星野アイと運命の魔法使い   作:静かなるモアイ

4 / 48
トール、スマホをゲットする。


トール・ヴァーミリオンとスマホ

「私は……安室ちゃんみたいになりたかったんすよぉおおおお!!」

 

十数年後の未来。そこではアイドルを越えたスーパー芸能チームと化したB小町の最初期メンバー ニノがインタビューに答えていた。

未来での苺プロダクションは超絶大手と成っており、世界最強(物理ファンタジー含む)の芸能プロダクションと進化していた。B小町は日頃からバラエティー番組に引っ張りだこであり、古参メンバーは映画やドラマでの仕事もこなしており……特にバラエティー番組に出ている。アイドルとしてのB小町は新メンバーとしてトール・ヴァーミリオンと星野アイ夫妻の愛娘 星野・ルビー・ヴァーミリオンを筆頭とし有馬かなとMEMちょをメンバーに加えてアイドルとしても活動中。星野アイは伝説のアイドルとして歴史に語り継がれ、魔法が使えない最強の魔法使い(物理)マッシュ・バーンデッドと共に魔法界と人間界両方を救ったトール・ヴァーミリオンはタレント活動しながら番組プロデュースを行う。

 

そんな中、ニノは1人だけ婚期を逃してしまった。アイは16歳で結婚し『核弾頭アイドルと魔法使いの電撃結婚!?』と世間を騒がせ……他のメンバーも少し遅めだが25~30になる前に結婚していった。

 

「私はね……子供の頃に憧れた安室ちゃんのように歌って踊れるアイドルになりたかったんすよ!!いや、どうしてバラエティーアイドル……バラドルになったんすかね」

 

アマゾン川の上を優雅に進む船の上でニノは子供の頃に憧れた安室ちゃんのようなアイドルを目指していた事を告白。だが、バラエティー対応型アイドル バラドルに成らなかったらきっと過酷な芸能界の裏に埋もれてしまっただろう。

事実、魔法界からトールがやって来なかった世界線でのニノはアイの死後、アイという一番星を失ったB小町の解散と共に芸能界を逃げるように引退してメディアに出ることは2度と無かった。だが、この世界はトールが運命をぶっ壊したお陰でアイは生存しており、他のB小町メンバーもバラドルと成ってしまったが芸能界を逞しく生き残っている。

 

『やっぱりドッキリグランプリかぁぁあ!!』

 

『うぉおおお!!あと10分逃げきれたら1000000円!!』

 

『ダクト飯よ、ダクト飯』

 

としぶとく生き残っており、ニノも苺プロダクション製作総指揮の長寿番組 世界の果てまでイッテB!!のコーナーである珍獣ハンターニノのロケでアマゾン川に訪れていた。今回の獲物はアマゾン川の生態系頂点に君臨するオオカワウソの調査である。

 

「このロケのお陰で……安室ちゃんの復活ライブに行けないじゃんかよぉおおお!!」

「なんで僕もアマゾン川に!?いや、夏休みだから良いけど!!」

 

そんなニノの珍獣ハントに同行するのは星野吾郎(高校1年生)。史実では星野アクアマリンとして産まれた転生者であり、前世は雨宮吾郎ことゴロー先生……なお、死因は海を越えて九州に活動範囲を広げた一匹狼なヒグマの手でヤられちゃった事である。なお、吾郎と前世と同じ名前なのはトールの運命の波長が見れる能力でゴロー先生と一瞬でトールにバレたためである。

夢は医者兼タレント。手塚先生も医師免許もってたし、問題はないだろう。医者タレントも実際に居たし、OKの筈だ。

 

「よいか、ゴローくん。安室ちゃんはな……私の永遠の太陽なんだよ!!」

「分かります……分かります!!僕もアイが永遠の一番星だぁあ!!」

「そこは私って言えよ!!お世辞でも良いからよ!!」

「だが断る!!」

 

こうして吾郎とニノを乗せた船はアマゾン川の奥に進むのであった。

 

 

 

 

 

なお、時は現代。トールとフィンが入社してから数日後。実はと言うと世間は春休みであり、アイや他のB小町のメンバーは進学や進級の準備で忙しかったり……春休みを謳歌したりして楽しんでいる頃。

 

「えーと……トールくんが住んでいる所はこの辺りの筈なんだけどな」

 

フィンはADとしての仕事も無いためかトールが暮らしている所に遊びに行くことにしたのだ。トールは学校にも通っておらず、現代社会では必須品とも言えるスマホを含めた携帯電話を一切持っておらず……連絡手段が無いのだ。なので今日はミヤコとアイとフィンそしてトールと共に、トールが使うスマホを買いに行くのだ。この事はトールにも前日に伝えており、トールも理解している筈だ。

 

「いや、此処って交番だよね?」

 

苺プロダクションの事務所がある所から程近い交番。そこがトールの現在の住所であり、この交番の裏には大きな池がある自然公園があり……公園からは多くの家族連れの声が聞こえる。

 

「両津ぅぅう!!」

「ひっ!?大原部長!!」

 

その交番の中では部長と呼ばれたお巡りさんが両津と呼んだお巡りさんに怒っている場面だった。すると、交番の奥から何時もの魔法使いのローブを纏ったトールが箒を持って出てきた。

 

「部長さん、両さん。行ってきます」

 

トールは2人のお巡りさんの方を向いて、行ってきますを告げる。

 

「行ってきなさい」

「怪我するなよ?」

 

そんなトールを2人のお巡りさんは快く送り出して、トールは交番から出てフィンの前にやって来た。

 

「おはよう、フィンくん。待った?」

「おはよう。交番に住んでるの!?」

「うん。ここの自然公園でサバイバル生活してたんだけど、ブラックバスだっけ?そんな魚を取って焼いて食べてたんだけだ……その時に部長さんに保護されてね。日本語の読み書きも部長さんから教えて貰ったんだ」

 

そう、トールは交番でお世話に成っているのだ。

トールは魔法界から人間界に来た当初、この自然公園でサバイバル生活を送っていた。水は蛇口を捻ればなんとでもなるし、公園にはトイレもある。衣類は魔法を使えば新品同様に清潔感を保てるので問題はなく、ご飯は池から魚を魔法で捕まえて焼いて食べれば問題はなかった。

サバイバル初日、物を引き寄せる魔法 アクシオでブラックバスを引き寄せて捕まえ、魔法で腹を切り裂いて内臓を取り出して……魔法で焼いて食べている所に大原部長に発見されて……事情を話して交番で住まわせて貰ったのだ。

 

「そうだったんだ……」

「うん。部長さんは咜る時は咜ってくれる良い人だし。両さんは破天荒でハジケリストだけど、やる時はやる人だから」

 

魔法界の殆どの人間と違い、大原部長と両さんはトールの事を家族のように面倒を見てくれた。

魔法界の多くの人間は魔法が使えない人間は「人間じゃない。生きる価値が無いんだよ」「私の子供なのにどうして魔法が使えないのよ……ハハ、死になさい」と我が子でも殺す。トールの素質の高さを知り、借金をしてまでトールをイーストン魔法学校に入学させてくれた人物とは思えない発言さえしてしまう。だが、これが魔法界の常識であり……魔法界では魔法が使えない=生きる価値=人間扱いされないのだ。トールが中学2年生の時、優しかった両親が産まれた弟に魔力が無かっただけで弟を虐殺。それを見てしまったトールは親と決別し、魔法界を嫌いになったのだ。待ちに待った弟が両親の手で殺され……トールは1人で弟の墓を建てて「アストルフォ」という名前を付けた程だ。

産まれたばかりの弟 アストルフォを両親の手で殺されたトール。しかし、魔法界の大半の人間は両親と同じ考えであり……それは世界の仕組みを覆えしても変えられない物だった。学友に相談しても逆にバカにされて笑われる、先生に相談しても「弟は死んで当然だった」と言われるだけ。そんなトールの心を慰めてくれたのは街でシュークリームを買いに行った時に出会ったレグロという老人、そして校長のウォールバーグだけであった。

 

『ウォールバーグ校長。俺はもう、魔法界で希望を見付けれません。魔法が使えないだけで殺され、人権すらもない。弟は魔法界に殺されたも同然です。

サモンズ 運命の神 権能行使 ゲート・オブ・ビフレスト……さよならウォールバーグ校長。貴方は俺が最後まで嫌いにならなかった魔法使いの1人です』

『待つんじゃ……トール!!考え直すんじゃ!!』

 

そしてオーディンの力を理解したトールは……ゲート・オブ・ビフレストを使い、ウォールバーグの引き留める声を無視して魔法界から人間界にやって来たのだ。

 

「魔法界と違ってここの人達は優しい。魔法が使えないから殺される心配もない。それでも人殺し、事故、色々悲しい事はあるけどね」

「そうだったんだね……トールくん」

 

と魔法界を捨てた訳をフィンに話したトール。すると、トールは箒に跨がり、箒は浮かび上がり……丁度……自転車のサドル程の高さまで浮かび上がる。

 

「フィンくん。後ろに乗って。飛んで行くよ」

「えっ?飛んで行くの?」

 

フィンがトールの後ろに跨がった瞬間。箒はぐんぐんと垂直に高度を上げて、一定高度まで上がると。車が真っ青の速度まで瞬時に加速し、高速で飛んだのだった。

 

「てっ速すぎるわぁぁぁ!!ビャァァァアアア!!」

 

東京の空にフィンの悲鳴が響くのだった。

 

 

 

一方の東京駅。

 

そこではミヤコ夫人とアイが私服姿で待っており、トールとフィンがやって来るのを待っていた。

 

「そろそろ来るよね?」

 

ミヤコ夫人が腕時計で時刻を確認する。その時だった。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁあ!!トールくん!!ブレーキ!!ブレーキ!!ブレェェェエキィイ!!」

 

空から直滑降で空を滑るように箒に跨がったトールとフィンが高速で此方に向かって飛んできたのだ。

 

「なんだ!?げっ!?人が箒に乗って飛んでるぞぉお!!」

 

「撮影しろ!!どうなってる!?」

 

「ワイヤーアクション!?いや、違う!!ありゃなんだ!?」

 

東京駅は朝から沢山の人が来ており、大勢の人々は空から直滑降で降りてくるトールとフィンに釘付けに成っており、リアル魔女の宅急便を目撃してしまいビックリ仰天してしまう。

 

「トール、雨漏りくーん!!」

「僕の名前、雨宮ですけどぉお!?ぎゃぁぁぁぁぁあ!!」

「おはよう、アイちゃん」

 

フィンの絶叫なんか気にせず、箒は華麗に空中ドリフトターンを決めながら地面に到着し……何事もなくトールとフィンは降りた。トールは日頃から箒での飛行は慣れているのか、普通である。しかし、フィンは高度と速度でガクガクしたのか足が地面に着いてもブルブルと震えている。

 

「うぉぉ……僕生きてる……僕生きてる……」

「フィンくん。だらしないよ?」

「死ぬかと思ったわ!!あんなに速いなんて聞いてないよぉおお!!」

「うん。この箒、最高級モデル ファイアーボルトだからね。他の箒より遥かに速いよ」

 

トールが使う空を飛ぶ箒はファイアーボルト。空を飛べる魔法の箒は数あれど、ファイアーボルトは最速の箒である。普通の魔法の箒が原付~軽自動車だとすると、ファイアーボルトは最新F-1カーのようなスペックを誇るのだ。

本来なら日本円で200億程の値段なのだが、トールは3本線を習得した記念と親と絶縁した為に誰からも誕生日プレゼントを貰えなかった事もあってか……ウォールバーグ校長から譲って貰ったのだ。御下がりと言えど、最強の箒 ファイアーボルト……圧倒的な性能を誇り、恐ろしい程の加速と最高速を誇る。しかし、その代償としてピーキーな操縦技術が必要で……初心者は先ず乗れない。

 

「トール、その箒。私も乗って良い?」

「アイちゃんも乗る?良いよ」

「目立つし、人が集まるから此処で乗るなぁぁあ!!」

 

ファイアーボルトに乗りたいアイちゃん、快諾するトール、思考を放棄するミヤコ夫人、そしてフィンのツッコミが東京駅に響いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一先ず……スマホは無事に買えましたね」

「ええ、なんでスマホを買うだけでこんなに疲れるのかしら」

 

無事にスマホをゲットできたトール。そんなトールはミヤコ夫人の奢りで、フィンとアイと共にマクドナルドにやって来ていた。トール、人生初のマクドナルドである。

 

因みにトールがビックマックセット、アイがチーズバーガーセット、フィンがフィレオフィッシュセット、ミヤコがサムライマックセットである。

 

「此処をこうしたらYouTubeが見れるよ」

「ゆーちゅーぶ?」

 

疲れが一気に出たミヤコとフィンは兎も角して、トールはアイからスマホの基本的な使い方を教わっていた。LINEのやり方はマスターし、今はYouTubeの見方を教えて貰っている所だ。

 

「色んな動画が見れるんだ」

「この写真が動いてるのが動画?」

「うん。そうだよ。それにね、動画を見るだけじゃなくて動画を投稿することも出来るんだ」

 

YouTubeは自分で動画を投稿したり、ライブ配信を行うことも出来る。最近ではYouTubeで収益が入るようにして、その収益で生計を立てて食べているYouTuberなんて職業も出てきた程だ。

 

「これで宣伝すれば良いんじゃないですか?」

 

ふと、トールがYouTubeをある程度理解してたのかそう告げた。

 

「動画を投稿するのはタダなんですよね?これで苺プロダクションを宣伝すれば、色んな人に事務所の事を知って貰えます。それに、動画を見て貰えればお金も入るんですよね?」

「私としてはミュージックビデオをYouTubeに投稿しようか考えてるわ。ウチのような弱小事務所はCDを出すにしても、色んな企業……レコーディング会社や出版社に中抜き量を取られるから売り上げは微々たる物よ。だから少しでも利益を出すためにYouTubeに音楽を投稿して……」

「あっ、そうじゃなくて……YouTubeで番組をやるんです」

 

 

春休みが終わる頃。苺プロダクションの公式YouTubeアカウント 苺チャンネルは登録者が十万人を突破し、収益化に成功する。

 

 

 

 

 

 

動画タイトル 苺プロダクションの仲間達。

 

『初めまして、苺プロダクションのアシスタントディレクター……ADの雨宮フィンです。今日は苺プロダクションに所属する仲間を紹介したいと思います』

 

ハンディカムを回して撮影を行うフィン。彼が最初に紹介したのは振り付け師であり、プロダンサー兼ボディービルダーのぴえヨンだ。ぴえヨンは減量期に成ったのか、綺麗な逆三角形で逞しい筋肉の化身と成っており……ビルダーパンツ姿と成っている。勿論、トレードマークの覆面は被っている。

 

『振り付け師のぴえヨンだピヨ!!此方はケビン、此方はマイクだピヨ』

『この人、自分の大胸筋に名前を着けてるぅぅう!!』

 

ぴえヨンは大胸筋をピクピクと動かし、右の胸筋をケビン、左の胸筋をマイクと呼んだ。そう、ぴえヨンは自分の筋肉に名前を付けているのだ。

 

『トレーニング後は45分以内にタンパク質摂取!!プロテインがお勧めだよ!!』

 

そして綺麗なモストマスキュラーを行って逞しい胸筋をアピール!!

 

『サインはB!!B小町のアイです!!』

『ニノです!!』

『高峯です!!』

『渡辺です!!』

 

次に紹介されたのはB小町のメンバー達。

 

そして最後は当然ながら、あの魔法使いです。

 

『トール・ヴァーミリオン、魔法使いでタレントです』

 

もふもふとシュークリームを食べながらトールが登場した。

 

『折角なので、魔法を使います』

 

右手で杖を持ち、ゴミの空き缶を空に高く放り投げる。そして杖を上に掲げ、杖の先を空き缶に向ける。

 

『ブリジンガー』

 

その瞬間、杖から青い炎と雷撃のビームが解き放たれ、一撃で空き缶を消し飛ばした。

 

『オーバーキル!!攻撃魔法使わないで!!』

『フィンくん。これでもかなり加減してるよ。それに、攻撃魔法は基本的に正当防衛とかでしか使わないよ?部長さんに怒られるから』

 

『レパロ。これは物を直します。うっかり、窓ガラスを割っちゃう時もこれで安心です』

 

魔法使い……バズる!!

 

『あと、ルーン魔法も使えます。詠唱も杖も必要ないので湿布代わりに使えます。俺はこのお陰で肩凝りに悩まされた事はありません』

『魔法の無駄遣い!!それ、社長にもやってあげて!!』

 

そしてフィン、ツッコミ職人としてバズり、ADからタレントに昇格する。




なお、動画編集はぴえヨンとフィンくん、ミヤコさんがしてくれてます。

次回……着々に登録者がふえだしてネットアイドルとしての地位を上げていくB小町。しかし、どうしてもアイが目立ってしまい、他が目立たない。

トール「よし、アイドルが普段しない事をしよう」
フィン「トールくん!?女の子が可哀想だよ!!」

バラドルへの覚醒が始まる!!

マッシュルのキャラ、出す?

  • 出す
  • 出さない
  • プロテインは必要だと思う
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。