「まさか・・・ベヒモス・・・なのか・・・」
メルド団長の呟きに生徒達はヤバイ奴だと理解する。
「グルァァァァァアアアアアッ!!」
「ッ!?」
おもむろに大きく息を吸うと、凄まじい咆哮を上げた。
その咆哮で正気に戻ったメルド団長が矢継ぎ早に指示を出す。そんな中光輝はメルド団長の指示を聞かず、共に戦うと言い説得しようと口を開く前にベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。
護るように騎士団員が多重障壁を張ろうとする。
「必要ない」
騎士団員の前に誠が出て金棒を構える。
「小手調べだ(ぶっつけ本番)」
利き手とは逆の左手に金棒を持ち覇気を纏わす。
「
ベヒモスの突進と誠の金棒での攻撃では結果は目に見えているが、その結果は逆だった。ベヒモスは力負けし反対側に飛ばされる。
「いてて・・・手が痺れた。なんちゅう力だ」
(((あの突進を受けて、押し勝って手が痺れるだけって・・・龍波/誠化け物かよ・・・)))
思ったよりもベヒモスの力が強く誠は左手が痺れた。そんな誠を見てほぼ全員が誠の強さに恐怖した。
「あ、伏せろ」
階段側にいた者達に言い、左足を軸にし右足を振り抜いた。
「嵐脚」
生徒達を囲むように接近していたトラウムソルジャーに嵐脚を放ち、間合いを確保する。
「
「誠なら直ぐにでもベヒモスを倒せそうだが?」
「可能だが、さっきのをもっと威力をつけると橋が崩壊する。今の一撃で橋に罅が入った」
誠がメルド団長にベヒモスを抑えている間に、階段を上げれと言うと、倒せないかとメルド団長が聞くが、橋に罅が入った為高威力が出せないと言った。
「光輝俺と共に道を切り開くぞ」
「・・・わかりました」
メルド団長がベヒモスを誠に任せることにし、光輝と共に生徒達の退路を開くと言うと、光輝は渋々と頷きメルド団長に続く。
「兄さん!」
「無茶するなよ誠!」
「無事に帰って来なさいよ誠」
光輝達を先頭に生徒達が続き、幸利、恵理、雫が誠に声をかけて撤退する。
「で?何故お前は撤退しないハジメ?」
「誠自身が言ったじゃない。橋に罅ができてるって。僕なら橋の罅を直せるけど」
「全く。何言っても撤退しないだろし、ハジメ俺の前には出るなよ」
「勿論」
撤退しないハジメに理由を聞けば、自身なら橋の罅が直せると言い、説得は諦め前に出るなと言い再び金棒を構える。
「‶錬成〟!」
赤熱化した兜を掲げ突撃してくるベヒモス。の足元の岩を錬成しベヒモスの足を止めるハジメ。
「上出来だ。指銃Q」
生徒達の避難の為に雷鳴八卦を使わず、金棒で指銃Qを使った。勿論武装硬化して。
一方生徒達は怒涛の勢いでトラウムソルジャーを蹴散らしていく。凄まじい速度で殲滅していき、その速度は遂に魔法陣による魔物の召喚速度を超えた。
そして階段への道が開ける。
「前衛組!ソルジャー共を引き寄せるな!後衛組は遠距離魔法準備!ハジメが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」
「待って下さい誠は!?」
「誠なら剃で離脱出来る筈だ」
「幸利、兄さんなら大丈夫よ」
「恵理・・・分かった」
メルド団長の指示に幸利が抗議するが、メルド団長と恵理の言葉をうけて、受け入れた。
「ハジメ先に行け。俺は最後の一撃を加えた後に剃で離脱する」
「オッケー。ちゃんと逃げてよ」
「分かってる」
ハジメが離脱していくのを見届けて、誠はベヒモスを見る
「決着はまた今度、しっかりした地面で決めてやる」
憤怒の色が宿っている瞳のベヒモスにそう言い、今度は右手に金棒を持ち覇気を纏う。
「
最初よりも威力のある雷鳴八卦にベヒモスは四肢を橋に突き刺し耐えようとする。勿論そんなので止められなく、突き刺した四肢ごと橋を削りながら後退する。どうにか止めようと更に力を込めようとした瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。
最初と今の雷鳴八卦にベヒモスが耐える為突き刺した衝撃に、遂に石造りの橋の耐久限界を超え、橋の崩落が始まった。
「おうおう流星の如く打ち出されてるな。剃刀」
攻撃魔法を見て思った事を呟いた後剃刀を使い離脱した。
先に離脱したハジメより先に階段前についた誠は、ハジメに火球が直撃し奈落に落ちていくのを目撃した。
「は、ハジメぇぇええええ!!」
「いやああああああ!!」
誠の絶叫と香織の悲鳴が響き渡る。そんな中誠の見聞色に負の感情が聞こえた。
(ヒヒヒ・・・これで白崎は俺の物に・・・ヒヒヒ)
(あの野郎!!)
誠はハジメに火球を当てた人物を睨む。
「に、兄さん・・・ハジメが、ハジメが・・・」
離脱した誠に真っ先に駆け寄った恵理が呆然と呟く。
(恵理犯人は○○だ。○○で揺さぶりをかけて自白させてくれ)
(いい、けど兄さんは?まさか!!?)
(ああ。ハジメを助けに行く。俺のビブルカードは持ってるな?)
(うん。片時も肌身離さず持ってるよ)
(暫く離れる。俺の生存の事は恵理の判断で信用できる奴にだけ伝えてくれ)
(・・・分かった。でも無事に帰って来てね)
(ああ)
小声で恵理とやり取りを終えた誠は、雫に羽交い締めされている香織に近づき、首筋に手刀を落とし香織の意識を落とす。
「誠・・・」
「雫、白崎を支えてやってくれ」
「何言って・・・まさか」
雫が止めるより早く誠は奈落に飛び降りた。
「ま、誠ぉぉぉおおお!!」
「よせ雫!君まで死ぬ気か!」
誠に向けて手を伸ばす雫を今度は光輝が羽交い締めする。
「雫・・・兄さんなら大丈夫だから・・・」
「恵理・・・」
今も暴れる雫に目元に涙を浮かべた恵理が声をかけると、雫は暴れるのをやめた。
なんとか正面門の広場にたどり着いた一行は、大半が大の時になって倒れこむ。
一様に生き残った事を喜び合っている一方雫や光輝、龍太郎に恵理、鈴などは暗い表情だ。
「・・・じゃあハジメを攻撃した犯人を捕まえないとね」
『『『ッ!!???』』』
恵理の一言で全員の視線が恵理に向く。
「どう言う事だ恵理!?ハジメに攻撃した犯人だと?あれは事故じゃないのか!?」
「違うよ幸利。兄さんの見聞色が犯人の声を拾ったんだ。ねぇ檜山」
「ッ!?」
真っ先に幸利が恵理に聞き、恵理は誠から聞いた犯人の名前を言った。言われた檜山は硬直した。
「なんでハジメに向かって魔法を打ち込んだの?」
「ち、違う!お、俺は南雲に向かって火球なんで撃ってない!!」
「私は魔法と言ったけど、なんでハジメに当たったのが火球て分かるの?」
「ッ!」
誠に言われた引っかけに、見事に檜山は引っかかった。
「ねえ皆私火球って言った?」
「・・・いや魔法しか言ってない」
恵理が全員に向けて言うと幸利が答えた。
「そう。なのに檜山はハッキリと火球と答えた。犯人しか知らない事を」
恵理の言葉に檜山はだんまりになり、生徒達は疑心の目で檜山を見る。
「な、何が・・・何がいけないんだよ!無能の一人を落とした位で!!」
「檜山お前!!」
開き直った檜山に幸利が胸倉を掴む。
「ハジメは決して無能じゃない!!お前は見て無かったのか、誠の援護をしていたハジメの姿を!!あれを見てハジメの事をまだ無能と言うなら、お前の方が無能の役立たずだ!!大体お前がトラップに引っかかったのがそもそもの原因だろうが!!」
幸利の言葉に周りの生徒達が、そうだそうだと幸利を肯定する。
「・・・大介。お前を拘束する」
このままでは檜山がリンチされそうなので、メルド団長が檜山から幸利を引き離し、騎士団員に檜山を拘束するように言う。
更に檜山と絡んでいた小悪党組の3人も監視がつくことになった。
初めての実戦で生徒達は自分達の認識の甘さを痛感した。