。

 

たった十数名で法国軍に勝ると噂されるのは誇張でもなんでもないと証明するかのように次々と高難度モンスターを屠っていき、法国軍が前線を立て直した頃にはもうアンデッドの群れは消滅していた。そして漆黒聖典第一席次の青年が腕を上げて勝鬨をあげる

 

「諸君!我々の勝利だ!!」

 

「「「わぁぁぁぁあ!!!」」」

 

第一席次の勝鬨と共に法国軍の兵士達は大声を上げて喜び、そんな様子を漆黒聖典が不完全燃焼かのように不満な顔をしながら見つめる。

 

「もーこれで終わり?僕全然戦い足りてないんだけど。」

 

漆黒聖典第二席次『時間乱流』と呼ばれている少年の様な身長をしている男がそう呟くと、そんな男とは真逆の様な山の様な体躯をしている大男-漆黒聖典第十席次『人間最強』-が反応する。

 

「ガハハ!そりゃあの程度のアンデッドなら我らには相手不足だろうよ!!だがまぁ法国軍の兵士達を見てみろよ、助けられて良かったじゃねぇか!」

 

「もぅ…うるさい…」

 

「あぁん可哀想な無限魔力ちゃん、よしよしこっちおいで〜」

 

「はぁ〜お前達そろそろ静かにして─」

 

『人間最強』が大きな声で会話していると『無限魔力』が大きなとんがり帽子を深く被り嫌そうな顔で呟き、それを見た第四席次『神聖呪歌』が慰めようと甘い声を出して抱き寄せる。そんな緊張感のない様子を見かねた第一席次が声を出そうとした時だった。

 

「隊長!敵!新たに来ます!!あれは─!」

 

漆黒聖典第七席次『占星千里』が第一席次の青年に接敵を伝えようとするが感知した敵に言葉が詰まる

 

魔導国のある方向から現れたのは身長が2m以上あり巨大なタワーシールドと特徴的なフランベルジュを持つ黒き騎士のアンデッド、この地で伝説になっている存在『死の騎士(デス・ナイト)』が隊列を組んで現れたのだった。




お読み頂きありがとうございます!いや〜思ったよりもアンデッド群と法国軍の戦いが長引いちゃったので『アンデスアーミー』で呼び出したアンデッド達は消えちゃってますよね…(笑)

まぁそれに関しては本作の9話『実験実験、たまに失敗?』でアインズ様が願った『ナザリックに属する者が召喚・創造するモンスターから経験値を得られるようにせよ』で経験値を得られると同時に副作用で時間制限で消滅もなくなったのでなんとかなりました(?)

本当はもっと法国軍の話をギュッてして次に執筆する漆黒聖典の話をメインにしようとしたんですけど…まぁ想定通りに執筆出来たことは無いです!(笑)

あと自分ってキャラの名前付けるのほんとに苦手だなって思いました…全部安直すぎる!そして法国軍の魔法や漆黒聖典の攻撃名はオバマスから採用してます!

次回は来年になってしまうかもですが是非よしなに!
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