カッツェ平野を効率良く活用したいNPCの物語 作:ユウキング
カッツェ平野から歩いてくる担がれた人間とアンデッドの異質な集団はヴァディス自由都市の壁門から数百mまで近付く
「人間の街はもっと人間種が出入りしていると思ったが、ここは全然人の出入りが無いな。」
「そりゃそうだろ親友、ここはカッツェ平野に行く冒険者用の門なんだから冒険者やワーカー以外は殆ど出入りしないさ。」
「それもそうか。」
そんな話をしている内に壁門の近くまで着いていたらしく門番の兵士達が驚きの声を上げる
「アンデッド!?」
「おいあんた!何でアンデッドと仲良くしているんだ!?」
「緊急事態!緊急事態!至急応援を呼んでくれ!!」
アリの巣をつついたかのように騒然となった壁門の前に立っていたプラチナム達はあっという間に兵士達に囲まれてしまった
「兵士長!こちらです!!」
「はぁ〜なんだってアンデッドがこんな所まで…ってお前!ミスリル冒険者のオルカじゃねぇか!!今朝ミスリル合同チームでアンデッド狩りを討伐しに行くって…ま、まさか…」
「察しが良いな兵士長とやら、そう私こそがアンデッド狩りのプラチナムだ以後お見知りを。」
「オルカとそれにカイルとホニュイ…まさか生き残ったのはお前達3人だけなのか?」
ミスリル冒険者合同チームのリーダーことオルカは当たり前の様に頷き、近接職のカイルと神官のホニュイは今にも泣き出しそうな顔で頷く。
「よぉ兵士長さん何で囲まれてんだ俺達は?俺は早く俺の親友であるプラチナムにヴァディスを案内してぇんだが…」
「親友!?何を言って…まさか魅了されているのか!クソッ!!お前らを助けてやりたいがこのまま危険なアンデッドを都市内に入れる訳にはいかん!ここで倒させてもらうぞ!!」
兵士長が覚悟を決め部下とプラチナムに突撃しようとしている中、プラチナムは他人事の様に空を見上げる
「あぁ、ワイズ殿。丁度良かった編制したてで悪いが
そう言うとプラチナムの傍に果てしない闇が広がり兵士達はどよめきだす
「なんだ!?総員距離を取れ!何をしてくるか分からん…ぞ…?」
兵士長が指示を出している間に闇から現れたのは、とてつもない負のオーラを纏った体長が2mは優に超す体と体を丸ごと隠せる様な大盾、一振で何人もの人間を殺せてしまいそうなフランベルジュを持ったアンデッド。
「ま、まさかあれは…てっ帝国の
しかし兵士長の脳裏に焼き付く、新米兵士時代に現れた
驚愕している兵士長をよそに闇からは
「
兵士達とは裏腹にプラチナムはデスネームドシリーズを下賜してくれたアインズに黙祷を捧げていた
「この隊伍であれば小国までなら落としてみせよう、尤もここにいる兵士達は抵抗する気も無いみたいだが?」
「あっあぁ…我々では
「私はアンデッド狩りだと言っているだろう?その事を伝えに直接人間の長に挨拶をしようとな。」
「ほ、本当にたったそれだけの為に伝説のアンデッドで隊伍を組んできたのか…?はっはは…なんだそりゃ…」
あまりにも緊張感のないプラチナムとの会話に兵士長は思わず失笑し…
「ふぅー。分かった、プラチナム殿を信用してヴァディスの入国する事を許可します。その後は俺達が責任を持って貴方達をヴァディス自由都市長の元まで案内しましょう。」
「む、良いのか?」
「えぇ、力ずくで人間を支配出来るアンデッドを従えながらそれを行使しないプラチナムの人、徳…?じ、人徳を信用します。どっちにしろ我々にはどうする事も出来ないですしね。」
ふっと鼻で笑い、諦観なのか達観なのか分からない様子の兵士長が門を開けるよう部下に指示を出す
「それでは、改めてようこそヴァディス自由都市へ!」
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プラチナムが門を潜り抜けた先は、もはや阿鼻叫喚地獄だった。子供は泣き母親は子供を抱き抱え家に戻り、男どもは仕事道具を持って威嚇してするように奇声をあげ、冒険者やワーカーは冒険者ギルドに報告しに行く。
幸いにも兵士長が兵士達に指示を出し、攻撃してきそうな人を宥めたりパニックになっている神官達を落ち着かせたお陰で流血沙汰にはなっていないが、ヴァディスの大通りは閑散としていて人が見当たらない状態だった。
「ふむ…まさか《絶望のオーラ》も使っていないのにこんな事になるとは助かったぞ兵士長殿。」
「絶望の…?あっいえいえ、こちらこそ
プラチナムに随分と心を許した兵士長は人間と接するかの如く気さくに会話をする、するとそこへ
「これはどういう事だ兵士長殿、何故貴方がアンデッドと一緒に都市内を歩いている?まさか魅了でもされたか??」
都市長の館へと続く道を塞ぐかの様に冒険者やワーカー達が100人近く集まっていた、その中でも老年な男が兵士長に話しかける。
「これはギルドマスター殿、こちらのプラチナム殿には一切敵意がなく都市長と和解の話し合いがしたいと言う事なので都市長のいる館まで案内しようかと思いまして…」
「ふざけるな!信用出来るわけが無いだろう!!」「今朝出立したミスリル合同チームはどうなったんだ!」「アンデッドに担がれてるのはミスリルチームリーダーのオルカだろ!」 「鳥肌が止まらない!!」
兵士長の言葉を皮切りに冒険者達が次々とプラチナムを非難する
「すまないがミスリル合同チームとやらはコイツらしか生かすことは出来なかった、討伐するという事は殺される覚悟もあるのではないか?」
それを聞いた冒険者達は更に騒ぎだす
「やはりあのアンデッドは危険だ!」 「ギルドマスター!俺らなら全員で行けば勝てるはずです!!」 「「「ギルドマスター!!」」」
冒険者に呼びかけられていたギルドマスターはプラチナムを一瞥し…
「ふぅむ、プラチナム殿の言う事も尤もだ。更に前々からプラチナムと応戦したチームは皆生かして帰してもらったと話は聞いているし忠告を広める様助言も頂いていた。今回それらを無視し討伐しようとした我々が悪いにも拘らず対話での和解を望むとは…我々よりもよっぽど理性的ではないか。」
「「そんなギルドマスター!」」
「それにお前達!あの隊伍を組んでいるアンデッドの強さが分からないのか?我々では天地がひっくり返ってもプラチナム殿のチームには勝てまいよ。さぁ道を開けよう」
「そんな馬鹿な…」 「ヴァディスはもう終わりだ…」 「そんなのやってみないと分からないじゃないか…!」
驚愕する者、絶望する者、憤慨する者。人によって色んな感情が渦巻いているが皆ギルドマスターの指示を聞きプラチナムに道を開ける、知り合いが・恋仲が殺されたかもしれないと言うのに道を開けるのはギルドマスターの人徳故か、それとも誰もが強力なアンデッドの反感を買いたくないと言う本能がそうさせるのか。
「礼を言うギルドマスターとやら、私はこれからもカッツェ平野でアンデッドを狩り続けるだろうから冒険者のまとめ役である貴公に理解してもらい助かるよ。」
「礼はいいさ、何度も冒険者やワーカー達の命を助けてもらった借りを少しでも返したいと思っているだけだ。だがこれだけは覚えていて欲しいプラチナム殿、生者と死者は決して相容れないという事を。」
「あぁ、全くもってその通りだな。」
敵対はしないが友好もしない、そんな固い意思のような詰まった言葉を受け取りプラチナムは都市長の館へと向かう。
人間達の名前はリーダーの名前をフールっぽい文字を弄ったら海の生物っぽくなったのでそれに合わせました(笑)補足にデスナイト君討伐隊の生き残りは勝てないと分かって前衛部隊を尻尾切りして生き残った人と戦意喪失して敵前逃亡した運のいい方達です、その後に帝国兵士やフールーダさん達と戦ったのかな?知らんけど!次回もお楽しみにください!